【感想・ネタバレ】大阪ことばの謎のレビュー

あらすじ

日本語学の泰斗にして役割語研究の第一人者が、文楽、落語、小説、漫才、インタビュー、マンガ、アニメ、ドラマ等の幅広い資料を参照しながら、ことばと文化をめぐる謎に正面から挑む。

一度キチンと知っておきたかった
「大阪ことば」のあれやこれや。
目からウロコとはこのこと!
ほんまにほんまに。
――万城目学(小説家、大阪府出身)

※カバー画像が異なる場合があります。

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Posted by ブクログ

アニメ・漫画『じゃりン子チエ』を見て以来、大阪弁が気に入った。そのため『大阪弁の秘密』などを読んだりしたが、本書は柔らかい題名に見えて、なかなかに学術的な内容となっている。大阪ことばの、ネイティブが表現するメロディアスなアクセントは、非関西人が真似るには難しいらしい。だから、エセ関西弁が見破られてしまうのだな~。京都弁が地方に広がった遠い過去。その後、明治に標準語が東京から広がる。方言周圏論を思い出した。大阪弁は進化しながら、方言の中心地として日本各地に影響を与えているのかもしれない……知らんけど。

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

金水敏先生のご著書『大阪ことばの謎』を拝読しました!
扱っているのは真面目な内容なのに、なぜだか笑ってしまう——
大阪ことばが題材だからか?
それとも金水先生の文体?
おそらく先生の語り口が文字になっているからこそ、なんとも言えない面白さがあるのかもしれません。

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2025年05月18日

Posted by ブクログ

「大阪ことばの謎」のうち最大の謎は、近代以降方言の弱体化の中で、なぜ大阪ことばだけが全国の日本語話者に影響を与えるほどの力を持っているのか、とのこと。
それを、語法やアクセント、大阪ことばの発達の歴史や、他の関西方言との関係、コミュニケーションの特質など、多彩な観点から解明していく。

第一章で「大阪人のじゃべりはなぜ軽快か」とある。
どんな話が来るのかと思ったら、オノマトペの使用が多いという特徴から話が始まっていく。
三島・芥川(東京人作家)と織田作之助・上司小剣・今東光(大阪人作家)の比較をすると、1万字あたりの使用率に数倍~十倍弱の開きがある。
そして、大阪人のオノマトペの使い方には、それを使うことでいきいきと伝わるが、削っても文意は通る用法(本書では「詳細オノマトペ」と名付けられる)が多いという。
これを著者は大阪人のポジティブ・フェイス(相手との一体感を重視する傾向)、相手と体験を共有したいという大阪人の欲求に由来するもの、と説明していた。
が、話はここで終わらない。
東京ことばと違い、大阪ことばは繰り返し表現を好み、それをかなり高速で発音すること、打消の助動詞「ん」や撥音便による「ん」の多さなどと合わさって、独特のリズム感を生み出す、というのだ。
正直、音楽のグルーヴ感がいまいちわからないリズム音痴の自分にはこのあたり、面白いけれど今一つ腑に落ちない感もある。
大阪ことば(関西弁?)にはねっとりしたイメージもあるから。

第2章では、大阪ことばの音楽性に関わるアクセントの特徴が扱われる。
東京式アクセントの分類は、音の下がり目となる拍を数値にした「型」式だが、京阪式アクセントでは型に加え、単語の頭が高いか低いかで「高起式」「低起式」の「式」の区別が加わるという。
ここ、もう少し知りたいと思ったところ。
なぜ大阪ことばは「型」だけでは分析できないのだろう。
ともあれ、大阪ことばがメロディアスであることはよくわかった。

大阪弁と一口に言っても、摂津・河内・和泉の三つがあり、現代では摂津・河内の差はあまりなくなっているそうだ。
非関西語圏で生きていると、そんなことも知らない。
ただ、大阪弁には規範意識があまりないというところが興味深かった。

漫画に見る「大阪弁・関西弁キャラ」の変遷は、著者の専門領域である役割語(人物像に結びつく言葉の使い方)にも関わる話題なのか?
図々しい、騒々しい、がめついなど、あくの強いキャラを演出してきた関西弁が、近年は変化し、コミュニケーション力が高い活発なキャラクターと結びつくようになったそうだ。
それは知らなかったし、将来も変化していくことが予想されるわけで、面白い。

自分のことに関わってくることがらとしては、最終章で扱われる関西外の日本語話者の、関西弁へのまなざしがある。
関西弁話者の楽しさ重視のコミュニケーションスタイルが、団塊ジュニア以降の、特に若い世代のコミュニケーションスタイルと共振して、関西弁が広がっているという話だった。
自分の実感としては、関西圏の近くに住んでいるとはいえ、それほど関西弁にあこがれはない。
東日本の震災後、関西出身のボランティアの方が、現地の方から警戒感を持たれたという話も本書に紹介されていたが、その気分がなんとなくわかる感覚を持っている。
「どんくさい」などは関西弁オリジンだとは思わず使っていたかもしれない。
むしろ、漫才の言葉が大阪弁一択でなくなってきているという変化がとても気になっている。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

大学時代、関西人の押しの強さに戸惑ったことを思い出す。関西弁と言っても河内、摂津などで異なるし、もちろん京都や神戸も別。
文法から実際の文学、落語。お笑いからの引用や文法の説明など学術的なしっかりした内容。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

アルヨことばの本面白かったな、と読んだら、関西の方言の基礎知識から始まり大阪という都市の歴史からエンタメの関西弁キャラの変遷まで多岐に渡ってて面白かったです。関心があればそりゃそうなんだろうけど先生いわゆる猛虎弁までがっつり押さえてる。研究者とはすごいものです。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

万城目学さんの帯に惹かれて購入。
普段はサラーッと使ってることばの不思議さや成り立ち、現代までの変遷がテンポよく収められています。言語学ってなんか小難しいイメージだったのですが「おもろいやん」ゆうてチャチャッと読めて楽しかったです。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

関西弁話者です。
ラジオで紹介されていたので、興味を持ちました。

他県に進学した際、関西圏でも語尾が違ったり、知らない単語があったりと、驚くことが多々ありました。
この本は、これらの現象についての説明が、大阪ことばの歴史とともに詳しく書かれています。

また、関西圏の人は、会話に間を作ることは少なく、会話に落ちをつける。
これを習ったわけではなく、普段の会話で鍛えられているなど説明されており、とても納得しました。

関西弁話者にとって、こういう事だったのか〜という発見もあったので、読んで良かったと思います。

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2025年10月14日

Posted by ブクログ

考えてみたら、我々はみんな
日常会話とビジネス用会話とで
話し言葉を変えているんでは?
イントネーションは仕方ないけど
家族や友達にしゃべりかける感じと
お客様に話しかける感じでは少し違うように。
というわけで、日常会話としての方言が
どの地方でも残っていくといいなぁ!

ちなみに個人的には
「オチ」というより「返し」を
求めている気がします。
会話のキャッチボールがしたいのよ
…知らんけど(´▽`)

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2025年06月13日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  大阪人のしゃべりはなぜ軽快か~大阪弁のリズム
第2章  歌う大阪弁~アクセントが作る言葉のメロディ
第3章  大阪弁・関西弁はひとつじゃない~「ほんもの」の大阪弁とは?
第4章  大阪弁はいつ、どのように生まれたのか~「コテコテ大阪弁」の誕生とその後
第5章  大阪人は本当にけちか~ステレオタイプの成立と変容
第6章  大阪人のコミュニケーションはどこがちがうのか?~大阪人はストリートファイター
第7章  日本語話者はなぜ大阪弁に魅せられるのか~ポストモダン化する日本語話者

<内容>
真面目な大阪弁の分析本。テレビの創世記に生まれた関西人(大阪人?)への言葉の偏見が変わってゆき、いまや日本人の憧れの言葉になっていると分析。その証拠として、「どんくさい」や「知らんけど」を挙げている。やはりテレビの漫才師、コント師たちが広めているようだ。

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2025年05月29日

Posted by ブクログ

大阪弁の変遷を知ることができて面白かったです。

かつて大阪で働いていましたが、その昔ですら聞くことがほとんどなくなっていた船場言葉を話す営業さんを思い出しました。「〜でおますな」などと、書けば芸人言葉と同じでも、船場言葉は柔らかいのに、ドライでさらっとしていて、客の気を損ねることなくビジネスを進めることに特化した言葉なのだと感心したものです。

著者の大阪愛が端々に感じられて、読んでいるうちに気恥ずかしさすら感じてしまいましたが、この本を手に取る方は関西に所縁のある方でしょうから、きっと共感できるところが多いのではないでしょうか。

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2025年05月18日

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