伊藤正一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第二次大戦直後に黒部川源流の山小屋を買い取ったら、山賊たちが主人然としていたので彼らに宿料を払った。
山賊たちは銃を持っており、山で行方不明になった人々がいるのは彼らのせいだという噂。
仔細がわかってみると、山賊というよりはアルプスを熟知した猟師たちで、噂されていたことは誤解が多かった(もしくは立証できなかった)ので、彼らと5年ほど山小屋で生活を共にし、その後、昭和30年代半ばまでに山で経験したあれこれを書き記したという一冊。
「アルプスの怪」というのは、山賊たちのこともそうだし、佐々成政の埋蔵金を目当てにやって来る山師たち、さまざまな遭難事件、動物に化かされる話、そして妖怪や幽霊の話に聞 -
購入済み
今度、私も山の不思議を感じたい
登山をする私にとって、前から気になっていた本。山賊と戦い合った事を書いたのかな?と思いきや一緒に三俣山荘や黒部を守っていたエッセイでした。
あとがきに掲載されている高橋さんの言葉通り、「オーイ、オーイ」と聞こえてこないか?等と黒部へ登った時に期待しそうな楽しい。そして、当時の登山時代を感じられる一冊です -
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Posted by ブクログ
自分の趣味は読書と山歩きだが、この本の存在を知らなかったことに少し恥じている。
北アルプスにも興味があって、白馬岳、槍ヶ岳など登ったこともある。今年は表銀座や日本の秘境と言われている雲の平にも行きたいと思っていたほどだ。
自分が山に行く時は登山計画に沿って行動することが多く、その土地の由来や経緯などはあまり調べてはいない。突然広がる素晴らしい景色や珍しい花々との出会いが山の楽しみであり醍醐味でもあったからだ。
そんな価値観に一石を投じたのが本書だ。山に行く時の楽しみがまた1つ増えてしまった。今度、北アルプスに行ったら「ここに山賊が居たのか」とか「オーイ」と聞こえたら「ヤッホー」って答え -
Posted by ブクログ
終戦間もないころ、北アルプスの三俣山荘を譲り受けた筆者だったが、山荘に近づけずにいた。
黒部の山奥には山賊がいて、崩れかけた三俣山荘をねぐらにしているというのだ。
実際に、漁師や登山者が山賊に襲われたと話す。
意を決して行ってみると、小屋にいたのは話の面白い紳士的な男数人だった。
これが筆者と山賊たちとの出会いだった。
終戦期から黒部の主として山小屋に居続けた伊藤正一氏の、山賊たちとの日々と、山の物の怪や動物たちとの日々をつづる。
かつての黒部を見ることはできないが、読んで想像することはできる。
そこには山賊たちの足跡が残っているはずだ。 -
Posted by ブクログ
黒部ダムが出来る以前の、まだ厳しい黒部山中に生きていた山の鉄人=山賊たちとの山の日々を綴った一冊。
四人の山賊の個性が際立ちすぎて創作じゃないかと思うほどですが、巻末に写真入りプロフィールありです。
すごく印象的なエピソードとしては、川ぞいを歩きながらスイスイと川魚を釣っていたというもの。生活で鍛え抜かれた名人芸とはどれほど美しいものなんだろうなと思った一節でした。
山賊たち以外には、飼い犬ジャムについて記した章が印象的。
伊藤さんがジャムを家族と言う時、ペットを家族という現代人とは全く重みが異なります(良し悪しの問題ではない)。
物理学者を目指したという伊藤さんが、ところどころで山の怪を素直 -
Posted by ブクログ
久しぶりの山岳もの。山のノンフィクションというとほとんどが生死を彷徨うような事故や事件を扱った物といったイメージを持っていたが、この本はタイトルからして面白そう。
そう思い、手にとって読んでみると、期待通りの面白さであった。戦後の黒部に存在していた山賊の話に始まり、昭和30年代後半までの北アルプス黒部川源流付近の様子が記録されている。
「笹まくら」の主人公も、戦争忌避するなら山賊になるという生き方も、実際には可能であったのか、なんて夢想しながら読み進む。
登山から遠ざかり数十年が経ってしまったが、この本を読むと北アルプスへの登山欲が湧いてくる。
ただし山で遠くから「オーイ!」と声をかけられても -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔黒部の山奥には山賊がいた、らしい。
話は終戦から30年代のころ。
終戦直後、廃屋同然だった三俣山荘を再建しようとする伊藤氏、が小屋には山賊が住み着いているらしい・・・
しかし手をこまねいていても埒があかない、怖々小屋に行ってみることにする。
山賊とは世間がイメージで作り出した人たちのことで、山で猟をしたり魚を捕ったりしながら暮らす人々のことだった。
小屋の再建に力を貸して貰ったり、猟の仕方を教わったりしているうちにいつしか仲間意識のようなものが芽生え、小屋での共同生活が始まる。
なにしろ彼らは山を知り尽くしているのである、力強い仲間だ。
そんな暮らしの中での怪談めいた話や、河童やかわうそなど