【感想・ネタバレ】雪の日にライオンを見に行くのレビュー

あらすじ

残留邦人の祖父を持つ、唯人(ゆいと)。父は中国で生まれ、日本で家族をつくったが、唯人がおさないころに帰国してしまった。
唯人は、何をするにも自信がなく、話すのも苦手。
大事なことを自分で伝えられず、いとこの洋(よう)ちゃんにくっついて任せてしまう。
洋ちゃんとクラスが離れた小学五年生の秋学期、クラスに転校生がやってくる。
クラスメイトがあれこれと話しかけても、転校生の生島梓(きじまあずさ)はそっけない返事ばかりして、クラスになじもうとしない。
唯人はそんな梓に親近感を覚えるようになる。

老人福祉施設を訪問してのクリスマス会、年末年始の家族のやりとり、年明けのなわとび大会…。
唯人は、中国残留邦人としておじいちゃんが抱えてきた悩みや家族への葛藤、梓が抱えている孤独を知っていくことになる――。


第24回ちゅうでん児童文学賞 大賞受賞作品。
[選考委員:斉藤洋氏、富安陽子氏、山極寿一氏]

いろいろな者たちの孤独が、あるところでは重なり、他のところでは、同じ言葉ではあらわせないほど遠くへだたっている。元来、孤独ということは、そういうものなのだ。――斉藤洋
多種多様な子ども達を、「そんな子がいてもいいのです」という、小学校の先生の一言が支えます。その言葉のなんと強く、温かいこと!――富安陽子
いったい自分は何者なのか。アフリカの多くの民族が入り交じった地域でゴリラの調査をしてきた私には、その葛藤がよくわかる。――山極寿一

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

学校に居場所がない。
今、自分のとても近くにあることに関することなんて、微塵も思わせない題名の本を手に取ったのはきっと偶然ではないんだな。

想いを言葉にすることにとても力がいる唯人が、アズとの出会いによって少しずつ“自分”を抜け出せるようになっていく姿に勇気をもらえる。

みんながおれを待ってくれる。笑たりなんかせぇへん。
それやのにおれはひとりぼっちや。
唯人が感じていたのはやさしさの中の孤独。
だれかに理解してもらえるとは思えなかった。




そして、私はあの時の事を思い出す。
場面緘黙で言葉を発しなかった女の子。
彼女が文字でのやりとりで想いを綴った一年目。
「言葉を出す」ことに力を注いだ二年目。
彼女にとっての幸せは彼女にしかわからない。
だから毎年担任が変わり、友達が変わり、関わる人が変化していくことはいいことなんだ。

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2023年04月14日

Posted by ブクログ

人前で意見をはっきり言えない中国残留邦人の孫の唯人とつっけんどんな転校生アズ。
小学5年の冬、そういうやつがおってもええと認めてくれる仲間たちの中で自分が今いる場所をふるさとにしていく一歩を踏み出した話。
人にどう言われようと自分は今いる場所から頑張っていくしかないんだと思えました。
ただアズのように色々な事情を抱えた転校生や転職者に学校や職場に馴染もうとする余裕がない場合、トラブルなく温かい受け入れを期待されても実際はきっついかも。

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2025年10月01日

Posted by ブクログ

最初の方の描写はすごくよかった。
打ち解けない転校生。
クラスの様子がリアル。気の強いこ、弱いこ(主人公)トラブルもいろいろあるけど、どの子の個性もしっかり描けていてよい。
後半が面白くなく残念。
中国残留日本人の話は主ではなくて状況として書かれている。こういう方が自然な気もする。

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2025年06月21日

Posted by ブクログ

子どものたちの葛藤や息遣いが、ページをめくるたびに伝わってくるよう。日常を抜け出そうと、一歩目のきっかけを探す主人公たち。自分の心に素直に向き合うことが、相手との距離を縮める何よりの近道ですね。

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2023年03月25日

Posted by ブクログ

内気な少年・唯人と金沢から転校してきた強気な少女・生島梓の成長物語。
複雑な事情を持つ2人がライオンを通して仲良くなっていく様子が微笑ましかった。

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2023年03月09日

Posted by ブクログ

気の強い転校生のアズサといつも従兄弟の陰に隠れて、何も言えなかったユイト。デコボコの2人が徐々に馴染んでいく。意外と辛辣なクラスメイトもいろんな個性を許容できる良い子たちと思う。

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

唯人は母親と二人暮らし。近くにいとこの洋平一家が住んでいて、いつも洋平に助けられている。
そんな唯人と洋平のおじいちゃんは中国残留邦人、二人の父親も中国で生まれて大人になってから日本へやってきた。
そしてアズという転校生。大阪にやってきたが大阪が嫌い。
二人ともクラスには馴染めない。そしておじいちゃんも日本に帰ってきてよかったのか悩みながら生きている。
皆が本当にこの居場所が好きでいるわけではない。仕方なく、のこともあれば、何となく、のこともある。
唯人とアズはクラスから浮いているが、縄飛び大会でクラスが一つになったとき、ふたりも仲間になっていく。

小学生であれ、子ども達はシビアだ。ちょっとした違いを感じ取って軽いからかいの的にしたりする。それが高じるとイジメに繋がりかねない。
ここでは、大阪的なノリに乗りきれないことがからかいの対象にもなっている。
皆が一つになれることを子ども達は求めているのかもしれない。そういうものを用意してやるのも大人の役目かも。

中国残留邦人の話題はあまり聞かなくなっている。風化させないためには児童書にもこの話題が取り入れられることも大事かなと思った。

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2023年07月23日

Posted by ブクログ

クラスメイトの子優しすぎんか?
上手く喋れない子にここまで優しくできるもんなのかなー
小学五年生の設定か…うーん。
中国語がちらほらでてきて、また中国語勉強したくなった。

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2023年06月18日

Posted by ブクログ

タイトルがいいですね。このライオンのいる動物園には何度もいったことがあるけれど、ライオンは大体寝ている。

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2023年04月03日

Posted by ブクログ

児童書。小学校高学年位~他者理解を深めるきっかけになりそうな一冊。
主人公の唯人が中国残留者の子孫という設定は、今の子どもにとっては難しいかもしれない。
でも、地方からの転校生の梓の疎外感と絡めることで、心情がわかりやすくなっているように思った。
言葉や文化が違う場所での生活は、大変なことも多いけれど、そんな中でも心を開ける友達や家族がみつかってよかった。

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2023年02月28日

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