中西智佐乃のレビュー一覧

  • 橘の家

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    守口家の庭にある橘の木に幼い頃に2階のベランダから落ちたものの、その木のおかげで助かった恵実。
    恵実が成長するにつれ、不思議な力が彼女に宿り
    子どもを望む人が次々と訪れるようになる。

    橘の木が「子孫繁栄」をもたらすのか…
    子どもが欲しいと切に願う女の業に圧倒される。
    ただ守口家族はどうなのか、けっして幸せとは思えないのだが…




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    2025年09月12日
  • 長くなった夜を、

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    二人称小説は珍しいなと思った。
    とにかく内容が陰鬱すぎて、最後まで心の距離を取りながら読んでいた。
    長い夜が明けたら、きっと楽に生きていけるはずよ。そういう日は突然やってくる時がある

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    2025年08月07日
  • 長くなった夜を、

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    38歳、派遣社員、女。同居している両親はともに高校の教師だった人で、彼らに完全にコントロールされた人生を歩んでき、彼らの言うとおりに保育士になったものの、体調を崩して退職。現在も両親と同居、家事を担い、門限を守る生活をしている。母親の、保育士に戻らないのかという圧と、父親の、結婚して子供を産めという圧に苦しみ、老いていく自分の体について、子宮が劣化していると認識している。仕事は通販のコールセンターで、理不尽なクレームを受けている。唯一、妹の子供の保育園のお迎えに行ったり、添い寝したりすることに、安らぎを覚えている。が、妹も、娘の話を一切きかない両親に嫌気がさし、子供を連れて実家を出てしまう。

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    2025年08月06日
  • 長くなった夜を、

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    親の言いつけを頑なに守り続けて、30代半ばになってもなお門限を守り続ける女性。
    甥っ子への歪な愛情。両親への渇望。
    「求められたい」という叫びが聞こえてくるような一冊でした。

    ところどころ、場面がどこなのかわからず困惑もしたけれど、「あなた」の頭の中だとするとなるほどなという感覚。

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    2025年07月24日
  • 長くなった夜を、

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    ネタバレ

    中西さんの作品が読みたくて2作目です。
    これは…結構感情にきました。苦笑
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    親からの「教育」という形の「暴力」。
    閉ざされた「日常」。

    三十八歳、独身、派遣社員。
    私には何もない。
    どうすべきか教えて欲しい。
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    これは…結構重たかったです。

    両親が「教育」した結果、
    小さな家の中で無力な子供は、
    従うしかない。
    誰が悪い?自分が悪い。

    そこから両親が年をとって、
    なんか間違ってたかも…なんて思っても、
    もう遅い。

    なかったことにはできないし、
    あなた達

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    2025年07月21日
  • 長くなった夜を、

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    うーわー
    なんて暗い救いのない話なんだろう。
    読んでいて気分が悪くなった。
    でも、こーゆー人っているんだろうな

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    2025年06月01日
  • 狭間の者たちへ

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    どちらの作品も自己正当化と他人のせいにする主人公で、ぎりぎりのところからアウトへ踏み込んでしまって終わるのではなく、その境目が曖昧で最初から最後までずっと危うい感覚でハラハラしました。

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    2024年03月05日
  • 狭間の者たちへ

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    2作収録。『狭間の者たちへ』→チカン・アカン!!痴漢が主役の小説なんて共感できるわけないやん。主人公の中年男は通勤電車で女子高生の匂いを嗅いで勃起する。「触っていない」から自分は痴漢ではないという自覚。彼女から元気を貰っているだけ。キモすぎる。ただこの男の人生のどん詰まり感が凄まじい。仕事は無能、家庭は地獄。ただそれも「全部お前のせいなんやで」と言いたい。一生この男は気づかないだろう。『尾を喰う蛇』→前作よりもさらに上を行くキモさ。介護現場にて凶暴性を秘めた介護士。個人的にはこちらの方が気味が悪かった。

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    2024年02月15日
  • 狭間の者たちへ

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    こちらもあらすじを読んで気になっていた一冊。
    表題作の「狭間の者たちへ」は、痴漢加害者側の心理を描いたという触れ込みで、一石を投じるような鋭さを楽しみにしていたのだけど、その点ではちょっと拍子抜けだった。
    ただ、うだつのあがらない中年男性が朝の電車で乗り合わせる女子高生から「ただ元気をもらっていただけ」という屁理屈はずいぶんに悪質で、しっかりと痴漢の醜悪さをみた。
    新潮新人賞受賞作であるという「尾を喰う蛇」は、かなり仕上がったデビュー作でとても面白かった。
    病棟の介護士として日々心身を削りながら労働する主人公の、拭えぬ疲労感や鬱憤が文章全体ににじみだしていて素晴らしい。
    本作における主人公の元

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    2023年11月06日
  • 狭間の者たちへ

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    高瀬隼子さんの帯文を見て買いました。
    新潮新人賞を受賞された作家さんで、本作の
    「尾を喰う蛇」が受賞作で、感想としては、
    読んでて苦しかったです。介護の現場が多く
    出るので、過酷な労働を考えてしまい、目を背けたくなりました。老人「89」との出会いが、興毅の新たな人格を形成していく。

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    2023年07月08日