木下龍也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なぜ、『続すごい短歌部』とか『『すごい短歌部2』と、副題がついてないんだろう?と思ったのが一点。
こちらの本の出版をはじめて知ったとき、木下龍也さん単独の第4歌集を出されるのかと期待してしまった。
もちろん『すごい短歌部』の続編でもうれしいのですが、理由を知りたいなと思った。
文芸雑誌の『群像』の編集部が短歌のテーマを考え、読者から募集して歌人の木下龍也さんが選考、講評。木下さん自らも同じテーマで短歌を詠み、一首が出来上がるまでの推敲とその思考過程を詳細にさらけ出す。その名も『群像短歌部』の連載の書籍化第二弾。ちなみに第一弾を読んでなくてもOK。
短歌専門誌でないからか、木下龍也さんのカラーなのか、専門用語をなるべく使わず
平易だけれどもひろがりのある講評がうれしい。
短歌が身近でない人にも、短歌を読むときの「?」を一緒に丁寧に考えていこうという少人数の塾みたいなスタイル。(塾行ったことないので想像。)
一読して面白く、評を読んでさらにおもしろくなる短歌ばかり。
木下龍也さん情報も小出しにされているので、木下龍也ファンも小躍りするだろう。
巻末の穂村弘さんとの対談に刮目せよ。
木下龍也さんのはじめて詠んだ短歌に言及されているのだが、最初の短歌からもうすでに「木下龍也の短歌」だ。(どこが?とかは訊かないで)
はじめに、が良すぎて震えた。 -
Posted by ブクログ
現代短歌を、詠みたい/読みたい、と思ってる方におすすめ!
あるテーマを決めて短歌を募集し、その中から、歌人・木下龍也さんが「すごい」と思った短歌を講評。
木下龍也さんも同テーマで短歌を制作。
短歌を思いついたきっかけから、何度も推敲した短歌とその過程を惜しげもなく開陳。
詠む者/読む者としては、たいへんありがたい書物。
読者投稿の短歌の講評は、ときに1ページまるまる使っていることもあり、読み応えがある。講評された方も嬉しいだろうなと思う。
短歌の読み方がわからない、という方も、木下さんの補助線に従って読み進めれば、よさがわかってくるかもしれない。
推敲過程は、ふだん人目にさらされないものだから、こうやって見せていただけると、なるほどと参考になるともに、木下さんも人の子なんだ、と安心する。
そういえば、亡くなった歌人・笹井宏之さんも、12回だか17回だか、推敲していた、というのを聞いたことがある。
サッと書いた一筆書きに見えるうつくしい書でも、たくさんの習作が必要なように、やはり推敲は大事なのだ。
読むのも読むのも、一首について、かなり練り込まれており、木下さんに比べたらわたしなどは、何も考えてないのに等しいよな、と思ってしまうのが副作用。
プロの歌人の方では、青松輝さんがベテランちというYouTuberネーム?で、自作の解説を一首2、30分掛けて解説されていた。
そちらにも感銘を受けたので、ご興味のある方は是非。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ短歌で紡がれたラブストーリー。。。
と思ったらラブミステリー?はたまたラブサスペンスか??
木下さんと鈴木さんに、してやられた感じだ。
海辺で花火、仕事で会えなかったクリスマス、同棲の準備……。
お二人によって紡がれていくことで、恋愛小説を読んでいるかのよう。
でも、そこは短歌。
五七五七七以外の余白を想像で埋めてゆくのは、読者である私たちだ。
いつだって恋は繊細に揺らぐもの。
揺らぐものなんだけど………。
その衝撃の展開に、え?え?え??
でも、落ち着け、私。
何かがおかしいじゃないか。
同棲かと思いきや、お二人が歌っていた短歌の、ペットがそもそも違うじゃないの。(犬と猫)
木下さんの「母が泣き出す」の歌もなんだか変だ。(彼女なんて、そもそも居ないんじゃないの?)
鈴木さん→木下さん→鈴木さん→木下さん………と詠み繋いでゆくから、歌の中の男女が今まさに交際中と思い込んでしまってたけど、
読み進めるにつれ、何かがずれてゆく。
タイトルにも“メリーゴーランド”って文字が入ってるしなぁ。
メリーゴーランドって、上下に揺られながら重なったりずれたりしつつグルグル回り続けるもの。
なのに流れてくる曲はメルヘンチックで、永遠にぐるぐるぐるぐる…。
考えようによっては、どこか不気味だ。
ああ、どこか何かで、私はお二人の罠にまんまとハマってる!
エピローグで、お二人の仕掛けたメリーゴーランドは1周する。
ってことは、全ては虚構だったってこと???
解説本が欲しーっ!!(企みが明かされる特装版が発売されてるみたいですね)
これは何度も読み返したくなる歌集だ。
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Posted by ブクログ
初めて歌集という読み物を読みました。
が、すごく良かった!
◼️良かった点
・短歌って聞くと、読むのにハードル高い感じしたけど、本書は恋愛、ミステリーのストーリー展開でとっつきやすい。
・エロティックな歌、狂気な歌など普段の自分なら、共感しづらき歌が割と心地良く読めた。(木下さんが詠む歌の方が同じ男性目線だからか歌の内容が理解しやすかった)
・31字という限られた文字数の中、削ぎ落として綴られる凝縮されたエッセンスのような一句が、読者に歌に込められた意味を想像させ、掻き立ててくれる。
なんか本書を読んだばかりのレビューで、勢いで書いてしまったけど、わかりづらいな笑
一言で言うなら新ジャンルの面白さでした。
そして、現代の短歌集は今後も読んでみたくなりました。
自分はジャケットに惹かれて特装版を購入しましたが、絶対特装版をおすすめします。
特装版には作者たちの首評と、物語の内容についてが触れられた小冊子が付属するからです。
正直これ読まないと「よくわかんなかったな…」で終わりかねないと思います笑
(小冊子を読まずに作者の意図を読み解くとしたら3周して辿り着けるのかどうかかな?自分は3周でも無理かも)
◼️気に入った歌
・「いつか海辺に住みたい」に「ね」を添えてふたりの夢をひとつ増やした
・音楽も香りも売っている場所で声も匂いもほしい、と思う
・本棚にふたりの過去を並べれば「海辺のカフカ」上上と下下
・脱がすときわずかに腰をベッドから浮かせてくれるやさしさが好き
・お揃いでつけていたキーホルダーのスーモまだひとりで生きていた
・伝票にふれている手にぼくの手を重ねて明日を変えてみたいよ
・恋愛は羽で数えよ井の頭公園に百羽のスワンたち
・「恋人はいますか?」なんて言えなくて代わりに訊いた「また会えますか?」
・地下をゆく電車にも窓はついていて、なくてもいい恋なんてなかった
・どの恋もきみにやさしくあるための予習だったな 十の深爪 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごいもの読んだ。
たしかにすっごく上質な「歌集」なんだけど、それだけじゃなかった。
まったく予備知識なしで読み始めたんだけど、男女二人の歌人がそれぞれ交互に歌を詠んでひとつの物語を作っていく、っていう構成なのはすぐにわかって、はじめのほうは素直に楽しく読んでた。
脳内で浮かぶ絵は魚喃キリコか浅野いにお。実写なら岩井俊二の空気(世代バレ)。
少しけだるいような、ささやかでしあわせな恋。
荻窪がどういう雰囲気の土地なのか知らないけど、なんかこうやって地名が入ると一気に都会の片隅で肩寄せ合う男女の生活感みたいなものが滲んで良いね。
しあわせな恋人同士のふたり。
やがて同棲をはじめ、ペットを飼い、彼氏が母親に彼女を紹介する。
で、このあたりから、だんだん、「ん?」っていう違和感がやってくる。
一首一首の完成度が高いので、違和感の正体にはすぐには気づかなかった。
でも、どゆこと?って、その2つの歌が並んでいる意味を追求することなく、ただ漠然としたと違和感だけを抱えたまま進んで行く。
やがてはっきりと事実らしきものが明らかになる。
彼女には新しい恋人ができて、彼の元を去っているらしい。
きっかけは母との顔合わせのあと?彼女は逃げた子猫を探しに行き、そのあと行方をくらます?
とにかく誕生日の歌で、二人がもう一緒にいないことが決定的に描かれる。
彼氏は彼女を探しているけれど、見つからない。
それから回想。「2年前」と書いてるのでわかる。
彼女が落とした赤い財布を拾ったことが出会いだったらしい。
ここでの感情は、彼女のほうが深いような気がする。
前半読んでるときは思わなかったけど、最初に好きになったのは彼女のほうだったんじゃないのかなあ。
恋のはじまりの、きらきらした二人の歌がここに入るっていうのが残酷。
そしてこっからは完全にサスペンス劇場。ラストに向けて一気に不穏になっていく。
短歌が並んでるだけなんだけど、場面がドラマのようにはっきり描写されてる。臨場感すげえ。
彼女(仮・ハルカ)のマンションに行く彼(仮・タツヤ)。
同じ階で先にエレベーターを降りた男が、ハルカの部屋のインターホンを鳴らしたので、タツヤは「は?」ってなる
逃げ込んだエレベーターの窓から、タツヤは、ハルカと男のキスシーンを目撃。
パニックになったタツヤ、どっかから包丁買って来て、ハルカの部屋を襲撃。
けれど刺すことはできず、新恋人に阻まれたりして、自分が刺されてしまう。
傷を負って渋谷の街をさまようタツヤ。
だんだん意識が遠のいていく。サイレンが鳴り響く中、世界がぐるぐるとメリーゴーランドのように回る…(ちくしょう私がまとめて書くとなんでこんなに陳腐になるんだ)
一回目読んだときは茫然としてしまった。
なんてこった…あんなにしあわせそうだったのに!
でもすげえな、歌集でこんな衝撃。
描かれてる一首一首は、その瞬間の感情を見事に切り取っていて、心の渇いたおばちゃんの私にもぎゅんぎゅん刺さってくるようなやつばっかりなのに、これらが連なることによって一つのストーリーが浮かび上がってくる。
しかもただのラブストーリーじゃなくて(いや途中までは純度の高いラブストーリーに見える、ハッピーエンドに向かうように見える)、とんでもないサスペンス展開……。
とか思いながら、もう一度読み返してハッとした。
「え、これ、どこからが幻覚?」
どう考えても変、っていう点が仕掛けられてるじゃん。うへえ、気づかなかった!!!
二人が飼ってたのは犬なの?猫なの?
トイプードルのはずだったのに、途中から「猫」になってるじゃないか。
お母さんには彼女が見えていない?
てか無視してるのかと思ったけど、見えていないんじゃなくて、本当にいないから?
泣き出したのは、「そこにいるじゃん」って言った、息子の狂気のせい?
♂母を追いきみも子猫も駆け出してひとりで剥いている萩の月
♀缶ビール潰せばベッドに逃げてゆく子犬、こいぬという名にしよう。
♂「いる人が見えない 病気」こんなとき(にも/こそ)ぼくはGoogleに訊く
この3首の並びがよくわからなかったんだけど、この少し前の、母と息子の会話の場面もヒントなのか。
彼女も同席してるはずなのに、母親は終始彼女を無視してるようなことを言う。
ひでえ母親だと思ったけど、そうじゃなかったのかよう~。
♂「広いわね」「まあふたりだとちょうどだよ」「そっか、子猫も家族だもんね」
♂「恋人はいないの?」「なんで?いるじゃんか!?そこに!!!」と指せば母が泣き出す
彼氏のほうの歌だけ抜き出してみるとはっきりするんだけど、彼女の歌と交互に並んでるせいですっかりケムに巻かれちゃってた。油断した。
彼女が言ってる「ベッドに逃げてゆく子犬」って、犬じゃなくて新しい恋人ってこと?
そう思ったら、この物語(歌集だ)をどう解釈していいかますますわからなくなった。
ホントにサスペンスじゃん。
他にもヒントがあるのかもしれん。もっと何回も読めばわかるのかも。
木下龍也さんを初めて知ったのは岡野大嗣さんとの「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ」だったんだけども、
あれもたしかに結構サスペンスの空気があったんだよね。
はっきり描かれてはないけど、なにか破滅的な事件の匂いがした。
今回のは、あれをより濃く、具体的に仕掛けた感じ。
彼はいつから彼女の幻覚を見ていたんだろう。
犬を飼っていた頃には、まだ二人でいたはず。
このあたりがすごい謎解きポイントな気がする。
小冊子つきの特装版とやらを買えば謎が解けるんだろうか…
でも自分で勝手に解釈したいような気もするんだよね。
それにしても、「歌集」ってものの概念を越えた作品だった。
これをネタバレなしで読めて、衝撃食らってよかった。
小説ではできない仕掛けだし、感情の部分の鮮烈な切り取りはやっぱり短歌でしか表現できない部分だし。
ほんと、すげえものを読んだなあ…
もっと話題になっていい作品だと思う… -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく良かった
歌人の木下龍也さんと鈴木晴香さんが短歌で紡ぐたくらみに満ちた恋愛ミステリー。
鈴木さんの歌は明朝体で、木下さんの歌はゴシック体で表記されている。
恋愛中の本好きの二人が、海行って花火見て、同棲して…ん?なんか変だぞ?
今まで短歌を読んできて想像していたストーリーと微妙にズレてきて、物語は一気に不穏さを増してくる。
今まで読んでいたものは何だったの?
あれは、誰だったの?
普段短歌に親しみのないひとでも、恋愛小説読み、ミステリ読みには楽しめるんじゃないかと思う。
短歌というものは限られた音数に言葉を当てはめるため、そのぶん削ぎ落としている言葉が多い。
それゆえ、想像の余地が大きく、1首1首がミステリめいている。
畳み掛けるように展開していく物語に、ページを捲る手が止まらなかった。
考察系が好きな方にもぜひ。
特装版もあり、グッズ展開もしている。
特装版にしか無い小冊子読みたい!
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Posted by ブクログ
ネタバレ手分けして夜を吸い込む黒猫のおかげで街は朝を迎える/木下龍也 p115
これは唯一無二な作品ではない?ので、選ばなかった?と記載されていたが、大好きな詩となった。
いっぴきじゃなく、複数の猫ちゃんが手分けしてることも、世界中の生物のために必死になって夜を吸い込んでくれていることも、想像するだけで尊い。
おそろいが欲しくてほんなら許してくれる気がして贈った文庫/シラソ p127
ここに載っている方は本当にすごいな、と思う。1番衝撃を受けたのはシラソさんのこの詩。
本なら許してくれる気がするというところに共感を得るし、お気に入りの本を相手にも贈ることは一種の告白で、そのようなことをしたくなった過去もあるので、大共感の嵐がきた一首だった。
わたしもいつか木下龍也さんに講評をいただいてみたい。 -
Posted by ブクログ
読者から短歌を募り、人気歌人、木下龍也さんが選んで講評していく。
時には「間違っていたらすみません」と断りを入れながらも、自由に解釈していく姿は、短歌の楽しみ方としてとても参考になる。
凝縮された31音から、ここまで具体的な場面や物語を想像できるのかと驚かされることが多く、選者としての木下さんの想像力の豊かさがとても素敵だった。
ひとつの短歌から、作者も意図していなかったような世界がいくつもうまれる。それも、短歌の魅力なのかもしれない。
穂村弘さんとの対談も、独特な感性を持つお二人ならではの、ちょっとシュールなやり取りが面白かった。
「短歌を書きまくれば自我はなくなる…」
センスは学べなくても技術は学べるとのことなので、私も短歌に挑戦してみるのもいいなと思った。