辛淑玉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(2005/2/15)
岩波新書、ここのところご無沙汰していたが、ひところはかなり読んだ。
青版、黄版、新赤版と、読み続けている。
一番好きなのは先日紹介した松田道雄さんの「わたしは赤ちゃん」「わたしは二歳」
高校生の頃読んで、何か眼が開いた気がする。それから松田さんを愛読するようになる。
その次に好きな岩波新書は永六輔さん。大往生から始まって芸人、職人、皆読んだ。
嫁と姑は、発売記念サイン会で目の前でサインまでもらってしまった。
「学生時代からラジオ聞いてます!」っていいたかったが、感動の余り声が出なかった。
そう、永さんは著者というよりラジオ作家。土曜ワイドラジオ東京から、六輔七転八倒から -
Posted by ブクログ
『怒りの方法』という主題に沿った内容がきちんと展開されていた。「社会への怒りをどう表すか」という章では社会運動についても紹介があり大変興味深い。
自分自身の体験でも正しく怒りを伝えたときというのは、かなり自信になった経験として今でもよく覚えている。人の出方にいつも合わせていた自分は、「自分」のない存在であったように感じる。周りから抑圧を受けて元気がなかった。そんな自分が不正な手立てで宗教勧誘してきた人に「それはおかしいですよね」と言えたことは一つの「自分」を打ち立てたような気がした。
そのような「怒り」の土台には「過去の成功体験」から生じる「自信」がなければならないということを著者が述べて -
Posted by ブクログ
おすすめ。
しかしこの本が書かれた2004年からのわずか10年でこの「怒りの技法」の多くが無力化されていて愕然とする。相手の人格を認め、相手の自尊心に訴えかけることが、今ほど効力を失っている時代もなかっただろう。差別や排除と戦うことは、まず互いに知ることである。しかし無知であること、知ろうと努力しないことがもはや恥とされないこの時代どんな戦い方があるのか、と呆然とする。
しかしそれって以前からずっと準備されていたもので、今になって急に起こってきたものではないこともこの本からわかる。黒いシール事件や三国人発言など政治家として決して許されない言動を繰り返してきたごろつき政治家が老齢で引退するま -
Posted by ブクログ
再読本。
怒りを伝える、しかも”上手に相手に伝わるように伝える”という部分では色々な例が出ていたが、共通して言えることは「熱くならないで冷静に」伝えることと感じた。
単刀直入に短い言葉で怒りを直接伝えるという成功例は、窓口の対応が悪かった女性社員に対して上司を呼び出して、と考えていた著者と正反対の対応でもあり、そこで重要なことは直接きちんと伝えることでもあるので、時と場合ではそうした勇気も必要。
そうした意味で、表題のニュアンスとは異なりコミュニケーション能力の教養本としても、意外と活用できる一冊。
なので、後半の自分の活動の紹介は不必要で残念。構成上、全然不要である。 -
Posted by ブクログ
『いじめ』はいろんなところで問題になっているにもかかわらず、それについて、共感できる書物も意見も少ないのが現実です。
いじめの構造なんて説明されても、実際被害にあってる人の救いにはならないので、いつも歯がゆい思いばかりしてきました。
自分のつたない言葉では表現できないけれど、なにかが確実に間違っているという思い!
このもやもやしているけど、強い思いに答えてくれるのがこの一冊です!!
人間の基本中の基本に戻って、『いじめるな!』と叫ぶ必要性が、いろいろないじめについて二人によって真剣に話されています。
激しいまでに真っ直ぐな気持ちが、読んでいる者の心を打ちます!
いじめてる人、いじめられてる人、 -
Posted by ブクログ
いじめられたこともいじめられた経験もなく、平凡なことが唯一の悩みという香山リカさんは、現代人の心の病を追い続けている。辛淑玉さんは幼い頃、民族学校での差別を受け、アメリカで自身も教育を受けた経験をもち、現在は構造的弱者のために様々な支援を行っている。
アメリカと日本のいじめの違いとは何か?
民族差別がいまだ残るアメリカよりも日本のいじめの方が陰湿で辛いという理由は何か?
日本でのフリースクールやシュタイナー学校は本当にいいのか?
過酷化する競争社会の中で、これからの教育に本当に求められるものは何か?
二人の本音トークによって、教育の現実と理想を考えさせられる一冊である。
自分だけでなく相手をい -
Posted by ブクログ
久しぶりに辛 淑玉。久しぶりに社会の矛盾を聴いて、あぁ、世の中ってほんとにいけてない!そして、怒ることは大切だな。と思う。お互いのために、人と人との関係のために、社会と自分の関係のために。そして自分のために。自分を取り返したいと思うから、怒る。わかってほしいから怒る。あぁ、泣きながら、怒ったな。と思い返し、あぁ、わかってもらいたかったんだな。と、ちょっと郷愁。責任をもって生きなければ、怒ることすら出来ない。自分に起こることさえ、当事者としていられない。そんな世の中だと思う。だけど私は、自分のことを自分のことと責任を持って怒れる、そんな人間になりたい。