ピップ・ウィリアムズのレビュー一覧
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「オクスフォード英語大辞典」はもちろん大変価値ある偉業であるが、男性たちが男性たちの用例を集めて作っていること、そこには何人かの女性たちも加わっていたのに(祝賀の食事会でも外の席にされたことに象徴されるように)存在に光を当てられていないことに気づき、そこから想像を広げていく作者の視点が素晴らしい。史実と想像を織り込んで。ここまで豊かで生き生きと物語を紡いだことが素晴らしい。
捨てられたことば、置き去りにされた小さなことばを集めるエズメ。女性の参政権の獲得や戦争という歴史の波と、エズメの日々の暮らしや恋愛などを重ねて生涯が描かれ、それは体温と重みを持つ。謝辞も辞書のテイで、作者の辞書や言葉に対 -
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歴史の中で記録されることのなかった女性達の物語。けれど確かに、強く根の張った芽の息吹がそこにはあった。翻訳がすごく読みやすく、また美しく、基本的に通学中読んでいたのだが休みの日は部屋で声に出して読んでみたりした。新しい読書体験だった。
オックスフォードの製本工房で日中働くペギーは、夜工房から持ち帰ってきた不良本を読みながら大学で学ぶことを夢見ていた。しかし、労働階級の彼女にとって身分の壁は高く、また障害を持つ双子の妹モードの面倒も見なければならない。夢もまた夢の話だった。
第一次世界対戦の足音も大きくなり、あちらこちらで難民を引き取らなければならない。ペギー達の生活も一変する。
病院の患者 -
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第一次世界大戦中の英国、オックスフォード大学出版局の製本所で女工として働くペギー。双子の妹モードと、川船に暮らしながら働いている。亡くなった母親も製本所の女工で、失敗して売り物にならなくなった本をもらい受け、家には糸で綴じられただけの本がたくさんあった。貧しいながらも知識欲もあり、母親はペギーには学業を続けてほしいと思っていた。だが、ペギーは障害のある妹のモードを置いてまで勉強続ける気になれなかった。
勉強を続けて大学まで行くことは、女性にとってはとても稀有な時代に優秀さを認められ、奨学金を受けて勉強するように勧められるペギー。顔や体の半分に重傷を負いながらも祖国へ戻り、ベルギー再建に尽くし -
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WW1のオックスフォードが舞台
女性の参政権や地位が大きく動いた時代
障がいを持つ双子の妹の為に、学問への道を諦め、
製本所で働く20代前半の姉が主人公
それでも何処か諦めきれず
失敗した製本の一部をこっそり持ち帰ったり
仕事中に暗記したり
妹への複雑な想い
若くして亡くなった母への想い
恋の行方
身近になっていく、戦争の迫りくる足音
それらが、フィクションながら
現実の時代設定、
実在した人物を幾人か織り交ぜながら
物語にリアリティを持たせ、
重厚な海外ドラマを見終えたような
満足感に浸れる
前作『小さなことばたちの辞書』の姉妹編に当たる
前作に出てる登場人物も出てるらしく
そちらはま -
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オックスフォード英語大辞典の編纂に関わった実在の人々の中にひとりの少女を登場させ、
その時代の女性たちがどのように生きたか、
辞書に入ることを許されなかったことばたちと絡めて描かれた大作。
編纂者の一人である父との二人暮らしの中、1日をほぼ写字室(スクリプトリウム)で過ごすエズメ。
話し相手はパパと、マレー博士(編纂主幹)の家の女中、リジー。
エズメの心の揺れや、子どもならではの失敗や小さな罪を、このリジーが上手にすくい上げ、力になってあげる姿に何度も救われた気分に。
二人の関係性がとても良かった。
主人公よりもリジーに肩入れしながら読んでしまった。
ことばに関係する本だけあって
あちこち -
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第一次世界大戦中にイギリスで製本職人として働く少女、父親はおらず母親も亡くなり、少し発達障害を有すると思われる双子の妹とともにボートでの生活をしながら勉強への渇望が徐々に実っていくお話。主人公や周囲の人々が一歩ずつ人生を歩んでいく様がとても丁寧に描かれており、自分も同じ歩調を感じながら読み進めた。女性の権利を訴え勝ち取ったに見えても、実現したときに訴えた階層の女性が除外されたなど、”踏まれる石”が存在する哀しみや悔しさも綴られている。そのような中で”選択肢がある特権を持つ人”がどのように社会に貢献していくかも重要な課題として提起されているように感じた。戦争で傷ついた兵士らの描写は抑えめながらも
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「舟を編む」より昔に辞書を作った人たちの話。
女は全く数に入ってなくて、語源も女が絡むとろくな例えにならない。
それでもコツコツ頑張ってきた人たちがいるから、何とかここまでマシになってきた。とは思えない。
万国共通で爺さんてのはどこまで女をバカにする気なのかと、その辺りの意識は一ミリも進んでないのはなんで?
それでも、女たちの間でも格差はあって、リジーは最後までエズメの味方でいてくれたのが不思議。
母親みたいな気持ちでいたからなのかなあ。
権利についての闘いも、すぐ暴力に訴えようとするのは男も女も変わらないのか。野蛮な手を使う奴は、半分くらいただケンカしたいだけな気もする。
戦争で息子を亡く -
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19世紀末の英国で、オックスフォード英語辞典が作り始められました。その編集に関わる父親の仕事に興味をもったのが、幼いエズメ。女性参政権運動と第一次世界大戦がある20世紀初頭までの時代の流れのなか、言葉に向き合った彼女の生涯の物語でした。史実の中に架空のエズメを落としこむことで、読みごたえがあり、じっくりと読むのにふさわしい内容となっていました。
小さかったエズメが拾った言葉カードが全ての始まりでした。有名人や権力がある人が言った言葉だけが辞書にのせられるということのおかしさと、普段口にできないような言葉をそういうふうに思わせたのは誰なのか、ということを考えさせられたのは、初めてでした。
知 -
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これ今年のNo.1候補なのにつけてなかった。
19世紀後半、オックスフォード大辞典編纂という史実をテーマに、実在の学者たちの間にそのひとりの娘という架空の主人公を据えた。女性が学究の徒になることなどあり得なかった時代に、言葉を愛しその蒐集に情熱を燃やすエズメが体験する差別や弾圧は、今の時代を生きる私たちも規模は違えど覚えのあるもので胸に重い。
家族がわりの黒人使用人が自尊心を育んでいくエピソード、そしてたった一度愛し愛される人と出会えたこと…不幸の割合のほうが多かったように見えるエズメの人生だけど、これぞ天職と思うものに身を捧げられたことは、人の大きな幸せでもあるのだ。
そうそう見つからないけ -
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Posted by ブクログ
読み終えるのが勿体なく、久しぶりのしみじみと作品の世界に浸りきっての時間を過ごした。
言語の定義と社会的にもつ定義との隔たり、時は19世紀から20世紀初めにかけて。
時代の趨勢に突き上げられるかのようにうねりを高めていく女性参政権運動。
ヒップ・ウィリアムズは見事なまでの人物類型を適切に配置し、実在の人物のモデルになったであろう人物を巧に織り合わせ、アカデミックな作品に仕上げている。
「OED誕生秘話」は勿論「博士と狂人の間」も恥ずかしながら知らない世界。
架空の女性エズメの成長して行く姿を通じて、背後にリジ―の存在が重く感じさせられる。
リジ―やほかの人物に語る言葉を「日本語の方言的な翻 -