R・F・クァンのレビュー一覧

  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    「言語とは民族の象徴である」と言ったのは、十六世紀の機織り職人ヒマーワリ・メーロンですが、あるいは「民族を隔てる」ものとも言える

    傲慢なバベルの塔の計画は神の怒りに触れ、その裁きによって人々は分断を余儀なくされた
    「翻訳」とは分断された人々を再び繋げるための営みなのか
    しかし悲しいかな「翻訳」に”完全”はない、異なった言語では全ての単語に全く同じ意味を持つ対の言葉は存在しないからだ
    どんなに近しい言葉でも、住む場所が違えば全く同じニュアンスで使われることはない

    それでは人々は「完全に分かり合う」ことはできないのだろうか?

    フィクションの力を借りずとも、現実の世界はその答えを明確に示してい

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    2026年06月20日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    ネビュラ賞にローカス賞、SFが読みたい2025年1位、そして星雲賞と国内外のSF小説の勲章を総ナメにしたR.F.クァンの『バベル』
    SFファンなら絶対読むべき一冊です

    ここでふと思ったんですけど、もうひとつのSFの世界的文学賞ヒューゴー賞は受賞してないのね
    こいつも受賞してたらSF三冠だったのにと思ったら、なにやらすごい不祥事が起きていたようなんよね

    ヒューゴー賞というのは毎年世界のどこかの都市で開催される世界SF大会ワールドコンにおいて参加者(読者)による投票で決められる賞なんだけど、2023年に中国の成都で開かれたワールドコンに、既にネビュラ賞とローカス賞を受賞していたにもかかわらず『

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    2026年06月20日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    上巻の前半部、所謂日常パートのようなものに退屈を感じ、ここまでくるのにかなりの時間を要してしまった。上巻の後半部に差し掛かってからあっという間だった。およそ2週間で下巻まで読みきってしまった。そのくらい物語は急展開を迎え、のめり込んでしまう魅力が詰まっていた。

    あとがきの末尾に、バベルは何かを抽象化、あるいは比喩していると述べられている。個人的な想いではあるが、自分にとってそれは「社会」だと考えた。学生時代、自分が働いている姿を全く想像できなかったが、社会に出て働くことは当然だと考えていた。自分が与えられるもの、何らかの支払える対価も持ち合わせていないというのに、どうして社会から必要とされる

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    2026年04月19日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    翻訳は単なる言葉の置き換えではない。歴史的、文化的背景のもとに、似たような言葉でも別のニュアンスを持っていることがある。その差が具現化する銀工術、一種の魔法のような技術がある世界の話。この魔法を使えるのは複数の言語に習熟した専門家のみ。バイリンガルだとさらに良い。19世紀、三角貿易で栄えていた英国が舞台。ようやく奴隷制度は廃止されたけれど、アジア・アフリカ諸国からの搾取は続いている時代。オクスフォード大学で学ぶことになった留学生たちの物語なのだが、人種差別に苦しむところから始まり、多くの社会的矛盾に直面する。200年近く昔の話なのだが、現代にも通じるものがあるし、もしかすると世界情勢は逆行して

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    2026年04月09日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    国が搾取され、そうした現実になんの疑念も抱いていない帝国主義に不信感を持ちつつ、置かれた環境に矛盾を抱えている主人公たちになんとも言えない気持ちになった。。言語がこの物語のキーになっていて、語源とか翻訳についての解説もまた面白かった。

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    2026年02月27日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    ネタバレ

     当初思っていた内容とは違っていて、初めはあまり進まなかったのだけど、上巻の中盤くらいからグッとギアが上がって、そこからはもうグイグイと引きずり込まれて、怒涛の展開に翻弄され、読み終わったいまではぐったりと虚脱しながらこの感想を書いています。
     広東で幕を上げるこの作品、なにが起こっているのか明らかにならないまま、あれよあれよと物語は進み、舞台はイギリス、ロンドンからオックスフォードへ。
     ほぼ史実通りのなか、たった一つのフィクションが紛れ込まされ、主人公はそのフィクションにまつわる大きな事件へと巻き込まれていきます。それは、「銀」を媒体とした「翻訳の魔法」。異なる言語で、同じ言葉を刻み込んだ

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    2026年01月03日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    物語の時代背景や人物像をじっくり描いたため、読み応えのあった上巻。ラストの衝撃を抱えたまま、下巻に突入!こちらはこちらで怒涛のスピード感。一気読み必至。これまで観てきた映画やドラマのワンシーンが折々に目に浮かんでは消えた。単純に“おもしろかった”で片付けられない複雑な気持ち。やっぱり豊崎由美さんが絶賛する本にハズレ無しだな。

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    2025年12月13日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    寝食を忘れて物語に没頭したのは何十年ぶりだろうか。
    それほどまでにこの物語は、ここ十数年で読んだ本の中で特別に素晴らしい。

    舞台は十九世紀のイギリス。銀と翻訳を支配する者が世界を制する時代。その中枢機関・オックスフォードのバベルで学ぶ一人の学生が主人公。

    中国の広東の港で育ったことから複数の言語が得意という能力をもち少年の頃に教授に拾われる。その生い立ちがまさしくこの本の作者の人生そのものだ。

    伝統と格式を重んじるイギリスにおいてアジア人はあざけられ不当な扱いを受ける。その様子が同じアジアの日本人である読者に共感を呼ぶ。

    たいていの翻訳SFものはカタカナが多く人の名前は覚えられず世界に

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    2025年05月26日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    ネタバレ

    1830年代大英帝国は、言語間の意味の差異により魔法を生じさせることを力に植民地帝国を維持・建設する。言語間の隔たりのと意味の差異が銀を媒介に魔法の力となることから、混血のバイリンガルの少年がオックスフォード大学のバベルに呼ばれ教育を受ける。
    大学生活の勉学と試験、友人との交流の穏やかな流れに、秘密結社との接触、さらにアヘン戦争直前の広州へ。

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    2025年05月10日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    ネタバレ

    下巻は怒涛の展開となってしまった。
    4人がバラバラになってしまった。
    レティの気持ちもわかるし、ロビンたちの気持ちもわかる、お互い分かり合えない、部分なんだと思って悲しい。
    アヘン戦争についてはいろいろ思うことがあるので、この本ではぜひとも回避してほしい。

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    2026年06月16日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    歴史と密接に結びつく展開なので、本当にあった話のように読んでしまった。
    2つの言語の意味と、銀の力によって引き起こされる魔法、、、
    ラテン語からの派生がいろいろ出てきて面白い!!
    脚注もしっかり書かれていて、本当にすごい!
    ただ、導入が長すぎて、今後どうなるか、下巻に期待!

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    2026年06月16日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    読んでいて思っていたのは、「虐殺器官」と通底するテーマだなということ。かたやアメリカ帝国、かたやグレート・ブリテンで、帝国を崩壊させる主体も虐殺器官ではアメリカ人、いわば本書でのレティであるという違いはあり、つまり実は全く違う物語であるかもしれないが。著者の他の本も出たら読んでみたい。

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    2026年05月19日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    #バベルオックスフォード翻訳家革命秘史 下

    魔法の力に支えられて世界へ版図を広げる大英帝国。
    異なる言語で同じ語源を持つ言葉を、銀の棒に刻み、その語を読むと魔法が発動する。それは数カ国語に通じた翻訳家にしか許されない秘技。しかし、決して唱えてはならない魔法の言葉があって・・・

    オックスフォードで魔法を学ぶ男女4人という設定は、ハリポタの影響を受けているけれど、本作は「ダーク・アカデミア」というジャンルだそう。
    同ジャンルの作品をもっと読んでみたいと思わせる本格ファンタジーだった。

    #読書好きな人と繋がりたい

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    2026年05月15日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    #バベルオックスフォード翻訳家革命秘史 上

    内容も世界観もとにかく分厚いので、取り組むには覚悟が必要。上巻だけで読み終えるのに1週間以上かかった。架空の19世紀イギリスで、銀の棒に言葉の力で魔法を刻む翻訳家たちの物語。本格ファンタジーの好きな方にお勧め。

    #読書好きな人と繋がりたい

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    2026年05月12日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    他言語の翻訳の限界。埋まらない理解の溝が権力と金の流れを支配してゆく。言語ファンタジーだからこそ描き出せる現代社会の地域・人種差別や男尊女卑の闇。脚注がいっそ虚構世界を強化して現代社会のメタファーへの皮肉たっぷり。読み応えがすごい。

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    2026年04月09日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    ネタバレ

    まさかのバッドエンド!
    そう来たか。主人公が生き残るわけじゃないんだな。予想できる結末じゃない点には満足。人種差別が何をどうしてもなくならないことも伝わった。

    ダークアカデミアな雰囲気、大人よりの魔法、勉強、語学、オックスフォードが好きなので、設定は間違いなかった。

    ただ、読むに従ってここまで人種差別が描かれているとは思わず、後半で「もういいよ」と満腹になってしまった。また、私はレイシストなので、主人公が中国人という時点で、実は本屋でTBRリストには入れなかった本でもある。

    イギリス人が読んでいるのを見たけど、どのように捉えるのだろう。私は損得感情が大きいので、自分が少しの得をするなら、

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    2026年03月26日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    長い学校に入学するまでの期間、長いバベルでの学習期間を経てロビンたち4人の人間関係の葛藤だったり学生ならではの悩み苦しみを少しずつ見せてくれたので良かった。個人的に下巻が始まってから期待外れだと感じてしまうところもあったが、語源や言語の話が多く言語への興味をより深めることができたので良書だと思った。読んで良かったです

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    2026年02月02日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    ネタバレ

    書評を見てからずっと読みたかった本。いっきに読んだ。
    翻訳がテーマなので、翻訳について何度も議論が交わされている。翻訳は原作そのものにはなりえない。原作のニュアンスを真に伝えることはできない、といった主張や言葉が通じることで広がる世界など否定や肯定が重なり合っている。
    話自体は時々読み進めるのが苦痛になるような虐待や差別が書かれている。
    主人公の行動や仲間、周囲の人の様子などありきたりな部分もあり、話の流れもどこかでみたような話だったりもする。こうなるんだろうな、という方向に最後まで話が流れていく。
    悪者側の人物たちがカリカチュアライズされすぎているように思える。でも、こういう小説に出てくるよ

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    2026年01月24日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    タイトルからノンフィクションかと思っていたらパラレルワールド的ファンタジーだった。
    大学、マント、世界中から集められたエリート学生たちの寮生活…とちょっとダークなハリポタっぽいところも。
    一応魔法っぽいのが出るけどこの作品では派手な回復や攻撃が出来るわけではなく、産業革命時の技術に代わるものであって商業商品みたいな意味合いを持っており、それを生み出せたり扱えるのがオクスフォードのエリート、という設定。

    魔法よりもメインになっているのは、扱っているテーマが帝国主義とマイノリティであり、搾取する側とされる側であり、虐げる側と虐げられる側と言う構図であり、幼くして有無を言わさずイギリスに連れてこら

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    2026年01月12日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    19世紀、大英帝国がその巨大な力を以て世界に君臨していた時代。
    大英国の力の源は銀と翻訳にあった。同じことを表す複数の異なる言語の単語を銀に刻むと、その言葉の意味の微妙な相違による歪みが力を生み、馬車の速度を早め、船の運行を円滑に行い、大砲の狙いの精度と威力を増していた。
    オックスフォードには世界各地から少年少女たちが集められ、大学構内の王立翻訳研究所バベルの塔で働く翻訳家となるために育成されていた。
    中国の広東省から連れてこられた少年ロビン・スウィフトは中国語の翻訳者としてオックスフォードに入学する。
    しかし、そこにはバベルから銀や蔵書を盗む秘密結社ヘルメス社があることや、英国は中国から銀と

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    2026年01月12日