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残留邦人の祖父を持つ、唯人(ゆいと)。父は中国で生まれ、日本で家族をつくったが、唯人がおさないころに帰国してしまった。
唯人は、何をするにも自信がなく、話すのも苦手。
大事なことを自分で伝えられず、いとこの洋(よう)ちゃんにくっついて任せてしまう。
洋ちゃんとクラスが離れた小学五年生の秋学期、クラスに転校生がやってくる。
クラスメイトがあれこれと話しかけても、転校生の生島梓(きじまあずさ)はそっけない返事ばかりして、クラスになじもうとしない。
唯人はそんな梓に親近感を覚えるようになる。
老人福祉施設を訪問してのクリスマス会、年末年始の家族のやりとり、年明けのなわとび大会…。
唯人は、中国残留邦人としておじいちゃんが抱えてきた悩みや家族への葛藤、梓が抱えている孤独を知っていくことになる――。
第24回ちゅうでん児童文学賞 大賞受賞作品。
[選考委員:斉藤洋氏、富安陽子氏、山極寿一氏]
いろいろな者たちの孤独が、あるところでは重なり、他のところでは、同じ言葉ではあらわせないほど遠くへだたっている。元来、孤独ということは、そういうものなのだ。――斉藤洋
多種多様な子ども達を、「そんな子がいてもいいのです」という、小学校の先生の一言が支えます。その言葉のなんと強く、温かいこと!――富安陽子
いったい自分は何者なのか。アフリカの多くの民族が入り交じった地域でゴリラの調査をしてきた私には、その葛藤がよくわかる。――山極寿一
Posted by ブクログ 2023年04月14日
学校に居場所がない。
今、自分のとても近くにあることに関することなんて、微塵も思わせない題名の本を手に取ったのはきっと偶然ではないんだな。
想いを言葉にすることにとても力がいる唯人が、アズとの出会いによって少しずつ“自分”を抜け出せるようになっていく姿に勇気をもらえる。
みんながおれを待ってくれ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年07月23日
唯人は母親と二人暮らし。近くにいとこの洋平一家が住んでいて、いつも洋平に助けられている。
そんな唯人と洋平のおじいちゃんは中国残留邦人、二人の父親も中国で生まれて大人になってから日本へやってきた。
そしてアズという転校生。大阪にやってきたが大阪が嫌い。
二人ともクラスには馴染めない。そしておじいちゃ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月28日
児童書。小学校高学年位~他者理解を深めるきっかけになりそうな一冊。
主人公の唯人が中国残留者の子孫という設定は、今の子どもにとっては難しいかもしれない。
でも、地方からの転校生の梓の疎外感と絡めることで、心情がわかりやすくなっているように思った。
言葉や文化が違う場所での生活は、大変なことも多いけれ...続きを読む
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