エミリー・グラヴェットのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ハーディングの短編
今までで一番読みやすいけれど、しっかり読み応えもある
ハーディングらしい子供が主人公のブラックファンタジー
詩と死を通して主人公と思いを残した者が成長する姿と、ハーディングの言葉のオシャレな紡ぎ方を楽しめた
電子書籍で読んだが、電子書籍も絵付きで本文も画像のためにテキストを拾ったりハイライトが入れられないのと文字が小さいのが老眼にはちょっと読みづらい… ピンチがやっかい
あと彼女の文章にたくさん挿絵をつけてくれちゃうのは楽しみを半分取られるような気分なので個人的にはいらないです
児童書扱いとするのはちょっと違うかと思う -
購入済み
挿絵は多いが中身は濃厚
日本で訳されている作品には外れがない。挿絵が多く、いつもより短くてシンプルな筋立てだが、いつも通り濃い人生が描かれる。敵に追われ、妨害を乗り越え、舟を進める少年。父に教えられた道を必死にたどるが、なかなかうまくはいかない。ネタバレになるので難しいことは脇に置くと、手に汗握るストーリーは単純におもしろいです。
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Posted by ブクログ
「嘘の木」の著者フランシス•ハーディングの最新作はイギリスの絵本作家エミリー•グラヴェットの挿画が付いた120ページの短編。この挿画がよくはまっていて素晴らしい。
マイロの父親は死者の魂を船に乗せて送り届ける渡守り。島の住人は死者が出るとその靴を渡守りのところへ持っていく。渡守りの仕事は、兄のレイフが引き継ぐことになっていた。そんなある日、領主の娘が亡くなり、父親は靴を受け取った。ところが領主は娘の死を受け入れず、靴を取り返そうとする…
死とは何か、生きるとはどういうことかを問いかけるファンタジーとして大一級の傑作だと思います。
父親がマイロではなく兄のレイフを後継者に指名したのは何故か。 -
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Posted by ブクログ
「ひみつの友だち」ものは、それだけでワンジャンルできるほどたくさんあるけど、ひみつの友だち視点で書かれたものというのはついぞ読んだことがない。そういう意味ではほんとに奇想天外。
しかもよく正体のわからない男とそのひみつの友だちも出てくるし(これがまたこわい!)頭のなかにいっぱい「?」が飛び交って、最後も謎が解けたような解けないようななんだけど、しまいにはジーーーーン。
この本は、完全に大人視点で読んだな~。ママのリジーがいいんだよね。クラスメートのママが、娘がひみつの友だちが見えると言い出したとたんうろたえて精神科に連れていくところが茶化して描いてあるけど、親になったらそういうふうになって -
Posted by ブクログ
「見えないお友だち」の物語。
想像力豊かなアマンダとアマンダのつくりだしたラジャー。ふたりは大の親友だったけど、ある日アマンダが事故にあって、ラジャーはどんどんうすくなっていってしまう。見えないラジャーの風変わりな冒険譚。
想像力豊かな子どもがつくりだす「見えないお友だち」がでてくる作品はおおいけれど、「見えないお友だち」の方が主人公のものはめずらしい。ファンタジーを交えて想像力あふれる子どもの世界を描く一方で「見えないお友だち」を信じない子や親たちも描いている。ラジャーの存在を信じてくれるアマンダのママがとてもいい。おめでたいただのハッピーエンドじゃない終わり方もすき。わりとコミカルな語り -
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Posted by ブクログ
世界の運命を決する戦いに巻き込まれてゆくわけではない。死と生の均衡を保ち世界を救うために旅に出るわけでもない。
渡し守は、霧深い小さなマーランク島で、なすべき仕事を粛々と果たす存在だ。
敬意は払われていても、あくまでも職人として、家業として、死者が島に留まって災いを招かないように、壊れた塔の島へと船で運び続けてきた。
渡し守に向かないと父に告げられた少年が、悲しみや怯えに屈っしそうになりながらも、父のやりかけた仕事を引き継いで船を出すのは職責を全うする意志からだ。
この父と息子の厳しくも認め合う関係性が、死とは何かという幻想的な物語の芯となっている。
死者に思いを巡らし、死者の声に応えるこ -
Posted by ブクログ
児童文学の世界は海外と言わずとも、日本でも大家は多い。
が私にとって、ハーディングは第一作から虜にさせられた別格の神的存在。
作2024年12月発刊のこの作品、バタついていてなかなか読めなかっただけに 読み始めると砂地に水が吸い込まれるように脳内に染みわたった。
従来の彼の作品と比したら、かなりボリュームが少ない。
だが、内容、メッセージ共に「作品はボリュームで語るもんじゃない」を如実に体現している。
そして挿絵の素晴らしさ~お初ともいえる画家の肩だが、作風のイメージを見事に体現。
モノクロのトーンは児童文学の世界で宗教画とも言えそうな神的温度を思わせる。
ハーディングはデヴューして20年 -
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Posted by ブクログ
魂の息吹と囁きが読み手まで伝わってくる… 夢の中を冒険しているようなファンタジー #ささやきの島
■あらすじ
主人公マイロの父は死者の魂を島に送りだす仕事の渡し守をしていた。父の仕事に憧れているマイロだったが父からは渡し守には向いていないと言われていた。
ある日、領主の娘ガブリエルが亡くなってしまうが、領主は娘の死が受け入れられなかった。そのトラブルに巻き込まれた父は殺されてしまい、島に死者の魂が放たれてしまう。
マイロは父の任された渡し守の仕事を引き継ごうとするが…
■きっと読みたくなるレビュー
いつもファンタジーな世界に誘ってくれるフランシス・ハーディング。今回の作品はかなり短めな -
Posted by ブクログ
ネタバレ強く成長する少年少女の冒険譚を書かせたら、右に出る作家はいないのではないか。フランシス・ハーディングの絵本。
死者を正しく導かないと、島中を闊歩することになる。そんな島で魂の渡守をしていた父が死に、後継と思っていた兄が捕まり、半ば無理矢理に渡守になる必要があったマイロ。娘の死を信じたくない領主に追われながらも、死者たちの魂を運ぶマイロの冒険。
首のない鳥、骨でできたアーチ、途中から螺旋階段しかないあの世とこの世を繋ぐかのような塔など、いつもの幻想的、ファンタジックな世界が、挿絵がつくことにより一層引き立てられ、絵本としては非常に満足。
ただやはり、ガッツリと長編で読みたかった。主人公のマイ