田中奈津子のレビュー一覧
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ネタバレ「第三のできごとが起こったのはそのときです。
ニックは『ペン』といいませんでした。かわりにこういいました。『はい、きみの……フリンドル。』
小学校五年生のニックは、新しい言葉を生む実験を始めた。しかし、辞書と言葉を愛するグレンジャー先生が立ちはだかり、言葉の戦争が勃発。「フリンドル」という言葉は定着するのだろうか。
いたずら好きなニックが、授業をわき道にそらしたり、先生をからかったりする場面は子どもが喜んで聞きそう。ペンを「フリンドル」と呼ぶ実験は、一見くだらないけれど、言葉がどのように普及していくかが見せられているようで興味深く読める。
頑なに見えたグレンジャー先生は、やはり卓越した先生だった。先生の先見の明に驚かされ、教育者としての温かさにほっこりする結末で、本を閉じたときには「ああ、いい話だった。」と満足できた。 -
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「ランドリー新聞」などの作者。復刻版。司書仲間絶賛なので購入。
5年生のニック(最高学年)は、ユニークな男の子。次々に面白い事を考えてはやってしまう。3年生の時は、2月の寒い時に、教室を南の島に変えたし、4年生の時は、黙読の時間にクロウタドリの真似をしてピィーと。先生は誰がやったのかわかりませんでした。
5年生(最高学年です。通知表にはABCと成績がつけられます。そして、5年生になると国語の授業はグレンジャー先生がやります。グレンジャー先生は、キチンとした身なりをして冗談は言いますが、誰に対してもとても厳しいのです。そして辞書を愛しています。
新学期の最初の授業は、教科書が配られ雑談と決まっていますが、グレンジャー先生の授業はびっしりと勉強です。ニックは先生に質問して授業をストップさせるのが得意です。授業の終わりに絶妙な質問をする事で、宿題を先生が出すのを忘れてしまうのです。グレンジャー先生の最初の授業の時もそれをやりました。辞書が教室にたくさんあること、辞書の中の言葉はいったいどこからきたのか質問したのです。グレンジャ先生はこれには答えないで、それをニックの宿題にしたのです。
ニックの家では宿題第一にという決まりがあります。ニックは家にある子ども用と大人の百科事典を引いて辞書にはついて調べました。次の日皆んなに発表しました。長い発表でした。そして、また質問したのです。なぜ犬はドックと言うのか。グレンジャー先生の答えは「だれが『ドック』は犬のことだといったかですって?あなたですよ。ニコラス」でした。
ニックはジャネットとの帰り道、ジャネットがボールペンを拾ったことと、今日の出来事を振り返ったことで、ボールペンをプリンドルとよぶことにすることを思いつきました。そして、周りを巻き込んでそれを広めていくことにしました。
ボールペンをプリンドルと言わせなくないグレンジャー先生との対決になってしまいます。新聞やテレビにも報道されて大ごとになります。でもグレンジャー先生の本当の考えは、10年後ニックが大学3年生になった時に分かります。ニックにグレンジャー先生から贈り物が届き分かるのです。ニックの勇気とグレンジャー先生の厳しさと優しさの物語です。 -
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ニューベリー賞作家、ロイス・ローリーが平和へのメッセージを込めて書いた本で、第8回「日本子どもの本研究会作品賞」を受賞した。
「1941年12月7日の早朝、日本の戦闘機がハワイの真珠湾を攻撃しました。アメリカ海軍太平洋艦隊の船がたくさん係留されており、たいへんな被害をうけました。戦艦アリゾナはたった数分で沈んでしまい、1177人の兵士が犠牲になりました…」
18歳で入隊したレオのこと
ふたごの兄弟のうち、兄ジョンはやけどを負い、弟ジェイクが亡くなったこと
アリゾナ・バンドのメンバーで、国旗掲揚の準備をしていた21人の若者たちはだれひとり助からなかったこと
・・・・・・・
私はアリゾナを見ていなかった
アリゾナに乗っていたたくさんの人が
突然命をうばわれたことを
わたしは知らなかった
一人一人の生きた証が散文詩で書かれてあり、彼らの描いた未来を夢を、一瞬で奪ってしまった戦争の恐ろしさに戦慄を覚えた。
もうひとつの水平線の向こうには広島がある。「1945年、8月6日の早朝、一機のアメリカの爆撃機が日本の広島に原子爆弾を落としました…。」
どちらの国にも人々の日常があった
大切な家族や友人がいた
その朝何があったか
知ることで
考えることで
人を世界を変えることが出来たなら
と、作家の祈りにも似た思いを感じた。
病院船にはこんな優しい名前が付けられていたことをこの本で知った。
コンフォート(なぐさめ)
ホープ(希望)
ソラス(いやし)
マーシー(思いやり)
レフュージ(避難所)
あの朝、たくさんの兵士たちはアリゾナの近くにいた病院船ソラスに運ばれていった。
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2024年ヨーロッパ、アメリカ、そして、日本では移民問題がニュースで話題になっていた。
文化、宗教、生活習慣の違いによる衝突。
治安の悪化とアイデンティティの喪失。
このままでは、日本でなくなってまう!!等々
とかくネガティブに報道され、拡散されてしまうなかで、移民側の思いを知りたいと思い
AIに「移民小説教えて下さい」と聞いたらこの小説を紹介されたのだ。
物語は中国からの移民の両親と娘のミアが、チャイニーズレストランの従業員を経て、モーテルの管理人になることから始まります。
そこにまつわる、人種差別や、同じ中国をルーツにもつオーナーに意地悪されたり、学校での出来事。著者の経験がベースにあるようで、リアルで、同じアジア人として悲しくなりました。
両親は中国では、技術者だったり、高学歴だったのに、アメリカでは、英語が得意ではなく、肉体労働しかつけません。それでも自由を求めてアメリカへ来たのです。
今でもそうなんでしょうか?
星野博美さんの「転がる香港に苔は生えない」の中に、香港返還の前にカナダへの移住がとても増え、カナダに渡ったものの、香港の学歴は全く無視され、単純労働しか得られず、失意のもとに香港に戻ってきたら、かつての同級生が出世していて、苛立つ若者が登場します。
どの移民も一代で大成功を得ることは難しく、子供に夢を託すことになるのがほとんどだと思うが、それでも自由を求めて自国から脱出するのだろう。
そこには、「アメリカへの憧れ」だけではなく、ただ単にお金が稼げるとか。コミュニティがある、移民が多い
宗教的な迫害が無いなどの打算が多分にあるのだと思う。ヨーロッパや日本にあてはめればそこには尊敬の念は無いのかもな。本当は持ってほしいけど…
まぁアメリカだって、そもそもがイギリスから異端者達が逃げてきた場所だしね。
最後はファンタジーになってしまいましたが、アメリカンドリームでした。
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中国からアメリカへ移民したミアと両親を待ち構えていたのは過酷な人生だった。溢れるほどいる中華系移民にまともな仕事はなく、安い賃金でアパートすら借りられない。
やがてミアの両親はラッキーにも住み込みでモーテルを管理するという仕事を見つける。だがラッキーだと思ったのは最初だけ。オーナーの中国人は信じられないほどケチでおまけに悪どい。賃金契約を勝手に書き換え、設備が壊れたら全て請求してくる。
ミアは両親の手助けをするためにフロント係を買って出て、自分にできる工夫でモーテルへ貢献する。お客様カードを作ったり、忘れ物を郵送するサービスを思いついたり。
そして手紙。
だんだん覚えてきた英語を駆使してミアはあちこちへ手紙を書く。手紙はモーテルに住んでいるアフリカ系移民やミアの両親を頼って訪れた中華移民たちを支え、彼らの未来を切り開く。
ミアのポジティブさとひたむきさが読んでいて爽快。状況は厳しいけど。
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アンソニー・ホロヴィッツというと、「刑事フォイル」の重厚なミステリ、『メインテーマは殺人』などの作品を思い浮かべる。
だから、そこからスタートしているので、こんな10代向けの本も書くんだ、なんて思っていた。
いや待て待て。
元々は中高生向けの本からスタートした作家だ(2023年春に代表作の海外ドラマも始まるようだ)。
だから本作は重厚な物語しか知らない私のような読者にとってはとても新鮮で、YA 世代には読みやすい・・・ホラーとなっている。
おすすめは『猿の耳』。
もちろんかの有名な、『猿の手』をオマージュしている。
さぁて、どこに辿り着くかな。
それにしても著者の作品には結構日本人が出てくる。
昔はアジア系といえば中国人だったような気がするが、どんな姿であっても日本人が登場するのはちょっと嬉しい。
恐ろしい日本人も出て来るけれど。
あと、日本食は寿司だけじゃないけど。
『スイスイスピーディ』は競馬の話。
どうも馬券が当たるらしい。
でも、中高生には馬券は買えないよね。
さて、どうするか。思いついたのはあの乱暴者の上級生。
あ、あ、あ、もう結末はこうに決まってる!!!
全部で9篇。悪い子はいねぇが、と言われているような物語たちだ。