R・F・クァンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻で積み上げられた「翻訳の魔法」という独創的な舞台装置は、下巻に入ると一転して、救いのない破滅へと突き進む。
全編を通して流れるのは、あまりにもダークで閉塞感に満ちた空気だ。最終的にロビンたちが選ぶ「自決」という結末にはほとんど希望が残されず、読み進めるのはなかなかに苦しい体験だった。
読後、強く感じたのはこの物語が持つ重層的な「政治性」だ。
銀のパワーで世界を牛耳るイギリスに対する「翻訳者たちの人生を賭けた儚い反乱」という構図。それは単なる歴史ファンタジーの枠を超え、現代における「アメリカ・英語・テクノロジー」という覇権に対する強烈なアンチテーゼのように映る。著者のルーツを思えば、効果 -
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ネタバレ「翻訳で失われる意味」を魔法のエネルギーにするというのは独創的な設定ですね。
上巻の半ばまでは、正直なところ物語の運びが少し回りくどいと感じる部分もありました。著者自身のオックスフォードに対する強い思い入れや、アジア系学生としての複雑な視点が色濃く反映されているせいか、必ずしもストーリーに直結しない衒学的な描写も多く、もっと軽快なエンターテインメントを期待していた身としては、少し足踏みをしているような感覚があったのも事実です。
しかし、主人公たちがイギリスを離れ、広東へと渡るあたりから物語の相貌が一変します。
それまで「知識」としてしか知らなかった植民地主義やアヘン貿易の残酷な実態を、彼ら -
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19世紀円半のロンドン、オックスフォード大学が主な舞台。中国、インド、ハイチなど、当時の大英帝国の支配下にあった国々から集められた言語能力に優れた子供達。オックスフォード大学の翻訳研究センター、通称バベルの塔で翻訳と銀を使った不思議な銀器を取り扱う。銀の力と言葉の力で魔法を起こすものだが、その力でイギリスは産業革命を成し遂げ、植民地支配を広げているというもの。アヘン戦争前後の下りは史実と一緒だが、一種のパラレルワールドになっている。主人公を含む4人の学生の友情や葛藤、愛国心、人種差別、奴隷制度、植民地制度をめぐる相剋が描かれている。オックスフォードという世界最高の学びやで、奨学金や生活費を支給
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魔法!ファンタジー!わくわく!と思って読み始めたらめちゃめちゃダークファンタジーで、 苦しい…悲しい…と思う場面が多くありました。けれど学生らしいふふっとするようなシーンもあり、読んでいてほんとうに色々な感情が芽生えました。 言葉を訳すことによって生み出される魔法の力。たくさんの言葉の意味が作中に登場して、それがどのような効果を生み出すのか、読んでいてとても面白かったです。しかし後半に行くにつれて、その力は正しく使われているのか。 そう疑問に思う主人公たち。その結末はとても胸が苦しくなりました。 ラヴェル教授が序章では想像もつかないくらいひどい(グリフィンとロビンをバベルに連れてくるための経緯
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Posted by ブクログ
ネタバレ差別や格差の構造的な問題を銀と翻訳の魔法の世界を使って読者に分かりやすいように表現したかったのかなと思った。あまりに分かりやすく説明されたため、この物語で重要なのはその問題を説明することであり登場人物たちや銀と翻訳の魔法は説明用に都合よく設定され用意されただけの存在に思えた。魔法は斬新な設定で登場人物たちも特殊な出自でどれも面白いのに、その魅力を味わえる話があまりなかった。語源の話は普通に面白かった。ロビン以外の主要キャラの退場がアッサリすぎて悲しい。いやほんと、世界観の作り込みはすごかったけど気持ちいい展開が無くてずっとストレス。ご都合主義な展開が好きというわけではないはずだが。普通に好みじ
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Posted by ブクログ
ネタバレ魔法!ファンタジー!わくわく!と思って読み始めたらめちゃめちゃダークファンタジーで、 苦しい…悲しい…と思う場面が多くありました。けれど学生らしいふふっとするようなシーンもあり、読んでいてほんとうに色々な感情が芽生えました。 言葉を訳すことによって生み出される魔法の力。たくさんの言葉の意味が作中に登場して、それがどのような効果を生み出すのか、読んでいてとても面白かったです。しかし後半に行くにつれて、その力は正しく使われているのか。 そう疑問に思う主人公たち。その結末はとても胸が苦しくなりました。 ラヴェル教授が序章では想像もつかないくらいひどい(グリフィンとロビンをバベルに連れてくるための経緯