楊双子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今までありそうでなかった、そんな日本・台湾横断型旅小説。
実際の明治期〜昭和期にはこの手の植民地見聞録、弥次喜多道中的ジャンルはよくあったわけで。
敗戦と共にぶっちり途絶えたジャンルの一つと言える。
この小説のすごいところは何より、台湾人作者が描いていると言うこと。
食べ物漫遊録というキャッチーさを兼ね備えつつ、植民地における支配者と被支配者の機微を下手にデフォルメせずに丹念に描いている。でも本来の漫遊録もののエンタメ性も損なっていない。
詰まるところ、漫遊録ものの脱構築をかなり巧みにやっている。
2人の女性の造形がまた上手い。千鶴子のお嬢様知識人設定もよく生きている。
彼女の終盤での悟り -
Posted by ブクログ
昭和13年の台湾食文化✕台湾鉄道✕台湾友達をテーマにしている
日本人小説家千鶴子(ちづこ)と台湾人通訳千鶴(ちづる)の話
台湾料理のバラエティが富すぎて何も頭に入ってこないし、鉄道も地図で見てないからぼんやりとしかイメージできず。
千鶴子と千鶴の交流に焦点を当てて読み進めると、何とか読めた。
分かりやすくいうと
千鶴子は無神経(本人に悪気がないので気づかず 無邪気)
「千鶴ちゃんの人生がかわいそうでしょうがない」
「本島の大家族、千鶴ちゃんの身の上の物語、異国情緒たっぷりのドラマよね。」
ひとの人生をかわいそうと言っちゃう
苦労もあったであろうその身の上を異国情緒たっぷりと例えてしまう