あらすじ
話題をさらったベストセラーノンフィクション。
絶対に不可能といわれてきたリンゴの無農薬栽培を成し遂げ、ニュートンよりライト兄弟より偉大な発見をした男の感動ノンフィクション。長年の極貧生活と孤立を乗り越えて辿り着いた答えとは? 全てのビジネスマンに読んでほしい名作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
農業の素人である私は、農薬の危険性があるなら農薬を使わなければ良いのに、と無責任に考える。
しかし、本書を読んでみて、その考えは浅はかなものだと理解した。
木村さんの無農薬リンゴの取組みは、本当に壮絶なものだったと思う。
自分が、同じ体験をしようなんて考えもつかない。
死を覚悟するところまで向きあい、奇跡のような出来事を起こした木村さん、そして支えたご家族に心からの敬意を示したい。
本来、自然はそのものが完璧なものであることにも、本書で気付かされる。人も本当は自然の一部にすぎないのに、自然を支配しようとし続けてきたわけだ。そして、その違和感に何も疑問すら感じることがなくなってもいる。
本著に『リンゴの木は、リンゴの木だけで生きてるわけではない。まわりの自然の中で生かさえている生き物なわけだ。人間もそうなんだよ。』という木村さんの言葉がある。
木村さんの奇跡のリンゴは、単に無農薬でリンゴを栽培しただけの話ではなく、人類にとって大切なことを思い出させることに繋がっていると言っても過言ではないと思う。そんな大切なことを教えてくれる一冊でもありました。
Posted by ブクログ
新幹線の中で読んでいたら涙がとまらなくなり本を閉じてしまいました。10年ほど前に阿部サダヲさん主演の映画を観た時期にテレビのインタビュー番組で木村さんをみました。木村さんのリンゴを食べたいという気持ちより木村さんに逢いたいと思いました。想像を絶する苦難に立ち向かう姿に心をうたれます。頑固で一本槍なところもありますが純朴で愛にあふれた人だと感じます。是非ともたくさんの人に読んでもらいたい1冊です。
Posted by ブクログ
青森のりんご農家木村さん。とても可愛らしい笑顔で、様々な媒体で存在は知っていたが文庫で初読。
前情報として、無農薬、宇宙要素が詰まっていて読む前から何故か神聖な気持ちに。
出稼ぎや、同業から厳しい声のなか苦しい生活と、懸命に模索してきたお姿。
アセンションされるのは稀に見る一生懸命な人だとか。ロマンと、自分でも選択することで行動ができると、食への意識が変わった。
山中で「自然の中に答えは元からあった」というような気付きのシーンが印象的。
種苗法や農薬問題は長らく問題視されているため、現在の活動、国内・海外の自然栽培生産者への技術指導により日本から広がり、かつてのまたは未来の世界へ繋がると考えさせられた。著者目線の描写も共感できて面白かった。都内にあるレストランで直接契約しているりんごソースも、いつかいただきたい。
Posted by ブクログ
歯のないおじさんの表紙で買うのを躊躇ったが、ガイアの夜明けで若者の反響がすごかったので読んでみました。壮絶な人生です。凡人からは狂っていると思われる行動も、一握りの成功者だけがやれることなのでしょう。でも、ただの成功物語ではなく、りんごの声、自然の声、土の声を聞き、動物としての調和を重んじ、人としてどうありたいかを追求した物語だと思いました。
Posted by ブクログ
宇宙人の部分を目的に読んだけれど、これを読んでから食べ物への意識が少し変わった
実家で農薬をあまりつかわない野菜が腐りづらい理由がわかった。腐るのは農薬のせい
Posted by ブクログ
スピリチュアルの概念がすごく詰まった内容だと感じました。
私が読書を好きになったきっかけの本です。
執念が実ったところが泣けました。
選ばれし者って感じです。
Posted by ブクログ
この手のノンフィクション系では、久しぶりに面白くてページを先にめくりたい気持ちが自然に起きた。
自然と向き合うということにおいて、とても大切なことを学んだ気がする。
Posted by ブクログ
205ページ
1300円
5月11日〜5月12日
無農薬でリンゴを作るのは不可能と思われていた。その不可能に挑戦した男、木村さんの半生を描く。完全無農薬に挑戦し、虫をとり、酢をかけ、考えうることをすべてやってみたが、リンゴは花を咲かせず、半分の木が枯れた。収入がなくなり、家族にも苦労をかけ、木村は首をくくろうと山を登る。山の上でどんぐりが元気に育っている様子を見て、そこからリンゴの根っこ、土に目をむける。9年ぶりにたくさんのリンゴの花が咲いて喜ぶ。『リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているわけではない。周りの自然の中で、生かされている生き物なわけだ。人間もそうなんだよ。人間はそのことを忘れてしまって、自分独りで生きていると思っている。』
木村さんの人柄にひかれた。大きな笑い声と木村さんがいるとその場が明るくなるということが、読んでいるだけでも伝わってきた。トラクタ一の本をとろうとして、一緒に落ちてきた無農薬の本。死のうと思って入った山の中で出会ったどんぐりの木。宇宙人の話。本当に楽しい木村さんでも、手探りの9年間は本当に苦しく辛かっただろう。木村さんのリンゴを食べてみたい。自分がここで諦めるということは、人類が無農薬のリンゴを育てることを諦めることだという言葉が印象的だった。
Posted by ブクログ
来年度から新規就農を考えている。
農業を本気で行うことの大変さが、
木村さんの心情を交えて、辛辣に伝わってくる。
著者の執筆も読みやすく、心に刺さる一冊。
Posted by ブクログ
農業という人工的な活動と自然な状態とのバランスの難しさについて考えさせられた。
言われれば当然かもしれないけど、今自分が口にしているほぼすべての農産物は人間が品種改良してきたものであり、それは害虫に弱いなどのデメリットを農薬で克服することを前提として甘くしていたり大きくしていたり収量を高めていたりしている。作物を農薬なしでは生きられなくしてしまっているという点で人工的だ。それが世界の食糧生産の効率を高めて飢餓の回避に貢献していると考えると農薬を安易に否定することはできないが、作物が人間の収穫ターゲットであると同時に微生物や虫とか鳥や動物とか他の植物とかいろんな生き物が構成する生態系の一部でもあるので、その連鎖を歪めるような人工的な活動はサステナブルではないとも思われる。
そのことに、とてつもない苦労の末に実体験を通して気づいた木村さん。絶妙な加減で手を加えることは最小限に抑え、畑の生態系が自然に生きる力を高めることに取り組まれた様子にいろいろ考えさせられた。
りんごや農作物に限らず、人間にも同じことが起きているのではないか。
食べて遊んで人と関わって何かを作って寝て成長する、みたいなサイクルが自然だとすれば、食べることも遊ぶことも買ってこないとできないし、作ることは分業、人と関わることも気乗りしない仕事関係に偏りがち、睡眠は不規則で不足気味、では健全な成長は難しいよなと思う。原始の生き方に戻ればいいということではなく、無理のない自律して自立した生活を送っていきたいなと思った。どこから改善するか道は長いけど、自炊を心がけたり自分で価値が生めるよう仕事を切り替えたりひとつひとつ地に足つけて取り組みたい。
Posted by ブクログ
“人生を懸けて夢中になれる何か”に出逢えたとき、それは自分が生きる意味を知ることができた瞬間なのかな、と感じました。
木村秋則さんの「人間は自然から離れて生きていくことはできない。だって人間そのものが、自然の産物なんだから。」という言葉が心に残っています。
人間は、目先の利益のために環境を破壊してきました。
人間に出来ることなんてたいしたことではないし立派な生き物でもないのに、自然に生かされていることや、自然から恵みを分けてもらっていることを忘れてしまう。
文明が進歩することよりも大切なことを教えてくれる一冊です。
木村秋則さんの伝えたいことをもっともっと深く知りたくなります。
Posted by ブクログ
信念を持って、信じたことに向き合い続けると突破のための支援者や糸口が必ず見つかる。
小さなヒントはどこにでもあるし、それに気づけるかは自分が考え抜いているかいなか。なりふり構わずやること、頭では理解できるけど、自分が家族に貧乏させてでもできるか?できないと感じた。良い悪いではなく自分の生き方を問われる一冊であり。人間の尊さと小ささ、自然の偉大さ不思議を感じる。
Posted by ブクログ
「沈黙の春」を読んでからだったので、まさに実践版だなと感じた。
私はワインの仕事をしてたこともあり、マダムルロワを考えながら読んでいたが、最後に葡萄とテロワール関わるワイン作りの話が出てきて嬉しくなった〜。
勤勉家の彼は、恐らくこういった色々な書物も読みあさり、無農薬のりんご作りが完成したのではなかろうか。
Posted by ブクログ
「努力して作り上げました!」みたいに成功が軸として進んでいくどんどん楽しくなっていく系だと思っていたが、感動系の話でした。
失敗が多く、大変だった頃からの超大逆転劇。
Posted by ブクログ
無肥料無農薬でリンゴを栽培する。そんな不可能に挑戦し、成し遂げた男の壮絶な半生を描いたノンフィクション。木村さんの恐るべき探究心と粘り強さには感服するが、やはりこれだけの苦労に耐え、不可能を可能にする人は普通ではない。貧窮に耐え、それでも無農薬リンゴを作るまではと諦めない。バブル真っ盛りのあの浮かれた時代にこんな理不尽な苦労をしている家族がいたなんて‥。
それでも家族7人を貧乏のどん底に陥れた責任を感じ、無農薬でいくことを決意してから6年目に、首を吊って死のうと山奥に入る。そこに神様がいたんですね。神ってほんとにいるんですね。そう考えないと木村さんがそこで天然のイキイキしたどんぐりに出会い、肥沃な土の存在を知ったことがたまたま偶然、のこととは思えない。今までの苦労、努力、忍耐を全部見てたんだ〜!
木村さんとその家族のすばらしさが石川拓治というルポライターの手で瑞々しく描かれている。彼の筆力のおかげで2度涙を落としそうになった。木村さんが「もうやめよう」と言ったとき、娘が「そんなのやだよ。何のために今まで貧乏を我慢してきたの?」というところと、畑一面の白い花を奥さんと一緒に眺めるところ。泣ける。
Posted by ブクログ
養分たっぷりの土で育まれるりんごの生命力こそが無農薬栽培の肝であったと、気づくまでの途方も無い数のトライ&エラー。周囲に馬鹿にされたり酷評されても絶対あきらめない執念、信念に神が応えてくれた映画のようなストーリー。木村さんのりんごを食べてみたい。
Posted by ブクログ
私が レストラン山崎 を知ったのは、
原田マハさんのエッセイ フーテンのマハ を読んだときであった。
マハさんの文章は奇跡のリンゴなるものの冷製スープをぜひ飲みたい、とそれはそれは強く思わせた。
そしてこのたび、弘前旅行を決断し、レストラン山崎の予約が取れた。
せっかくなので、関連書籍を読もうと思い、手に取ったのがこの本であった。
旅行当日までなかなか時間が取れず行きの飛行機で読んだ。
日本の、そして青森のリンゴの歴史
リンゴと農薬の切っても切れぬ関係
そんじょそこらの野菜や果物の無農薬とはわけが違う無農薬りんごの難易度
そして、木村さんの壮絶な無農薬りんごへの挑戦の日々
あやうくな〜んにも知らずに、奇跡のリンゴを食べるとこでした。
読んで良かった!!
花が咲いたくだりで飛行機の中に関わらず号泣。
東北地方は晴天で窓から見える雪をかぶった八甲田山や着陸直前に見え始めた岩木山が、
もうこれでもか!と私の旅行気分をもり立ててくれた。
念願のレストラン山崎へ。
時期じゃないから、奇跡のリンゴと友達りんご?のフルコース。
そもそも、りんごだとかなんだとかの前に、すごーく好みの味のフレンチでした。
そして、りんごの冷製スープ。
スープなのに、こんなにりんごの味と香りが、ちゃんと食事の味に馴染みながらも、感じられる、見事なお味でした。
他のお料理も はーい!奇跡のリンゴつこーてますよ!!どお?どお??! みたいな感じではなく、
しっとりりんごが寄り添ってる感じで、高感度高い。
久しぶりにあ〜、また来たい。これは。と思わせられた美味しいお料理でした。
お会計のとき、店の入口に フーテンのマハ と この本が並べてあった。
もう、私は、まんまとしてやられたわけです笑
兎にも角にも、せっかくの旅行、予備知識を蓄えていくなら、必読の一冊です。
文章も説明臭くなく、読みやすいです。
さて、岩木山を眺めながら、木村さんに思いを馳せることとしようかな。
Posted by ブクログ
この本を読んでいると、無性にりんごを丸齧りしたくなる。
本書では、木村さんのりんごとの向き合い方を通して、人間と自然との関係を改めて考えさせてくれた。りんごも人間も、科学に頼り切りになってしまえば、己の力は衰えて行くことがわかった。りんごも人間も、苦労してこそ強く、味わい深くなるのだろう。
無農薬のりんごを入手するのは今の私には難しい。りんごの丸齧りの夢は未来に託した。代わりに今は美味しいアップルパイを食べよう。
Posted by ブクログ
すべての生態系でのビミョウなバランスで自然は成り立っている。そんな全体像を人間が把握しきれるわけないよな。
そう考えると、データ、人工知能などというけれど、本当にすべてを掴み切れるのか?農薬で成り立つリンゴ栽培の世界を考えているだけはないのかと思う。
Posted by ブクログ
農薬や肥料を使わないでリンゴを育てる。そんな奇跡にチャレンジした木村秋則さんの話。それは決して平易な道のりではなく、リンゴは枯れ、収入は無くなり、木村さんは命を絶とうというところまで追い込まれる。まさにその時に目にした野生のドングリ。そこから逆転していく。苦労をともにした奥さん、子供さん、どんなに喜ばれたでしょうか。
Posted by ブクログ
正直見くびっていた。
才能ある農家が無農薬でのリンゴ栽培を果たした話でしか無いと。
でも、木村さんは徹底的に調べ研究し、自らの力で奇跡のリンゴを育て上げた。学者のようでありながら、百姓を地で行くような方だった。
無農薬を始めてからの長い年月、家族を困窮させるほどの失敗続きに、死まで考えるほどの絶望は読んでいても辛かったし、9年越しに花を咲かせたリンゴの木々の美しさは想像するだけで目が潤んだ。
ふと思ったこと。リンゴの葉に自分の歯をあげたというほど歯を無くされていたようだけど、肝心のリンゴはどのようにして食べていたのだろう…
Posted by ブクログ
肥料不足がニュースになっている昨今、「農薬も肥料も使わないリンゴ」を作った農家、木村秋則さんの記録です。非常に読みやすく、2~3時間で読み終われるボリューム感ですが、考えさせられますね…。
まず、今我々が食べているリンゴは品種改良を重ねたもので、昔のリンゴとは別物だということ。その結果野生の力を失い、農薬に頼らないと実をつけられない弱い植物になってしまった…ということが説明されます。
その上で木村さんが無農薬に挑み、失敗を積み重ねていく…。正直、かなり闇雲なチャレンジにも思えたのですが、最後には正解を引き当て、今では色々な人から教えを乞われる存在になっています。
本著を読んで感じたのは「信念」です。
木村さんが一家で困窮してるのに、近所からもウザがられてるのに諦めず、リンゴについた虫を手で取りながら無農薬をやり続ける…。しまいには自殺しようと思って山の中へ行き、そこでソリューションに出会う。
ノンフィクション作家の手にかかった文章とは言え、まるで「死と復活」じゃないですか…。
世が世なら木村さんは教祖になってると思いますし、ネットで検索すると既にちょっとそんな雰囲気も感じるんですが、凄いものだと思います。
しかしこの手法、本著に書いてある事が全て本当なら、もっと広まっても良いように思います。
例えば「通常医療」と「代替医療」の対比よりも、「通常農法」「木村さんの農法」の方がローリスク・ハイリターンに思えてしまいます。
手間がかかるのか、単に知られていないのか、後者だったら勿体ないなぁと思う次第です。
そろそろリンゴの旬。1回くらい木村さんのリンゴを味わってみたいものです。
Posted by ブクログ
本書は、2006年12月にNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で放送した、青森県のりんご農家・木村秋則氏による無農薬のリンゴ作りへの挑戦を描いた回の反響があまりに大きかったことを受けて、その後、ノンフィクション・ライターの石川拓治(1961年~)氏が、1年半に亘る追加取材を行い、それをまとめて書籍化したものである。2008年に出版、2011年に文庫化され、累計40万部を超えるベストセラーとなった。また、2013年に映画化され(出演:阿部サダヲ、菅野美穂)、フィレンツェ映画祭で、同映画祭唯一の賞である観客賞を受賞した。
私はノンフィクションを好んで読み、興味のある新刊はその時点で入手するようにしているが、今般、過去に評判になった本で未読のものを、新・古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。
本書は、1970年代後半、当時絶対に不可能と言われた無農薬によるリンゴ栽培に挑戦してから、20余年後、半年先まで予約が一杯という東京・白金台のフレンチレストランの看板メニュー(りんごのスープ)の材料を納め、国内外各地で無農薬農業の指導を行うに至った、木村氏の壮絶な闘いの記録である。
今でこそ、環境問題、健康問題、サステナブル社会の実現などの様々な文脈で無農薬農業が志向され、社会的にもそれが共有されているが、振り返ってみると、レイチェル・カーソンが『沈黙の春』で、世界で初めて農薬等の化学物質の危険性を広く知らしめたのが1962年、また、ローマクラブが『成長の限界』で、資源と地球の有限性について警鐘を鳴らしたのが1972年であり、木村氏が1970年代後半に無農薬栽培を目指したことの無謀さ(良く言えば、先見性となるが)が想像できる。
そして、本書に綴られた、木村氏の執念・頑固さと、家族の理解と支援は、他の人・家族では到底考えられないもので、それらが不可能を可能にしたのは間違いなく、本書の読みどころと言えるだろう。(私は偶々、木村氏の住む旧岩木町出身の知人がいるが、本書にも書かれているように、木村氏の畑で害虫が大量発生することを迷惑がる隣人・同業者は非常に多かったらしい)
しかし、私として最も重要と考えるのは、どんな複雑な現象でも単純な要素に還元(分解)すれば理解できるとする、近代科学における「要素還元主義」的なアプローチの限界を、木村氏が事実として示していることである。いわゆる複雑系と言われる生態系や気象現象は、あらゆる要素のバランスの上に成り立ち、ある現象として表面化しているのであり、我々はそのことを漸く理解するようになったが、こうした発想は今後様々な分野で重要となって来るであろう。
木村氏が不可能に挑んだドキュメンタリーとしても、我々がサステナブルな社会を目指す上で重要な示唆としても読める一冊である。
(2022年7月了)
Posted by ブクログ
青森のりんご農家木村秋則さんの無農薬無肥料でのリンゴ栽培への挑戦について詳細が記載された名著。
1
・リンゴは本来温州みかんほどの大きさで、料理の材料そして酒の原料であった。
・19世紀初頭にアメリカで品種改良され、現在の大型リンゴとなった。
・日本には1860年に苗木が持ち込まれ、その後全国で広まったが害虫の問題が大きく青森以外では栽培をやめた。
・青森では養蚕ができなかったため仕方なしにリンゴを栽培し続けた。
2.リンゴの木を必要としているのは人であり自然の摂理に従うなら本来は枯れるしかないものを生かしているのは人間の都合。
3農薬散布とは畑の生態系を力ずくで押さえつけて無菌状態にし大量生産すること。すなわち土壌の本来持っていた力を失わさせ、常に点滴が必要な状態となっている。その状態から無農薬無肥料を達成すると言う事は相当な努力が必要。
Posted by ブクログ
相当な努力と覚悟がある上で、木村さんはどうすれば農薬なしでのリンゴ栽培方法に気づくことができた。
人為的なやり方には限界があったんだな。
経験や知識を捨てて、心でリンゴと向き合う木村さん。心からか。自分は何かに邪心がなく向き合えるているかな。
Posted by ブクログ
新たなジャンルのノンフィクションだか、感動した。無農薬栽培の9年目にしてリンゴの花が満開になった時の木村の行動に思わず涙が出そうにぬる。
危険から守り給えと祈るのではなく、危険と勇敢に立ち向かえますように。
痛みが鎮まることを乞うのではなく、痛みに打ち克つ心を乞えますように。
人生という戦場で味方をさがすのではなく、自分自身の力を見いだせますように。
不安と恐れの下で救済を切望するのではなく、自由を勝ち取るために耐える心を願えますように。
成功のなかにのみあなたの恵みを感じるような卑怯者ではなく、失意のときにこそ、あなたの御手に握られていることに気づけますように。
(ラビンドラナート・タゴール「果物採集」より)
木村さんが自殺を考えたと言う人からの電話にこう答えた。とにかく思い直して良かったねえと言ったかな。それから、バカになればいいんだよと言いました。バカになるって、やってみればわかると思うけど、そんなに簡単なことではないんだよ。だけどさ、死ぬくらいなら、その前に一回はバカになってみたらいい。同じことを考えた先輩として、ひとつだけわかったことがある。
ひとつのものに狂えば、いつか必ず答えに巡り合うことができるんだよ、とな。ひとつのものに狂えば、いつか答えに巡り合う。
Posted by ブクログ
まごうことなき狂気の歴史。元々が科学的・合理的な人がいかに狂っていくのかが生々しく記されている。その先にしかブレイクスルーはないのだろうけど,突き抜けることのできなかった人が大多数なのではないか。生存者バイアスを意識させられる。
これが常識になる時代が来るのが先か,自然が滅びるのが先か。