萩森じあのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1巻完結。
表紙イラストとタイトルで買い。エモいのを想像して、期待たがわずそういう場面に浸る。けど、エモさより深いというか切ないというか痛いというか明澄とマガリのギリギリのある種、命がけの関係に引き込まれた。
"居場所"とか"キャラ"とか陰キャが言いそうな言葉を心理学的に分析してお馬鹿なラノベではなかった。難しいキャラクター論はわからないけど、VRキャラクターの響來は可愛い。vtuberのママ、パパがわからない人には刺さらない話かもしれない。
生きてきたことを否定しない作品、なのかも。
ステレオタイプの"ライトノベル"というでは枠では語れない作品かも。
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Posted by ブクログ
聞いたところによると、『ぼくらの胸キュンの作り方』と同じ学校が舞台だそうだ。「中学生による共同での創作活動」が描かれる点も共通している。
『ぼくキュン』は、「好き!やってみたい!」という気持ちから友だちと二人で漫画製作を始め、物語やキャラクターをゼロから作り込んでいく過程で、気づきや経験を得ていくお話だった。一方本作の主人公の波瑠くんは、周囲の期待に合わせてうまく立ち回ろうとしていたら、やりたくもなかったが流れで自主制作映画のほぼ主役(映画研究会看板女優の相手役)を演じることになり、先輩の書いた脚本と指示に沿ったモノづくりに巻き込まれていく。
やるとなったら中途半端なことはしない、真面目な波瑠くんなので、いやいやながらの後ろ向き参加では決してなく、主体性はちゃんとある。そうやって役者という初めての役割に取り組む彼の姿を見ていると、役者さんというのは、作り手でありながらも与えられた脚本の読者という意味では受け手でもあって、作り手といいつつも“作り”ようのない自分の姿形と声と気持ちを丸見せすることがその実作業であるという、面白い創作の形だなあということを発見した。
波瑠は、これまでは自分の本音に蓋をしたり、偽りの笑顔や気配りをうまく表に出したりする、そういうスキルを身につけ研ぎ澄ますことで生き延びてきたけれど、映画のための演技をきっかけに、自分の本音に向き合うスキルを使って生きてみることもできるのかもしれない、と気づいていく。そんな彼の変化が、実はよりハードな環境で生きてきた、看板女優にして“嘘泣き女王”の凛子にも影響を与える様子が、なんだかおばさんには眩しい⋯。表紙絵の美少女が眩しいのは、「こんな可愛い子に助けを求められたら恋しちゃうし頑張っちゃうよね〜」という他者から見た魅力によってではなく、この子自身が持っている自分で変わっていく力で輝いているからなんだなと、読み終わってみるとわかる。
「男の涙」がテーマということで、確かに男性が泣いたり弱さを見せたりすることの許されてなさ、泣いてもええんやで問題はあるよな、と思う。だが、女だっていつでもどこでも泣いてまえーが許されてるわけではなく、泣いたら泣いたで「涙は女の武器」とか非難めいた発言をされ、それを受けて別の女性が「私は泣いても男性に『女の武器』と言っていただいたことはない」とコメントするなど、私が高校生のころ政治家たちのそんなやりとりがニュースを賑わせていた記憶がある。作中でも凛子は女子から嫌われがちという描写があり、あれは嘘泣きだからかもしれないけど、とにかく涙問題は複雑!
きっと、男であれ女であれ、この土俵では泣いてはいけないとされる場所が確かにあるのだと思う。土俵を下りちゃうのも手だけど、「不逞不遜の大胆さ」(by キャロル・ギリガン)を発揮して堂々と泣いてみるのも、今度はやってみたい。 -
Posted by ブクログ
恋愛ファンタジー小説。
高校3年生の羽柴透(はしばとおる)は、妹への心に深い後悔を抱えながら無気力な日々を過ごしていた。
そんなある日、静かなカフェで出会ったピアノ演奏者の日向咲葵(ひなたさき)に惹き付けられ突然告白することに。
透の心は次第に咲葵との幸せな日々で満たされていくが、彼女には明かされていないある秘密があった…。
真実が明らかになるにつれて、二人は切ない運命に直面します。
この作品は、人間関係や人生の選択による後悔をテーマに描かれていた。
透と咲葵の二人の視点から語られるため、それぞれの心の内が細やかに描写され、青春の葛藤や愛の切なさが胸を打つ。
特に、表紙の女の子が泣いている理由が分かった瞬間は、切なさで胸が締め付けられた。
そして、ある設定が、物語に独自の緊張感を与え、先が気になる展開が続く…
ラストは曖昧さもありながらも、読者にハッピーエンドのあかしを感じさせる力があった。
読みやすく、青春を感じたい方や、学生さんに特にいいかも。 -
Posted by ブクログ
これは言わば捨て去った過去の自分を取り戻す、あるいは少年が一人の少女の特別になる事をもう一度願うお話。
どうしようも無く苦しくてやり切れなくてでも諦め切れないそんな青春のアディショナルタイムみたいなお話だ。
その切っ掛けが主人公たちが創作した一人のキャラクターが現実に現れるというファンタジーな設定なのだけど、彼女が背中に背負った剣を突き刺す場面には息を呑んだ。
これは想いの物語だ。
けれど主人公の想いはその弱さゆえか捻くれて肝心なことが何時まで経っても伝えられない。
あまつさえ4年前と同じ過ちを、後悔を、繰り返そうとする。
なにをやってるんだ!
自分の想いから逃げちゃだめだ!
そう叫びたくなる。
ラストのレモンティーの魔法でようやくほっと息が付けた。
それにしても誰かが自分の想いを努力を見てくれているということはほんとうに幸せなことだなあ。