【感想・ネタバレ】水平線のかなたに 真珠湾とヒロシマのレビュー

あらすじ

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「映像を見ていたわたしは、あっ、とおどろきました。たちこめる霧のむこう、水平線のかなたに見えるのは――戦艦アリゾナだったのです」
ロイス・ローリーが、自身の映ったホームビデオをよく見ると、
真珠湾攻撃で撃沈されることになるその艦が、映り込んでいました。

真珠湾と広島の人々の生きざまを描写し、その時何があったのかをわたしたちに突きつける、41の詩。
ニューベリー賞を2回受賞した著者が、日本にも住んだことのある自らの経験を織り交ぜながら、
敵味方なく戦時下で実際に生きた人に想いをはせ、つむいだことばの数々。

「人間のつながり」をテーマに長年書き続けてきた、稀代のストーリーテラーが、
初めて詩のかたちで、若い世代へ「互いを大切にできるかどうかが、我々の未来を決定づける」というメッセージを伝えます。

小学3年生以上の漢字にルビがついており、やさしく読める内容です。
かざらないことばで「人」に焦点をあてて、見えてくる戦争について、子どもも大人も一緒に考えてみませんか。
ぜひ今、読んでいただきたい1冊です。
(ニューベリー賞:アメリカで出版された児童文学作品の中で、もっとも優れた作品の著者に送られ、児童文学賞の中でいちばん長い歴史を持つ賞)

●著者紹介
ロイス・ローリー
1937年ハワイ生まれの児童文学作家。アメリカ陸軍の歯科医だった父について各地を転々とし、1948年からの2年間、11才から13才までを日本で過ごした。現在はメイン州在住。1990年に『ふたりの星(Number the Stars)』(童話館出版)、1994年に『ギヴァー 記憶を注ぐ者(The Giver)』(新評論)で、ニューベリー賞を二度受賞する。「ギヴァー」は大人気シリーズとなり、世界累計1200万部を超える。他にも『モリーのアルバム (A Summer to Die)』『Windeby Puzzle』など多数。

ケナード・パーク
アートディレクター、画家。ドリームワークスやウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ等で仕事をし、多くの児童書を執筆する。『Goodbye Autumn, Hello Winter』でゴールデン・カイト賞を受賞。

田中奈津子
翻訳家。東京都生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。『はるかなるアフガニスタン』が第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』『わたしのアメリカンドリーム』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれている。翻訳は他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』『橋の上の子どもたち』(以上、講談社)など。

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Posted by ブクログ

ニューベリー賞作家、ロイス・ローリーが平和へのメッセージを込めて書いた本で、第8回「日本子どもの本研究会作品賞」を受賞した。

「1941年12月7日の早朝、日本の戦闘機がハワイの真珠湾を攻撃しました。アメリカ海軍太平洋艦隊の船がたくさん係留されており、たいへんな被害をうけました。戦艦アリゾナはたった数分で沈んでしまい、1177人の兵士が犠牲になりました…」

18歳で入隊したレオのこと
ふたごの兄弟のうち、兄ジョンはやけどを負い、弟ジェイクが亡くなったこと
アリゾナ・バンドのメンバーで、国旗掲揚の準備をしていた21人の若者たちはだれひとり助からなかったこと
・・・・・・・
私はアリゾナを見ていなかった
アリゾナに乗っていたたくさんの人が
突然命をうばわれたことを
わたしは知らなかった

一人一人の生きた証が散文詩で書かれてあり、彼らの描いた未来を夢を、一瞬で奪ってしまった戦争の恐ろしさに戦慄を覚えた。

もうひとつの水平線の向こうには広島がある。「1945年、8月6日の早朝、一機のアメリカの爆撃機が日本の広島に原子爆弾を落としました…。」


どちらの国にも人々の日常があった
大切な家族や友人がいた
その朝何があったか
知ることで
考えることで
人を世界を変えることが出来たなら
と、作家の祈りにも似た思いを感じた。

病院船にはこんな優しい名前が付けられていたことをこの本で知った。

コンフォート(なぐさめ)
ホープ(希望)
ソラス(いやし)
マーシー(思いやり)
レフュージ(避難所)

あの朝、たくさんの兵士たちはアリゾナの近くにいた病院船ソラスに運ばれていった。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

真珠湾とヒロシマ。
アメリカ側、日本側、そして数十年経った時のつながり。戦争には国と国のそれぞれの思惑があって、攻撃し攻撃されてが非情にも繰り返される。
でも、そのなかを生きてきた人たちにも家族や友人、夢や思い描く理想があって、時を閉ざされた人も残された人もいろんな想いをもっている。

状況、想いを知る。
わずかなことかもしれないけど、知っておくことは大事なこと。繰り返さないために。

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2024年06月24日

Posted by ブクログ

アメリカと日本。両方の側面からパール・ハーバー、原爆について書かれている。すごく薄い本だが胸に迫るものがある。

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2024年04月18日

Posted by ブクログ

ロイス・ローリーは、ハワイ産まれ。幼い頃の8ミリ画像に真珠湾で沈没した戦艦アリゾナが写っていたという。やがて乗組員とともに真珠湾に沈んでしまうアリゾナ。一方で、第二次世界大戦後、日本に住んでいたこともある。そんな体験を通して、真珠湾攻撃とヒロシマを切り取ることで、戦争の愚かさを訴えている。
そして、絵本作家のアレン・セイと若い頃渋谷で遭遇していた事も書かれている。なんだか、歴史は偶然が重なっているのだと感じた。

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2025年05月12日

Posted by ブクログ

1945年
ハワイにいた少女
広島近くに住んでいた少年
それぞれが見た景色

戦争が終わり、東京でお互いに会ってたが
数年後に会う

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2023年08月22日

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