志津栄子のレビュー一覧
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色覚障害と向き合っていく主人公に心を動かされました。学校の友達や他の大人とは違う素敵な先生との関わり合いや家族の問題を経て成長する主人公に目を張るものがありました。色覚障害がコンプレックスになり、絵の具や色を使う授業が苦手だったのが、自分の世界の見え方に向き合い「光」を見つけて前に進むようになって感動しました。私も挑戦したり、今に向き合ったりしてララを探してみたいなと思いました。
色覚異常に対応したチョークがあるのもこの本で初めて知りました。どんな人にも困ってることや人には言えない悩みがあると思います。言わないと伝わらないことがほとんどなので、伝える勇気が大切だと改めて実感しました。
色覚障害 -
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赤色がうまく判別できない色覚障がいを持つ信太朗。
眼科では「個性のひとつ」と言われたけれど、母親は「かわいそうに」と言って過保護になってしまう。それをうるさく感じるけれど、言い出せない信太朗。
学校でも色を判別できなくて、からかわれてしまう。
そんな信太朗の気持ちを慮って、さりげなく支援の手を差し伸べる平林先生の存在が、この作品の中で一番光っていた。
信太朗以外にも、困っているけれど「困っている」と言い出せない生徒はたくさんいる。
先生は率先して本音を話すことで、みんなが安心して弱音を言える雰囲気を作っていく。
先生の影響を受けて、自分の気持ちを正直に伝える信太朗。それに呼応するように、苦 -
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学校に居場所がない。
今、自分のとても近くにあることに関することなんて、微塵も思わせない題名の本を手に取ったのはきっと偶然ではないんだな。
想いを言葉にすることにとても力がいる唯人が、アズとの出会いによって少しずつ“自分”を抜け出せるようになっていく姿に勇気をもらえる。
みんながおれを待ってくれる。笑たりなんかせぇへん。
それやのにおれはひとりぼっちや。
唯人が感じていたのはやさしさの中の孤独。
だれかに理解してもらえるとは思えなかった。
そして、私はあの時の事を思い出す。
場面緘黙で言葉を発しなかった女の子。
彼女が文字でのやりとりで想いを綴った一年目。
「言葉を出す」ことに力を -
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息子も色覚異常なので興味を持って読みました。
今年の読書感想文高学年の部課題図書とのこと。
それはともかく、色覚異常のことだけでなく、「それなのよ、それ!」と思えることが多かったです。
「今まで、こまったことを言っていいよとか、何がわからないのって聞いてくれる先生はいたけど、それが言えるんならこまったりなんかしないのにって、ずっと不満だったのよ。算数が苦手としか言いようがないんだもん」
「こまったことを言っていい。そう言われるのが一番こまるって、ぼくも知っている。」
「言わないからって、こまっていないわけじゃない。今までのぼくは、こんなこと言っていいのかなとか、どう言えばいいのかなと -
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ぼく、信太郎は、保育園の年長組の時に、ベランダで栽培していたミニトマト、「母さんに赤くなったのを採って」って言われたけれど。「赤くなったの?」が分からなかった。
2年生の時、おばちゃん(母さんのお姉さん)ちてわ焼き肉をやった。おばちゃんに「肉の色が変わったら食べて」と言われたが「肉の色が変わる」が分からなかった。
眼科に行ったら生まれつき他の人と同じように見えない、赤色系の色を識別する細胞が欠けている色覚障がいだと分かった。治療の必要はなかった。
母さんは涙ぐんでかわいそうだと言う。母さんにとっては、ぼくが、世界のすべてだと言われる。
ぼくは後ろめたさを感じた。
2学期に、上半分に自分の顔 -
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2025年度 読書感想文課題図書 高学年
井上信太朗は5年生。赤系の色を識別する細胞が欠けていて、つまり赤い色がよくわからない。でも、わからないことより、お母さんにかわいそうと言われたことや、色覚障害と診断された2年生の頃、図工の作品で唇の色をチョコレートと言われたことのほうが心に引っかかっている。図工の色塗りはずっと自信がない。そんな信太朗が心のわだかまりや自信のない部分を乗り越えていくお話です。きっとどこかに共感したり、こういう風に人と接したいなど思うところがある本だと思います。
現代の日本のお話なので、課題図書の中では一番読みやすいのではないかと思いました。ただし、感想文にしてしまうと、 -
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主人公の心情描写、痒いところまで手が届く感じ。キャラクター設定・描写が詳細でスッと入ってくるので、長編苦手女子も没頭して読み進められた。
日常の中でふっと感じてはふっと消えるようなこと。
相手が何気なく発した一言がずっと心証を悪くして苦手意識を持ってしまうこと。
ちょっとしたきっかけで見えてくる新たな一面。
母の愛情が、いろんな制限がうっとうしくなること。(母側の気持ちにもなりながら読んでた)
自分の殻をふっと破りたくなるまわりの言動。
あるある、わかるわかるの共感の嵐。
色覚障害、弱さを見せること、言葉にすること、好きなことをするということ。
いろんなテーマが散りばめられてるがうまくつな