大鹿靖明のレビュー一覧
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福一の事故から、野田政権期までの対応についてまとめた本。多くのアクターが出てくるが、政府と東電が主なアクターとなる。一連のプロセスについて、綿密な取材に基づき書かれている。(しかし、やはり少数でやるためか、裏付けの面で限界はある。)
感想としては、政府や東電の杜撰な対応や脱原発阻止に向かう、いわゆる原子力ムラの活動など、見るに耐えない。よーくわかったことは、既得権益があるとそれを手放さないということである。本書を通じて、どうすれば、原子力以外でも既得権益を手放すように持っていけるのかを考える機会となったと思う。
また、我が国の組織は、責任の所在を避ける傾向に動きがちになることも感じた。
さらに、日本の行政組織に多い、ジェネラリスト志向の弊害もうかがい知ることができた。本書で指摘されていたこととして、ジェネラリストが多いと、成熟された政策立案、特に既存の枠組みを崩すような政策立案は難しい。そのため、調整に徹する事務屋に陥ってしまうと筆者は指摘している。当然、スペシャリスト志向にも問題はあるが、行政組織の人事管理や制度のあり方も再考すべきなのでは、と感じた。 -
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JAL再建の舞台裏を詳細に綴った本。
航空産業のビジネス環境やビジネスモデルについての記述はあまりなく、あくまで再建の舞台裏で官邸・官庁・タスクフォース・企業再生支援機構・金融機関・米航空事業会社・JALの各プレイヤーが、どのような状況下で、どのような思惑の下、どのように振る舞ったかを細かく記述していく(ただし、JALの過去の経営については、1章割いて説明している)。
数多い関係者へのインタビューに支えられた興味深い裏話を基に、各人の思惑や行動原理を鋭く炙りだしている点は称賛に値する。
しかし、全体をいちストーリーとして見た場合、些か焦点が定まっていない印象が拭えない。そもそもの事実関係が山場に欠けるというのはあるだろう。
実際、結局のところ事の顛末は、
①官庁とタスクフォースが、政投銀の貸し渋りと資金ショートへの懸念から、法的整理を避け、私的整理を推していた
②ところが、JALや官僚に不信感を抱いていた菅から、「私的整理ではJALに対する責任追及が甘くなる、ケシカラン」という鶴の一声があがった
③菅を始めとする官邸の主導で、渋っていた政投銀を折れさせ、彼らの融資による資金ショートの回避が決定し、法的整理へと舵が切られた
というだけである。
であれば、もう少しコンパクトにまとめてもらったほうが良く、記述が不必要に詳細に過ぎる嫌いがある(例えば、結局覆されることになるタスクフォース案に150ページ弱も費やす必要はあったのか?)。
とは言え、JAL再建に関してはこれ一冊読めば、裏舞台を含めて何が起こったのか大体分かると言う点で、価値のある本ではある。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
2006年に証券取引法違反容疑で逮捕、起訴された、二人の「カリスマ」。
「時代の寵児」としてもてはやされた彼らは何をしてきたか、なぜ摘発されたのか。
社会の新勢力を代表する彼らと、旧勢力を代表する検察側との死闘を暴きだす、同時代ノンフィクション。
大好評『ヒルズ黙示録』の続編。
堀江貴文、村上世彰、東京地検特捜部。
彼らの闘いが描き出す現代日本社会の実相。
[ 目次 ]
第1章 ソニー強奪
第2章 弾圧再編
第3章 疑惑の真相
第4章 粉飾裁判
第5章 シンパシー・フォー・ザ・デビル
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
[○2008/05/21完読]前作を読んでいたのですんなり入れました。とにかく現実感があって凄い。堀江氏と村上氏のキャラが近くにいたらすごく嫌だろうと思う(笑)。二人が滑稽に思えるようなシーンもある(発言とか)。なんだろう・・・経営とか資本主義とか金儲け云々の以前に個人的に絶対に好きになれない人種。たぶん。一言でいうと自己中心的な自慢家?。しかし宮内氏など、私にも理解できる行動をとる人もいました。脱法行為は別にして、彼らの行動や感情の動きのどの辺に同情や共感を覚えるかはかは人それぞれでしょうけど。ビジネス、特にITベンチャーに興味がある人、経営に興味がある人は読んで損はないと思う。虚像チックな内容もあるかとは思うのですが、何せ現実の事件ですから。あとM&Aコンサルや投資家、ファンドマネージャという職業の雰囲気が少しは分かるかもしれません。
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ニュースで聞いたことがある金融事件を本書の主人公である佐々木氏の視点から取り上げているところが新鮮であり、興味深かった。特に金融庁の発足から、その役割や改革されていく様、事件に対する対応等の動きなどが描かれているのが、面白い。
ここ数十年で金融システムが複雑化し、様々な金融サービスが誕生している。こうした事態に対応していくためにも罰するのみならず、予防するというスタンスに変わっていったのは、なるほどなぁ、と思わされた。金融庁のこれまでの変遷や海外との金融規制等に関する違いなども分かり、金融行政という面でも勉強になった。
本書では、度々、佐々木氏自身は、官僚としては傍流であることが述べられている。しかも、あとがきにおいても、金融庁の内部から佐々木氏に対する批判があることが述べられている。誰もが手放しで称賛しうる人物ではないという事実が、佐々木氏が革新的な存在であったことの証左なのだと思う。 -
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大鹿靖明『東芝の悲劇』幻冬舎文庫。
東芝に降りかかった悲劇は、悲劇と言うより、起こるべくして起きた自業自得の経営不祥事の結果と言って良いだろう。粉飾決算、原子力事業の失敗により事業の柱である半導体事業も放出する事態に陥った東芝……決して東芝だけではなく、組織が肥大化し、動脈硬化で小回りの利かなくった日本の大手メーカーが辿っていく末路ではないだろうか。
形振り構わず多角経営に走り、民需をないがしろにした上で、利幅の大きい公共にしがみつく。それでも止血出来なければ、看板事業であろうが構わずに国内外問わず簡単に売り飛ばす。さらに傷口が広がれば、人材をも切り捨て、コンプライアンス違反をしてまでも財務諸表を整えようと躍起になる。こんな企業がいつまで生き残れるのか……東芝だけではなく、三菱自動車にしろ、日本電気にしろ、生き残っていることが不思議だ。 -
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『アンダーグラウンド』に続いて、ノンフィクションに手を出してみた。
非常に細かく、読者が知りたいと思う所が、きちんと流れに沿って書かれているなぁという印象を持った。
専門性のない私でさえ、非常に分かりやすい「人間構図」である。
これが、本当に未曾有の事態が起こった日本で「共に生きる」者たちの姿なのか、と思うと笑いを禁じえない。
そして、国って何なんだろう?と素直に首を傾げた。
私たちは、国の中で社会を形成している国民ではなかったのだろうか。
国と一つの電力会社が一進一退の攻防をし、また情報の操作をし合い、思惑が入り乱れる。
私という人間は、恐らくこの「国」の内部に存在する人間ではないんだな、と思う。
福島原発の状況をテレビの前で固唾を飲んで見つめ、恐怖していた私とは、一体何者なんだろう。
そうして、事故の処理に今も現場で当たっておられる方たちは、この本を読んでどう考えるだろう。
この頃、管内閣は叩きに叩かれ政権交代を余儀なくされたけれど、この人が「あちら側」の人間でなくて本当に良かったと思えるのだ。
枝野さんが語りかける言葉が全てではなかったにせよ、テレビの前の私たちはその言葉に重きを置いたのだ。
短期的な視野で物事を見ることは、国という大きな基盤を決めてゆくには向いていないかもしれない。
しかし、何を大切にすべきなのかは私たちでも考えることが出来る。
先に読んだ『アンダーグラウンド』でも、人間は時として人間でなくなることが出来るのかもしれない、と述べた。
同様に、被害にあった人たち全ての前に立った時、あなたは本当に人間だったか?と問いかけたくなった。