猪熊葉子のレビュー一覧
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どうしてこんなに、子どもそのものが描けるんだろう。
子どもの気持ちで、なんて言葉が陳腐に聞こえるくらい、ここには子どもそのものがいる。
できなかったことができるようになった瞬間。自分より小さな子に振り回され、うんざりしたり、大人からしたら危なっかしくてハラハラする小さな冒険。
でも、いつだって大人の目を盗んで、叱られそうなことをやってしまう。だってワクワクするから。
やっちゃったあとのがっかり感と疲れ切った気持ち。
そういう子ども時代の感情が記憶の彼方から思い出された。
トムは真夜中の庭で、に比べるとこちらは短編だし地味かもしれないけど、子どもそのものが描き出されているという意味ではこちらの -
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前にアリエッティたちを天井裏に閉じ込めたプラターさんが、再び現れて、お金もうけのために使うために、アリエッティたちを追いかけた。その上、アリエッティたちの家をこわしたり、アリエッティたちが住んでいる教会に、夜しのびこんでつかまえようとしたりした。でも、プラターさんたちが逆に教会の人たちに見つかって、つかまった。ワルのプラターさんがつかまったとき、ぼくは、踊り出したいほどハッピーな気持ちになった。ハッピーハッピー‼ プラターさんは、罰金じゃなくて、国外追放がいいなと思う。
このシリーズは、もうおしまいで、とても悲しい。小人たちが、このまま幸せに暮らせたらいいな。
絵は、白黒なんだけど、風景も小物 -
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児童文学作家として有名で、本は必読書のように、どのブックリストでも目にはしていたエイキンの「しずくの首飾り」
一度手に取ったものの、読まなくてはーという義務感から以前は楽しめず読み切れずじまい。
今回、語りで「しずくの首飾り」を聞く機会があり、その色彩豊かで楽しい世界に魅了され、文庫版も出たということで手に取ると、不思議で日常から解放される楽しさを味わうことができた。
昔話のような繰り返しがあり、ストーリーはシンプルだけど、一粒増えるたびに水を操る力が増えるしずくの首飾りや、空のかけらを一緒に練り込んだ空飛ぶパイ、イースト入りのミルクを飲んで大きくなったネコ、卵から生まれた一本足の家…想 -
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ネタバレフィリパ・ピアスという作家の名前は「トムは真夜中の庭で」と「まぼろしの小さい犬」という2つの作品と密接に結びついている KiKi にとってこの本は今回が初読でした。 で、この本を今回手に取ってみたきっかけはこのブログの柱企画「岩波少年文庫全冊読破計画」の一環であるのと同時に「宮崎さんの推薦文」にもあったわけですけど、初めて宮崎さんの推薦文の中にこの本が入っているのを見た時には、逆に思ったものでした。 「あれ?? どうして、『トム~』の方じゃないんだろう??」と。
そうであるだけにこの物語への期待値は否応なく高かったことをまずは白状しておきたいと思います。 そしてその期待はまったく裏切 -
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文庫本のあとがき(訳者のことば)によれば、この最終話「小人たちの新しい家」はその前の「空をとぶ小人たち」から21年という年月を経たのちに再び書かれた物語なのだそうです。 発表されたのが1982年。 その時には既に「大人」と呼ばれる年代に入っていた KiKi は英文学を学んでいたとは言えども、この作品のことは一切知らず、気にも留めないで過ごしていたことになります。 今にして思えば当時の KiKi は花のお江戸で自由を満喫し、将来に対するさしたる不安も感じることなくコンパだなんだと浮かれていた時代です。 そんな時代にノートン女史はある種の危機感をもってこの物語を描いていたんだなぁと思うと、
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子供の日常で起きるささやかだけど、大きな出来事の短編。
近所から嫌われていても気にせず、動物を飼っている謎めいたお隣さん。
川で見つけた貝を、いとこにあげる前に逃がしてしまおうとしたこと。
古い木の解体途中でとんだいたずらをしてしまい、それでもそれがきっかけで、男子グループに入れたこと。
祖父と孫の互いを思いやる気持ちと真夏の早朝の車いす遠足。
木の実を取りに行った先で、お父さんを怒らせてしまい、慌てて逃げた結果迷子になり、助けてくれた若夫婦のこと。
全部じゃないけど覚えてる範囲。
ひとつひとつはどうってことない些細なことだけど、
子供にとっては大切で心に残る記憶たち。
短編だっ