岡根谷実里のレビュー一覧
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ネタバレ『世界の食卓から社会「問題」が見える』
だった。
著者曰く「「おいしい/おいしくない」だけでない料理の味わい方を知ってほしい」「あなたの明日からの食が、「おいしい」を超えて世界への扉となることを祈っています」とのこと(おわりに より)
世界の社会「問題」といえど、切り口が食だからか、著者の力量か、とっつきやすく身近に感じる。
気づきに溢れるとはいえつらい問題が続く本著のラストの、「シリア難民がもたらした食文化」、社会を圧迫するシリア難民に対してヨルダンの人の「シリア人はおいしいものをもたらしてくれたから」という言葉は、あたたかく輝いて印象深い。自分もまたそう言えるような人になりたいし、逆境のなかでもそう言ってもらえるような人になりたい。 -
Posted by ブクログ
「この本は、『世界一おいしい社会科の教科書を作りたい』という想いで書き始めました」
本書がどんな本かを私から申し上げる前に、既に著者が適切な言葉で言い表してくださっている!!もうこれ以上、言うことがないくらい笑
「世界の台所探検家」を名乗る著者が、食材の調達や調理などを通し、世界の課題を炙り出していく…。ただあくまでも炙り出すのみで、何か解決策を提示するわけではない。
「どうすりゃえぇねん」とやるせなくなったりもしたが、時には食料問題解決へのヒントになり得る話もあって、希望を持って最後まで読んでみようという気になった。
「ブルガリアでは本当にヨーグルトが主食なのか」「フィンランドのパンケーキ作りから見る子供の教育」といったものから、化学農薬だったりパレスチナ人やシリア人の置かれている過酷な環境など、硬軟両様のトピックが取り上げられていた。
「勉強になるなー」と呑気に頷いたりショックを受けたりと、起伏の激しい読書であったが、メキシコ章(P115- 「アボカド人気が大地を渇かす」)の後味の悪さは格別だったな…。
アボカドは、紀元前から続く、メキシコ人にとっては大変ゆかりのある食料。
しかし、良いものから次々と先進国へ出荷され、手元に残るのはしょぼいサイズでしかも割高。生産側は生産側で、麻薬組織のターゲットにされているという…。家族を人質にとり、土地や売上に対して手数料を払わせる…というやり方で、アボカドは麻薬に代わる資金源になっているのだ。
私は飲食店でしかアボカドを食べないが、このまま食べるのを止める!というのは何か違う。とにかく「現状を知る」だけでは、腹の虫がおさまらんのよね…
着眼点がユニークなのも、本書の特徴だ。
昨今流行っている「代替肉」のルーツを探しにベトナムまで行ったエピソードでは、お寺の精進料理が紹介されている。ベトナムも仏教徒が多いというが、精進料理も本格的のようだ。人々に「不殺生」の精神を説くために、まずは肉に似せた食材で仏教の世界へと招き入れるのでは?という見解は、一理あるかも…。
また、昔の日本で、クセのある野菜が流通していたというのは、初耳で興味深い話だった。煮炊きに時間を要したらしく、その手間を省くために野菜の改良がなされてきたとの事。でも今の野菜の方が食べやすそうだし、私は今のままで良いかなー笑なんて。
昨今の物価高によって、適正価格で食料を買えることが無くなってきたが、わが国では依然「飽食の時代」が続いていると思う。それゆえに、こうした実情を目の当たりにすると、「どうすりゃえぇねん」と、簡単に怖気付いてしまう。
でも考えてみれば、「社会科の教科書」って、そんなものだよね。事実が書いてあるだけで、たいていの問題は現在進行形で解決されていない。一旦解決されていても、何らかの形で尾を引いている。
「どうすりゃえぇねん」と思ったのなら、同じグループの仲間たちと話し合い、知恵を出し合えば良い。自分たちの口に入り生命を維持してくれる物の問題であれば、尚更自分たちで率先せねば…! -
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著者の岡根谷実里さんは、世界各地を訪れ、滞在させてもらいながら一緒に料理をし、料理から見える社会や暮らしを伝える台所探検家である。
世界のどこかの家庭料理ひとつで、地形から気温から育つもの採れるもので料理は変わってくるということを目の当たりにする。
また、宗教的なものであったり、社会情勢、政治的にもそれぞれである。
まるで世界の歴史と家庭科を学んでいるような気になった。
とても興味深いと感じるものもある。
そして、知らなかった…不思議だ…ということもある。
勉強した感あり…だ。
〜以下は一部を抜粋したもの〜
ブルガリアではヨーグルトスープが普通にでてくる。
「タラトール」というらしい。
ブルガリアのヨーグルトは政治的に強化された人民食としての側面があるようだ。
イスラエルの食べ合わせについては謎である。
同じ料理に乳製品と肉を両方使ってはいけないという規定。
中国の上海は、野菜用洗浄剤があって、残留農薬除去のために使うらしいが、とにかく野菜をゴシゴシと洗っているようだ。
ボツワナではパニという大きな毛虫ようなものを捕獲して塩ゆでして食す。
モルドバでは自家製ワインを水のように飲む。
イスラム教においてもっとも大事な行事の一つが、ラマダンと呼ばれる断食月。
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タイトルの通り、世界各地の一般家庭の台所を訪問し、その特徴をイラストと文章で紹介した本。所謂先進国ではなく、キルギスやモロッコ、ブータンなど近代化されていない国の事例が多いのが興味深い。
例えばブルガリアで訪問した家庭では、火を扱うコンロは台所に隣接した換気窓付きのサンルームで行う。夏場30度近くなるので台所で火を扱うと暑いからという理由だ。
その他にも色々な事例が出てくるが、共通しているのは風土・気候、文化と台所・食事が深く結びついている、という当たり前のことだ。何となくテレビやYouTubeで聞いた事しかない国でも、台所を通してその国の文化を触れると少し身近に感じる。食事の習慣がない国などないし、国内に限ってみても食事は文化・風土が反映されるからだ。食事・台所という想像しやすいフィルターを介して、知らない国の文化に触れられる本だった。 -
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15ヶ国の18の家庭の台所にある知恵と工夫を、
間取りなどのイラストや写真などを添えて、紹介する。
・はじめに
フィンランド ブルガリア インドネシア キルギス
モンゴル インド タイ ブータン ヨルダン
メキシコ ペルー スーダン モロッコ トンガ オランダ
参考文献有り。
家庭を支える場所でもある台所は、その地域の気候や環境、
国情や民族、生活や宗教によって、様々な様相を見せる。
台所用品の配置と動線などにも知恵や工夫がある。
旧ソ連時代の古い集合住宅の手狭な台所を改善する
手作り収納を設置した、ブルガリア。
朝の涼しい時間に一日の調理を済ませる、インドネシアのバリ島。
キルギスの移動式テントと定住の台所。
モンゴルの半定住の小屋。ヨルダンの移動式テント。
インドの信仰する宗教の影響での、ものの少なさ。
狭い空間での工夫が光る、モロッコ。
廃品を利用して伝統料理用の台所を作った、トンガ。
意外とIHコンロがあるのには驚いたが、停電対策で更に
ガスコンロがあるのは生活の知恵。水の大切さも分かる。
いろいろな地域の台所を見せてもらった感じは、
ある程度そそられましたが、紹介する台所によって、
食材や料理が分かりにくかったり、
*1,*2が何を意味するか不明だったりして、戸惑いました。
更に、絵を担当したイラストレータ―の紹介がないのが寂しいな。 -
Posted by ブクログ
基本的にイラストによる平面図的な図解に注釈を入れている。その国の地理的・歴史的・経済的背景だけでなく、食事を作ること、食事をすることの文化的意味や家庭の事情が台所のレイアウトに影響を及ぼす。電気事情がよくない国では、停電すると電化製品が使えないので、昔ながらの道具も現役。電気で便利になったが、昔のやり方の方がおいしく出来上がるものもあるとか。
掲載順にフィンランド2件、ブルガリア1件、インドネシア1件、キルギス2件、と続き、合計18件。アジア、ヨーロッパなどと地域ごとにまとめてるわけではなく、同じ国で2件だったり。同じ国や地域に似た傾向がみられるなどの考察は特になし。個別の家庭事情の影響の方が大きいのかも。最後のオランダ、日本の台所に近いと思ったら、これは著者の住んでいる物件でした。オランダ近隣のヨーロッパの台所はもう少し取り上げられていてもよかったのでは。アメリカもカナダもない。日本と似たような台所じゃつまらないから外したのか?「世界の」というが、海外で取材を許可された家に行っただけかな。