畑浩一郎のレビュー一覧

  • サラゴサ手稿(上)

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    紙に書かれていた外国語の手記を口頭で翻訳してもらったものを口述筆記したという設定の物語。さらにその中の登場人物が物語を語り、その物語の中の登場人物も物語を語り始める・・・
    すごい入れ子構造の物語で、いまどの階層を読んでいるのか見失うことが多々ある。深い階層の物語が意外に長いので、最上位階層ではそれほど話が進んでいなかったりする。
    千夜一夜物語のような枠物語の一種だが、一人の語り手がたくさんの物語を語る線形構造ではなく、たくさんの語り手による物語が複雑に絡み合っている。
    この複雑な構造の物語を18世紀に書いたポトツキ氏は本当にすごい。
    ここまで約400ページ読んで全体の3分の1。読むのは少し疲れ

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    2024年01月02日
  • サラゴサ手稿(中)

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    騎士アルフォンソの手記の中に、彼に物語る人々の語りが入れ子入れ子で組み込まれていく物語。
    語る人々は、幽霊だか人間だかわからん美女、ジプシー族長、カバラ学者、悪魔に取り憑かれた狂人、政略渦巻く上流社会に属する人々、神に見捨てられた巡礼者、人のゴシップを掘り出しのし上がる厄介者…。彼らも民族も宗教も、キリスト教徒、ユダヤ人、スペインのイスラム教徒など多岐にわたる。
    出てくる人たちはなぜか美男美女ばっかり(笑)。特に男性陣は「盗賊」「ジプシー老人」と書かれているので野性的なおっさんを想像していたら「美しい男」だの「少年の頃女装して人を騙してた」とか、なんかお耽美な人たちだな 笑

    彼らが語る内容も

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    2023年07月11日
  • サラゴサ手稿(上)

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    読書会に申し込んだので準備中。

    作者はポーランドの大貴族で1761年にピキウ(現ウクライナ)で生まれた。政治家で軍人、数々の歴史書や旅行記も書いている。
    『サラゴサ手稿』の「第一デカメロン」が1805年(作者44歳)に発表されたが、その後全体手直しが行われ、1810年に作者無許可で手直し版が出版された。こちらの岩波全三巻は手直し後の1810年版による。
    あとがきの訳注で「1804年版はこうなっていた」と書かれているんだがそっちの版も面白そうで気になる。

    【まえがき】
    フランス軍将校がたまたまサラゴサで、スペイン語で書かれた古い手書きの書物を見つけた。将校はスペイン兵に捕まったが、スペインの

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    2023年07月09日
  • サラゴサ手稿(中)

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    そろそろ、誰が何を語っているのかメモをとったほうが良いかもと思いつつ族長の話を聞く日々。そして解説を見るに1804年版も読んでみたい

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    2023年06月16日
  • サラゴサ手稿(上)

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    サラゴサ手稿をどこでいつ知ったのか思い出せないのだけどようやく読むことができるようになって嬉しい。デカメロンの系譜というかなぞらえていたのか。今のところ話がどう転がっていくのか捉えどころなく目眩く感じが楽しい

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    2023年06月03日
  • サラゴサ手稿(中)

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    2/3を読み終えてしまった。まだ面白い。複数に分冊されていふ長編小説は、もし面白くなかったら損した感が大きいので、読む前は少し懸念していたが、読み終えない今のうちにすでに満足してしまっている。もちろん、下巻まで読むつもりだが、とにかく非常に面白い。

    上巻では、幻覚や悪魔や魔術などが多く登場し、そういった類の小説かと思っていたのだが、この中巻では、一部悪魔が出てきはするものの、基本的にはそういったものの登場しない人間模様が展開される。

    覗き見好きのブスケロスという怪人物が、いちいち憎らしくも話に豊かな展開を与えてくれてくれる。現実では絶対に知り合いたくない種の人間ではあるが、小説においてはこ

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    2023年04月18日
  • サラゴサ手稿(上)

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    まったく前情報を入れないまま、邦訳が完結まで刊行されたということで読み始めた。これで1/3読んだことになる。今のところ面白い。

    「第1デカメロン」とか「第2デカメロン」とか、「デカメロン」ってなんだっけ、と思って『デカメロン』を書店で軽く読んだけど、作中人物による語りによって物語が展開される形式をとっているってことなのかな?『デカメロン』も『千夜一夜物語』も読んだことがないけど、このへんと似ているらしい。

    作中の語りの中で、さらにほかの話が語られることが多く、「いま誰が何の話してるんだっけ?」と混乱しがちと思いきや、(たぶん訳者の方が?)それぞれの挿話にタイトルをつけて、目次にもそれを載せ

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    2023年04月14日
  • サラゴサ手稿(上)

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    工藤幸雄氏が逝去された後、もはやこの作品の全貌を知ることは叶わないだろうと思っていたが、まさか全訳が、それも岩波文庫で読めるようになるとは僥倖という言葉以外に表現しようがない。どうやら当分の間、ポトツキの魔術にに幻惑されながら過ごすことになりそうだ。

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    2022年10月02日
  • サラゴサ手稿(中)

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    前巻の後半からのジプシーの族長の話が一巻まるまる続く。
    シドニア侯爵夫人の話、ソアレスの話、フラスケタの話、神に見棄てられた巡礼者の話、族長自身の恋の話。これらは族長の少年時代から青年時代の思い出でもある。彼が主人公のように思えてくる。従姉妹どこ行った。

    登場人物が増えてだんだん話がこんがらがってくる。後半、別の話に出てきた人物の再登場などもあるがどんな人だったか、どんな挿話があったか思い出せず遡った。この小説は電子書籍より紙の方がめくりやすくて読むのに適しているかもしれない。

    前巻は怪奇幻想の趣が強かったがこの巻は控えめ。巡礼の話くらいか。悪魔の語りはサドの登場人物を連想させた。怪人ブス

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    2025年05月30日
  • サラゴサ手稿(中)

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    上巻よりあっさり読み終えてしまった。
    ファウストが思い出されて仕方がないのだが、とにかく残る下巻い進もう。

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    2024年08月21日
  • サラゴサ手稿(上)

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    「アルハンブラ宮殿」や「ドンキホーテ」のような世界で(どっちもスペインだからそりゃそうなのだけど)、「充たされざる者」のような取り止めのなさ、話の中に別の話が出てきて、さらにその中に別の話がといういくつもの入れ子に20夜目で流石にイライラして発狂するかと思ったところ、レビューによればこうした伏線は最後に回収されるというので一息ついてやっと落ち着いて読んでいこうと思い直した。
    ゆっくり読んだほうがいいなと思う。
    中巻を手に入れねば。

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    2024年08月16日
  • サラゴサ手稿(中)

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    サラゴサ手稿の中巻。この巻では、一人のトリックスターが登場し、いい具合に読者のヘイトを集めてくれる。ムカつくけど、このような人物がいるからこそ物語はより魅力的になっていくのだ。

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    2023年04月06日
  • サラゴサ手稿(上)

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    18世紀ポーランド人の書いた千夜一夜のようなもの。
    外人部隊の隊長に任命されたスペイン人がムーア人の美女らと関係を結ぶところから話は始まる。次々と現れる登場人物たちが語る話は、次々と入れ子構造を為していく。この時点では、個々のエピソードの関連性は見えてこないが、十分に魅力的である。

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    2023年04月06日
  • サラゴサ手稿(中)

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    入れ子構造が複雑になり、今何の話をしているのか掴みづらくなって来ているが、それに反して内容は面白さを増している。

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    2023年02月07日
  • サラゴサ手稿(中)

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    上巻と同様に入れ子構造の語りが迷宮的に入り組む構造。河出文庫の「東欧怪談集」にそこだけ切り出す形で収録された「トラルバ騎士分団長の物語」のように独立した怪奇掌編と見なせる部分も多い。一方でブスケロスに父親を殺されたとも言えるアバドロの、反応の薄さとか、下巻への伏線とも思える部分もちらほら。巻末の解説によるといちばん収まりのいいヴァージョンとのことだが、さてどうなることやら。

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    2022年12月18日
  • サラゴサ手稿(上)

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    誰かの打ち明け話の中で、別の誰かの打ち明け話が始まるような入れ子型の構造とか、昔の人はホントにこんな考え方をしたんだろうかと悩んでしまうような浮世離れのした筋の展開とか、まだ三分の一だからね、まだまだ楽しませてくれそう。

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    2022年10月06日