金水敏のレビュー一覧
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「大阪ことばの謎」のうち最大の謎は、近代以降方言の弱体化の中で、なぜ大阪ことばだけが全国の日本語話者に影響を与えるほどの力を持っているのか、とのこと。
それを、語法やアクセント、大阪ことばの発達の歴史や、他の関西方言との関係、コミュニケーションの特質など、多彩な観点から解明していく。
第一章で「大阪人のじゃべりはなぜ軽快か」とある。
どんな話が来るのかと思ったら、オノマトペの使用が多いという特徴から話が始まっていく。
三島・芥川(東京人作家)と織田作之助・上司小剣・今東光(大阪人作家)の比較をすると、1万字あたりの使用率に数倍~十倍弱の開きがある。
そして、大阪人のオノマトペの使い方には、そ -
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これも,面白かったな!
そして,生粋の…と言うか,標準語しか話せない話者として,潜在的に刷り込まれてる方言話者に対する「差別」と,嫌が上にも向き合うことになった.
東北弁,北関東弁を話すと「無学な田舎者」,関西弁を喋れば「お調子者の信用ならない食わせ者」…広島弁はヤクザで,九州弁は漢気ある堅物,沖縄訛りは寛容な人…みたいな,勝手にステレオタイプにカテゴライズしている…そうじゃない事は分かっているし,バカげたカテゴライズだとも分かっているし,それを元にお付き合いの仕方を変える訳ではないのだけど…本や映像で見聞きすれば勝手に人物像のプロトタイプが出来てしまう…刷り込みとは,本当に怖い.
標準語で話 -
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「アルヨコトバ」には少なからず侮蔑的意味合いが含まれていることには,幼い頃から「なんとなく」の感覚を持っていたけど,それが日本と中国を取り巻く近代史を中心に,それこそ,中国4000年の歴史への畏怖,裏返しとしての侮蔑…複雑で捻れた国家的,国民的感情が,世情や必要性と複雑に絡み合いながら誕生したコトバであること…なんという奥深さと面白さと,そして愚かさと悲しさであろうか!
今感じている感覚をどう消化して行くのか…
親しんできたいくつもの小説や映画が頭の中をぐるぐるしている
本書にも登場する「サイボーグ009」も,「らんま1/2」も,数々のジャッキーチェンの映画の吹き替えも…それぞれに登場するキャ -
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「これながいきのくすりある。のむよろしい。」といった台詞を聞くと多くの人が中国人を思い浮かべると思うが、そんな「アルヨことば」の来歴を探り、それと関連する戦前・戦中に満洲で用いられたピジン(境界語)である「満洲ピジン」や、中国の抗日映画などで日本人が話すピジン風のことばである「鬼子ピジン」についても触れている。
確かに実際の中国人がそのような話し方をするのを聞いたことはなかったものの、「アルヨことば」は漫画などで中国人キャラが喋るちょっと滑稽なことばということで幼いころから親しんでおり、「アルヨことば」=中国人というイメージが頭にインプットされていて、その起源などを考えたこともなかったが、本書 -
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<目次>
第1章 大阪人のしゃべりはなぜ軽快か~大阪弁のリズム
第2章 歌う大阪弁~アクセントが作る言葉のメロディ
第3章 大阪弁・関西弁はひとつじゃない~「ほんもの」の大阪弁とは?
第4章 大阪弁はいつ、どのように生まれたのか~「コテコテ大阪弁」の誕生とその後
第5章 大阪人は本当にけちか~ステレオタイプの成立と変容
第6章 大阪人のコミュニケーションはどこがちがうのか?~大阪人はストリートファイター
第7章 日本語話者はなぜ大阪弁に魅せられるのか~ポストモダン化する日本語話者
<内容>
真面目な大阪弁の分析本。テレビの創世記に生まれた関西人(大阪人?)への言葉の偏見が変わっ