伊藤正一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
山岳本の傑作。旧版も持っているけど、定本が出たということで新たに購入。
富山、長野、岐阜の県境に位置する三俣蓮華岳。戦後間もなく、その山頂直下にある三俣山荘の権利を手に入れた著者は、そこに勝手に住み着いていた「山賊」と出会ったという。。。
著者の伊藤正一氏は北アルプスの最深部に位置する三俣山荘、雲ノ平山荘、水晶小屋を建設し、伊藤新道(現在は廃道)を拓いたという、登山をする人間からみればまさに伝説の人物。そんな人の話が面白くないわけがなく、読み終えてしまうのがこれほど惜しいと思った本は他にない。
超人的な山岳サバイバル術を持つ山賊たち。佐々成政の財宝伝説とそれに翻弄される人々。遭難した者と -
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Posted by ブクログ
毎年アルプスのどこかに山籠りする登山好きとしては、当然読みたい本ラストにランクインしていたのだが、とうとう今年はこの本の舞台辺りに行くことになったので、急いで読むことに…
舞台となる中心地は北アルプスの最奥地である
日本最後の秘境と言われる「雲ノ平」や黒部源流があり、長野県、岐阜県、富山県の三県の境をなす「三俣蓮華」も有名であろう
標高3000M近くの別天地
真夏に凍死するほどの強風(雨に濡れて、暴風が吹いたら気化熱でイチコロである)はもちろん、濃霧による道迷い、黒部の増水や鉄砲水など、恐ろしい場所である
(行くと決めても、やめようかと悩んでしまう場所だ)
そして、なぜ秘境かといえば、それ -
Posted by ブクログ
名著「黒部の山賊」やっと読みました。
当時の北ア黒部(というか奥深い山々すべてが当てはまりそうですが...)が本当に奥深く、未知で情報もなく、一歩間違えれば凍死、滑落、道迷いが隣り合わせな場所であったことをしみじみと感じることができた。
ゴアテックスの登山ウェア、高機能な各装備、地図、そして整備された登山道が用意されている現代ではなかなか想像できない境地といったところだろうか...。
私が趣味の山歩きを楽しめるのも先代が開拓した道々やハイテクな装備あってなんだなあと思うと色々感慨深いものがありました。
山賊(といわれていた山人達)と伊藤さんのふれあいにはすこしほっこり、お互いリスペクトしあ -
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Posted by ブクログ
これは特に登山を趣味とするような人でなくても、充分読んで楽しめる作品だ。
「高熱隧道」や「黒部の太陽」で描かれているように、厳しい自然環境に囲まれている黒部源流地域における山男たちの暮らしぶりが、素朴な飾らない文章で綴られている。
時代も昭和20~30年代が中心と、まさに前記2作品と前後して重なる。
あくまでサラリとした口調で書き記されてはいるが、現代よりも遥かに衣食住の環境が整っていない当時に、これほどタフなサヴァイヴァルをしていた著者や山賊たちの屈強さたるや、それだけでも充分憧憬の対象になり得る。
物の怪だってそりゃ出ることだろう。
嗚呼、早く私も北アルプスへ行かなくては。