【感想・ネタバレ】椿説弓張月1のレビュー

あらすじ

『保元物語』に登場する強弓の武将源為朝を主人公とし、日本と琉球を舞台に琉球王国再建の秘史を描く史伝物読本。読本作者・馬琴の出世作であり、『南総里見八犬伝』と並ぶ代表作。北斎の挿画を全点収録する全5巻構成。第1巻は、九州に下っていた為朝が保元の乱で崇徳院方に加わり奮戦するものの敗れ、伊豆大島に流されるが……。各巻に解説を付けて刊行する。

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Posted by ブクログ

さて、物語は崇徳院と後白河天皇(後に法皇となり絶大な権力を持ち大天狗と綽名される)の対立から始まる。この二人、父親は同じ鳥羽法皇である。しかし鳥羽法皇は、祖父白河法皇に寵愛される崇徳院を煙たく思っており、自身が院政を敷いて後、崇徳院に速攻で譲位を迫り、わずか3歳の近衛帝を即位させた。近衛帝が17歳で病死した後、崇徳院は、当然自分の息子が帝位につくと期待していた。ところが、次の天皇についたのは、お気楽三昧で暮らしていた後白河帝だった。後白河帝の乳母だったのが、信西。乳母子が帝位につき、我が世の春を謳歌していた信西を、快く思っていなかった少年為朝。信西が弓の名手として挙げた清盛と頼政を一蹴。
博学ながら依怙贔屓にして私の決断も多い

と信西を批判。自分に向けて放った矢を見事止めて見せると豪語し、有限実行。父為義はやんちゃな息子を頼もしくも感じていたが、帝をはじめ高位の方たちの前で、こうも見事なるKY宣言をされてはと、やむなく世渡り下手な息子を遠方へ。

 さて、第一巻から為朝愛され伝説は止まらない。鹿を巡って争っていた二匹の狼を、空手チョップならぬ弓矢チョップで止め、狼はその場で心服。山雄と野風という名前を与えられる。山雄は、人間を襲うと首を斬られるも、その首が人間を本当に襲おうとしていた大蛇の首を引きちぎる。大蛇の中には貴重な珠があり、それを狙って龍が霹靂を飛ばしてやってくるが、為朝の乳母子須藤重季は、感電しながら珠を為朝のもとへ。その珠が為朝を新たな縁へ繋ぐ。

 二巻で登場した白縫は、最強弓ガールならぬ長刀ガール。自分の婿になる男は、自分より強い男でなくては、と為朝を待ち受けるが、一瞬でフォーリンラブ。為朝愛はすさまじく、この後保元の乱で為朝が奸計により捕らえられた事を知ると、ハニートラップでその相手武藤太を捕えて、それはもうえげつない拷問で死に至らしめる。その様子を知りたければ、ぜひ本巻を。しかし白縫、初登場時はそこまで残虐な事をやるキャラに見えなかったが。為朝愛がそうさせるのか。

 第一巻ラストは大河ドラマ『平清盛』でもお馴染みの、崇徳帝怨霊変化。

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2025年10月19日

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