西村亨のレビュー一覧
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本の雑誌が選ぶ2024年度ベストテンにランクインしていた本。
アラフォーの柳田譲が姉の友達の友達を紹介され、焼肉を食べながらあれやこれや、と考えるところから始まります。
なんというか、この柳田の感覚がずれていて、ツッコミどころ満載。笑っていいのか、同情したらいいのか、どう読めばいいのかわからなけれど、ページをめくる手かがとまりません。最後は過去の恋愛を回想して、彼なりの愛を説きます。
真面目で、うだうだして、不器用で、全部自分が悪いと思う柳田。マイナスにしか向かっていけない哀しさがなんとも言えません。
なかなか個性的で万人受けしない本だと思うけれど、私は大好き。読んで良かった! -
Posted by ブクログ
新作でとるやないかー!
この柳田さんは、前作の柳田さんと同一人物という認識で良いのだろうか。そうだとすると過去のお話になる。
自意識と厭世にまみれた男の語りで、読んでいて共感もあれば軽蔑も(ちょっとだけ)する。軽蔑は同族嫌悪かもしれない。あと前作もそうだったけどこの人の本は小説を読む気力がマイナス状態の時でも読めて、ありがてぇ。救いがない物語なのに自分には救いになる。文章がスルスル入ってくるのと、主人公の柳田が自分と同等かそれ以上に暗くて(笑)、人生を恐れているからだろうか。繊細さって、現実に何の役にも立たないし、それを盾にして過剰防衛(攻撃)してしまったりするよね。
玉絵ちゃんのキャラが結 -
Posted by ブクログ
ネタバレ追記
中盤の鬱で退職した人が診断受けて、主人公がそんな症状は診断受けなくても自分もある、と言ってるけどその人の目線では本当にしんどいかもしれなくて、そこも含めて「自分以外全員他人」ならもう物語で救われないね、と今の自分は思ってしまう
自分がいつか迷惑をかけてしまう前に死にたい、と言っていて本当に最後暴力に出るとは思わなかった。鬱屈した私小説らしきものが続くと思ったらそこで一気に創作になっていった。最後、管理会社の迷惑フォルダに入ってたけど対処します、のメールで終わってるのも良かった。
やさしくしてくれる人までブロックするのに、母のこともそれなりに恨んでいるのに家族のために保険金を残して死にた -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
文庫化されたというのに驚いて購入し、読んだ。
太宰治賞受賞作ということだが、(あまりまともに読んでいないため偉そうなことは言えないが)かなり太宰治を感じた。
文体がかなりオーソドックスで、陰鬱で、でも少し滑稽で、自意識を書いていて、何か自分を重ねてしまう。
僕の好きなタイプの小説だった。
だが反面、新しさは感じなかった。
久々に太宰治も読もうと思う。
P.18 独り身で大した苦労もなく、ただ生きているだけなのにしょっちゅう精神を病んでしまう自分が情けなかった。
P.122 たぶんもう他に生きようがないというか。これ以上無駄に生きればきっと、いつか取り返しのつかないことをしてし