アンクリーヴスのレビュー一覧

  • 哀惜
    謝辞に、
    ――イギリスでは通常ダウン症の人々は「学習障害のある人々」と呼ばれる。この用語はいかなる価値判断を含まないので、本書ではこれを用いた。この用語が適切でないとみなされる場合があるのも知っているが、もちろん悪意をもって用いたわけではない。――
    とある。

    警察の捜索では
    「~は保護の必要な成人...続きを読む
  • 哀惜
    なかなか集中して読む時間がとれませんでしたが、読み始めてからは本を閉じることができず一気読み。ドメスティックかつ閉鎖的な空間で起きる事件が丁寧に描かれ、登場人物一人一人の心情やエゴが手にとるように感じられます。こうしてひとりの人間が葬られるのだ、と悲しくなりました。保護を必要とする人、それがどんな人...続きを読む
  • 哀惜
    アン・クリーヴス先生、好きだ!
    新しい主人公のマシューも、また複雑で魅力的で、
    部下の二人も、職場にいそうな人柄だが、冷静に描かれる二人はありきたりではない。ほんとにうまくて唸る。

    このシリーズでも、字体を変えた、心の声も冴え渡ってます。心の声は、意地悪な時もあり、ニヤリとさせられたり、ハッとする...続きを読む
  • 哀惜
    ★5 保護や支援が必要な人々の現実と不安… 人間の弱さと脆さを丁寧に描いたミステリー #哀惜

    イギリスの海岸で発生した殺人事件。主人公である刑事マシューと部下たちが、街に住む人々の環境、仕事、関係性から事件解決に導く北欧ミステリー。
    事件の背後関係と関わる人間たちが何重にも厚く絡み合い、ずっしりと...続きを読む
  • 哀惜
    シェトランド島シリーズと同じ作者だったので。

    解説によると「キャラクター小説」だそうだ。
    登場人物のキャラクターと物語と密接な小説、という意味で。
    確かに登場人物の人物像が精密に描かれているし、
    ストーリーとのがっちり組み合わさっていると思う。
    しかし、それを巷で流行っている「キャラクター小説」で...続きを読む
  • 哀惜
    ダントツに良かった。登場人物1人ひとりの個性や環境が充分に描き込んであって事件を追うチームの一員になれた様な気がした。派手なシーンはないが捜査が着々と静かに進む様子で、被害者の胸の内が哀しい程浮かび上がって来た。600ページ近かったがあっと言う間に読めた。
  • 哀惜
    著者の新シリーズ。海岸で発見された男性の遺体。事件を捜査するのはマシュー・ヴェン警部。淡々と地道な捜査が描かれているけれど、人の動きや感情がその中にしっかりとある。マシューの両親との齟齬や、同性婚のパートナーや同僚との日々。そういったものが物語に不可欠なように意味を持っている。派手な展開やアクション...続きを読む
  • 哀惜
    アン・クリーヴスの新シリーズ。
    マシュー・ヴェンを主人公とし、装い新たに開幕。

    アン・クリーヴスの小説は決して大立ち回りが多いわけでもなく、とんでもない急展開があるわけでもない(一作だけ例外があるらしいけど笑)。言い方は悪いが、非常に地味な展開が続く。ただ、なぜか定期的に読みたくなる、そんな中毒的...続きを読む
  • 哀惜
    初読みの作家さん。しかも新シリーズらしい。
    登場人物たちの描写、背景が丁寧に書かれていることもあってとても長い小説だった。
    マシューの穏やかさ知的さ、自信のなさや自分を過小評価しすぎるところが、今まで読んできた刑事像と違って、新鮮で好感が持てた。
    次回作が出るなら楽しみです。
  • 哀惜
    シェトランドシリーズのアン・クリーヴスの新作。
    もしかして新シリーズになるのかな?
    (本国ではシリーズ3作が刊行されている様子)

    今回も主要な登場人物たちの心の声、ダダ漏れ。
    これによってその人となりが理解できるのがうれしい。
    主役の警部、マシュー・ヴェンは見た目冷静で、できる男な雰囲気なのだけど...続きを読む
  • 哀惜
    殺人事件はすぐに起きるのだけど、少し前までホームレスだったアルコール依存症の男が、なぜ殺されなければならなかったのか、が全然わからない。
    そこがわからないので、もちろん容疑者なども全然絞れない。

    捜査責任者のマシューの生い立ちや、部下たちの生い立ちも交えて描かれるこの作品は、ともすればまだるっこし...続きを読む
  • 哀惜
    イギリス南西部の町ノース・デヴォンの海岸で死体が発見された。捜査を行うマシュー・ヴェンは、被害者は近頃町へやってきたサイモンというアルコール依存症の男で、マシューの夫が運営する複合施設でボランティアをしていたことを知る。交通事故により子供を死なせたことで心に病を抱えながらも、立ち直ろうとしていた彼を...続きを読む
  • 哀惜
    こちらの作家さん初めて読みました。
    マシュー刑事が同性のパートナーの暮らしていて、男性であること、そ~いったアイデンティティの小説で読むのは初めてで、はじめ「エッ?」ってなった。
    でもとても魅力があって物語に、深く影響があることも、なる程!納得!
    宗教や、障害者、絡み合うストーリーが上手く成り立って...続きを読む
  • 哀惜
    登場人物が詳しく書かれていて読みやすかった。それは色んな人目線で話が進むので、心の声まで読めたからかなと思う。特にマシューはそうで、親しみが持てた。事件自体はやるべきことをひとつずつやったら正解にたどりついた感じ。
    あと、時代は現代なんだろうけど、クリスティーのような古い感じがした。英国ミステリーだ...続きを読む
  • 哀惜
    当たり前の話しなんですが、物語が持つ雰囲気みたいなんて、主人公の持つ特性に依存しますよね
    当たり前ですが

    本作の主人公マシューは礼儀正しく落ち着いていて、公平で清々しく凛としている
    そしてまさしく物語はそのように進む

    とてもとても落ち着いてゆったりと進む
    だけどダラダラしてるわけじゃなくてページ...続きを読む
  • 哀惜
    殺された人間がどのような人物だったのかが徐々に明かされながらも、そこから更に謎が深まったり、新たな事件が起きたり、人物像が皆くるくると変わる様などは大変独特だと思いました。

    後半の弱者が虐げられながらも人知れず団結して抗うあたりが読んでいて胸が熱くなりました。
    また犯人の身勝手さや、考えが至らず結...続きを読む
  • 哀惜
    イギリス南西部にある海岸で死体が発見された。
    その日マシューは、父の葬儀を見ているところだった。
    ゆるやかで不思議な感じで読み始める。

    部下からの電話で近くにいたマシューは、死体発見現場に向かう。

    事件捜査も静かに流れていくのだが、これはマシューの警部らしからぬ礼儀正しさと落ち着いた雰囲気からだ...続きを読む
  • 哀惜
    CL 2023.6.9-2023.6.13
    アン•クリーヴスの新シリーズ。
    狭いコミュニティの中での殺人事件。
    マシューだけでなく部下たちも着々と丁寧に捜査を進めて解決に至る。こういう警察小説は信頼できて好きだ。登場人物も皆細部まで描き込まれて人物像が浮き上がってくる。
    同性婚の相手ジョナサンとの関...続きを読む
  • 哀惜
    アルコール依存症で心に傷を持つ
    男性が殺された
    警部の夫が務める施設で
    ボランティアをしている男性だった

    司祭や田舎の有力者やその娘が
    絡む人間関係の中で
    事件は徐々に明らかになって
    いくが
    結果的に聖職者のレイプ事件

    何だか後味が悪く
    ドキドキするミステリーとは
    違った
  • 哀惜
    ・あらすじ
    イギリスのランディ島が舞台。
    海岸で発見された男性の死体。アル中無職ホームレスだったその男性は死の直前にダウン症女性との謎の交流をしていた。
    社会的弱者である(になる)人々の問題なども描かれている社会派ミステリー。

    ・感想
    主人公のマシューが内省的なのに加え事件の概要や書かれる風景描写...続きを読む