あらすじ
ミアには秘密があるー―。
移民としてアメリカで厳しい生活をしている、5年生のミアとその家族。
一家は住み込みで、モーテルの管理人をすることになりました。
しかしオーナーがとてもいじわるで、モーテルでは毎日おどろくような事件がたくさんおきます。
ミアはモーテルのフロントデスク(受付)で知恵をしぼり、しあわせをつかもうとがんばります。
アジア系移民や黒人をめぐるリアルな姿が描かれる、新しい移民の物語です。
New York Times Best Seller List
Asian / Pacific American Award for Literature
New York Historical Society Children's History Book Prize Honor Book
Parents' Choice Gold Medal Fiction Award Winner
NPR Best Books of the Year
Kirkus Reviews Best Books of the Year
Publishers Weekly Best Books of the Year
Washington Post Best Books of the Year
Amazon Best Books of the Year
School Library Journal Best Books of the Year
New York Public Library Best Books of the Year
Chicago Public Library Best Books of the Year
Top Ten Debut Novels 2018 - ALA Booklist
他受賞多数
ケリー・ヤン
児童文学作家。中国からの移民として、カリフォルニア州で育つ。小さい頃は本の内容と同じく、モーテルで働いていたが、13歳で大学に進学し、カリフォルニア大学バークレー校とハーバード大学ロースクールを卒業する。アジアやアメリカの子どもたちに書き方やディベートを教える、ケリーヤンプロジェクトの創始者。主な作品に『Three Keys』など。
田中奈津子
翻訳家。東京外国語大学英文語学科卒。『はるかなるアフガニスタン』が第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』『橋の上の子どもたち』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選らばれている。翻訳は他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』(以上、講談社)など。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2024年ヨーロッパ、アメリカ、そして、日本では移民問題がニュースで話題になっていた。
文化、宗教、生活習慣の違いによる衝突。
治安の悪化とアイデンティティの喪失。
このままでは、日本でなくなってまう!!等々
とかくネガティブに報道され、拡散されてしまうなかで、移民側の思いを知りたいと思い
AIに「移民小説教えて下さい」と聞いたらこの小説を紹介されたのだ。
物語は中国からの移民の両親と娘のミアが、チャイニーズレストランの従業員を経て、モーテルの管理人になることから始まります。
そこにまつわる、人種差別や、同じ中国をルーツにもつオーナーに意地悪されたり、学校での出来事。著者の経験がベースにあるようで、リアルで、同じアジア人として悲しくなりました。
両親は中国では、技術者だったり、高学歴だったのに、アメリカでは、英語が得意ではなく、肉体労働しかつけません。それでも自由を求めてアメリカへ来たのです。
今でもそうなんでしょうか?
星野博美さんの「転がる香港に苔は生えない」の中に、香港返還の前にカナダへの移住がとても増え、カナダに渡ったものの、香港の学歴は全く無視され、単純労働しか得られず、失意のもとに香港に戻ってきたら、かつての同級生が出世していて、苛立つ若者が登場します。
どの移民も一代で大成功を得ることは難しく、子供に夢を託すことになるのがほとんどだと思うが、それでも自由を求めて自国から脱出するのだろう。
そこには、「アメリカへの憧れ」だけではなく、ただ単にお金が稼げるとか。コミュニティがある、移民が多い
宗教的な迫害が無いなどの打算が多分にあるのだと思う。ヨーロッパや日本にあてはめればそこには尊敬の念は無いのかもな。本当は持ってほしいけど…
まぁアメリカだって、そもそもがイギリスから異端者達が逃げてきた場所だしね。
最後はファンタジーになってしまいましたが、アメリカンドリームでした。
Posted by ブクログ
中国からアメリカへ移民したミアと両親を待ち構えていたのは過酷な人生だった。溢れるほどいる中華系移民にまともな仕事はなく、安い賃金でアパートすら借りられない。
やがてミアの両親はラッキーにも住み込みでモーテルを管理するという仕事を見つける。だがラッキーだと思ったのは最初だけ。オーナーの中国人は信じられないほどケチでおまけに悪どい。賃金契約を勝手に書き換え、設備が壊れたら全て請求してくる。
ミアは両親の手助けをするためにフロント係を買って出て、自分にできる工夫でモーテルへ貢献する。お客様カードを作ったり、忘れ物を郵送するサービスを思いついたり。
そして手紙。
だんだん覚えてきた英語を駆使してミアはあちこちへ手紙を書く。手紙はモーテルに住んでいるアフリカ系移民やミアの両親を頼って訪れた中華移民たちを支え、彼らの未来を切り開く。
ミアのポジティブさとひたむきさが読んでいて爽快。状況は厳しいけど。
Posted by ブクログ
何か明るいお話を読みたくて、タイトルから明るそうなこの本を手に取りました。
勝手にそんなイメージを持って読み始めたもんだから、中国人の移民の女の子のお話で、しょっぱな家族3人で1つのハンバーグをを食べている時は、ん?ってなりました。
主人公のミアはパパとママと3人暮らしです。ファミリーはアメリカンドリームを夢見て移住してくるのですが、その暮らしはあまり良いものではありませんでした。そんな時あるモーテルで住み込みで働くことになりました。そこのオーナーはヤンさんといって同じ中国人ですがとてもお金に執着春のあるケチな男性でした。
そしていざ働き始めてみると、急に労働条件が変わったり、清掃や管理に追われ、ヤンさんからは搾取されまくり、それはもうとても過酷な日々となります。
ミアのお友だちのルーペ。彼女の家庭も裕福ではなく、ミアにとってとても大事な存在になっていきます。ルーペのセリフで、「この国で勝ち組になると言ったらベッドの置いていないリビングを持つことね。」というセリフがありました。お金持ちから貧乏まで自分がどの位置にいるかというのは人それぞれ。貯金もない我が家は貧乏な気もするし、外食にたまにいけて、たまにほしい物を買えてるうちはそこまで貧乏じゃない気持ちにもなってくる。私にとっての勝ち組は…専業主婦かな。
ルーペのセリフにはこんなセリフも。「貧乏人のジェットコースターからは降りられない」育った環境?本人の怠惰?はたまた運命か。貧乏人のジェットコースターというのは残酷な喩えでいろいろ考えさせられますね。
胸に強く響いたのがパパがすごく高い鉛筆を買ってくれた話です。毎日がその日暮らしと言っても過言ではないほど切羽詰まっている中で、ミア元気づけるために買った鉛筆。パパはその鉛筆を大切に持っていなさいとは言わず、使ったらいいさと言いました。使ったらすぐになくなってしまう鉛筆に、600円をかけることで、ミアの価値はそれだけすごいものなんだぞって言っている気がして、涙が止まりませんでした。それはある意味では、お金をいっぱいためてすごいものを買うよりその時のミアには意味があると思いました。
結局のところずっと貧乏で明るいお話ではなかったけれども、強く胸に響いた1冊でした。