大山祐亮のレビュー一覧
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ネタバレ比較言語学が利用できるものは言語データセットに見られる規則的な音韻対応(「規則性仮説」)のみであって、推論に基づく内的再建は許容してはならないというのが筆者の主張だが、業界の実情としてはトンデモ学説と区別の付かない推論が跋扈している。
比較言語学にある種のあこがれを持ってこの本を読んだが、打ち砕かれた。もはや実証可能な範囲での比較言語学的な論点は20世紀のうちに出尽くしており、比較言語学は役目を終えた終わりゆく学問だという。
期待が粉砕されたという意味では残念だが、筆者の主張が本当なら、比較言語学に深入りする前にこの警告ともいうべき書に出会えたのは良かった。 -
Posted by ブクログ
曖昧な記憶ではあるが、約15年くらい前は、
巷の本屋で多言語学習に関する書籍にお目にかかる
機会は、皆無に近かったかと振り返る。
本書は、外国語独習に係る心構えから秘訣等に
至るまでを筆者が主張する50のルールに基づいて
横断的網羅的に余すことなく教えてくれる。
類書等で紹介されている内容もあるが、強調したい点なのだと感じる。やはり、「継続は、力なり。」と
いう言葉に偽りはないはずだ。
ちなみに、私が英検等の外国語関連検定試験等に
現在よりも熱心だった頃は、学生時代の真っ只中
であり、学習媒体もスマホに直接ダウンロード
された音声データではなく、テキスト等に付属しているカセットやCD等であった。
そういう意味では、外国語学習テキスト等の
多言語化や技術革新等による学習媒体の変化に
隔世の感がある。
筆者が述べるように、外国語の学習に年齢は
無関係なはずだ。これからも、ユルく、かつ、
永く音自体を楽しんで行きたい。
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ネタバレよくSNSを拝見していて、ずっと読みたいと思っていた本。
独学で外国語を学んでいく際にどのように学習していけば良いか、ノウハウがたっぷり書かれており、たいへんためになった。
以下、ドイツ語学習に新たに取り入れたいことを挙げる。
・暗記アプリを活用する。
・単語を覚えるときは文やフレーズで書き取りを行う。
・例文を複数個並べ、書き写しや音読を行って活用例に慣れる。
・テキスト1周目は速く浅く、2周目は丁寧に、を心がける。
・会話力を上げるために、作文力を鍛える。
・文章をすばやく組み立ててアウトプットするために、例文をたくさん音読する。
・「やさしい日本語」を参考に、言いたいことを言い換える練習をする。
・非母語話者と会話練習をする。
以上の学習法はもちろんだが、私にとっては、学んでいく際の心構えのような部分もたいへん励みになった。
・語学における失敗とは、途中で諦めてすべて放り出してしまうこと。究極的には、その一点に尽きます。途中でやめさえしなければ、いくら怠けようが語学力は進歩します。(P10)
・高いレベルに到達できなければ語学学習には意味がないというのも極端な考えです。上級レベルに到達しにくいからといって、年齢を重ねてから語学を始めても意味がないということにはなりません。外国語を極めるのではなく、その言語の学習を楽しむことや、コミュニケーションをとることを目標にするのであれば、何歳からでも遅くはありません。語学を始めるのに年齢制限などないのです。(P63)
・語学学習において、「語楽」の実現を妨げるような行為は悪です。語学に限らず、楽しんで勉強できていることに対して、「〇〇なんて勉強して役に立つの?」という質問をされることがあります。私自身も経験があります。これほどの水差し発言はありません。
草野球を楽しんでいる人に対して、「なんで趣味で野球なんかやってるの? なんでプロ野球を目指さないの?」と言う人はほとんどいないでしょう。語学も草野球と同じように、趣味として楽しむという選択肢があっても良いはずです。ところが、語学のような「実用的なスキル」と認識されているものでは、「やるからには必ず活用しなければならない」という発想に陥ってしまう人がいます。
〈略〉
語学には実用的な面があるし、それも大事なことです。しかし、実用性は語学のひとつの側面でしかありません。生まれも育ちも自分とは違う他人のことばに触れられる側面、自分の思考をことばにして紡げる側面、きれいな文字やきれいな本を鑑賞する芸術的な側面、自分の進歩を実感しやすい側面など、語学にはたくさんの魅力があります。語学はただの技能やスキルではないし、実用性は語学の本質ではないのです。
これから語学の世界に踏み込もうとする人には、そのすべての可能性を追求する権利があります。仮にスタート地点が仕事上の必要性であったとしても、学習が軌道に乗るにつれて楽しさを感じられるようになってくるかもしれません。仕事として英語、趣味として古代エジプト語を勉強するような人がいても良いじゃありませんか。面白いですよ、古代エジプト語も。
語学の可能性は無限大です。仕事に活かすのもよし、趣味として楽しむのもよし、仕事と趣味の両方にするのもよし。世界には80億人の人間がいるのですから、語学との付き合い方も80億通りあって良いはずです。(P210〜212)
・実際に仕事に使えるかはともかくとして、どんなことでも勉強してきてよかったと思う機会は必ずあります。自分の興味関心の赴くまま、好き勝手に勉強していきましょう。自分の人生は自分自身の手で飾り付けるものなのですから。(P215)
自分の好きなことを勉強したっていい。
継続さえできていたら大丈夫。
そう前向きな気持ちになれる言葉とたくさん出会い、とても励まされた。
これから先、ドイツ語を学んでいく中で立ち止まってしまうときが来たら、この本を読み返したいと思う。 -
Posted by ブクログ
Twitterで四週間シリーズを本当に四週間でやり遂げるという(良い方向に)異常な取り組みをしている著者が出した学習法の書籍であるため迷わず購入しました。
本書は前半1/3で地球上にある多くの言語の特徴について概説し、残り2/3でそうした言語を一人で勉強する際の心構えや方法論について説明した本です。この手の本は2種類あると感じていて、第二言語習得や教育などの専門家によるものと、実際に言語をよく習得した人によるものがあると思いますが、本書は明確に後者です。このタイプによくある古すぎたり著者が天才過ぎるということがなく、現代的で実現可能な手段が挙げられており、参考にしやすい書籍です。個人的には、言語の傾向に応じて学ぶべき内容の重点を変えた方がよいという内容と、教材に関する注意点が特に参考になりました。
ただし本書は多くの言語を実際に勉強した著者によるノウハウ本であるため、例えば次のような読者とは相性が悪いとは感じました。例えば、非常に具体的な英語の習熟方法を期待する人には本書は期待と異なるかもしれません。あるいは、外国語そのものを初めて勉強する小学生や中学生の場合にも本書の記載は高度すぎます。 -
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趣味でロシア語を勉強したいと思っていて、たまたまこの本を見かけて読んでみました。
ロシア語は活用がすごく複雑で難しそうだな、やっていけるかな?と思っていました。
本書によると、言語は文型優先型(英語など)と活用優先型(ロシア語など)に分類でき、『活用優先型は活用が複雑だが、その代わりに解釈を間違える可能性が低い』と書いてありました。
活用が複雑でない言語はそれ以外の部分(語順など)が難しい。その逆もしかり。
すべての面で「簡単」な言語は存在しないとのこと。
自分が英語の勉強をしていたときに「ここの単語は形容詞として使われているのか?それとも副詞?」などと苦労していたことを思い出し、活用が難しい言語はそのような苦労からは逆に解放されるのかもと思い、頑張ってロシア語の勉強もやってみようと思えました。
そのほか、『継続さえできていれば、それだけで外国語独習者としては勝ち』や『語学においては挫折さえしなければ、いくら間違えようが、混同しようが、大した問題ではありません。』など、ほっとする言葉が多かったです。
<余談>
著者の方は格闘ゲームがお好きなのでしょうか。私は格闘ゲーム好きなので、ウメハラさんの話題がちょこっと出てきてびっくり&親近感を覚えました。 -
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古代文字の研究をされている3名の、現在の主な仕事や研究内容に行き着くまでの経緯などを綴ったエッセイ。
古代文字に関する雑学が詰め込まれている本かと思っていたので(そういった話も含まれてはいる)想定していた内容とは少し違ったが、面白かった。
やっぱり皆さん学生時代から古代文明や歴史についての興味が強かったんですね。
あと研究者といっても、自分の興味ある分野の研究に必ずしもありつけるとは限らない、というのは結構社会人と一緒というか、どこの世界もあるあるなんですね。
また、特定の古代人について学ぶために、敵対国の歴史を学び、その国の言語を学び、さらにその言語の元となった言語を学び……と、主題研究のための外堀を埋める作業があまりにも広大すぎて、私ならすぐ放り投げてしまいそうだな、と思ってしまいました。
それほどまでに途方もないことでも、好奇心で追求していく人類って、なんかもう凄すぎる。 -
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ネタバレ古代文字を読むのが自分のやりたいことなので。
古代文字の研究者によるエッセイだと言われて、そのテーマと出会ったきっかけや研究の日々、そしてこの分野に興味を持つ中高生への励ましの言葉などが書かれているのだと思っていた。書かれてはいたのだが。まさか「なろう系」の分類や中国の風呂問題について、またはメジェド様グッズや日本にあるエジプトっぽいものやエジプト土産について、そして身体論や大学で働かないことについて書かれているとは思わなかった。
結果として、直接的に社会を変えていったりお金を稼げたりするわけではない人文系の中でも、特にいわゆる就活前線に直結しなさそうな(失礼)考古学・歴史学系への進路に興味がある人への大きなエールと読んだ。苦労話であっても楽しそうなのだ。イキイキした感じがする。こんな風に自分の生活や研究を語れるのが素晴らしい。
そこに謎がある。だから探りたい、研究したい。その気持ちを持って大学へ進学できる人が少しでも増えたらいいなと思う。どんな分野においても。 -
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非常に刺激的な一冊だった。題材の一つは、日本語の起源をめぐる、もっともらしくも怪しげな「トンデモ学説」である。本書は、それらがなぜ学問的に成り立たないのかを、比較言語学の方法に基づいて一つひとつ鮮やかに切り崩していく。最初に比較言語学の研究方法の概説があり、読み進めるうちに比較言語学の考え方や手続きを具体的に学べる入門書になっている。
興味深いのは、トンデモ学説を方法論的に批判するだけでなく、なぜそのような説が魅力的に見え、人々の間に広まっていくのかにまで踏み込んでいる点だ。分かりやすく壮大な物語は、「分からない」という地味な結論よりも人を引きつける。しかし、言語の系統関係を論じるには、やはり確かな証拠が欠かせない。
言語は時代とともに失われ、変化し、他の言語から要素を取り入れていく。その過程で生じる空白や例外を、都合のよい想像で埋めてはいけない。まして、似ているという印象や多数の賛同だけで結論を押し通すこともできない。証拠が足りなければ「分からない」と認める。それは逃げではなく、研究者に求められる誠実な態度なのだとあらためて感じた。そして、答えがあったとしても、辿り着けないということもありうるのだ。これも認めなければいけない。
言語は誰にとっても身近であるだけに、思い込みや独断で判断しやすい。本書には、言語について考え、調べ、語る際に私たちが知っておくべきことが詰まっている。トンデモ学説を笑って終わるのではなく、自分自身の考え方を点検させられる本でもあった。 -
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ネタバレ面白かった!古代文字の研究に携わる3人のエッセイ集。専門の古代文字の簡単な説明、興味を持ったきっかけ、大学時代の話、研究にまつわる話…と一通り語ってくれる。古代文字という謎へ手を伸ばすワクワク感がよく伝わってきて楽しい。
三者三様ではあるけれど、かなり厳しい就職、肉体労働の発掘作業、1日中机に向かえる中国の研究者事情、地中海や中東の現地のこぼれ話など面白くてすぐ読んでしまった。
3人とも才気あふれる印象なのだが、一番年嵩のエジプト考古学者だけは大学教授(ただし専門のヒエログリフの授業はない!)なものの若い二人は一人は中国の大学で日本語を教えており、もう一人は在野の研究者になっており…という感じで、とにかくこの分野が全く食えないことはひしひしと伝わってくる。
私も文学部のマイナー研究室に行っていたのでよく分かるが、やっぱり文系の研究者に目指すのってよほど実家と精神が太くないと地獄の道だよな…と改めて思った。好きなだけでも、才能があっても厳しい世界。そんな世界のワクワクを垣間見せてもらったことに感謝したい。 -
Posted by ブクログ
古代文字に魅せられた3人の研究者のエッセイ集。読みやすいしとても面白い。
①比較言語学者(1994年生まれ)
②古代エジプト学者(1968年生まれ)
③フェニキア学者(1983年生まれ)
…のお三方で、年齢も学歴もバラバラ。だが、三人ともきちんと地に足が着いており、浮世離れした“研究バカ”にはなっていない。だから安心して読めるし、感心する提言も多い。一芸を極めようと努力した結果、世の中が俯瞰的に見られる人物に昇華した…ってことがわかる。(先日読んだカモシカ研究者とはまるで逆)
内容はエッセイなので、本人の専門分野の核心的な難しい話などはほぼ無い。むしろ、『如何にして研究者になったか』という部分が大部分を占めていて、そこが面白い。これから研究者を目指す…なんて人にはうってつけの本だと思う。
【余談】
三人は年齢も研究者になった時期も経緯も全く違うけど、共通して勧めているのは言語習得における、
“手書きで覚えることの重要性”
だった。
やはり、これだけは学校教育から絶対に無くしてはいけないものなのだと感じた。