アンクリーヴスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ原題『Heron's Cry』がわからなかった。
Heronて何だ?そんな登場人物もいないが。。
アオサギのことらしい。
なるほどー、そういうことね。
物語のそこここでアオサギの描写があった。
それは主人公マシューを暗喩するかのような凛としたしなやかな佇まいの描写だった。
善良に穏やかに根気強く。
福音派の厳しい教義の中で育ってきたマシューは自身の生き方を受け入れながらも、ときに他人との対比の中で生真面目な面白味のなさを感じずにはいられない。
それでも貫くそのスタイル。
もちろんブレそうになるときもある。
内面では惑いながら、後悔を覚えながらも外には見せない境界際の心の強さに魅力を感じる。
事件の方は、金融取引で一資産を築いた投資家が半ば慈善事業のような形で破格のコストで住まいや芸術家達への仕事場を提供するウェスタコム農場で死体が発見されるところに始まる。
被害者はこの農場に住むガラス職人イヴの父ナイジェル。
前の晩のパーティの場でマシューの部下ジェンに相談があると言っていたばかりだった。
どうやら医療制度の綻びから生まれた精神疾患からの自殺案件の調査をしていた模様だが。。
事件の展開としては、途中マシュー自身が言うように、進行しているものごとも、つながりも、動機も多すぎる。
まぁでもそれはアン・クリーヴスのいつもの感じ。
事件の謎解きよりも、その過程での登場人物それぞれの立ち振る舞いがもたらす「らしさ」だったり内省による変容が面白い。
訳者解説によれば、本シリーズの次作のみならず、過去作の〈ヴェラ・スタンホープ警部〉シリーズの邦訳が企画されていたり、〈ジミー・ペレス警部〉シリーズの再開の報があってファンとしては楽しみが増すばかり。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ死人に口無し。
死んだ人間を語るのは、いつだって生きている者たちだ。
ある海岸で殺された一人の男は、別の町から流れ着き、その土地に住み着いていた。 酒に溺れ、身を持ち崩し、誰かの助けがなければ生きていけそうにない男だった。
舞台はイギリスの片田舎。 伝統的な宗教観が色濃く残るその街で、人々は彼に救いの手を差し伸べる。
――その男が、殺された。
小さな村の閉じた人間関係の中で、それぞれの思惑が交錯し、人々は口々に男を語る。
そうして断片的な言葉が積み重なり、一人の人間の輪郭が、少しずつ形作られていく。
真実を静かに、粘り強く追う刑事マシューがいい。
寡黙で仕事ができ、職人のような刑事。 表面だけを見れば、完璧なプロフェッショナルに映る。
だが彼は、厳格な宗教を尊ぶ家庭に生まれ、それに反発した結果、家族とは断絶状態にある。
プライベートでは男性と結婚しており、そのこともまた、家族との距離を決定的なものにしている。
事件の全容解明と、マシュー自身の人生が重なり合い、物語は静かに終盤へと向かう。
そしてラスト、殺された男の「生きた意味」がそっと浮かび上がり、強く胸を打たれる。
沁みる一作。 -
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ネタバレ2025年の32冊目は、アン・クリーヴスの「沈黙」です。「哀惜」に続くマシュー・ヴェン警部シリーズの2作目となります。読書の舞台は、ウェスト・ドーセットからノース・デヴォンに移りました。
作者アン・クリーヴスの円熟した作品を堪能出来ます。
派手なアクションシーン等は有りません。派手な作品が好きな人には物足りないかもしれませんが、マシュー、ジェン、ロスのチームが、関係者から丹念に聞き取りを重ねて事件の犯人とその真相に一歩一歩辿り着いて行きます。最後は、一気読みでした。以外な人物が犯人です。
マシューとジョナサン、ロスとメラニーの2組の夫婦関係やジェンと子供達との関係等、捜査陣の私生活の描写が、良いアクセントにもなっており、素晴らしいシリーズ作品に仕上がっていると思います。
☆4.8年間ベスト10級です。 -
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ネタバレ2作目が出たので読んでみた。
初っ端に殺人事件が起きるのが早くて良い、そこから評判は聞いてたけど、じっくりゆっくり事件解明。出てくる人達の描写が丁寧。
内容にショッキングな所が少ないので全体的に落ち着いてる。
ラスト近くにようやく走り出すけど、ラストはスッキリしない感じ。
マシューの性格が落ち着いてるからだろうけど、ストーリーの熱もマシューみたい。何処かで冷静に出来事を眺めてるような気分だった。
ただルーシーが可愛いくて、解説でも取り上げてたけど両手でグーサインするの最高ですね。他にも好きな台詞があって
「彼は個人的な好き嫌いを道徳規範と混同するタイプの人間だった。」とかよかった。 -
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楽しみにしていたマシュー・ヴェン警部シリーズの第二弾。
あ〜、やっぱりアン・クリーヴスが好きだ!
ストーリーも人間模様の絡み方も
相変わらず聞こえてくる心の声も、十二分に楽しめた。
特に今回はラストの種明かしもすごく良かった。
取ってつけた感もなく、終わってみればこの人しかいない、と言う事実。(もちろんノーマーク)
前作ともリンクする部分も多く、また読み返したくなった。
今回、マシューとその部下であるジェン(シングルマザー、いつも疲れている)とロス(マシューとは微妙な関係、愛する妻と最近すれ違い)のエピソードも良かった。
それぞれにかかえているものがあり、それがストーリーに厚みを持たせている。
チームとしての3人の噛み合わない感じもおもしろく、
今後それがどう変わっていくのかにも注目したい。
巻末の解説でうれしいニュースも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアン・クリーヴスの新シリーズ!
「凄く好き」と「星4つ」が同居する不思議。
派手さや尖ったところがないので星4つにせざるを得ない。
けれども脳内にはこの上なくしっくりくる。
シェトランド諸島とは打って変わって今度はイングランド南部のノース・デヴォンのスモールコミュニティが舞台。
マシュー・ヴェンはこの地を担うバーンスタプル署にとってまだ新顔の警部。
かつて家族内の信仰に背を向けたことにより堂々と参列出来ない事情のある父の葬儀。
物悲しさと共に遠目で見やった余韻もままならぬ中、自宅付近の海岸で刺殺体が発見される。
身元を辿っていくと夫のジョナサンが運営するケア・センターとの繋がりが。
被害者の同居人、次いで発生する誘拐事件の被害者、関係者がことごとくケア・センターに通じていく中、ジョナサンの夫であるマシューは利害関係があり過ぎると悩みつつ捜査を指揮していく。。。
そう、マシュー・ヴェンは同性愛者。
これまで同性愛者の登場する物語はそこそこ出会ってきた気がするけど、主人公かつ警部ってのはなかなかない気がする。
なのに自然体。
嫌味やこれみよがしさが全くない。
ジミー・ペレスとはまた違った善良さ、生真面目さも持ち合わせていて好き。
松恋さんの解説によればあと2作程は邦訳待ちになりそうで待ち遠しい!
Wikipediaによれば、御年69歳の著者。
凄いなー。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ海沿いの街でおきた殺人事件、その一つの事件に対し冗長とも思える、周りの人々のひとりひとりの人物紹介に加え、施設の意義、案内を含め生まれつきの病気を持つ女性たちのことも丁寧に。尚且つ受け持つ警察の人たちの過去や現在抱えている悩みや状況まで。
丁寧すぎると言えばそれまでだけどようやく解決させるまでの長かったこと。
この作家さんの前のシリーズと共通するのはその丁寧さで読者の感情移入までさせてくれて、理詰めに緻密に事件を解決する整った感。読む人を選ぶのかもしれない。私は嫌いじゃないけれど。
このシリーズの警部は配偶者に対してかつてない愛情の深さを示してくれてその点でも、作家さんの本を書く丁寧さが伝わってきて、いろんな意味で好感が持てる。