大沼保昭のレビュー一覧

  • 「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて

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    最近よく見られる日本の近代史についての本は、かなり偏った下品な論調の目立つものが多いが、本書は日本の近代史について、バランスの取れた意見がまとまっていて、とても勉強になった。特に著者が直接関わっておられたアジア女性基金について、一般の報道などでは語られない事情にも触れていてかなり参考となる。

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    2018年03月01日
  • 「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて

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    「歴史認識」とは、日本人として、日本の近代史をどう考えるのか、ということだ。著者は、この問題について頭で考えただけの人ではない。アジア女性基金理事として多くの人との対話を重ねる中で試され、磨かれた末に得たであろう、実の詰まったことばで、この難しい問題をていねいに説明してくれている。
     とくに慰安婦問題については、韓国の問題ばかりがクローズアップされるが、オランダやインドネシア、台湾などの慰安婦もいたこと。それらの国々には「アジア女性基金」などの取り組みを通じて、首相の手紙を渡したり、資金的な援助をしたり、いろんな活動を行ってきたこと。ただ韓国だけは、「国家補償」にこだわる支援団体の頑なな対応が

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    2016年02月21日
  • 「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて

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    国際法学者としてのキャリアが、史実を恬淡として読み解いておられると感じた。
    歴史修正主義者の発する言動は、少々暑苦しいところがあるが、大沼氏の説明には肩の力が抜けており、戦前戦後の日本の歩んだ道の概略として解りやすいものがあった。
    第5章 二十一世紀世界と「歴史認識」において、英仏・米などの植民地責任が今後問われる可能性に言及されている。
    日本が戦後取った戦争責任は堂々と世界に誇れるものだとの認識に国民も胸を張れという。
    江川紹子さんの聞き方もさりげなくていいものでした。

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    2015年09月05日
  • 「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて

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    ネタバレ

     戦後70周年の今年(2015年)、先の大戦が再び注目されている。特に周辺諸国との関係で歴史認識は重要な要素になっている。太平洋戦争とそれに付随する様々な問題。日本は加害者と被害者の両側面を持っており、認識が複雑になっている。著者は基本的に東京裁判史観を肯定的だが、過度に自虐史観に陥るのではなく、戦後の日本の取り組みで誇れる部分もあるとしている。特に強調しているのは俗人に視点というもので、よく議論でありがちな非現実的な思想を批判している。個人的に共感する考え方だった。

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    2015年09月01日
  • 「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて

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    「歴史認識」に関わる見取り図。戦争・植民地支配・人権への国際社会全体の捉え方が20世紀を通じて大きく変わり、法的に解決されたつもりだった問題に見直しが求められるようになったこと。日本国民に、反省をしつつも不公平さへの割り切れない思いが存在していたこと、中国韓国の被害者意識の矛先が日本に向けられやすいこと。

    よくある反論ポイントをきっちり質問し、納得できる回答。捉え方や考え方が示されていてわかりやすかったです。

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    2015年11月27日
  • サハリン棄民

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    サハリン残留コリアン問題について勉強する本その2。著者は1970年後半以降、帰還運動を中心的に担った研究者ー活動家で、本書は問題の解説よりも、どのように問題の「解決」をはかったかという運動の証言として、非常に貴重な価値をもっている。戦後責任の解決とは、たんなる人々の「意識」の問題だけでない(そこを変えるために働きかけるのもたいへんに重要ではあるが)。日本・ソ連・韓国・北朝鮮の硬い政治構造の中で、当事者の希望である帰還を実現するには、たんに「正しさ」を主張するだけでは済まない。正しい行動をとっても効果を生まないどころか、望ましくない結果をもたらすこともあるのが政治というものだ。自分たちをとりまく

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    2014年08月31日
  • 「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて

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    国際法学者として、史実に立脚した冷静できちんとした分析、日本以外への批判も自己弁護のためではなくちゃんとされているのもすがすがしい。

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    2016年01月19日