大鹿靖明のレビュー一覧
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小説みたいな実際にあった話。
ライブドアによるニッポン放送買収劇からホリエモンの逮捕までの事実を追ったルポタージュ。
「面白い経済小説があるから」と貸してもらっても「ほんと面白かった~」と言えるぐらいの面白さで、市場の最前線を走っている奴はこんなにすごいことをやっているのかと、そりゃ頭のいい人が働きたくなるよとなる。
信託を利用して株の所有権だけを移してみたり、大口投資家用の時間外取引で「適法」に大量の株を買い占めたり。
市場のゆがみを見つけ、そのゆがみが正常化する過程で金を稼ぐのが投資ファンドだとどこかで聞いたけれど、ニッポン放送とフジテレビの関係なんてまさにそれ。
お金には色とか階 -
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「ちょいワルおやじ」的な風貌で知られ、大蔵官僚の「傍流」として、金融庁を中心に検査や調査、審査の部署ばかりを渡り歩いた異色の官僚である佐々木清隆氏が関わった様々な経済事件を取り上げ、その半生を振り返るドキュメンタリー。著者は、経験豊富な朝日新聞の経済部記者である。本書は、佐々木氏へのインタビューだけでなく、著者の関係者の取材や裁判資料の調査等によりまとめられたものであり、単に佐々木氏の言い分の垂れ流しではなく、佐々木氏や金融庁のやり方への批判的な指摘も盛り込まれている。
現場重視、高い情報収集意欲、鋭い勘、根本原因追及の姿勢など、エリート官僚らしからぬ佐々木氏のキャラクターは、公務員の在り方と -
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東芝の粉飾決済の不祥事を中心とした経営危機について、粉飾を行った歴代社長に焦点をあてて書いてある。
歴代社長の人柄に関わる背景が書いてあることが面白い。入社後のエピソードだけでなく、幼少期や学生時代のエピソードまである。権力や競争を好む性格の人もいれば「こんな人が不正をするの!?」と言いたくなるほどの品行方正な学生時代の人もいて、人間ドラマとして面白く読めた。
東芝内部の権力闘争について書かれていることがこの本のキモだと思う。
経団連のトップのための条件である会長職・社長職のポストを巡って東芝の歴代社長で争ったり、社内での求心力を高めるために自身の出身の部署の赤字を隠すために粉飾決済を行う -
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良本。技術力があっても、トップがダメなら全てダメを分らせてくれる。しかし、トップを育てるのも企業の役目なのだとしたら、そもそもの企業文化にも問題があったのだろうか。
大企業であるがゆえに、ここにいれば安寧だろうと、苦難を自分ごとと捉えられない人は多い。自分が、どれほど会社のことを自分ごとと捉えているのだろうか?やはり自分ごとと捉えてこそ行動に移せるのではないかと強く思う。
改めて見直すよいきっかけであり、会社である以上技術だけでなく経営面にも注意を払うべきと改めて気付かせてくれた。
しかし、最後東芝メモリに救済の手が差し伸べられていく様には、やっぱりメーカーは技術力さえあれば生き残れるのか… -
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筆者の大鹿さんが自ら気になっているジャーナリスト10名と対談する。それぞれのジャーナリストの信念に触れるなかで、ジャーナリズムとは何かが表れてくる。
私はノンフィクション等にある程度興味があるが、ジャーナリズム、マスコミの世界等にあまり知識がないため、記載されている内容は新鮮だった。
対談相手の第一線のジャーナリストたちも筆者と同様に自らの信条があり、曲げることなく貫き、結果を出してきた人たちで、よくぞここまで信念を貫き行動ができているなと感心する。
男性と女性で感心の持ち方が違いがある、男性はやはり社会のしくみ、政治構造的なものに興味が行きがちで、女性は自らの目線での問題意識が高い気が -
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試し読み
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約10年前に起きた堀江貴文氏率いるライブドアを中心とするヒルズでの騒動の裏側を書いた一冊。
強制捜査前までライブドアが企てていたソニー強奪計画、昨年も黒田電気への投資などで話題となった村上世彰氏のアクティビストに潜む裏の顔、阪急阪神の統合の裏側、村上ファンドを吊し上げるべく粉飾に及んだ検察の闇、今でもメディアに出演する堀江氏のライフドアでの立ち位置、堀江氏の参謀として手腕を発揮した宮内氏の変貌と前作も読んだのですが、今回も事件の裏で行われていた真実に何度も驚かされました。
実際ヒルズ族と言われたIT長者が社会の中で球界やメディアに殴り込みをかけた一大騒動の顛末、そしてそこから見えてくる息を -
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福島原発事故の報道のありように対する疑問を出発点とする、新聞社所属、独立両方のジャーナリストへのインタビュー。
自分で企画できた / する必要があった、週刊誌の経験が貴重だったと言う人が複数あり、今の雑誌の状況と対比して印象的だった。インタビューを受けた人達の著作、勧めるノンフィクションを、読んでみたくなる。
編者である朝日の記者が 2014 年時点で言う、「四半世紀前は 1/5 いた『これをやりたい』という意欲を持つ記者が最近では 1/20 くらいではないかと思っている」というのが、象徴的。まだ 1/20 はいるのか、とも思うが、等差級数でなく等比級数であることを祈る。 -
Posted by ブクログ
ライブドアを筆頭とするヒルズ族と言われた人物たちがM&Aを繰り返し、凋落していく姿が本書では描かれています。
ニッポン放送株を巡るフジテレビとライブドアの争いや堀江氏の総選挙出馬、村上ファンドの阪神電鉄や楽天のTBSを巡る争いなど04年から05年にかけて六本木ヒルズを中心としたヒルズ族が国内外の金融機関も含めて出し抜き、出し抜かれの攻防は読んでいて小説よりも壮絶な物語だと感じました。
ライブドアを発端として国政捜査によってライブドア関係者を中心に逮捕者も続出し、まさに社会現象化した一連の騒動から本書を通じて金融のあり方について一時代の熱狂と終焉を感じることができました。
綿密な取 -
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原発事故とその収束にあたる官邸と東電。
東電本店のグタグタさ加減と、その後原発再稼働に向けて反省もしないまま動き出す経産省の厚顔無恥っぷりを写し出す。
文中に東電某部長の「自民党政権だったら爆発までいかなかった。メルトダウンしたのは民主党政権のせいで対応が遅れたから」という度し難いコメントが載っていたが、東電に限らず経産省も含めて誰も責任を取らず責任を取ったのは退陣させられた菅直人だけという摩訶不思議。原発を推進した自民党が追求側で市民派の菅直人が責任を取り、当事者は誰も賠償責任ひとつ負ってないとかなんなのよね?
菅直人を引きずり下ろす策謀の数々は、まぁ政争の面もあるし原発ムラの陰謀かどうかは