西村亨のレビュー一覧

  • 自分以外全員他人

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    マッサージ師として働く柳田はもうすぐ45歳、友人はおらす趣味もなく塞ぎ込みがちで些細なことにイライラしてしまったりする日々を送っています。そんな彼が気分転換のために自転車を購入、遠出を繰り返すうちに楽しみを見出しますが、今度は自転車のことで様々な苛立ちを感じるように。
    賛否あると思いますが、一貫して陰鬱な印象。学びや成長ではなく破滅に向かっていこうとする主人公の様子にシニカルな印象を受けました。星3つとしました。

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    2025年09月17日
  • 自分以外全員他人

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    ネタバレ

    『了解。他に食べたい物があったらまたLINEして。』
    どこの家庭もだいたいそうなのかもしれないが、母は私が家に行くとやたらと食べ物を出してきた。心もとない小さな生き物を、とにかく大きくさせることに心血を注いでいた頃の名残りなのだろうか。もう十分大きくなった。今さら食べても仕方ないのに。

    ここだけは穏やかに読めた。
    確かに…ですね笑笑

    ラスト、急に感情を爆発させるのにはびっくり。登場人物にそういう人いるいるって思うし
    分からなくもないけど、そこまでイライラしたりこき下ろしたりしなくてもと思ってしまった。
    イライラするのにもエネルギーが必要だろうに…
    無関心は最大の防御。


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    2025年07月15日
  • 自分以外全員他人

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    ネタバレ

    犯罪をおかしてしまう方の気持ち・生活ってこんな感じなのかなぁと思いました。つらいだろうなぁと。最後のように優しさはほんのそこまできているのだろうに、受け取れない。その壁になっているものはなんなのだろう。タイトルどおり自分以外は全員他人って感じるってとても過酷だろうな。

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    2025年06月12日
  • 孤独への道は愛で敷き詰められている

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    母を嫌悪する男性主人公の作品はよくあるけれど、明確に母の「呪い」を嫌悪する男性主人公は珍しいように思う。起こる事象すべてが母の呪いのせいで、人生に自分に否定することしかおぼえてこなかった人。

    この作品には3人の女性が登場するが、関係を頭でっかちに脳内のみで考えすぎて、優しさを先回りしすぎて、自分とも相手とも向き合えずに自滅してしまう。それも母の呪いというが、本当にそうなの?

    この自己憐憫はとてもよくわかるわりに重苦しすぎず、さくさくと読み進めてしまえるので、もっともっとほかの作品も読みたい。次作も読みます。

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    2025年03月05日
  • 孤独への道は愛で敷き詰められている

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    ネタバレ

    タイトルが面白いと思って手に取った本だった。
    本当の孤独とは、敷き詰められた愛を全て踏み超えた先にあるらしい。

    本当の孤独にたどり着くことは愛によって憚られる話かと思っていたが、どうやらたどり着いてしまいそうな話だった。

    冒頭に登場する女性が、以降綴られる主人公に対して感じた違和感やある種の苛立ち、そして共感の正体を明確にしてくれていた。

    自分が卑屈であるのは幼少期の環境のせいであり、他人のために思考を巡らせた結果自ら身を引くことのできる優しい人間であろうとする、腹の底でそれを引き止められたいとも考えている。

    悲しいことに共感してしまった。

    聞こえは良くても実質は他人のために努力しよ

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    2025年03月03日
  • 自分以外全員他人

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    ちょ!?ちょちょちょちょっとーー
    (読後すぐの感想)

    生きづらさを敏感に感じる主人公柳田
    常に死にたい、生きるのを辞めたいと考えながら生きている。

    追い打ちをかけるのがコロナ。
    コロナ禍になり、人々が益々自分中心になり、我先にと他人を思いやる気持ちがどんどん薄れていく。
    他人のちょっとした言動や行動が、自分の意図しないことが気になり出すのは、ある意味他人への期待値が高いのだろうな...とも思う。
    凄く人間臭くて共感できた。

    死にたいがために不食を試み、どんどん痩せてはいるものの、自転車に乗ると気分爽快になっているところは救われる。

    最後の数ページの勢いが強くて、まるでホラーでした笑

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    2025年02月04日
  • 孤独への道は愛で敷き詰められている

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    希死念慮や自責の念を抱える主人公の話。
    その実言い訳がましさや、弱さが垣間見えるのも人間味があっていい。
    何をやっても上手くいかない、というのを文にした感じ。
    終始少し軽い。

    度々家庭環境でこうなった、という文言が出るが、その言葉が出る回数に比べると、あまり深堀されて居ないように感じる。
    若干ぼやっとした印象のままだけど面白かった。

    スラスラと読める

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    2024年12月17日
  • 自分以外全員他人

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    ネタバレ

    タイトルに共感して購入
     
    しかし、このタイトルというのは主人公の周りの人間を表したものであり、当の本人は真逆の存在。加え、その言葉を母親から言われた主人公は、受け入れることができず、体が拒否反応を出してしまう。
     
    前半は、共感する部分も多かったが、後半は主人公の暴走気味の行動に少し置いてけぼり感を感じてしまった。

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    2024年12月03日
  • 自分以外全員他人

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    最低限、自分の領域を侵されさえしなければ他人なんて関係ない…と思いたいけど、やっぱりイライラしちゃうこと、あるわ〜。

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    2024年11月16日
  • 自分以外全員他人

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    第39回太宰治賞受賞作。
    「自分以外全員他人」というタイトル、良い。

    太宰治賞は大好きな作家の今村夏子さんが過去に受賞されている賞なので毎年チェックしている。

    「自分以外全員他人」の西村亨さんは太宰治賞の受賞のコメントで、昔から生きづらさを抱え、早く死にたかったと答えていたのが衝撃的だった。気になって西村亨さんの他のインタビューを読んでみたら、死ぬ練習をしていたとか、遺書を冷蔵庫に入れているとか…色々と驚きが多かった。

    この本はタイトルにも惹かれたし装丁も素敵で、だいぶ前から手元にあった。買ってすぐに少し読んだ時、主人公の柳田譲が著者の西村亨さんそのものに思え、読みたいのに読んでいいのだ

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    2024年11月09日
  • 孤独への道は愛で敷き詰められている

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    前作同様、希死念慮のある主人公男性の一人語り。
    世の中に絶望し、何故そこに至ることになったのか?かつて、ある女性との幸せな日々があり、満ち足りた生活があったのだが…という話であるが、拗らせ系の話で、何もかも言い訳がましい主人公に頭にくると同時に過去の自分を見た。女々しいのである。厭世的な作品であるが、性的や暴力的描写はほとんどなく、淡々と進み、淡々と終わる。まだ今ひとつ作者のテーマや意図が読みきれないが、嫌いな作風ではない。少し軽いが。

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    2024年09月08日
  • 自分以外全員他人

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    駐輪場の件なんかは現実にありそうな感じがして怖い。純文学は好き嫌いはっきりわかれるけど、私はこの小説が纏う不穏な雰囲気割と好き。

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    2024年08月28日
  • 自分以外全員他人

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    その通りじゃん!なタイトルに惹かれて読みました。
    自分は柳田さんの言っていること、分かってしまう側の人間です、たぶん。「分かる」なんて簡単に言ってはいけないのだろうけど…。私小説なのか不明だが、世の中にこういう人がいる(いてくれる)と思うと、ちょっと救われる。こんな考え方も、生き方もある。私はそれを知るために、小説や映画に触れるのだと思う。

    ただ、周囲への不満が抑えきれなくなる後半は、分かるけど今の自分には共感できない領域まで主人公が到達してしまい、読んでいて複雑な気持ちになった。

    自分以外全員他人だと理解しているはずなのに、いちいち傷ついたり憎んだり期待したり。自分ばかり、何故、と思うか

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    2024年07月30日
  • 自分以外全員他人

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    ネタバレ

    「ただ、死ぬならなるべく人に迷惑をかけない形にしたいとは思いますけどね。取り込みとか飛び下りはもちろん、その姿が発見者にトラウマを与えるようなことにならないように。そうゆう配慮の無い自殺はみっともなくてダサいと僕は思います。」

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    2024年03月17日