リン・メッシーナのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「ぼくが他の女性を見つけたら、何の覚悟もない紳士にきみを押しつけることになる。それは不憫というものだ」
前回の事件をきっかけに、叔母家族とのわだかまりが解けつつあるベアトリス。結婚式の準備を十分に整えるため、公爵との結婚は延期すべきと説得されるなか、ノートン夫人がベアトリスに相談があると訪ねてくる。ノートン夫人は、ベアトリスの社交界デビューを台無しにした張本人だが、本人はその出来事をすっかり忘れている様子。祖父が自分に残した遺産のありかを調べてほしいと、ベアトリスに懇願した。
きっとノートン夫人に何かされるんだろうなと思いながら読んでいたが、気づいたベアトリスが機転をきかせて罠を回避し、公 -
Posted by ブクログ
ネタバレ公爵の婚約者となったベアトリス。しかし社交界では、なぜ公爵はベアトリスに求婚したのか、彼女の罠にはめられたのではないかという噂が囁かれていた。レディ・アバクロンビーから亡き母の手紙を受け取ったベアトリスは、自分の両親が首相の依頼で商人ギルドに潜入していたこと、事故死ではなく何者かに殺害された可能性があることを知る。
生粋のお嬢様といった感じの公爵未亡人が、ベアトリスのソバカスを可愛いと褒めたあと、ダミアンに立ち向かえる賢い女性であれば、ひ孫達が美男美女でなくても、ちっとも気にしませんと言うのが辛辣で良い。ベアトリスのSOSに夜会服姿で颯爽と駆けつけ、ベアトリスの手助けをする公爵がかっこいい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前回の事件でケガをし、外出禁止を言い渡されたベアトリスのもとに、最初の事件で殺されたオトレー氏の娘エミリーから、亡きオトレー氏の部下であり母の愛人でもあるウィルソン氏の突然死の謎を調査して欲しいと依頼が入る。もう殺人事件には首を突っ込まないと公爵に約束したベアトリスだが、向こうからきた事件は別と一人で調査に乗り出す。
犯人を見つけるとなれば危険なことも平気でするベアトリスと、調査の助けになる権力と広い人脈を持ち、常識的でブレーキ役にもなる公爵のコンビが、探偵と助手ではなく、対等な相棒という感じで良い。公爵にはめられ、メイド姿でたばこ屋から連れ出される場面はニコニコしながら読んだ。後半のプロポ -
Posted by ブクログ
ネタバレ前回の事件で容疑者から情報を聞き出すため、架空の元恋人デイヴィス氏をでっち上げたベアトリス。デイヴィス氏を捜し出そうとする叔母一家をあきらめさせるため、死亡広告の依頼をしに新聞社を訪れたベアトリスの目の前に、背中を刺された男が倒れ込んでくる。
舞台がロンドンに移り、19世紀英国を感じられる場面や人物が多く出てきて楽しめた。身分違いである公爵への恋心を自覚したベアトリスが、最悪だけど鈍くさい私には似つかわしいと自虐的に受け止めるところや、殺人事件に首を突っ込むのは身勝手な理由からだと自覚しているのが現実的で良い。
ベアトリスに欠点をずけずけ指摘されながらも、美貌と権力と絶対的自信を持つ公爵が -
Posted by ブクログ
すごーく、良かった!
過去3作と比べて、推理、解決パートの重さとクライマックスも、めっちゃいい!!
前作はめっちゃハッピーで終わったけど、今作は映画のようなどすっとした、しかし晴れやかな読後感。
恋愛ものとして、ケスグレイブ公爵、ベアトリスへの信頼関係の築き方もとても丁寧でとても良かった。
終盤近くに、2人がしっかり大事な物を最優する、愛しあう姿に泣いちゃったよ!
今回は、悲しくもベアトリス「彼女自身の事件」でもあり、前作までのどこかで軽率な(しかし軽やかな)探偵の振る舞いはない。
決意と勇気で、一歩ずつ操作を進める。ラストの犯人の動機や、情緒的な暗さも、痛みを伴う。
解決パートは、そ -
Posted by ブクログ
幼いころに両親を亡くし、叔母の家に居候しているベアトリスは、内気な性格で容姿も平凡。社交シーズンでソバカスをからかわれてからは、いっそう自信を失い、口を開けばどもるようになってしまった。ハウスパーティに招かれたベアトリスは、そこでケスグレイブ公爵と出会い、美しい容姿と最高位の爵位を持ち、常に周りを見下しているような公爵に嫌悪感を抱く。
死体を発見してはっちゃけた内気な令嬢が、真相究明に奔走するストーリー。付き添い人もなく男女が二人でいると知られると結婚するしかないため、行き遅れのベアトリスが「わたしが大声を出せば、平凡で退屈な女と結婚することになりますよ」と公爵を脅すのが面白く、後半で公爵が -
Posted by ブクログ
すごい、読後感!
相変わらず、推理パートが短く、ミステリものとしては、「キレイに伏線回収したんだから、もっと解決編を膨らませて!もったいない!」と思う。
でも、今回は仕方ない(笑)
だって、二人の行方の方が、重要なんだもの。犯人なんて、構ってる場合じゃない(笑)
探偵パート、推理パートがあるなら。このシリーズには恋愛パートがあって。恋愛パートは、実はシビアでシリアスな問題を含んでいる。
今回は、事件の解決編と、同時進行で恋愛パートがめっちゃクライマックスになって終わる。
事件も恋愛も、解決しない問題はまだ含まれているものの、こんなクライマックスを差し出されたら、いい意味で降参するしかな -
Posted by ブクログ
ネタバレ行き遅れ令嬢の事件簿シリーズ第2作目。
家族から「大人しい子・聞き分けの良い子でいるように」と教育されてきた主人公が、少しずつ自分の意見を言うことが出来、奥様からも気に入られる存在になっていきます。
再会した公爵さまに惹かれていく自分に気付きながらも、身分差をすぐに考えて夢を見ないというところがなんとも切い。
また、1作目で主人公の気の強さや無鉄砲さが合わないという感想を抱きましたが、死にそうな目に合っても、事件を解決しようとするのは、「自分が賢いのだと感じることができる」からだと知り、生まれ育った環境から自己肯定感が低くなっているんだなと思ってからは、この主人公のことが好きになりました。