エミリー・グラヴェットのレビュー一覧
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人間の住む土地に凶暴な森が入りこみ、人の住める場所は砦として築かれた壁の中だけになっていた。壁で生まれ育った少女フェザーは、生まれて初めて出会った「よそ者」メリルドゥンのために砦の宝物である望遠鏡を無断で持ち出したが、メリルドゥンに奪われたうえに殺されかける。望遠鏡がなくては、壁に暮らす仲間を危険にさらしてしまう。フェザーは相棒のウロコフェレット、スリークとともに、住み慣れた壁を出て決死の追跡を始めた。
わたしたちが暮らす世界とは違う生態系が広がるこの作品では、森がとても危険な場所になっている。植物の成長力がとても強くなり、動物たちも人間に有害だ。なぜそうなったのか、どんな仕組みなのかは語られない。フェザーにわからないことは、読者にもわからないのだ。それだけに、壁の外という未知の領域に踏み出したフェザーの恐怖や不安がひしひしと伝わってくる。野営で満足に眠れないフェザーの疲労がリアルだ。
印象的だったのは、城の人々の考え方だった。自分たちが海を越えたら、森が無い安全な土地に種の形で森を持ち込んでしまうかもしれない。安全に暮らしている人々の生活を危険にさらすかもしれない。だから、大海原に漕ぎ出すことはしないのだという自己犠牲のような考え方は、なかなかできるものではないと思う。居るか居ないか分からない他の土地の人類のために、自らが森から解放される道を閉ざすなんて、よほど崇高な精神の持ち主たちなのだろうか? わたしには理解しづらいと感じた。
森と人類の関係は、本来の自然と人類の関係を彷彿とさせた。本来、自然とは人類よりも強いはずなのだ。人類は集団を作ることで自らを守り発展してきた。これから、人類が攻勢に転じることがあるのだろうか? 結末のあとに想いを馳せるのも楽しい作品だと思う。
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森に侵食され壁のなかだけに人が暮らしている世界。壁の一角灰色男の門集落に住むフェザーは、冒険心にあふれた少女だった。だが集落のはずれで出会って外の話をしてくれたよそ者メリルドゥンに手ひどく裏切られ、望遠鏡を盗まれたうえに崖から突き落とされてしまった。望遠鏡は灰色男の門にとってかけがえのないものだ、このままではみんなのもとに戻れない。フェザーはペットのフェレットだけを連れ、メリルドゥンを追ってひとり危険でいっぱいの森に踏み入った。
ささやきの島でタッグを組んだエミリー・グラヴェットとのコンビ第二作。今回は、表紙が全て森の描写。ベースは黒。その上に森の様子が浮かび上がる。登場人物の描写は、本を開いてからになる。
フェザーたちの身なりが、髪は短く刈っており、囚人服のようだ。想像されるのは、ナチスドイツに駆逐される、戦争当時のユダヤ人だ。不気味に侵食してくる森は、自然破壊による、自然自体の人間への反乱とも受け取れるが、ユダヤ人に向けた迫害のメタファーとも受け取れる。そうなると、離れた場所にいる、それぞれに避難していた人たちが、連帯し、実現する未来は、実際に行われたゲットーの反乱とも。ただし、人々が目指しているのは森の消滅=一方の不在ではなく、自分たちが生き残る道=共存である。絵本なので、起承転結がはっきりしている。 -
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地球は生きているのだ。
人間中心にものを考えすぎている警笛に感じられるディストピア風冒険の児童書。
ちょっとナウシカを思い出す。
けれど今回もハーディングらしい世界観。
少女が問題解決のため奔走、大きな外界と向き合う勇気とガッツに引き込まれる。
過ちを正すのに命がけだ。
大きな危険な意思に飲み込まれない。
自己観察し、目標へひ走る。
望遠鏡は未来のビジョンや客観的視点としてよくメタファーとして使われるが道具そのものが大事な事なのではなく、人生経験そのもので補填できる。
そして…思いやりと恩返し。
それが離れた集団との協力に繋がる。
イラストもよくて大満足 -
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かつての繁栄時代につくられた〈壁〉に住む人々、少女が未知なる世界に旅立つ冒険小説 #千の目が光る森
■あらすじ
巨大な森に浸食された世界、かつての繁栄時代につくられた「壁」を住処としている人間たち。ある集落に住む女性フェザーは、世界を知っているというメリルドゥンと出会う。しかし彼に突然壁の上から突き落とされてしまい、望遠鏡も盗まれてしまった。フェザーは望遠鏡を取り戻すため、危険な森の中へ冒険に出ることになり…
■きっと読みたくなるレビュー
荒廃して森に浸食されてしまった社会を背景に、少女が未知なる世界に旅立つ冒険小説。
まるでジブリ映画をみているような感じですね。120ページほどの短いお話で、優しくのどかな挿絵も愛らしい。主にYA少年少女向けのファンタジー小説、どなたでも楽しめますよ。
まずエミリー・グラヴェット氏の挿絵が、ホント素晴らしいのよ。表紙を見て下さいよ、吸い込まれそうな森の緑と闇。そこに無数の眼の光。不気味で怖いけども、これから何が起こるか分からないといったドキドキ感が伝わってきますよね。
そしてパラパラをページをめくってみてください、かつての栄華が廃ったディストピアな世界。しかしそこは広大な森、植物、虫、動物といった、絶大な自然に包まれているのです。巨大な情報に追われ、目が回るほど忙しい毎日を過ごしている人こそ、本書を手に取ってほしい。きっと癒されること請け合いですよ。
物語としては少女フェザーが住んでいた望遠鏡を盗まれた上に壁から突き落とされ、未知の世界に出ざるを得ない状況に見舞われる。その中で様々な人や動物に出会い、経験を積み重ねていくというお話。
フェザーはペットのフェレットといつも一緒、でも特別な知識も能力もない。しかし彼女は一歩踏み出す勇気があり、感受性が豊かで、正義感と優しさにも溢れている素敵な少女。危険な森の中でも生きぬけていける理由が伝わってくるんすよね。
そして物語の後半、森の闇に足を踏み入れる。急に反転する世界観にドキリとさせられます。ペットを抱きしめて、暗闇を一歩ずつ慎重に歩いているような感覚になるのよ。こんなにも求心力が強い場面はなかなかありませんよ、素晴らしい表現力だったなー
さてフェザーは望遠鏡を取り戻すことができたのか、そして彼女の運命は? 特別に派手なこともなく彼女の冒険が終わるのですが、そこには時代や場所に限らない、人の温かさを感じましたね。
■ぜっさん推しポイント
本作はメリルドゥンが望遠鏡を盗むところから物語が始まる。彼がこの世界が何故荒廃したのか語るのですが、ここに現代の社会課題が詰まっている気がしますね。そして盗んだ望遠鏡はどうなったのか… その後のフェザー行動に、この難題を解決するためのヒントがあるんだと思いました。 -
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世界の運命を決する戦いに巻き込まれてゆくわけではない。死と生の均衡を保ち世界を救うために旅に出るわけでもない。
渡し守は、霧深い小さなマーランク島で、なすべき仕事を粛々と果たす存在だ。
敬意は払われていても、あくまでも職人として、家業として、死者が島に留まって災いを招かないように、壊れた塔の島へと船で運び続けてきた。
渡し守に向かないと父に告げられた少年が、悲しみや怯えに屈っしそうになりながらも、父のやりかけた仕事を引き継いで船を出すのは職責を全うする意志からだ。
この父と息子の厳しくも認め合う関係性が、死とは何かという幻想的な物語の芯となっている。
死者に思いを巡らし、死者の声に応えることは、仕事に必要ないどころか命取りでもある。
耳を塞ぎ、心を閉ざすのが必然。
感受性や共感する心を持ちながら、渡し守として生きることは、どう考えてもしんどいことに思えてくる。
優しさゆえに死者が残してゆく想いを受け取って生きることは、ときとして重荷を背負っていくことに他ならないのだから。
それでも、人は死に方だけでなく、生き方も選べない。ただ自分だからできることを、ただ自分らしく精一杯にやって、生きる。
決意とも違う、少年の柔らかな覚悟がさわやかだ。
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魂の息吹と囁きが読み手まで伝わってくる… 夢の中を冒険しているようなファンタジー #ささやきの島
■あらすじ
主人公マイロの父は死者の魂を島に送りだす仕事の渡し守をしていた。父の仕事に憧れているマイロだったが父からは渡し守には向いていないと言われていた。
ある日、領主の娘ガブリエルが亡くなってしまうが、領主は娘の死が受け入れられなかった。そのトラブルに巻き込まれた父は殺されてしまい、島に死者の魂が放たれてしまう。
マイロは父の任された渡し守の仕事を引き継ごうとするが…
■きっと読みたくなるレビュー
いつもファンタジーな世界に誘ってくれるフランシス・ハーディング。今回の作品はかなり短めなお話で120ページ程度、挿絵満載な児童向けの一冊になっています。ただし、内容はいつもの通り濃厚濃密、じっくりと空想力をつかって読むようにしましょう。
もうね、例によって世界観が鬼エグなのよ。夢の中を大冒険してるのかいってくらい、果てしない空間に誘ってくれる。
海、山、島、船、風、空、そして人間と魂。たくさんの息吹と囁きが読み手まで伝わってくるんよ。特に今回はキュートな挿絵も挟まれ、ページをめくるだけでうっとりとしちゃいますね。また表紙や挿絵も幻想的で素敵すぎるんです。ぜひ子どもたちに読んで欲しい!想像力が膨らむこと間違いなし!
主人公のマイロ少年、なぜ彼は父からは渡し守には向いていないと言われているのか。誰もよりも思いやりある優しい子、だからこそ父は死者に隙をつかれてしまうと思っていた。確かにマイロは自分に自信がなかったのですが… 彼の行動、選択を噛み締めていくうちに、父も読者も心を動かされていくのです。
冒険が終わった後、人々がどう慰めを得ていくのか、そしてマイロのこれからはどうなるのか。ページが終わりに近づくたび、しっとりと心が満たされる作品でした。
■ぜっさん推しポイント
本作のテーマは「生と死」 人間がいかに生へ執着しているのか、その理由や愚かさが描かれています。死というものは辛く悲しいものですが、受け入れるものでもあります。
そしてもうひとつのテーマ「優しさと強さ」 人のために労力を使い、自身を犠牲にすることがどれほど難しいことなのでしょうか。少年の覚悟し、成長していくことで「優しさと強さ」を手に入れていくのです。
我が息子にも読ませたく勧めてみたのですが、まるで興味を示してくれませんでした。ですよねー -
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ネタバレ強く成長する少年少女の冒険譚を書かせたら、右に出る作家はいないのではないか。フランシス・ハーディングの絵本。
死者を正しく導かないと、島中を闊歩することになる。そんな島で魂の渡守をしていた父が死に、後継と思っていた兄が捕まり、半ば無理矢理に渡守になる必要があったマイロ。娘の死を信じたくない領主に追われながらも、死者たちの魂を運ぶマイロの冒険。
首のない鳥、骨でできたアーチ、途中から螺旋階段しかないあの世とこの世を繋ぐかのような塔など、いつもの幻想的、ファンタジックな世界が、挿絵がつくことにより一層引き立てられ、絵本としては非常に満足。
ただやはり、ガッツリと長編で読みたかった。主人公のマイロは追われはするが、自身の力でピンチから抜け出す感じではなく。。。長編だとそのあたりのストーリーも描けたのでは、と思うと星4に。
もちろん、ラストの娘、父の描写は流石のハーディングだなぁと。グッときました。
あと余談だが、この作品は流石に文庫化はないかと思って今のうちに購入したが、本当は全作文庫で集めたかったかなぁ。。。絵と文があまりにもマッチしているので、今のままでも十分家に置いておきたいほどではあるが。 -
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ラジャーはアマンダが想像力で生み出した男の子。親友のふたりは夏休み中、冒険をして遊んでいた。ところが、アマンダの家にバンティングという派手なアロハシャツの男が訪ねてきてからふたりに恐ろしいことが起こり始める。「見えないお友だち」をめぐる勇気と冒険と友情の物語。
バンティング氏と女の子がとても怖かった。挿絵も不気味で怖さに拍車がかかる。アマンダの想像力はあらゆる場所を冒険の場に変えてしまう素晴らしいものだと感心した。そしてアマンダのお母さんが素敵。見えなくてもラジャーの存在を受け入れ、アマンダの好きなように冒険させてくれる。児童文学の子どもの冒険は親の存在が希薄なことが多いけれど、アマンダのお母さんはすべてを受け入れ、子どもの味方で居てくれる最高のお母さん。こんな大人になりたいと思った。 -
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ネタバレ子どもの頃、見えないお友達がいましたか?
アマンダは想像力が豊かな女の子。ある日、洋服ダンスから現れたラジャーという少年と友達になる。母には見えてない。が、ラジャーをいるものとして扱ってくれた。
2人は楽しく過ごすが、ある日奇妙な男が訪ねてくる。後ろには黒髪の不気味な女の子がいた。アマンダにはその子が見えた。そして、その子はラジャーを見つめていた。その後起こる恐ろしい出来事の数々、私が小さい時にこれを読んだらきっと怖くて読むのをやめてしまうかも。たとえ子ども向けでもホラーが苦手だから。
でも、リジーがレイゾウコを思い出した時、奇跡が起きる(。•ᴗ•。)♡レイゾウコが幸せな気分で最後の仕事を終えられて本当によかった。
アマンダとラジャーの幸せな時がいつか終わってもきっとラジャーはアマンダを忘れないだろうな。アマンダのママも素敵。
小学中学年~高学年くらいの子に読んで欲しい。
「めざめれば魔女」とかハリポタの吸魂鬼を思い出す作品。
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Posted by ブクログ
映画を観た後に、さらに理解を深めたく思い購入しました。本書は子どものうちに出会えたら新しい可能性が開けるような作品ではないでしょうか。大人の私は懐かしいアルバムを開いて眺めていたらいつの間にかその中に入り込んでいて、横から見ている様な気持ちで読んだように思います。落ち着いた文章ながら展開は非常にスリリングでどうなる事かと手に汗握りながら読む事になります。映画を観ていても「原作ではどうなるのだろう」と楽しむ事ができました。
ここからは映画の感想ですが、映画なりに変更や脚色があったものの、かなり原作に忠実に真摯に作られた作品なのだと原作を読むことで知る事ができました。