西式豊のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ミステリ作家養成講座の同期6人は、招待を受けて山奥の洋館「岨景館」に集まった。だが招待主の講師は姿を見せない。館内には斧、剣、銃など物騒な凶器の数々が展示されていた。やがて“処刑人“を名乗る人物からの宣戦布告を皮切りに、第一の殺人が起きる…
クローズドサークルで起こる連続殺人というベタだけど本格ミステリ好きには垂涎のシチュエーション。かの有名な名作『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせる場面もそこかしこにあり、先人作品へのリスペクトに満ちている。昨今流行りの特殊設定に頼らず、正攻法でクローズドサークルに勝負する心意気が男前。
ネタバレになるので詳細は伏せるが、登場人物が「作家」であることを活かした仕掛けが「有効」。二重三重に足元をすくってくる終盤の連続技は「技あり」。一方、ツッコミどころも多い綱渡り的な犯行プロセスなので「一本」は取れずじまい。。。柔道に例えるならこんな感じの印象。
ミステリ作家同士の会話や各人が物思いにふけるシーンが、業界ネタ満載で面白かった。本当に書きたい小説を書けているのか自問自答する者、文壇から過小評価されてると感じて憤懣やるかたない者、悲喜交々。思いおこせば冒険小説やハードボイルドが「このミス」上位を席巻した時代もあったよねぇ。先日読んだ『作家で食っていく方法』にも書いてあったけど、ミステリ作家で食っていく大変さがひしひしと伝わった。
P219、P223に誤字有り(初版)
**********************
本来梅雨時は読書が進むシーズンだが、今年はワールドカップが面白過ぎて読書が遅々として進まない。
寝不足でレビュー書きながら寝落ち(( _ _ ))..zzzZZ頑張れニッポン!! -
Posted by ブクログ
第12回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作『そして、よみがえる世界。』を改題したということですが、読み終えて真っ先に思ったのは、改題しない方が良かったのでは?ということ。
物語をストレートに表現していると思うのですが、なぜに改題したのか。
おそらく、物語のミステリー部分のネタバレになってしまうからなのかなぁ、とは思います。それでも「不在の生存証明」よりはシンプルでストレートでいいのになぁ。
物語のSF部分を評するには改題後の方がいいのかしら。
あ、主人公とヒロインについて言及していることにもなるからか。改題前だとヒロイン視点が強くなっているから、ということはある。
しかし、物語のすべての発端が彼女にあるのは事実なので、彼女視点で良かったのではないかなぁ。
なかなか気持ちの整理がつかないですが、それだけこの物語の世界に引き込まれた証明だと思います。
欲を言えば、ラストバトルはきっちり描いてほしかった。
大上段に振りかぶって始まった序盤。仮想空間での大活劇。こいつはどんなドンパチ始まるのか、という期待をひっくり返してSFミステリが始まったわけで。その終幕に物語の導入の大活劇持ってきたか、という興奮が消化不良になってしまった感はありますね。
仮想と現実の二つの空間。二つの世界・社会を自在に行き来して生活してゆくというのは、かつて「ソウルハッカーズ」で経験したもので馴染み深いものでありました。
「ソウルハッカーズ」では現実から仮想へ、という一方通行感が強く、仮想空間からは侵食されるかのような危機であったのですが、時代を経て双方向の可能性を見出せるようになったのかと思います。「ソウルハッカーズ2」の世界のリンゴたちがそうであったように。
要素要素は面白かったけど中途半端というかなんというか、名前負けだったんだよな2は。 -
Posted by ブクログ
秋田県御荷守(おにもり)村では50年に一度、貴神の嫁取りと呼ばれる祭が行われる。四家と呼ばれる村の名家からそれぞれ姫と呼ばれる嫁候補が集められ、そのうちの一人が御台として貴神の嫁に選ばれる。
大正、昭和、令和の三章を通して貴神もとい鬼の正体と嫁取りの儀の真相に迫る。
大正パートはいわゆる因習村ホラーだったものが昭和パートでは横溝正史風のミステリーになり、令和ではSFへと展開する。
ホラーのつもりで読んでいたから急展開に正直混乱する部分もあったけど、昭和のミステリーについてはきちんと論理的に解決したし、読み応えはあった。昭和パートが1番面白かったかな。