感情タグBEST3
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この本は本当にすごい。「はじめに」を読むとすぐに分かる。なかなか言葉に表し難いことや感情との向き合い方を学べる。唸らされる。学校や仕事や家庭やそれ以外のそれぞれの場所で闘いあるだろう(もちろん無い方が良いとの前提で)。闘うべきところでは闘わなければならない。戦うのではなく、闘うこと。闘い方の実験と学習を繰り返して生きたい。
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「奪われてきた怒りを奪還することだ。これは、人間性を回復することでもある。」(「はじめに」より引用)
突発的に生じることの多く、支配の難しい"怒り"の感情。どうすれば"怒り"を発散し、さらにはプラスの結果に繋げるかについて、著者の経験を交えて書かれている。
本書を読もうと思ったのは"怒り"への関心からで、具体的には以下の2つ。
①「怒って良いことなんて一つもないのに、何で怒ってしまうんだろう?」という、漠然とした"怒り"への関心。
②父の怒りの沸点が低いためなのか、自分以外の誰かの怒りを目にすることも少なくない。「この"怒り"は相手に上手く伝わっていないな…」と客観的に思うことがよくあった。
"感情"は、優秀とされる"理性"の対極に置かれており、二分法(男=理性的、女=感情的)によって、"感情"は女あるいは子どもの側に押しやられたという。そうして、知らず知らずに言葉を奪われてきた男。そして女も…と著者は説く。
怒りは扱い方によってプラスにもマイナスにもなり得る。怒りの表現の仕方、それから、怒りを向けられたときの対処の仕方が様々な視点から説明される。
個人的に、特に響いたのは以下の二つ。
「他者に対して怒れるためには、正しいこと、良いこと、美しいこと、公平なこと、合理的なことなどについて、価値観や基準が自分の中になければならない。」(34頁)
「『無知』との戦いは、今までのようなデモや集会をするだけでは勝てない。一部のエリートだけが学べて無知から解放されたとしても、弱者は助からない。」(157頁)
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たんたんと述べる著者自身の体験にも驚いたが、その潔さにも驚かされた。
個人として生きること、そして「強さ」とは何か。
いろいろ考えさせられました。
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私のバイブル(笑)関係をこじらせることなく指摘する方法や、指摘をすんなりうけいれる心構えや方法が書かれている。私的には最後に「参加型デモ」の開催までの話がおもしろかった。
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『怒りの方法』という主題に沿った内容がきちんと展開されていた。「社会への怒りをどう表すか」という章では社会運動についても紹介があり大変興味深い。
自分自身の体験でも正しく怒りを伝えたときというのは、かなり自信になった経験として今でもよく覚えている。人の出方にいつも合わせていた自分は、「自分」のない存在であったように感じる。周りから抑圧を受けて元気がなかった。そんな自分が不正な手立てで宗教勧誘してきた人に「それはおかしいですよね」と言えたことは一つの「自分」を打ち立てたような気がした。
そのような「怒り」の土台には「過去の成功体験」から生じる「自信」がなければならないということを著者が述べているのがとても印象に残った。成功体験による自信の育みがいかに大事なのかがこの点からも理解できた。
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おすすめ。
しかしこの本が書かれた2004年からのわずか10年でこの「怒りの技法」の多くが無力化されていて愕然とする。相手の人格を認め、相手の自尊心に訴えかけることが、今ほど効力を失っている時代もなかっただろう。差別や排除と戦うことは、まず互いに知ることである。しかし無知であること、知ろうと努力しないことがもはや恥とされないこの時代どんな戦い方があるのか、と呆然とする。
しかしそれって以前からずっと準備されていたもので、今になって急に起こってきたものではないこともこの本からわかる。黒いシール事件や三国人発言など政治家として決して許されない言動を繰り返してきたごろつき政治家が老齢で引退するまで政治の世界にいることを積極的に支持してきたのは国民であり首都の都民だったわけだから。
とはいえ、やはりここ10年の動きはやはり尋常ではないように思う。それまで匿名の世界にとどまっていた差別的な言説が社会的な背景の明らかな人から公然と発せられるようになったと筆者が述べているが、わたしも2005年に1年間日本を離れて帰ったときに同じことを肌で感じた。その傾向は今も加速度を増しとどまるところを知らないように思う。
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再読本。
怒りを伝える、しかも”上手に相手に伝わるように伝える”という部分では色々な例が出ていたが、共通して言えることは「熱くならないで冷静に」伝えることと感じた。
単刀直入に短い言葉で怒りを直接伝えるという成功例は、窓口の対応が悪かった女性社員に対して上司を呼び出して、と考えていた著者と正反対の対応でもあり、そこで重要なことは直接きちんと伝えることでもあるので、時と場合ではそうした勇気も必要。
そうした意味で、表題のニュアンスとは異なりコミュニケーション能力の教養本としても、意外と活用できる一冊。
なので、後半の自分の活動の紹介は不必要で残念。構成上、全然不要である。
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「怒る」は、言葉で自分の感情を表現すること。
「怒る」は、人間関係を築き、つなぐためにするもの。
相手に正当に怒りを伝えることは大切なことだ。
私はこの本に書いてあることをシェアリングで実践しようと思い、
ルームメイトにも読んでもらった。
「怒る」は対話の回路の一つなのだろう。
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辛淑玉さんが、現代日本人の「怒り下手」を指摘。
「怒り下手」の原因からその弊害、解消方法まで書かれてます。
なんとなく感情を抑制するのがくせになってしまった人、怒りたくてもどうしたらいいのか分からなくて途方に暮れてしまう人にはオススメです。
かくいう自分もけっこうそういうタイプなので、参考になりました!
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久しぶりに辛 淑玉。久しぶりに社会の矛盾を聴いて、あぁ、世の中ってほんとにいけてない!そして、怒ることは大切だな。と思う。お互いのために、人と人との関係のために、社会と自分の関係のために。そして自分のために。自分を取り返したいと思うから、怒る。わかってほしいから怒る。あぁ、泣きながら、怒ったな。と思い返し、あぁ、わかってもらいたかったんだな。と、ちょっと郷愁。責任をもって生きなければ、怒ることすら出来ない。自分に起こることさえ、当事者としていられない。そんな世の中だと思う。だけど私は、自分のことを自分のことと責任を持って怒れる、そんな人間になりたい。
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怒りとは負の概念ではなく、人間性回復の第一歩であり、それを正しく表現することがより良い人間関係、社会を築いていく。という人間の本質を照らしてくれる本。在日朝鮮人であるからこその視点が、今の日本の社会に足りないことを教えてくれる。
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ふんだんな経験談をもとに怒りの表し方について少し解説している。エピソードが9割。
官僚にはそんなことをやるとキャリアに傷がつくと言うのが効果的。
5分間だけ気分が良くなることを10個考えて紙に貼
っておく。
怒るときは目標を定める、具体的に指摘する、最後に人間関係を継続する言葉を伝える、スーツは戦闘服を意味する。
怒られたら何で怒ってるかを聞く。どうすれば良いかを聞く。
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自分にはさほど怒りの感情が湧かない、もしくは持続しないことに気付き読んだ一冊。在日の女性が書いており、自身の体験談を用いて怒りの感情の扱い方を書いている。文章自体は読みやすいが、著者のアクの強さを感じてたまに辟易したのとせっかく「社会への怒りの表し方」の章を設けたのに石原都知事の批判の章になっていることが残念である。しかしながら、等身大の彼女自身のマイノリティ人生経験から得た怒りへの答えを記してあり、心に響いた部分もあった。本文にもあったが「相手の土俵に乗らないこと。自分の土俵で勝負すること。」これが怒りをきちんと相手に伝える上で一番大切だと思った。
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[ 内容 ]
うまく怒れないという悩みは意外に多い。
だが、怒りは、生きる力にも、人間関係を変えていくきっかけにもなる。
どうすれば、怒りの感情を効果的に相手に伝えられるのか。
社会への怒りは、どう表現すればいいのか。
怒り上手を自認する著者が、怒りを封じ込めようとする日本社会の歪みを指摘しながら、怒りの素を取り除く方法を伝授する。
[ 目次 ]
1 怒っている私、怒れるようになった私
2 人間にとって「怒り」とは何か
3 抑圧された怒り
4 怒りの表現力
5 怒りをぶつけられたとき
6 社会への怒りをどう表すか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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加藤周一さんと辛さんの対談で知った本。たまたま見つけたので読んでみる。基本的には、人間関係をより豊かにするために、効果的に起こるにはどうしたらよいかを説く本。だけど、いろいろなことに応用できそうです。面接試験とか。最後の「社会への怒りをどう表すか」という章が印象に残った。前半の石原都知事のものすごい発言の連続にはうんざりしてくるけど、後半の、辛さんたちが行ったイヴェントの話にはとてもワクワクして、「何かやらなきゃ!」という気持ちになる。特にボブ・ディランに狭山事件の歌を作ってもらおうっていう企画に感動。
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うまく怒れないという悩みは意外に多い。だが、怒りは、生きる力にも、人間関係を変えていくきっかけにもなる。どうすれば、怒りの感情を効果的に相手に伝えられるのか。社会への怒りは、どう表現すればいいのか。怒り上手を自認する著者が、怒りを封じ込めようとする日本社会の歪みを指摘しながら、怒りの素を取り除く方法を伝授する。----------怒り”とは人間関係を悪くするのではなくもっと良くするためのモノ。怒るコトは決していけないコトなんかではないのです。怒りが問題解決に繋がるのです。…そんなコトをこの本を読んで学びました。しかし同じ怒るにしても怒り方には様々あります。ただ怒鳴り散らすだけではちっとも効果はないのですよ。自分の怒り方や相手への対処の仕方も詳しく書いてあるので一読されてみてはいかがでしょうか?辛さんの講演会でご本人を見ましたが言いたいコトをきちんと言える方なんだなと思いました。「私たちは微力だけど無力ではない」という言葉が心に残っています。
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民族に対する差別、儒教が規定する制度のもとで男性が優遇されても女性は後塵を配する生き方を強要された幼、少、青年時代を振り返り、マイノリティの存在を認めず、均質ぶりを示そうとする社会に憤る。
生きるなかで怒りのたいせつさを提案しながら、巧みに生きる術を示す。他方で、社会の不正義に、かつて繰り返されたデモンストレーションの無意味さ、形式に堕している姿をつき、繋ぎ合う市民のイベント参加で抵抗勢力を構築する取組みの有効性を説く。
私憤を私的怒りにとどめず、公憤に組み立ててゆく組織力に注目。自ら学ぶことを、学ぶことのできない人たちに、なにを教えることが可能かを考えることにある、とする。
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ブックカバーには,次のように書かれています。
うまく怒れないという悩みは意外に多い。だが,怒りは,
生きる力にも,人間関係を変えていくきっかけにもなる。
どうすれば,怒りの感情を効果的に相手に伝えられるのか。
社会への怒りは,どう表現すればいいのか。怒り上手を自
認する著者が,怒りを封じ込めようとする日本社会の歪み
を指摘しながら,怒りの素を取り除く方法を伝授する。
辛淑玉さんは以前福山市に講演に来られ,その時に講演を聞いたこともあり,親近感を持っています。
また,前回講演を聞いた後にメールをお送りしたら,早速レスをしていただ来ました。それだけに,辛さんの話には関心がありました。
この本はたまたま本屋で見つけたものです。辛さんは女性であること,朝鮮人であることにまつわる差別や不適切な対応などを中心に「怒り」のことを書かれています。
私は,読みながら精神障害を持つ当事者に対する差別のことを考えていました。ソーシャルワークの背景には本人の力ではどうにもならないことに対する「怒り」が必要であると思います。その怒りをどのように表現するのかということについて非常に分かりやすく書かれています。
「怒り」の表現については,アサーティブとは書かれていませんが,まさに同じ方法ですね。ソーシャルワーカーとしても,怒りの方法を知っておくことが重要であると再確認した本です。