大鹿靖明のレビュー一覧
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[その鶴は、黒い]日本における戦後最大規模となったJALの倒産。ナショナル・フラッグともてはやされ、華やかさを伴う憧れの的となったその企業は、いかにして坂を転がり落ちていったのか。会社更生法の申請までをめぐる政財界の動きと合わせて詳細に記した作品です。著者は、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』などの作品で知られる大鹿靖明。
本書で詳述されるJALは、まさに絵に描いたように典型的な没落組織の姿。責任の所在が判然としない企業体系、バブルの上げ潮に押される形での放漫財政、そして社内における小派閥の乱立...。「あのJALが...」と倒産時のニュースを見ながら思ったものですが、あまりのひどさに、その内部事情を知っている者からすれば「あのJALね」という感想を抱いていたのかもしれません。
どのような経路をたどって法的整理に落ち着いたかという点も本書の読みどころの1つ。発足間もない浮ついた空気感の中で、いささか「唐突に」民主党政権が対応を余儀なくされたということが浮き彫りにされています。また、いざというときには市場や世論の動向などから、政府が取れる政策の範囲がそこまで広くはならないんだなということを再確認させられました。
〜JALの体質の最大の特徴は、本来責任を負うべきはずの経営幹部たちが自身の在任中に問題と正面から向き合わず、後続の者にツケ回しし、傷が拡大する点にある。〜
大鹿氏曰く次はメディアだそうです☆5つ -
Posted by ブクログ
日本の政治に疑問や不満を持っているなら読んでみるといい。
本当にバカなやつらがいろんなことを勝手に決めようとしていることがよくわかる。
マスメディアもバカばっかり。毎日どんどん記事を書かなくちゃいけないから勉強する暇もなくて大変なのは分かるけど、ちょっと考えれば分かるような騙しに引っ掛かるのはやめてくれ。
そうだ、知っているとは思うけど、読売・日経・産経は原発推進派だから、購読している人は読み方に気を付けよう。
で、文句ばっかり言っていても意味がない。俺はどうすればいいのか。
考えた。
原発の仕組みや運用の大変さ、放射能の恐ろしさについて、それを知らない人たちに教えていくことにする。たくさんの事実を。 -
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最近ではめっきり報道も少なくなったが、それでも「あの日」以来、原発についてずっと考えているつもりだ。最近も参院選で自民党が圧勝するというニュースがあったが、これを機に原発の再稼働が加速するのかなどと、やはり原発の行く末についていろいろ考えさせられる結果であった。しかし、その原発についてであるが、実際はまだ事故処理の最中であり、その原因などもじゅうぶんに検証されたとはいいがたい。いちおう公式の報告書は出たが、その真相についてはわからない部分もまだまだ多いのだ。その理解の一助となるのが、第34回講談社ノンフィクション賞を受賞するなど評価の高い本作である。わたしも事故の真相について知りたい一心で読んでみたが、あれだけ原発事故に関する報道があったにもかかわらず、中身は知らない情報のオンパレードであった。たとえば事故直後、その賠償方法などをめぐって、大手銀行が自己に不利にならないような案を必死でロビイングしていたということは、みなさんご存知だろうか。大手行はひところ法人税を払っていないということでおおきな批判を浴びたが、国民全体が混乱と緊張に包まれていたあの瞬間でさえ保身のために尽力していたのである。保安院や東電といったいわゆる「原子力ムラ」の責任はいまさらいうまでもないが、こういった銀行の動きについてももっと知れ渡るべきだし、糺弾されるべきではないかと思う。もちろん、本作に書かれた内容がかならずしも正確とは限らないし、その検証も一般の読者にはじゅうぶんにできないであろう。しかし、それでもこのような情報を知り、国民で広く共有するということが大切なのではないか。最近は、原発に関する報道が減ったといわれる。わたし自身も、つねに意識の片隅に置いているつもりであるとはいえ、たしかにいちいち沈思黙考するような機会は最近では皆無であるといってよい。だからといって忘れるつもりはないし、また事故の原因などについてもっと理解を深める必要があると感じる。それは個人としてはもちろんだが、国民としても同様ではないか。未曾有の災厄を経験した国民として、「あの日」について意識を深めることはもはや責任といってよい。そういう意味で、本作がもっと広く読まれることを願っている。
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ネタバレ「メルトダウン」(講談社ノンフィクション賞受賞)を読んで、日本の原子力行政に対して、ショックと怒りがいっぱいです。
★2008年のスマトラ沖地震で、インドのマドラス原発の非常用海水ポンプが機能を喪失したのを受けて、保安院は電力各社に注意を喚起し、東電は明治三陸沖地震と貞観津波のシュミレーションを行い、波高が15m以上になる結果を出していた。にも関わらず何の手も打たず放置し、さらにひどいのは、震災の3日前には、文部科学省が改定しようとしていた「地震活動の長期評価」が改定される際には、貞観地震の震源がまだ特定出来ないとか、繰り返し発生しているようには読めないようにしてほしいと働きかけている。
★原子力安全委員会の斑目委員長は2007年浜岡原発の訴訟で証人として出廷した時、非常用発電機が起動しない事態を問われると「そのような事態は想定していない。そんなことは割り切らなければ、設計なんか出来ない」と言ってのけている。
こんな人が日本の原子力行政の責任者なんです。
★震災当日には、東電の勝俣会長は仕事には関係のない中国ミッションで北京におり、さらにひどいのは清水社長にいたっては、秘書と奥さんを連れてウイークデイにも関わらずお忍びの奈良旅行をしていた。一番緊急時の2日間は両トップが不在という失態を演じている。
★情けないのは、政府関係の窓口になった東電本社が、原子力に関しての知見が皆無で、全部現場任せであったばかりでなく、管首相の顔色ばかりを窺い、海水注入の了解を取るのは難しいと勝手に判断して、当初現場の吉田所長が進めていた海水注水を止める指示を出している。(これに関しては吉田所長は本社へは止めると報告しているが、実際は作業を進めさせた)当然政府の原子力委員会も保安院も知見は皆無です。
★福島原発事故で大気中に放出された放射性物質の量はセシウム137で見ると、広島の原爆の168個分、ストロンチウム90で換算すると2.4個分。
★一番危険だったのは水素爆発を起こした原子炉建屋ではなく、使用済み燃料棒を保管していた4号機の燃料プールだった。ここは圧力容器も格納容器もなく、コンクリートの箱の水槽の中に燃料棒がむき出しになっていたので、地震でコンクリートにひびが入り水が漏れだしたり、階上にあるので底が抜けたら最悪の事態になっていた。
最悪事態のシュミレーションでは半径250kmが避難。当然東京を中心とする関東圏はこの範囲に入っており、3000万人が避難対象になっている。
★この他、東電存続に関しての意見対立や各金融機関の思惑。政府内での責任の押し付け合いや権限争いなどと続いていくのです。
混乱する政府の命令系統、責任逃れをするばかりの東電本社。
所管省庁の危機感のなさ、縦割り行政、責任のなすりつけ合い、権限争い・・・・それはまさにメルトダウンしていく日本の姿に重なりあっていると・・・読んでいて怒りを通り越して、情けなくて涙が出てきそうです。 -
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まったくどうしようもない。とにかく救いようがない。
東電、経産省。
組織は人を簡単に駄目にする。
自分や自分の組織の利益を優先するような倫理観が欠如している人がトップに立つのか、
それとも上に上がるにつれて倫理観が欠如して腐っていくのか。
自分の私利私欲で他人に責任を擦り付けて、自分はおいしい思いをしたり、安全なところに逃げたりして恥ずかしくないのだろうか。
結局、この事故を起こした人たちは責任を取らなかった。
未来を担う若者、まだ生まれていない子供たちに責任を丸投げした。
こんなんじゃ、子供たちが日本の将来に夢を持てないのも無理はない。
本当に情けない。自分の厚顔無恥を恥じるべき。 -
Posted by ブクログ
福島第一原発事故と東京電力、脱原発阻止に暗躍する官僚に迫るドキュメント。文庫化に当たり大幅加筆とのこと。
喉元過ぎれば熱さを忘れるの諺の通り、あの時の悪夢の映像をまるで忘れたかのように原発は再稼働の道へ。果たして日本に未来はあるのかと考えさせられるドキュメントだった。
自分の住む東北地方は内陸部でも東日本大震災発生と同時に停電、まさかそれが一週間も続くとは思わなかった。当然、テレビなど観ることが出来ず、ラジオだけが頼り。何よりも、どの位の被害が発生しているのか、津波の襲った沿岸部に住む両親は無事なのかといった情報を収集することに精一杯だった。
しかも地震の翌日から毎日、会社の復旧に従事し、たまたま会社の自家発電で映っていたテレビで福島第一原発の大爆発の映像を観た時、日本は終わったなと背筋が凍った。ラジオの情報からは福島第一原発が危険な状態になっていることは知っていたが、まさかこれほどの事故になるとは思わなかった。
このドキュメントを読むと福島第一原発で何が起こり、東京電力、政府が如何に無能だったかが解る。そして、同じ誤ちを冒そうとしている…何を信じたらよいのか……
このドキュメントは破滅への序章なのか… -
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小説みたいな実際にあった話。
ライブドアによるニッポン放送買収劇からホリエモンの逮捕までの事実を追ったルポタージュ。
「面白い経済小説があるから」と貸してもらっても「ほんと面白かった~」と言えるぐらいの面白さで、市場の最前線を走っている奴はこんなにすごいことをやっているのかと、そりゃ頭のいい人が働きたくなるよとなる。
信託を利用して株の所有権だけを移してみたり、大口投資家用の時間外取引で「適法」に大量の株を買い占めたり。
市場のゆがみを見つけ、そのゆがみが正常化する過程で金を稼ぐのが投資ファンドだとどこかで聞いたけれど、ニッポン放送とフジテレビの関係なんてまさにそれ。
お金には色とか階級とかなんてなくて、どんなにえらいじいちゃんでも、金の前では右往左往する。そんな節操のない姿が見られるところが、虚業のたまらないところなんだと思う。 -
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著者の後記に本書の第1部は2010年以降の日本の先端産業の凋落をテーマとし316頁、第2部では、急速な中国の台頭に伴う、技術のヘゲモニーを握る考えを再認識することから経済安全保障政策の重視による半導体の肩入れが208頁描かれる。
国家観の甘さが没落を招き、大局的な見地を欠くことの苦難を今更ながら実感させられる。
最後のラピダスのエピソードは現在進行中であり、サクセスストーリーになることを期待したいが、決して甘くない未来を予感する。
本書は日本の産業、政策サイドからの視点で半導体を中心とした流れが描かれ、クリスミラーの「半導体戦争」の国家間の戦略的視点からも併せて読むと、複層的に理解できると思う。 -
Posted by ブクログ
こんなに面白いノンフィクションは久し振りで一気に読めた。業界の経営に関わった人が友人に薦めたのを教えて貰った。現役時によく聞いた会社や名前だが、知らなかったことが多く今更ながらに納得である。
その間のことは毎日、新聞で読み聞いてもいたはずなのに、このように長い期間にわたる技術の進歩、産業や企業の政策や戦略を振り返る視点とはまた別で、
頗る新鮮だ。
日本の半導体産業が世界を席捲していた頃(1980年代)から転落した過程の業界や各社で起こっていたことを振り返り、技術開発の動向、通産省など政策当局者や経営者の思考や行動、判断などを網羅している。
作者は朝日新聞の記者でこの分野に30年間携わっていただけに、いろいろなことを正確によく知り、事業の捉え方も客観的で本質的だ。人の論評についても言葉を選んでその人の判断の間違いや器量、性格などを忌憚なく指摘している。
産業ドキュメンタリーの傑作である。
第一部は
・中国のレアアースの全面禁輸で「経済安保」の考えの始まり
・東日本大震災をへて太陽電池の攻防と惨敗、
・世界を席捲したニコンとキャノンの露光装置が
ASMLのEUVに完敗、日立とNECのDRAM部門が統合したエルピーダの経営破綻、産業革新機構のルネサスの成功とジャパンディスプレイの失敗
・ソニーの貴族主義とシャープの液晶ディスプレイ亀山工場の失敗
ソニーの当時の経営陣がそんなに腐っていたとはビックリである、シャープの亀山工場を戦艦大和に例えるくだりも納得だ。当時の業界は太平洋戦争時の日本軍に酷似していたことも痛感。アメリカはもとより韓国、台湾、そして中国に負けるべくして負けたことがよくわかる。経営者が世界の大きな流れに無頓着で初戦の勝ちに酔って傲慢になり、内向きの鍔迫り合いに終始した。
第二部は
・自由主義経済が終焉して地政学上の経済安保主義に
・TSMCの熊本進出、県内に熊本GDPの2倍が付加
・ラピダスの挑戦、IBMが持ち込んだ異次元の試み、
前代未聞の官製企業、動き出したら止まらない
既に1兆2000億の投入を決め、‘27年の量産開始までにあと3〜4兆円を注ぎ込む。拠出の法的な枠組み作りや経営権の整備などを進めている。
ラピダスのことについては
将来のことなので誰にもわからないが、作者はラピダスへの巨大資金投入を、技術の趨勢から「戦艦大和にならなければよいが」と言う。
・IBMは自分でやらず何故日本に持ち込んだのか
・SBなど日本企業はどこまで本気か
・東、小池以外の次世代経営人材はいるのか
・先端半導体の試作はできた、次は量産
・‘26.3.21、テスラが最先端のロジック・メモリ半導体の製造とパッケージングの世界最大の工場をテキサスに建設することを発表。AI半導体を生産する、インテルも加わる。
(この本の最後にこれを記している)
・・・課題はいろいろあるが、日本の半導体産業は地政学的な立ち位置や技術的なバックグラウンドをふまえ、凋落著しい日本経済再興の突破口にすることになった。政府はそれをTSMC誘致とラピダスの成功を目玉に実現しようとしている。
東会長は
「2030年は‘19年に比べて電力消費量が17倍になる。電力削減は微細化や三次元積層化と専用チップの普及で実現できる。専用チップは従来の汎用チップと違い専用部分の電力だけですむ。三つで電力消費量を五分の一に抑えられる。‥‥迫力ある、また目が覚めるような形で新しい価値を生み出していきたい。」
と言う。
事業や会社の立ち上げには、まず売るものがあってその顧客がいなければ成り立たない。先端半導体「専用チップ」の顧客を作ることである。汎用チップより難しいがその顧客創造が最大の課題だ。
業を起こすには獣のような狂気も必要だ。
政治家や当局に資金は調達して貰うが、
技術や事業で頼ることはできない。
創業当事者が成功を確信してやるしかない。
自分は彼らを信じる。
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Posted by ブクログ
国内での半導体動向について概観されており、全体像が掴めた。全体としては日本の凋落の歴史なので、気持ち良く読み進めることができない部分もあったが、知的好奇心がくすぐられる面も少なからずあった。
自身はこれまで、実体験として、国が民間の経営にどこまで介入するのかと、疑問に感じることが多かった(業界によるのかも知れない)。しかし、確かに産業によっては、特に国の生命線になり得るような分野においては、一定程度の介入が必要なのかも知れないということが理解できた。
後半は、国内半導体産業の乾坤一擲とも言える経産省肝入りプロジェクト、ラピダスの動向に触れる。著者は朝日新聞出身ということもあってか、ややもすれば政権に対する批判のような、多額の税金を投入する割に成果の実現性に疑問を呈するような、否定的な見方をしている。確かに、それも客観的な分析なのかも知れないし、税金投入の累計額は、補助金や出資などを合わせて約2.3兆円〜約3兆円規模とも言われ、大変な金額にも思う。しかし、国民1人あたりにすれば20,000〜30,000円、個人的には国全体に利益がある、場合によっては死活問題にもなりかねないことでもあり、納得して払える額とも思う。
本格生産を開始するとされている2027年度(2028年度?)まであとわずか、かすかな期待とともに見守りたい。 -
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『金融庁戦記』は、金融庁誕生の背景や金融行政の変遷、金融危機への対応を通じて、日本のリスク管理の歴史を学べる一冊です。単なる金融業界のノンフィクションではなく、組織が危機に直面した際に、行政機関がどのように情報を収集し、意思決定を行い、社会的影響を最小化しようとしたのかを描いています。
リスクコンサルタントにとって特に参考になるのは、平時には見えにくい制度上の欠陥や組織文化の問題が、有事にどのような形で顕在化するのかを具体的な事例から学べる点です。また、不祥事や経営破綻が単独の要因ではなく、ガバナンス不全、情報伝達の遅れ、監督機能の限界など複数のリスクが連鎖して発生することも理解できます。
現在の企業危機管理やコンプライアンス、レピュテーションリスク対策を考える上でも示唆に富んでおり、「なぜ危機は防げなかったのか」「組織は何を見落としたのか」という視点を養うことができます。金融業界に限らず、リスクマネジメントに携わるすべての実務家に推薦したい一冊です。