菱岡憲司のレビュー一覧

  • 椿説弓張月3

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    3巻は琉球編。馬琴の筆が冴えわたり、もうめちゃくちゃ面白い。この巻で為朝一行は早々と海難でいったん退場、以後は主に琉球の暗愚な王の下での王政簒奪行為が描かれる。その勧悪懲善!の素晴らしい叙述に感激した。寧王女のもとで、本来善であるべき支援者や縁者が、悪人集団の奸計と禍獣の暴虐により次々と殺害される展開は、当時の読者の腹立たしさが思い返され、M的な痛快さ。馬琴先生の面目躍如といったところだと思う。最後に為朝が窮地を救うところで次の巻となる。里見八犬伝と並ぶ名作と評されているが、その真価を強く感じる編だった。

    0
    2026年01月16日
  • 椿説弓張月5

    Posted by ブクログ

    最終巻も人物紹介から始めよう。

     白縫王女 琉球国の正嫡寧王女に、亡き白縫(為朝の正妻)の魂が憑き、みずから白縫王女と称する。

    なんだかすっかり合体ロボになってしまったと感じるのは私だけか。寧王女~(オリンピックで有名な、原田選手の「ふなき~」風に)。

     八丁礫紀平治 為朝の腹心。石の礫をもって獲物を仕留め、百発百中の腕前をもつ。

    舗装された道路ばかりの現代社会では、武器が一つも見つからず、無敵どころか、渡る世間は敵ばかり。とりあえずそこら中に石礫のある源平合戦の世界では、為朝の息子を守り通した忠義の臣下。

     福禄寿仙 頭が長く、身体の半分ほどある老翁。

    ラストに再登場する福禄寿。

    0
    2026年01月18日
  • 椿説弓張月3

    Posted by ブクログ

     さて、本巻の人物紹介は割合簡単。善と悪がはっきりしている。愚昧な尚寧王、佞臣利勇によろめく寵妃中婦君、可憐な寧王女、佞臣利勇(大事な事なので、二度言う)と対立する忠臣毛国鼎とその幼き息子たち鶴と亀(が滑った、と書きそうになるじゃないか!どうしてくれる)、という、人間関係がドロドロ、ぐちゃぐちゃの琉球王朝に、少年誌から飛び出してきた豪傑為朝が参入してくる構図である。山風要素も欠かせない。妖術使いの曚雲国師とタッグを組む高名な巫女阿公。寧王女を庇う叔母真鶴と、忠義のため彼女と交際ゼロ日婚を果たした松寿。

     平清盛を討とうと九州から上洛中の海上で、為朝親子と主従は暴風雨に遭い遭難。その過程で元長

    0
    2026年01月08日
  • 椿説弓張月4

    Posted by ブクログ

     はて?しばらく見ないうちに、白縫が大変なことに。人物紹介いってみよう。

     海路で遭難した際、為朝たちの命を救うため犠牲となって海に身を投げた。

    えええええ!なんでいつの間にか弟橘媛みたいなことになってんの。

     鶴と亀 国王の忠臣、毛国鼎の子供。長男が鶴、次男が亀。

    なんだその単にめでたいものとりあえずつけとけ感は。忠臣の息子といったら高位の子なのに、ひと文字か。為朝と白縫の息子舜天丸(すてまる)は三文字で、丸ついてる丸。丸、だいじ。なになにの助とか、だいじ。

     そんなこんなで元長刀ガールの妻白縫を失った為朝の前に、なんと!彼女の魂が憑いた寧王女が現れる。寧王女は、琉球王尚寧王の第一

    0
    2026年01月10日
  • 椿説弓張月2

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    本編の後半だが、完結せず続編(第3巻)につながっていく。われらが為朝が大島流罪となって伊豆諸島を制覇したり仇敵から征伐を下されたりする様子が描かれるが、史実はここまで。ドラマティックな死に別れの後の四国、九州への旅、そして白縫との再会等を経て、清盛討伐への出発、馬琴の伝承・想像の世界への旅立ちがさえわたるところまでがこの第2巻。読本の面白さ、当時の江戸の人たちの熱狂ぶりが想像できる。それにしても相変わらず北斎の挿絵が逸品で素晴らしい。光文社古典新訳文庫の面目躍如といったところだろうか。凄いとしか言えない。

    0
    2025年12月23日
  • 椿説弓張月1

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    5か月刊行が完了したので読み始めた。源為朝の伝承の冒険ものの読本で、第1巻は九州追放、保元の乱、平治の乱、伊豆追放と史実に沿って物語が展開されるので、まずは導入として楽しく読める。馬琴は子供向けの八犬伝を読んだきりで、原文には手を出す気はなかったので、こういった翻訳が出るのはとても助かる。二巻以降は荒唐無稽な内容になっていくと思うけど、読み進めると当時の読み手のわくわく感がそのまま伝わってきそう。この文庫シリーズでは葛飾北斎の挿絵が随所にちりばめられ、そのすばらしさと精緻さに圧倒される。読んで2度楽しい。

    0
    2025年12月15日
  • 椿説弓張月1

    Posted by ブクログ

    さて、物語は崇徳院と後白河天皇(後に法皇となり絶大な権力を持ち大天狗と綽名される)の対立から始まる。この二人、父親は同じ鳥羽法皇である。しかし鳥羽法皇は、祖父白河法皇に寵愛される崇徳院を煙たく思っており、自身が院政を敷いて後、崇徳院に速攻で譲位を迫り、わずか3歳の近衛帝を即位させた。近衛帝が17歳で病死した後、崇徳院は、当然自分の息子が帝位につくと期待していた。ところが、次の天皇についたのは、お気楽三昧で暮らしていた後白河帝だった。後白河帝の乳母だったのが、信西。乳母子が帝位につき、我が世の春を謳歌していた信西を、快く思っていなかった少年為朝。信西が弓の名手として挙げた清盛と頼政を一蹴。
    博学

    0
    2025年10月19日
  • 椿説弓張月2

    Posted by ブクログ

    滝沢(曲亭)馬琴は、映画にもなった里見八犬伝の原作『南総里見八犬伝』で知られるが、最初のヒット作はこちらだ。当時は『八犬伝』の馬琴ではなく『椿説弓張月』の馬琴だった。そしてテッパン葛飾北斎とのコンビ作である。

     主人公は源為朝。源為義の八男で、頼朝の父・義朝の弟にあたる。大河ドラマ『平清盛』では橋本さとしさんが演じていた。乱暴者で父の為義に持てあまされ、九州に追放されたが、手下を集めて暴れまわり、一帯を制覇して鎮西八郎を名乗る。そのため、鎮西八郎為朝ともいう。

     保元の乱では、父・為義と共に、崇徳上皇方につき、強弓と特製の太矢で大奮戦するが敗れ、伊豆大島へ流される。配流先でも国司に従わず、

    0
    2025年09月21日
  • その悩み、古典が解決します。

    Posted by ブクログ

    「◯◯で問題解決」を謳うビジネス書などのメタ的な立ち位置のような、他愛もない人生相談に対して故事もとい古典を引くというスタイル。

    「今も昔も人々の考えることはそう変わらない」という身も蓋もない話でもあるが、古典の知識はいくらか蓄えられたか。

    0
    2024年09月15日