大沼保昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「歴史認識」とは、日本人として、日本の近代史をどう考えるのか、ということだ。著者は、この問題について頭で考えただけの人ではない。アジア女性基金理事として多くの人との対話を重ねる中で試され、磨かれた末に得たであろう、実の詰まったことばで、この難しい問題をていねいに説明してくれている。
とくに慰安婦問題については、韓国の問題ばかりがクローズアップされるが、オランダやインドネシア、台湾などの慰安婦もいたこと。それらの国々には「アジア女性基金」などの取り組みを通じて、首相の手紙を渡したり、資金的な援助をしたり、いろんな活動を行ってきたこと。ただ韓国だけは、「国家補償」にこだわる支援団体の頑なな対応が -
Posted by ブクログ
サハリン残留コリアン問題について勉強する本その2。著者は1970年後半以降、帰還運動を中心的に担った研究者ー活動家で、本書は問題の解説よりも、どのように問題の「解決」をはかったかという運動の証言として、非常に貴重な価値をもっている。戦後責任の解決とは、たんなる人々の「意識」の問題だけでない(そこを変えるために働きかけるのもたいへんに重要ではあるが)。日本・ソ連・韓国・北朝鮮の硬い政治構造の中で、当事者の希望である帰還を実現するには、たんに「正しさ」を主張するだけでは済まない。正しい行動をとっても効果を生まないどころか、望ましくない結果をもたらすこともあるのが政治というものだ。自分たちをとりまく