【感想・ネタバレ】「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えてのレビュー

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Posted by ブクログ 2021年09月01日

嫌韓・嫌中、戦争責任など。極端な意見のぶつけ合いになりやすい問題について分析し、どう取り組みべきかをわかりやすく示してくれる。日本がこれまでやってきた戦後処理について自虐や独善に陥ることなく、日本が世界に先んじて進めてゆこうと。誠実な学者の仕事。とても良い本だった。

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Posted by ブクログ 2023年08月10日

村山談話にも関わった著者なので偏りが大きいかと思ったら、非常にバランスの取れた批判が多く、特にリベラルや左派への批判はとても考えさせられました。

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Posted by ブクログ 2020年03月17日

国際法学者の大沼氏にジャーナリストの江川氏が聞き役となり歴史認識について問う。日中、日韓において歴史認識の相違が大きな問題として残っている。加害者側、被害者側、それぞれの立場からお互いの立場を思いやる余裕があればと思うが、現実には疑心暗鬼となってしまうのだろう。問いに対する答えとしたスタイルで歴史認...続きを読む識の問題を取り上げて説明している。とても分かりやすい。

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Posted by ブクログ 2019年11月20日

某所読書会課題図書.1931年の満州事変から1945年の太平洋戦争敗戦を踏まえて、東京裁判とサンフランシスコ講和条約の概要を冒頭に述べ、戦争責任さらに戦後責任の議論が続く.戦後間もない時代は、戦争に対する被害者意識が全面で、加害者でもあったことを認識することはなかった由.その通りだと感じた.慰安婦問...続きを読む題の議論で、女性の人権を考慮することが主流化されてきた現代の動きを、改めて考えることの重要性が強調されていた.同様の考え方で、謝罪の時代が始まったとの指摘もあった.欧米列強は日本やドイツの謝罪には文句を言うものの、自分たちの植民地政策等は一切反省していない.その点を日独が諭して、彼らの発想を正しくするべきだとの主張は大賛成だ.

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Posted by ブクログ 2016年02月21日

江川紹子が慰安婦問題について 2013 に取材を申し込んだところから始まっている。大沼氏から江川氏に共同作業を申し込む形で、インタビュー形式の本書が成立している。主張が分かれ対立する主題に関するわかりやすい見取り図を提示している。

話題は、東京裁判、サンフランシスコ平和条約、日韓・日中の正常化、戦...続きを読む争責任と戦後責任、慰安婦問題にわたっている。2015 年までの時間の流れの中で、南京問題や慰安婦問題をどう考えたらよいかの指針となる。
現在騒がれていることは、本質を外していると思えてならない。
中共が賠償を放棄したこと、

一方、戦争と植民地支配の責任認識に関して、敗戦国の日独は進んでいて、戦勝国は緒にもついていないと感じられる。「知識人」とされる人でも、植民地支配を肯定的にしか捉えられずにいる様子。
日本にしても、戦後二十年ほどの認識は実に貧弱。

第一次大戦後に戦争が国際法で違法化された画期的時期に満州事変を起こすという情勢認識能力の欠如も目を覆うようだ。人種差別も、自分が差別されることには抵抗しつつ自分が差別する側に回りたいだけだったこと。
満州事変を批判した横田喜三郎は脅迫に遭って沈黙したが、国際連盟脱退に反対した石橋湛山は正しいことを言い続けて逮捕されずに生き延びたことも教えられた。

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Posted by ブクログ 2016年02月03日

確かに、現在「歴史認識問題」と言えば、韓国併合から満州事変、太平洋戦争を経て、その戦後処理に係る日韓、日中の対立を限定的に指している。靖国参拝、竹島や尖閣諸島、慰安婦といった問題は、それなりに報道に注視し、親と語らい、解説書や小説を読むことで、自分なりに認識しようと努めてはきたけれど、容易じゃない。...続きを読む感情を排するのは無理だから、多様な角度から学ぶことで素直な感情を抱きたい。けれども、他国の激しく執拗な批判や、自国の政治家の言わずもがなの繰返しに憤り、冷静を保てない。本書で改めて学ぶに、この問題は今後「きっぱりと加害と被害に分ける二分法的な物言い」に辟易しつつ、自負と呵責の狭間で揺れ続けることが大切に思う。

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Posted by ブクログ 2023年12月03日

難しい問題「慰安婦問題」「侵略戦争問題」。その問題に対しての「歴史認識」の違いやこれからどう未来に進んでいくか。考えさせられる作品であり、語り手である大沼氏、聞き手である江川氏のやりとりも非常にわかり易く説明していただいていたと思う。

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Posted by ブクログ 2022年03月12日

ある意味、日本人としては読みにくい著。
愛国心や日本人として自認する中で、批判的に書かれているものの、事実がこうで、何故日本やドイツだけがこのように叩かれるのかということも書かれている。ネトウヨ本などが出る昨今に於いては何がfactなのかを確認しないものも増えている。この本は国際法の学者によるもので...続きを読むあり、権威でもある方の著。信用なる内容で、自分の経験なども書いている。歴史認識問題を解決する中でマスメディアや各種のイデオロギー対立なども鮮明に書かれており、良書だと思う。

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Posted by ブクログ 2022年02月13日

聞き手語り手の形で書かれているのでとても読みやすかったが、考え続けるべきことをたくさん受け取った本。
自分と違う意見なも耳も傾けて考えていくこと。
論破、というのがもてはやされている今、考えるために大事な1冊。
次の日世代に少しでもましな状態を引き継いでいくには。

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Posted by ブクログ 2020年06月07日

著者は2004年に東大で慰安婦問題を通して歴史を考えるゼミを実施、村山富市や上野千鶴子などそうそうたる講師を招くが、当初ご受講登録者はたった1名。焦って二次募集を行いやっと9名集めたらしい。そのゼミの内容をもとに慰安婦問題に関する本を発行したらしい。
東京裁判、サンフランシスコ講和条約などについて、...続きを読むアメリカや中韓の認識など書かれていてわかりやすい。A級戦犯が祀られている靖国神社を参拝すると中国から猛烈に批判されることについては、周恩来が「感情で政策を決めてはならない。日本の人民も一部の軍国主義者の犠牲者だ」と言って戦後賠償を放棄したから中国人民と日本人民の共通の悪であるはずのA級戦犯をなぜ参拝するのかという認識、と分かりやすい。でも著者の認識で説明が終わっているところも結構多い。「東京裁判は寛大な判決だった」は東京裁判に関する本がいくらでも出ているから良いとして、サンフランシスコ講和条約はこの本で読んでも中国韓国インドが参加しなかったり、ソ連が調印しなかったり、アメリカが独善的に進めたことがわかるのに、「寛大だった」で終わっている。日本は市民を無差別に大量殺害した原爆や空襲についてアメリカに賠償請求をするべきではなかったのか?このことについては著者の考えだけで完結しないで先勝国の歴史認識という観点でもう少し掘り下げてほしかった。
ところで、東京裁判では7人が死刑、有罪は25人。BC級戦犯が1000人以上死刑になったことを思うと寛大な処置。世界で日本のBC級戦犯がそんなに死刑になっていたことを今さら知った。
戦勝国による裁判なのでアメリカの原爆投下などは弁護側が取り上げようとしても許されなかった。

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Posted by ブクログ 2020年06月01日

‪第5章「21世紀世界と歴史認識」の素晴らしさよ。‬

‪世界の近現代史をこれほど的確にまとめ、それぞれの立場の歴史認識がいかに不確実であるかを説いている内容に感銘を受けた。‬

‪右派左派的な自らの立場に囚われすぎた本や報道が多い中で、貴重な本だと思う。‬

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Posted by ブクログ 2020年01月03日

どちらかと云えば自分は右寄りなので、最初から日本の侵略戦争を前提としたお話には、読み進めるのに抵抗もあったが、何と言っても日本軍が1000万人以上の人々を殺戮したという事実は直視するしかないというスタンスに立ち戻れば、しごく真っ当なお話でした。
そんな著者でも、韓国メディアの反日姿勢の強さは異常だと...続きを読む感じておられたようで、我々俗人と同じで安心しました。

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Posted by ブクログ 2019年01月01日

東京裁判、日中国交正常化なども重要論点だが、慰安婦問題にも紙幅を割く。

「強制連行」などの史実にかかわる部分については、「ないものはない」と歴史学者としての冷徹な分析を徹底しつつ、一方で問題そのものについての日本の道義的責任は回避できない、との立場。
同時に、アジア女性基金の設立、歴代日本国首相に...続きを読むよる直筆の「手紙」の被害者への手渡しなど、国際的な類例(典型的にはナチス政権を反省するドイツ)と比較しても決して恥じるべきではない、むしろ先進的で踏み込んだ謝罪も行ってきている、という点も強調(そしてそのことが韓国国内で全く知られていないことのPR不足への指摘も)。

右派左派双方の論客から批判的に読まれているようでもあるが、マスコミで取り上げられる「歴史認識問題」について、「学者」の冷静な整理をコンパクトに読みたいというニーズにふさわしい本と思う。

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Posted by ブクログ 2018年10月18日

特別なニュアンスを持ってしまった「歴史認識」という言葉。
特に、著者が注力したアジア女性基金が批判にさらされた経緯と行間からにじみ出る苦悩が印象的であった。聞き手の江川紹子氏がさすがの力量と思われる。

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Posted by ブクログ 2018年03月01日

最近よく見られる日本の近代史についての本は、かなり偏った下品な論調の目立つものが多いが、本書は日本の近代史について、バランスの取れた意見がまとまっていて、とても勉強になった。特に著者が直接関わっておられたアジア女性基金について、一般の報道などでは語られない事情にも触れていてかなり参考となる。

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Posted by ブクログ 2016年02月21日

「歴史認識」とは、日本人として、日本の近代史をどう考えるのか、ということだ。著者は、この問題について頭で考えただけの人ではない。アジア女性基金理事として多くの人との対話を重ねる中で試され、磨かれた末に得たであろう、実の詰まったことばで、この難しい問題をていねいに説明してくれている。
 とくに慰安婦問...続きを読む題については、韓国の問題ばかりがクローズアップされるが、オランダやインドネシア、台湾などの慰安婦もいたこと。それらの国々には「アジア女性基金」などの取り組みを通じて、首相の手紙を渡したり、資金的な援助をしたり、いろんな活動を行ってきたこと。ただ韓国だけは、「国家補償」にこだわる支援団体の頑なな対応がゆえにうまくいっていないことなど、交渉に当たった当事者としての言葉だけに重みがある。
 日本はたしかに近代化の過程でとくにアジアの諸国に多大な迷惑をかけた。それを「解決」しようと思ってはいけない。「侵略じゃなかった」とか否定するより、間違いは間違いと認めてはじめて、かつての植民地支配について「謝ってもいない」欧米諸国とは違う立ち位置に立てるのだという指摘、実にそうだなぁと思う。

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Posted by ブクログ 2015年09月05日

国際法学者としてのキャリアが、史実を恬淡として読み解いておられると感じた。
歴史修正主義者の発する言動は、少々暑苦しいところがあるが、大沼氏の説明には肩の力が抜けており、戦前戦後の日本の歩んだ道の概略として解りやすいものがあった。
第5章 二十一世紀世界と「歴史認識」において、英仏・米などの植民地責...続きを読む任が今後問われる可能性に言及されている。
日本が戦後取った戦争責任は堂々と世界に誇れるものだとの認識に国民も胸を張れという。
江川紹子さんの聞き方もさりげなくていいものでした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年09月01日

 戦後70周年の今年(2015年)、先の大戦が再び注目されている。特に周辺諸国との関係で歴史認識は重要な要素になっている。太平洋戦争とそれに付随する様々な問題。日本は加害者と被害者の両側面を持っており、認識が複雑になっている。著者は基本的に東京裁判史観を肯定的だが、過度に自虐史観に陥るのではなく、戦...続きを読む後の日本の取り組みで誇れる部分もあるとしている。特に強調しているのは俗人に視点というもので、よく議論でありがちな非現実的な思想を批判している。個人的に共感する考え方だった。

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Posted by ブクログ 2015年11月27日

「歴史認識」に関わる見取り図。戦争・植民地支配・人権への国際社会全体の捉え方が20世紀を通じて大きく変わり、法的に解決されたつもりだった問題に見直しが求められるようになったこと。日本国民に、反省をしつつも不公平さへの割り切れない思いが存在していたこと、中国韓国の被害者意識の矛先が日本に向けられやすい...続きを読むこと。

よくある反論ポイントをきっちり質問し、納得できる回答。捉え方や考え方が示されていてわかりやすかったです。

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Posted by ブクログ 2016年01月19日

国際法学者として、史実に立脚した冷静できちんとした分析、日本以外への批判も自己弁護のためではなくちゃんとされているのもすがすがしい。

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