あらすじ
「そうじゃ,わしが博士じゃ」という博士や「ごめん遊ばせ,よろしくってよ」としゃべるお嬢様.現実には存在しなくても,いかにもそれらしく感じてしまう言葉づかい,これを役割語と名づけよう.誰がいつ作ったのか,なぜみんなが知っているのか.そもそも一体何のために,こんな日本語があるのだろう?(解説=田中ゆかり)
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Posted by ブクログ
これも,面白かったな!
そして,生粋の…と言うか,標準語しか話せない話者として,潜在的に刷り込まれてる方言話者に対する「差別」と,嫌が上にも向き合うことになった.
東北弁,北関東弁を話すと「無学な田舎者」,関西弁を喋れば「お調子者の信用ならない食わせ者」…広島弁はヤクザで,九州弁は漢気ある堅物,沖縄訛りは寛容な人…みたいな,勝手にステレオタイプにカテゴライズしている…そうじゃない事は分かっているし,バカげたカテゴライズだとも分かっているし,それを元にお付き合いの仕方を変える訳ではないのだけど…本や映像で見聞きすれば勝手に人物像のプロトタイプが出来てしまう…刷り込みとは,本当に怖い.
標準語で話しただけで「東京か!」って,お土産物屋さんで敵意剥き出しにされた沖縄での経験,東京から引っ越した北埼玉での言葉の違いに端を発した強烈な仲間外れの経験…そしてその中で標準語話者だけのコミュニティが発生して,方言話者と交わらないまま今に至っていることは,今となれば立場を逆転した時の良い気づきだったのだ…自戒を込めて.
これって,言葉に留まらずものすごく深いところで無数に存在する「差別」「偏見」のごく一部で,所謂マイクロアグレッションにも繋がる問題なんだよな…
こんな小さな一冊でとても大きなテーマをいただいた気がする.