髙山裕二のレビュー一覧

  • 同調圧力:デモクラシーの社会心理学

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    同調:他者の意見に合わせること。
    カスケード:特定の意見が社会に広く伝播して、運動や流れを起こすこと
    これらが民主主義においてどのような役割を果たしてきたか。

    他人が面白いと言った本を、つまらないと思っていても「そうだね面白いね」というのが同調で、10万部売れたベストセラーという情報で本を買うのはカスケード。
    自分が詳しく知らないことを、いちいち全部調べて手間をかけるより、専門家に同調する方が社会的には効率的。でも、もし間違っていると思うなら、その意見は表明する方がいい。なぜなら、本当に間違っているのに、誰も是正できていないだけかもしれないのだから。異論の表明には、重要な役割がある。集団内の極論化(テロリスト集団など)を防止し、深刻な誤りを是正する。
    それができていたら、特攻しないで済んだのではないか(無意味だと知っていた人間も多かったと思う)
    そのため、社会ために、異論が表明されること、表明者の安全が保障されることは大切。
    同調は不案内なことを確認しないで効率的だが、自分で考えておらず、思考のただノリ状態でもある。
    情報カスケードによってオバマやトランプが誕生した。ネットにより、カスケードを人為的に起こしやすくなっている。
    これらの話が、アメリカの裁判制度やアファーマティブアクションなどの実例とともに説明される。
    多様性が何のために必要なのか、どんな社会を理想と考えるのかの一助になる。とても勉強になる。

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    2024年05月26日
  • 同調圧力:デモクラシーの社会心理学

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    今更ながら学びと示唆に富む一冊。
    アルゴリズムの呪いによってどこを向いてもエコーチェンバーに晒される現代において、本書の「集団極星化」への理解と“自分もそうなり得る"自覚を持つことは重要だなと。

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    2026年09月18日
  • 同調圧力:デモクラシーの社会心理学

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    <目次>
    序章 社会的影響の力
    第1章 同調はどのようにして生じるのか
    第2章 カスケード
    第3章 集団極性化
    第4章 法と制度
    結論 同調とそれへの不満

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    2023年10月20日
  • ロベスピエール―民主主義を信じた「独裁者」―(新潮選書)

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    フランス革命時に登場したこの人物に何となく興味を持って読んでみた。本書によると、ヒトラーやスターリンでさえその罪と共に『良いこともした』と言われることがあるのに、ロベスピエールに関してはそうした評価は皆無だという。独裁者として後の世に非常に評判が悪いその人物像を追う。

    本書で度々『清廉の人(腐敗のない政治家)』という言葉と、幼い頃から非常に頭が良かったことが述べられている。独裁者という人物像は後に政敵達によって作られたイメージが多分にあるようだ。ロベスピエール自身が決断に加わって恐怖政治を行っているが、他の政治家も似たりよったりであり、権力闘争の中の一コマのように思える。そして共通しているのは『熱狂した民衆』の支持が背景にあることだ。社会から不要とされた人物が民衆の後押しで処刑されるのは『究極の民主主義』を感じる。

    公開処刑が一つの『見世物』だった当時と今とで価値観がかなり違うことを考慮する必要がある。社会を変える必要がある変革期には理想の実現のためには荒っぽい政治手腕が必要とされること、そしてそれを支持する民衆の存在がいつの世もあるようだ。

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    2025年08月10日
  • 同調圧力:デモクラシーの社会心理学

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    原題は同町:社会的影響の力、である。デモクラシーの社会心理学は訳者の付け替えである。最初は社会心理学の同調の有名な実験の説明であり、最近ではカスケード現象の説明である。内容は法律についてであり、著者は法律の専門家であり、訳者も法律家である。心理学の説明のために訳を苦労したと書いてある。
     学部の学生が法律関係であれば役立つであろうが、心理学あるいは社会心理学に興味があったらこの本よりもアロンソンの本の方がもっといろいろと書いてあるので読みやすと思われる。法律関係で卒論に心理学の知見を入れて書こうという学生には役立と思われる。

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    2024年08月25日
  • フランス知と戦後日本:対比思想史の試み

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     フランス知とは何か、本書で明確に定義されている訳ではないが、近代市民革命の典型と考えられてきたフランス革命に代表されるようなフランスを主に念頭に置いて、フランスの政治、社会、歴史、文学、芸術等に関する研究や批評により表されるものと考えれば良いだろうか。
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     本書は、そのようなフランス知が、ある時期まで戦後日本において大きな影響力を持ってきたことを踏まえ、代表的な研究者及びその著作を取り上げその内容・意義等を紹介、論じつつ、それにより日本の戦後思考を捉え直そうとする試みである。

     3つのパート、各3編ずつ、計9編の論考が収載されている。
     第Ⅰ部は、近代の一つの特権的な起点であるフランス革命と関係の深いものが取り上げられ論じられる。
     ・樋口陽一『近代立憲主義と現代国家』
     ・柴田三千雄『フランス革命』
     ・遅塚忠躬『ロベスピエールとドリヴィエ』
     第Ⅱ部は、戦後日本の知識人におけるフランス知のあり方の諸相を提示しようとする観点から選ばれたもの。
     ・加藤周一『羊の歌』
     ・清水幾多郎『オーギュスト・コント』
     ・福田和也『奇妙な廃墟』
     第Ⅲ部は、1968年を経験した研究者によるフランスの論じ方の特徴に光を当てようとするもの。
     ・西川長夫『フランスの近代とボナパルティズム』
     ・西川長夫『パリ五月革命 私論』
     ・谷川稔『十字架と三色旗』

     もちろん各論者の論じ方はそれぞれではあるが、読み手である論者がいかに当該著作を読んだかという視点="私性"が結構はっきり出ていて、読みごたえがあった。
     日本では明治維新の歴史的性格を巡る参照軸としてフランス革命について様々な議論がなされてきたことや、最近の研究状況、問題関心の所在等についてもそれなりに知っていたが、ド=ゴールの第五共和政がそれまでの議会中心主義を大きく転換するものであったこと、日本ではほとんど研究のないボナパルティズムの再評価の動きなどについてはまとまった形では知らなかったので、とても面白く感じた。
     
     自分のアンテナに引っかかったところについて、関連する著作を読むブックガイドとしてもとても有益だと思います。

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    2024年04月14日