中西智佐乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
38歳、派遣社員、女。同居している両親はともに高校の教師だった人で、彼らに完全にコントロールされた人生を歩んでき、彼らの言うとおりに保育士になったものの、体調を崩して退職。現在も両親と同居、家事を担い、門限を守る生活をしている。母親の、保育士に戻らないのかという圧と、父親の、結婚して子供を産めという圧に苦しみ、老いていく自分の体について、子宮が劣化していると認識している。仕事は通販のコールセンターで、理不尽なクレームを受けている。唯一、妹の子供の保育園のお迎えに行ったり、添い寝したりすることに、安らぎを覚えている。が、妹も、娘の話を一切きかない両親に嫌気がさし、子供を連れて実家を出てしまう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ中西さんの作品が読みたくて2作目です。
これは…結構感情にきました。苦笑
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親からの「教育」という形の「暴力」。
閉ざされた「日常」。
三十八歳、独身、派遣社員。
私には何もない。
どうすべきか教えて欲しい。
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これは…結構重たかったです。
両親が「教育」した結果、
小さな家の中で無力な子供は、
従うしかない。
誰が悪い?自分が悪い。
そこから両親が年をとって、
なんか間違ってたかも…なんて思っても、
もう遅い。
なかったことにはできないし、
あなた達 -
Posted by ブクログ
こちらもあらすじを読んで気になっていた一冊。
表題作の「狭間の者たちへ」は、痴漢加害者側の心理を描いたという触れ込みで、一石を投じるような鋭さを楽しみにしていたのだけど、その点ではちょっと拍子抜けだった。
ただ、うだつのあがらない中年男性が朝の電車で乗り合わせる女子高生から「ただ元気をもらっていただけ」という屁理屈はずいぶんに悪質で、しっかりと痴漢の醜悪さをみた。
新潮新人賞受賞作であるという「尾を喰う蛇」は、かなり仕上がったデビュー作でとても面白かった。
病棟の介護士として日々心身を削りながら労働する主人公の、拭えぬ疲労感や鬱憤が文章全体ににじみだしていて素晴らしい。
本作における主人公の元