R・F・クァンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アヘン戦争や産業革命の時代の英国を舞台にした魔法使い(翻訳家)たちの物語。中国との戦争を止めるため植民地に出自をもつ魔法使いが中心となってクーデターを起こす。
すでに銀を触媒にした魔法は英国のインフラとなっておりストライキによってそのメンテナンスをしないことで混乱を拡大させていく。すでにインフラとなったインターネットやこれからなるであろうAIに置き替えると、職業が失われることがどういうことか、寡占的に起業に技術が集中し資本や政治と結びつくことで権力がどう暴走するのかということを考えさせられる。
物語として面白いけど前半の丁寧な前提の描写に対して登場人物が簡単に死にすぎだなと感じる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ以下ネタバレしてます!!!
架空歴史学園ファンタジー? いやいや、これは、革命史。そう、タイトルは「バベル オックスフォード翻訳家革命秘史」後書きによれば、英語タイトルでは「バベル、あるいは暴力の必要性 オックスフォード翻訳家革命秘史」だそうで、助長なので「あるいは暴力の必要性」は削られたそう。読後に知ったけれど、たいへん的を射たタイトルだと思った。
上巻は楽しい。でも、ひたひたと変化が追ってくる緊張感を感じていた。ゆっくり澱が形成されていくように。生い立ち、血のつながり、搾取、差別、被支配、暴力、孤独。
上巻の終わりにそれまで澱のように沈んでいたものが撹拌され、衝撃的かつ決定的な事 -
Posted by ブクログ
19世紀、大英帝国は世界中の銀を手中に収めることで空前の大繁栄を遂げていた。
そんな中、遥か彼方の中国・広東で死にかけていた少年ロビンが、非印欧語のネイティブかつ英語話者という資質を買われオックスフォード大学教授のラヴェルの元で言語を教え込まれ翻訳家への道を歩み出す。
だが一方で、帝国に反旗を翻そうとするヘルメス結社の存在があった。
寮生活で親友たちと一緒、魔法が出てくるということもあって、どこか『ハリー・ポッター』のような雰囲気もあった
前半・ロビンたちの順風満帆さと、後半・その順風満帆さの裏に隠れた世界の構造との対比がえげつなかった
時々入る注釈が、『バベル』世界そのものの注釈として(例 -
Posted by ブクログ
19世紀円半のロンドン、オックスフォード大学が主な舞台。中国、インド、ハイチなど、当時の大英帝国の支配下にあった国々から集められた言語能力に優れた子供達。オックスフォード大学の翻訳研究センター、通称バベルの塔で翻訳と銀を使った不思議な銀器を取り扱う。銀の力と言葉の力で魔法を起こすものだが、その力でイギリスは産業革命を成し遂げ、植民地支配を広げているというもの。アヘン戦争前後の下りは史実と一緒だが、一種のパラレルワールドになっている。主人公を含む4人の学生の友情や葛藤、愛国心、人種差別、奴隷制度、植民地制度をめぐる相剋が描かれている。オックスフォードという世界最高の学びやで、奨学金や生活費を支給
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Posted by ブクログ
魔法!ファンタジー!わくわく!と思って読み始めたらめちゃめちゃダークファンタジーで、 苦しい…悲しい…と思う場面が多くありました。けれど学生らしいふふっとするようなシーンもあり、読んでいてほんとうに色々な感情が芽生えました。 言葉を訳すことによって生み出される魔法の力。たくさんの言葉の意味が作中に登場して、それがどのような効果を生み出すのか、読んでいてとても面白かったです。しかし後半に行くにつれて、その力は正しく使われているのか。 そう疑問に思う主人公たち。その結末はとても胸が苦しくなりました。 ラヴェル教授が序章では想像もつかないくらいひどい(グリフィンとロビンをバベルに連れてくるための経緯