R・F・クァンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本を手にする時も、読んでいる途中でも「SFファンタジー」という分類定義に何度も邪魔された。
SFならまだしもファンタジーは流石についていけないという思い込みに、「そんなのを何で今更読むんだ」と幾度となく引き止められた。
しかし純文学を頂点とする序列感覚や好き嫌いの決めつけがいかに読書の世界を狭めていたか思い知ることになる。そもそも文学や小説は仮構でありフィクションだ、作家は自由に創造力と構想力で表現を極め、読者がそれを受け止めて楽しめばよい。
それが自分の濫読のコンセプトであったはずだ。
この作品は傑作であることは間違いない。
ネビュラ賞・ローカス賞については知らなかったが、知れば受賞も -
Posted by ブクログ
“銀の棒が震えながら歌っていた。自分たちに関する筆舌に尽くしがたい真実を表現しようとしているかのようだ。それは翻訳が不可能だと言う真実だった。翻訳がとらえ、表現する純粋な意味の領域は決してわからないだろうし、わかりようがないことを。
というのも、アダムの言語なんてものがどうやったらあり得るのだろう? 生得的で、完璧に理解可能な言語なんてものは存在しない。そんな言語になり得る候補なんてない。威張りちらし、一つのものになろうとして、吸収できるような言語はない。
言語はたんなる相違なのだ。千もの異なる見方、世界の動き方がある。いや、ひとつの世界の中に千の世界がある。そして翻訳は、どれほど無駄であろ -
Posted by ブクログ
同じ意味の単語を二か国語からそれぞれ選んでも、語源を辿ると完璧には一緒の意味を示すことにはならない。言葉は、単語一つ取り出しても歴史的・文化的背景によって本質的に多義的なのだ。この単語のペアに含まれた意味のズレに魔法が宿る、という設定が面白い。これは自分でも考えて作りたくなる。
例えば日本語と英語のペアでは、こんなのはどうだろう?
「間」と「gap」をGoogleで調べるとAIがこう回答してくれる。
「間(ま)」と「gap」は、どちらも「隔たり」や「隙間」を意味しますが、ニュアンスや使われ方が異なります。「間(ま)」は、時間や空間、または心理的な隔たりなど、幅広い意味で使われる抽象的な概念で -
Posted by ブクログ
アヘン戦争や産業革命の時代の英国を舞台にした魔法使い(翻訳家)たちの物語。中国との戦争を止めるため植民地に出自をもつ魔法使いが中心となってクーデターを起こす。
すでに銀を触媒にした魔法は英国のインフラとなっておりストライキによってそのメンテナンスをしないことで混乱を拡大させていく。すでにインフラとなったインターネットやこれからなるであろうAIに置き替えると、職業が失われることがどういうことか、寡占的に起業に技術が集中し資本や政治と結びつくことで権力がどう暴走するのかということを考えさせられる。
物語として面白いけど前半の丁寧な前提の描写に対して登場人物が簡単に死にすぎだなと感じる。 -
Posted by ブクログ
19世紀、大英帝国は世界中の銀を手中に収めることで空前の大繁栄を遂げていた。
そんな中、遥か彼方の中国・広東で死にかけていた少年ロビンが、非印欧語のネイティブかつ英語話者という資質を買われオックスフォード大学教授のラヴェルの元で言語を教え込まれ翻訳家への道を歩み出す。
だが一方で、帝国に反旗を翻そうとするヘルメス結社の存在があった。
寮生活で親友たちと一緒、魔法が出てくるということもあって、どこか『ハリー・ポッター』のような雰囲気もあった
前半・ロビンたちの順風満帆さと、後半・その順風満帆さの裏に隠れた世界の構造との対比がえげつなかった
時々入る注釈が、『バベル』世界そのものの注釈として(例