【感想・ネタバレ】定本 黒部の山賊のレビュー

あらすじ

北アルプスの最奥部・黒部原流域のフロンティアとして、長く山小屋(三俣山荘、雲ノ平山荘、水晶小屋、湯俣山荘)の経営に
携わってきた伊藤正一と、遠山富士弥、遠山林平、鬼窪善一郎、倉繁勝太郎ら「山賊」と称された仲間たちによる、
北アルプス登山黎明期、驚天動地の昔話。
また、埋蔵金伝説、山のバケモノ、山岳遭難、山小屋暮らしのあれこれなど、
幅の広い「山の話題」が盛り込まれていて、読む者をして、まるで黒部の奥地にいるような気持ちにさせてくれる
山岳名著の一書です。
1964年に実業之日本社から初版が刊行されたときは、多くの読者からの好評を得ました。
近年は、山小屋でのみ購入できたこの幻の名作が、『定本 黒部の山賊』として、
山と溪谷社から刊行されることになりました。
新規原稿も一話加え、底本未掲載の貴重な写真も盛り込んでいます。
巻末には、高桑信一氏と高橋庄太郎氏による『黒部の山賊』へのオマージュも掲載。

おもな内容
◎山賊たちとの出合い
山賊の舞台・黒部の源流/
そのころの世相/
山に山賊がいるという/
慎重にすすむ/
自分の小屋に宿料を払う/
山賊対策会議/
山賊たちの正体

◎山賊との奇妙な生活
山賊一味と暮らす/
山賊事件の真相/
山賊たちの熊狩り/
山賊と岩魚/
アルプスのキティ台風

◎埋蔵金に憑かれた男たち―別派の山賊
星勇九郎の大金鉱/
ほんとうにあるのか山中の埋蔵金

◎山のバケモノたち
道しるべになった水晶岳の白骨/
カベッケの不思議な呼び声/
バケモノに呼ばれた人たち/
人を呼ぶ白骨 /
神がくし?/
洞穴の怪/
巧みな狸の擬音/
三本指の足跡/
カッパの正体

◎山の遭難事件と登山者
薬師岳の遭難/
不思議な遭難/
疑われた同行者/
非情な同行者/
四晩つづいた遭難信号/
謎の手紙/
人事不省一週間の山上の病人

◎山小屋生活あれこれ
山ぼけ/
どうどうめぐり/
山小屋の費用/
アルプスへの空輸/
熊と登山者/
熊をならす/
山で育った犬

◎その後の山賊たち
黒四と山賊たち/
その後の山賊たち ほか、旧版未掲載原稿「遭難者のお礼参り」や、
貴重な写真も新たに加えて再編集。

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伊藤 正一
(いとう しょういち、1923年 - 2016年6月17日)は日本の山小屋経営者、著作家。長野県松本市出身で、町一番の料亭の長男。飛行機のエンジンなどに携わるエンジニアだったが、第二次大戦後はその資産を山に注ぎ込んだ。1945年に三俣蓮華小屋を買取ったのを皮切りに続いて水晶小屋も得ると、その後湯俣山荘、雲ノ平山荘を建設した。湯俣温泉から湯俣川沿いに三俣山荘に至る伊藤新道(1956年開通)の開削を主導。日本勤労者山岳連盟を創設。2016年6月17日、多臓器不全のため死去[1]。新道は1983年に通行困難となり廃道となるも、再整備され2023年8月に復活。現在は長男・圭が三俣山荘と水晶小屋を、次男・二郎が雲ノ平山荘の経営を引き継いでおり、伊藤新道の廃道とともに40年間閉まっていた湯俣山荘も長男によって改装され2023年再オープン。

「これらのことを知らない登山者が黒部に入り、充分に高い場所だから大丈夫だと思ってキャンプをしていると、増水や鉄砲水のために、夜中にテントごともっていかれてしまうことがある。しかも一度黒部の流れにのみこまれると、死体はおろか遺留品などもまったくどこかへ消えてしまうのである。  これらは夏のことで、冬の黒部の雪崩そのほかの恐ろしさにいたっては言語につきるものがある。たしかに黒部は人間を寄せつけないところだった。黒四ダムのできた今日でも、川筋を除く流域の大部分はいまだに人跡未踏である。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著


「こうして山賊たちと生活しているあいだに、私にとって忘れることのできない事件が起きた。  天気はよいのに得体の知れない山鳴りが、もう五、六日もつづいている。それは山がうなるような、地面の下を急行列車が通るような音だった。私はなにかしら不吉な予感におそわれて倉繁と顔を見合わせていた。四十年も山に入っている彼にとっても、こんなことは初めてだった。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「私はそこへ、どうやって行ったらいいのかわかりませんでしたが、神様のおつげですので、家や財産を全部たたんで、山に入る決心をしました。  まず富山で案内人を数人雇って、ザラ峠から五色ヶ原、スゴを通ってはるばると薬師岳の頂上にきたとき、私は黒部川の向こうに遠く見える高天ヶ原を指さして、〝あそこへ行きたいのだ〟と言いました。  すると彼らは、けわしい顔つきになって、〝とんでもないことだ、昔からあそこへ行って生きて帰ってきた者は一人もない。どうしても行くんなら、旦那さん一人で行ってくれ、わしらはここから帰らせてもらう〟」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「十一月の北アルプスはもう厳冬の世界だ。白雪をいただいた三〇〇〇㍍の峰々は彼の前にたちはだかっていた。それまで山を知らなかった彼は、初めてアルプスの恐ろしさと、広大さを知り、その中で、四百年もの昔に隠されたといわれる金のつぼを探すなどはまったく思いもよらぬことであるのを悟って、命からがら逃げ帰ってきたが、行くところもないのでまたもとの職場へもどってきたのだという。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「私は黒部で、カワウソらしい動物を二度見たことがある。一度はワリモ沢の出合の下流あたりで、数十㍍前方を、右岸から水に跳びこんで左岸の絶壁を一気に上がって見えなくなった。私は急いでその岩のところへ行ってみると、その動物の姿は見えなくて、岩だけが水しずくで濡れており、カワウソの足形らしい跡が残っていた。もう一度は上ノ廊下の金作谷付近の深いトロの中を、上流に向かって泳いで行く動物を見た。二度とも、見たのはほんの一瞬だったが、そのときの状況からして、カワウソ以外には考えられない。  だいたいカワウソは、さわいだり、じゃれたりすることの好きな動物である。カベッケが原の「ガヤガヤ」という怪声や「オーイ  オーイ」と呼ぶ声などは、あるいはカワウソが出しているのではないだろうか。「岩の上の岩魚」も、動物の仕業だとすれば、そんなにたくさんの岩魚を獲ることのできる動物はカワウソ以外には考えられないし、「三本指の足跡」についても、カワウソの太い五本の指のなかの三本だけが砂上に形を残したとは考えられないだろうか。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「三俣小屋に着いてから、天理教の歩荷を町まで下ろさなくてはいけないかと心配したが、休養しているうちに彼はどうやら元気になってきた。元気になると彼はまた神様のことをしゃべりだした。彼によると神様は悪い者を処罰するのだという。そして彼自身が高山病になったことも〝七の日に山へ入ったために、神様から処罰された〟と思っていたのだった。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「しかし、もし熊がおそってきたらどうしようもない。走ることは速い、木登りは猫よりうまい、水泳もうまい、力はものすごく強い。身体は頑丈だし、頭蓋骨は厚くできている。ピッケルでなぐったくらいでは致命傷などあたえられそうにない。かえって熊を怒らせてしまうからよしたほうがいい。死んだまねなどは無駄事である。せいぜい対抗策としては、熊に跳びかかられる瞬間に身体をかわすことぐらいだろう。一、二回体をかわすうちには、熊のほうがやめてしまう。しかしそれも実際問題としては、なかなかできることではない。もしにらみ合いになったときには、恐れずににらみ合っていることだ。一般に動物は、背中を見せると、跳びかかってくる習性をもっているらしい。  よく世間では、熊は出合い頭になるといけないとか、仔連れの熊はいけないなどといっているが、私は仔連れの熊に出合い頭になったことがある。その場合でも熊のほうが逃げるのが普通である。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「一年が過ぎ、黒部源流にはまた紅葉の季節がおとずれた。この辺の紅葉は、いつ見ても美しい。常緑のハイマツにダケカンバや草の葉の黄色。それにナナカマドが真紅の色を添える。そしてその年もまた前年とまったく同じように、紅葉の上に新雪が積もった。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「山賊とは、つまりやがてほろびていくかもしれない猟師という職業にたずさわる人々の、最後の姿だったとも言えよう。近代アルピニズムや、産業開発の入ってくる以前の山々には、彼らのような無名の開発者たちがいたことを忘れてはなるまい。  この本をお読みになって、とくに〝山のバケモノたち〟のところで、なにか誇張があるのではないかといぶかる読者がおられるかもしれない。もちろん、私は自然科学を学んだ者の一人として、決して〝バケモノ〟の存在を信ずる者ではないが、黒部源流において不思議な呼び声や、狸の擬音などが聞こえることは事実である。その正体については今後も研究を続けていきたいと思う。  山賊事件そのほか、私の体験したことに関しては、できるだけ事実に忠実に書いたつもりだが、山賊たちから聞いた年代などには、多少のくいちがいがあるかもしれないことをおそれる。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「最後に、私が戦後山賊たちに出会って今日までに日本の登山がどのように変わってきたかを中心に書いてみたいと思う。  第一に、山賊たちの山を歩く履物は、ムギワラで作ったわらじだった。鬼窪等はわらじを一日に三足ぐらいは履きつぶした。そのため、毎日自分で作るために、ムギワラをたくさん、三俣小屋へ運んでおいた。夕食後にそれを作るのが彼の日課だった。他の歩荷たちも二日に一足位は履きつぶした。  これらの履物や服装については歩荷用として少しずつ新式の物を使うようになってきた。  登山用具としてこの時期に最も効果があったのは、ゴアテックスの発明であったと思う。あれは確か昭和三十年代に市場に現われてきて四十年代には登山界全体にいきわたるようになってきたと思う。それ以前に使われていた雨具といえば、軍隊が戦時中に一人一枚ずつ持って行軍していた木綿製の四角な布とか、またはその生地を材料にして作ったヤッケやテント等であった。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「ウェブ上から得られる知識なんて、わずかこの二、三十年で蓄積されたものでしかない。本当に面白い話は、いまだ書物のなかに眠っている。その代表格が、『黒部の山賊』だ。なにかとインターネットに頼りがちな若い世代こそ、手に取ってほしい。これを読んで北アルプスに興味を持たない人は、きっと一人もいないだろう。そして、山中で「オーイ」と呼ばれて、「オーイ」と呼び返してしまう人も。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「 書物を読まないで山に入るなんて、僕には考えられない。昔から、日本では山と書物は不可分の存在だ。大きな書店では必ず山岳書のコーナーがあり、「山」はたんなる自然界の巨大な物体としてではなく、ひとつの文化として認められている。実際、ただ山を歩くだけではレクリエーションやスポーツの世界でしかないが、先人が記したその山域の名著を読むことで、山を文化としても捉えられるようになるのだ。たんなる三次元の物体として上下そして八方に登り歩きするだけであった山を、時空を超えた四次元の感覚で味わえるともいえるだろう。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「僕はこの本を繰り返し読んできた。幾度となく仲間に勧め、気軽に貸し出してもいた。だが本というものは、貸し出しを繰り返すといつの間にか手元から失われていく。『黒部の山賊』は何度か買いなおしているうちに、いつしか絶版となっていた。あれほど面白いものだというのに。  古書店では高額となり、このところ長い間、手つかずのものを手に入れられるのは、伊藤家が経営する山小屋まで自力でたどり着き、立ち寄ったときだけだった。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「だが、『黒部の山賊』は山岳書の名著ではあるが、小難しく堅苦しいものではない。この本で描かれているのは、冷徹なイメージの理系とは正反対の、山の奇談と人間模様だ。なにしろ、副題が「アルプスの怪」であるほど、類まれなエンターテインメント性を持っている。そもそも文章というものは、軽妙に書くほうが難しく、意味ありげに難解に書くほうが簡単だが、『黒部の山賊』はタイトルとは裏腹の優しく豊かな読後感とともに、心に強いインパクトを与えてくる。  僕自身は科学で説明できないことはないと考えている。だが、あれほどの理論的な方がそう語るのだから、山には不思議なことがあるのだと、信じざるを得ない。ちなみに、この本で書かれている事件には後年になって科学的に説明できるものもあることがわかっているそうだ。埋めたはずの白骨が地中から浮き出してくるという話は、雲ノ平周辺では冬季になると一㍍も伸びるという霜柱が原因であるというように。いまだ理由がわからないものであっても、いずれ説明がつくのかもしれない。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

「『黒部の山賊』に描かれた世界の今をあるがままを受け入れ、楽しんでいきたい。今も僕は三俣山荘に泊まれば、狸が怪音を響かせるのではないかと耳を澄ませ、テント場での一夜には熊が出てくるのではないかと想像する。山賊たちと同じ道を歩き、この岩の上で休んだのではないか、この岩の陰から岩魚を狙ったのではないかと夢想する。カベッケが原でバケモノには出会いたくないが、黒部川にはカワウソがいてほしい。熊の糞を調味料代わりに入れた鍋にも思い切って挑戦したい。そんなことを考えながら山に入れば、山歩きがいっそう楽しい。」

—『定本 黒部の山賊』伊藤 正一著

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2026年02月11日

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雲の平山荘で、少し読んで、続きは下山してから読みました。
自分が見た景色と山賊がいた頃の様子がオーバーラップして、とても面白かったです。

山小屋が整備される前の大変な状況や、山小屋を建てる事の大変さ、山賊たちの個性豊かさ、山に潜む妖怪、
伊藤さんにしか書けない内容で、当時の困難さと豊かさが伝わってきました。

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2023年10月28日

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三俣山荘、水晶小屋、湯俣山荘、雲ノ平山荘のオーナーで伊藤新道を開削した伊藤正一氏が黒部の山賊事件を中心にまとめた雑誌記事を元に加筆したもの。
新聞で山賊と報道されたが、猟師(但し保護されているカモシカも獲っていたのは事実)のこと。
黒四ダムができる前の黒部深部の様子が語られている。

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2022年07月26日

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ネタバレ

面白い!!これを読むと、昭和の20-30年代くらいまではまだまだかなり自由度の高い時代だったのだなと思う。装備が良くなり、登山者が気軽に山奥まで来られるようになって人が増えたこの数十年を思えば、規制は必要だと思うけれど、この頃山に生きていた人たちの生きざまが、もう、全然違って、輝やかしい。山の奥は人の世ではないから、人の理屈で説明できないこと、街では考えられない危険なども多いのだろうが、ロマンチシズムを感じずにはいられないし、今年こそ雲ノ平に行きたいなと改めて思った一冊。山を拓いた人たちにも敬意を覚える。

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2021年01月27日

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北アルプス黒部源流の三俣山荘を買い取り、黒部に人が通れる道を作ろうと奮闘する著者の実話。山での生活の中で、著者はしばしば山賊たちに遭遇する。山と生きる彼らは自然界における自分の力量をわきまえ、必要以上の恵みをとることもしない。彼ら山賊の生き方に、現代の私たちが学ぶことも多いのではないだろうか。

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2019年01月17日

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センチメンタルでドライで最高の傑作。山小屋でオヤジから聞けたらどんなに良かっただろうと思うが本でも充分味わえた。

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2018年07月21日

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最近近場の山を登る機会があり、登山もいいなと思い読みました。山賊と聞くと物々しいですが、独語は何か爽やかな気分。山の怖さや奇妙さ美しさが伝わってきて、黒部源流に行きたくなる一冊でした。

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2018年06月15日

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 自分の趣味は読書と山歩きだが、この本の存在を知らなかったことに少し恥じている。
 北アルプスにも興味があって、白馬岳、槍ヶ岳など登ったこともある。今年は表銀座や日本の秘境と言われている雲の平にも行きたいと思っていたほどだ。
 自分が山に行く時は登山計画に沿って行動することが多く、その土地の由来や経緯などはあまり調べてはいない。突然広がる素晴らしい景色や珍しい花々との出会いが山の楽しみであり醍醐味でもあったからだ。
 そんな価値観に一石を投じたのが本書だ。山に行く時の楽しみがまた1つ増えてしまった。今度、北アルプスに行ったら「ここに山賊が居たのか」とか「オーイ」と聞こえたら「ヤッホー」って答えようを思うようにもなった。
 それにしても山はおもしろい。本当におもしろい。

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2018年02月11日

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登山の厳しさ、楽しさ。そして、不思議だけど、自然とは不思議で壮大なもんだと思わせてくれる。読んで良かった! 良本です。登山好きな有人には勧めていきたいですね。

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2018年01月15日

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 終戦間もないころ、北アルプスの三俣山荘を譲り受けた筆者だったが、山荘に近づけずにいた。
 
 黒部の山奥には山賊がいて、崩れかけた三俣山荘をねぐらにしているというのだ。
 実際に、漁師や登山者が山賊に襲われたと話す。

 意を決して行ってみると、小屋にいたのは話の面白い紳士的な男数人だった。
 これが筆者と山賊たちとの出会いだった。

 終戦期から黒部の主として山小屋に居続けた伊藤正一氏の、山賊たちとの日々と、山の物の怪や動物たちとの日々をつづる。

 かつての黒部を見ることはできないが、読んで想像することはできる。
 そこには山賊たちの足跡が残っているはずだ。

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2017年04月16日

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黒部ダムが出来る以前の、まだ厳しい黒部山中に生きていた山の鉄人=山賊たちとの山の日々を綴った一冊。
四人の山賊の個性が際立ちすぎて創作じゃないかと思うほどですが、巻末に写真入りプロフィールありです。
すごく印象的なエピソードとしては、川ぞいを歩きながらスイスイと川魚を釣っていたというもの。生活で鍛え抜かれた名人芸とはどれほど美しいものなんだろうなと思った一節でした。
山賊たち以外には、飼い犬ジャムについて記した章が印象的。
伊藤さんがジャムを家族と言う時、ペットを家族という現代人とは全く重みが異なります(良し悪しの問題ではない)。
物理学者を目指したという伊藤さんが、ところどころで山の怪を素直に描いているのも良かったです。大袈裟でないところがリアル。
それにしても個性豊かな山男たちと渡り合って山暮らしを続けた伊藤さんもすごい。今年6月にお亡くなりになったそうです。お話を聞いた人、聞き書き集でも出してくれないかな。

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2016年11月10日

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久しぶりの山岳もの。山のノンフィクションというとほとんどが生死を彷徨うような事故や事件を扱った物といったイメージを持っていたが、この本はタイトルからして面白そう。
そう思い、手にとって読んでみると、期待通りの面白さであった。戦後の黒部に存在していた山賊の話に始まり、昭和30年代後半までの北アルプス黒部川源流付近の様子が記録されている。
「笹まくら」の主人公も、戦争忌避するなら山賊になるという生き方も、実際には可能であったのか、なんて夢想しながら読み進む。
登山から遠ざかり数十年が経ってしまったが、この本を読むと北アルプスへの登山欲が湧いてくる。
ただし山で遠くから「オーイ!」と声をかけられても「オーイ!」と返さないように気をつけること。

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2015年12月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔黒部の山奥には山賊がいた、らしい。
話は終戦から30年代のころ。
終戦直後、廃屋同然だった三俣山荘を再建しようとする伊藤氏、が小屋には山賊が住み着いているらしい・・・
しかし手をこまねいていても埒があかない、怖々小屋に行ってみることにする。
山賊とは世間がイメージで作り出した人たちのことで、山で猟をしたり魚を捕ったりしながら暮らす人々のことだった。
小屋の再建に力を貸して貰ったり、猟の仕方を教わったりしているうちにいつしか仲間意識のようなものが芽生え、小屋での共同生活が始まる。
なにしろ彼らは山を知り尽くしているのである、力強い仲間だ。
そんな暮らしの中での怪談めいた話や、河童やかわうそなど実在が明らかではないものたちの話や、遭難にまつわる不思議な話など、小屋番ならではの興味深い話は尽きない。
日本の山の中でももっとも奥深い黒部の源流、高天原や雲ノ平を思う存分歩き、夜は三俣山荘でこの本を再読する、目下の私の目標になった。

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2015年12月04日

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20150308 黒部の歴史。そのままアルプス登山の歴史のようだ。もう三十年以上前に何回か訪れた事を思い出した。機会がどんどん遠ざかる前に又行ってみるか。そんな気にさせる本。

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2015年03月08日

Posted by ブクログ

読み物として面白いし読みやすい。
体力のない自分には憧れで終わってしまう場所だけど、いろいろ想像できて楽しかった。歴史的資料ともいえるだろう。山の美しさもだけど、怖さ・危険さも伝えられていて、背筋が伸びる思い。

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2025年03月19日

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黒部名水マラソン、黒部峡谷鉄道から、新田次郎の剱岳、吉村昭の高熱隧道と続き、伊藤正一氏の定本 黒部の山賊 アルプスの怪 に行きついた。山の魅力と神秘を伝えてくれる後世に残したい良書。いつか三俣山荘と雲の平山荘を訪れるのが夢になった。

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2023年03月14日

Posted by ブクログ

山に登るなら、もっと早く読めばよかった。
とても興味深く面白かった。
山の怖い話などは知りすぎると登れなくなりそうだが。

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2022年06月21日

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山岳ノンフィクションというのは面白い本が多いものだが、中でも傑作の部類に入ると思う。戦後間もなく、まだダムも何もできる前の黒部源流に山小屋の権利を買い請け、当時あたりを縄張りにしていた「山賊」たちと一緒に20年にわたって登山者を見守り続けた著者の回顧録。

「アルプスの怪」という副題は、カベッケが原の呼び声をはじめとして様々な山の不思議が物語られることから。原始の黒部には、かつて世界を跋扈していた様々な化け物が、昭和の半ばまで生き残っていたらしい。

本屋で見かけてフラっと手に取った本なのだが、思いのほかの大当たり。

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2021年03月20日

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名著「黒部の山賊」やっと読みました。

当時の北ア黒部(というか奥深い山々すべてが当てはまりそうですが...)が本当に奥深く、未知で情報もなく、一歩間違えれば凍死、滑落、道迷いが隣り合わせな場所であったことをしみじみと感じることができた。
ゴアテックスの登山ウェア、高機能な各装備、地図、そして整備された登山道が用意されている現代ではなかなか想像できない境地といったところだろうか...。
私が趣味の山歩きを楽しめるのも先代が開拓した道々やハイテクな装備あってなんだなあと思うと色々感慨深いものがありました。

山賊(といわれていた山人達)と伊藤さんのふれあいにはすこしほっこり、お互いリスペクトしあってたことがいくらか想像できる。伊藤さんは愉快な性格の持ち主であったことも十分感じ取れた。

カベッケが原やオカルト的な多くの逸話、こうゆうの好きです。
こういったネタがインターネットの出現により激減してしまって寂しいなあといつも思う。

そして何といってもグッと来たのが伊藤新道への熱い想い。
三俣小屋のスタッフが小屋締めで山を下りるときに今でも伊藤新道を使う話には強く心を打たれた...!
沢や藪漕ぎの技術を多少要するので誰もが簡単には歩けないが、行くしかないだろう...!

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2019年12月07日

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黒部の奥地開拓時代のお話。
虚実入り乱れているような、昔の山の話。自分で歩いたエリアがほとんどなので、いろいろ想像が働いて面白かった。
山に興味ない人にはおすすめできない。

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2018年12月29日

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巻頭の地図と本文を見比べながら読みました。
歩荷が、三俣山荘構築に使う木のながーーーいのを運んでいる写真が途中にありましたが、あんなの持って歩いたら遭難しちゃうよ!!昔の人ってすごかったんだなーと感じます。
お山に行きたいなーー。以前、あの辺りには何度か登山しているけれども、その時のことを思い出し思い出し読んだ。また行きたいなー。
お山の雰囲気、空気感がピタッと伝わる、良い本でした。

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2018年10月10日

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良書。
どこまで本当の話なのか疑問だが、かつて北アルプスには凄い人々が居た。今の日本人には失われたスキルを持っていた人達。生活に密着した、必要に迫られた山での生活する技術、知恵、経験。
現代の登山は、レジャー化、スポーツ化していると思わされる。

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2017年01月21日

Posted by ブクログ

これは特に登山を趣味とするような人でなくても、充分読んで楽しめる作品だ。

「高熱隧道」や「黒部の太陽」で描かれているように、厳しい自然環境に囲まれている黒部源流地域における山男たちの暮らしぶりが、素朴な飾らない文章で綴られている。
時代も昭和20~30年代が中心と、まさに前記2作品と前後して重なる
あくまでサラリとした口調で書き記されてはいるが、現代よりも遥かに衣食住の環境が整っていない当時に、これほどタフなサヴァイヴァルをしていた著者や山賊たちの屈強さたるや、それだけでも充分憧憬の対象になり得る。
物の怪だってそりゃ出ることだろう。

嗚呼、早く私も北アルプスへ行かなくては。

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2016年11月25日

Posted by ブクログ

山の恐い話が不思議。
本当にあるんだろうなあ、と思えました。
今度からやっほー、と叫びます。
ジャムがとてもかわいい。写真映り考えてそうなとこがまたかわいい。やっぱ犬は色々わかるのだなぁ。

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2016年08月09日

Posted by ブクログ

少し前の時代にはこんなことがたくさんあって、登山はすっかりレジャー化してしまってるけど、こんなふうに山に溶け込んでみたい(迷いこむのも熊が出るのもオーイって声がするのも嫌だけど)不思議な話がたくさんで、わくわくしながら読んだ。

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2015年10月21日

Posted by ブクログ

ノンフィクションだったんだ。最初の方はホラ話かと思って読んでいました。でも、読み進むほどにこの本の本来の姿が分かってきた感じ。山に入る人なら気にいる可能性が高い本だと思う。
それにしても、黒部の山の奥深くに巨大なダムを作る必要なんかあるのかな?167人もの犠牲者を出して作ったから、ビッグプロジェクトだとか言って建設を美談に仕上げ正当化しなきゃならなかったんだろう。いかにも電力会社や政治家、官僚がやりそうな仕業で、原発と全く同じ構図。結局、無謀な自然破壊っていうだけのことだと思う。電気なんかなければないで済むんだから。

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2015年09月27日

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山小屋の主人として黒部一帯を開墾した人の人生記。昭和中期に実在した黒部の山賊たち。山の怖さがよく分かる。

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2024年12月27日

Posted by ブクログ

黒部源流地域は、かつて全くの未開の地であった。
しかし、その山に分け入り、逞しく生きている山の男たちがいた。
時に、彼らは山奥で人を襲うとか、カモシカを密猟するなどの嫌疑をかけられ、時に山賊と呼ばれることがあった。

その山賊たちの巣窟である山にある三俣小屋を引き受け、山賊たちと交わり、そして自らも山の人となった、伊藤正一氏が記した、山賊たちと山の記録。
山小屋の主人の実際の経験や、直接山賊たちから聞いた話は、作り物ではない生々しさを持っており、かつ、冷静な記録として非常に面白い。

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2015年10月14日

Posted by ブクログ

北アルプスの最奥部・黒部原流域のフロンティアとして、長く山小屋(三俣山荘、雲ノ平山荘、水晶小屋、湯俣山荘)の経営に
携わってきた伊藤正一と、遠山富士弥、遠山林平、鬼窪善一郎、倉繁勝太郎ら「山賊」と称された仲間たちによる、
北アルプス登山黎明期、驚天動地の昔話。
また、埋蔵金伝説、山のバケモノ、山岳遭難、山小屋暮らしのあれこれなど、
幅の広い「山の話題」が盛り込まれていて、読む者をして、まるで黒部の奥地にいるような気持ちにさせてくれる
山岳名著の一書です。

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2015年10月03日

Posted by ブクログ

遭難や殺人事件などの悲惨な話が織り込まれているのにまるで寓話の様に読み手に伝わってくるのはなぜだろう。それは読み手も山ヤさんであることを意識しているのだろうか。特に印象的だったのは愛犬ジャムが下界に降りた時にやたらと子供に吠えたり(恐らくストレスで)毛が抜けてしまったと言う話。全く人間も同じで山に入ると山ボケや幻の声などそこは現実の地上世界とは違った世界があり山賊とはまさにその世界で生きる種族。
読み手がそれを感覚で捉えることが出来る事を意識して書いている。

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2015年08月31日

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