ピップ・ウィリアムズのレビュー一覧

  • ジェリコの製本職人

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    製本工場の女工、双子の姉妹の姉のペギーを主人公にして、憧れの女子大学に行く夢を実現するまでを描く。女性参政権運動を皮切りに男達による搾取や支配、そして何より残虐な戦争、ちょっぴり恋愛、いろいろ問題満載の骨太の物語。

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    2026年08月22日
  • ジェリコの製本職人

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    最初は、読むのに退屈したけど、読み進めたら、文章が胸にささる、とてもいい本でした。ペギーが、最初は製本工から事務仕事の応募も躊躇っていたのに、最後は、カレッジに入るまで自分を変えていくストーリーがとてもよかったです。グウェンが、物怖じせず、物語を明るくしていていいキャラクターでした。
    女性が学位をとることを、守衛に感謝しなくちゃと言われるが、私は、感謝はふさわしい言葉じゃない気がしたという一文がとても好きです。p528
    モードは、言葉が不自由で繰り返すことでしか自分の意見を言うことができないという設定も、文章が読者に染み込む効果を高めていると思う。なぜなら、言葉が不自由なのに表現が豊かで的確だから。

    好きなシーン
    抜き出して見たら、"わたしたち"を"私たち"にせずに、ひらがなで表記する、"一つ一つ"を"一つひとつと"と表記するなど、小説を柔らかいトーンにするのに一役買ってるのだなと思いました。

    p225
    沈黙を埋めるため、あるいは暇つぶしのために人は、話す。
    ことばを巧みに操り、際限もなくさまざまに組み合わせることはできても、大多数の人間は、本当に思っていることわなかなかうまく言い表せない。一つひとつの語句がそれ以外に理解しようがないたった一つの意味になるまで。会話を分解していく。

    p242
    「綺麗なだけが、花の取り柄だもの」わたしは言った。
    「あなたは花じゃなくってよかったね」

    p385
    昔から、恋に傷つくのは自分の胸だと思ってきた。女だから、恋に支配されてしまうのだと。小説や詩の中で、何度も何度も読んできたことだ。でもその小さな嘘(主人公が自分がどうしたいか分かっているのに分からないといったこと)は、破れたのはバスティアンの胸だった。わたしは、それが破れるのを見、彼の痛みを自分の胸に感じた。

    無意識に読んでいるもの、それを当たり前だと考えないこと、当たり前かどうか気がつくことが、大事だと思った。

    p390
    "変化を、求める共通の願いによって結ばれた女性たち"(姉妹たち)。そうだ。生まれつき持っていないものを欲しいと願うのは、わたしひとりじゃない。

    このシーンは、とてもいいシーンでした。
    ペギー(主人公)が、自分の意思をはっきり示すところ。立ちはだかるのが、女性で、周りの男性が冷やかして見ているのが、風刺ですね。

    p395
    どれもみんな同じだと思った。
    どの一冊もひとたび読まれれば、それぞれ違う箇所で自然と開くようになる。わたしは気づいた。どの一冊もひとたび読まれれば、ほんの少しだけ違う物語を語ることになるのだ、と。
    ミスガーネル(司書)との再会のところ

    p420
    「わたしたち女性を説明するために使われることばは、わたしたちの社会における価値を定義するの。そして。社会にどう貢献するかを、決めるのよ。」「わたしたちについてどんな感情を持つべきか、どう判断を下すべきか人々に指示するものでもある」

    ペギーがギリシャ語を読める意味について、ミスガーネルと話すシーン

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    2026年02月28日
  • 小さなことばたちの辞書

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    「舟を編む」に似ている辞書をめぐる人間模様

    辞書には入れられない市井の人の言葉を集める主人公
    辞書は男性が使う、言葉 概念をベースに作られる。その中に女性にまつわる日々の言葉がかけていることの気づく主人公と召使の友情と成長

    19世紀後半の婦人参政権への眼差しや、庶子を産む主人公の困惑と痛み。

    様々な言葉をめぐるつながりが感動的。
    婦人参政権はオーストラリアが世界初と初めて知った。

    本を読む楽しさ満喫

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    2026年02月06日
  • 小さなことばたちの辞書

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    19世紀末イギリス、辞書編纂者の娘エズメは、編纂室を遊び場に成長していく。人はことばを定義し、ことばは人を定義する。辞書に収録されずとも、ことばが表す事物は消えない。省かれたことば、無視された意味が女性たちの世界を豊かに照らす。
    年の瀬にとても素晴らしい作品と出会えて嬉しい。感情そのものではなく、行動や出来事を吟味されたことばで丁寧に描写することで、かえってその行動や出来事を支える感情に焦点が合っていく不思議。ことばが持つ力について考えさせられる作品でもあった。

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    2026年01月25日
  • ジェリコの製本職人

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    前作がとても好きだったので、エズメを取り巻く人たちに再び出会えて嬉しかった。

    半分過ぎたあたりから、何度も涙を堪えながら読んだ。素晴らしい言葉たちで溢れていた。

    モードの選び取る言葉はいつも真実を射抜いていて、ペギーの飲み込んだ言葉たちを、モードの振る舞いを通して感じとれて、泣けて堪らなかった。

    ペギーを押し上げていく、”sister”たちも、それぞれよい。

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    2026年01月13日
  • ジェリコの製本職人

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    苦しく辛く、とても幸せで光に満ちた旅でした。
    途中何度も「冬に読むには苦しい」とページを閉じて、でもやっぱりペギーが、モードが、気になって仕方なく、泣きそうになりながら、もう一度、と手に取ったのでした。
    私は双子なので、ペギーのモードを想う気持ちが痛いほど分かったり、一緒に眠ったことを思い出したり、ペギーの知に対する欲望に、現代女性の幸福に心から感謝したり、守るべき立場としての喜びや苦しみを手にとるように感じたり。
    何よりも今につながる小さくはかない命を愛おしく思います。心を動かされました。泣いてしまう。

    じっくり丁寧に読みました。
    とても、とても、良かった。
    絶対に買って私の本棚に置きたい。

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    2026年01月05日
  • 小さなことばたちの辞書

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    辞書の編集に関わる小説といえば、映画やドラマにもなった三浦しをんさんの「舟を編む」が思い出されますが、これは男女間の不平等や性差別が原因で、辞書には収録されなかったことば(小さなことばたち)を、掬い上げて一冊の辞書にまとめた女性の物語、海外文学です。

    原題は「失われたことばの辞典」。
    舞台は19世紀末の英国。『オックスフォード英語大辞典』の編纂者を父にもつ主人公のエズメは、幼いときに母を亡くし、父の職場であるスクリプトリウム(写字室)でいつも遊んでいましたが、ある日、編纂者たちが落とした1枚の見出しカードを偶然拾い、こっそり隠してしまいます。

    その見出しカードに書かれていたことばは、「ボンドメイド」。奴隷娘という意味のことばで、エズメの幼い頃からメイドとして働いているリジーという女性に、このことばを重ねますが違和感を感じます。

    エズメは、スクリプトリウム(写字室)で、見出しカードすなわち「ことばのカード」に囲まれて育つうちに、この世には重要なことば(=辞書にのることば)とそれよりも重要でないことば(=辞書にのらないことば)があることに気付きます。

    これをきっかけに、エズメは辞典に入れてもらえないことばの「見出しカード」を「迷子のことば辞典」と名付けたトランクに集め、自らもそんなことばの収集をはじめます。

    その当時、『オックスフォード英語大辞典』の編纂には女性も関わっていましたが、正規編纂者は男性に限られていたそうです。どの語や意味を収録するかを選び、ことばを定義したのも男性で、「学術的重要性」を理由に、書籍に用例が残る語だけが収録対象とされ、話しことばや猥雑(わいざつ)語は除外されていたということです。すなわち、権威のある男性の著作に使われることばは重視され、女性のそれは軽視される傾向にあったのです。

    男女間の不平等や性差別が当然とされる中、エズメは、強い意志で立場の弱い女性のことばを掬い上げることに生涯を捧げます。そんな彼女の人生を描いた物語でしたが、彼女もひとりの人間で、彼女を常に見守るリジーの愛情、父娘の愛情、恋愛、そして別れ(別れもエズメにとっては大きな2つの別れがありました)、そんな感情を揺さぶる場面には心が押し潰されそうになりました。

    特に第六部は、私の感情の高まりもピークに達しましたが、エピローグで、しっかりと次の世代に受け継がれていることが確認され、ついに涙腺崩壊でした。これも真の母娘の遺伝子がなせる運命なのでしょう。本当に良かった・・・。

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    2025年12月11日
  • 小さなことばたちの辞書

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    女性たちの連帯はもちろん、同じ時代を生き、ことばに仕えた人々のきずなが描かれている、壮大な物語だった。
    単なるフェミニズムに寄りすぎるのではなく、エズメの周りの男性達は、女性であるエズメを理解し、応援したり温かく見守ってくれる人たちだっただけに、男性が主体となって向かわなければならなかった戦争のおぞましさが引き立っていた。
    戦争はもちろん、他にも悲しい出来事はたくさんあったが、ことばの世界に守られてきたエズメが、ことばを通して誰かを励まし、慰め、背中を押して次の世代にバトンを渡すまでの生き様がとても美しく描かれていた。

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    2025年07月28日
  • 小さなことばたちの辞書

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    ネタバレ

    あまりに美しくて最初から涙が出そうになる。「美しい」といったけどそれは外見に現れる「美」ではなくて日常に浮かんでいる、心が絵のように印象を切り取り溜め込んでいくそのシーンの美しさの事。言葉で文中説明されることのない主人公の感情の積み上げはこちらにぽつりぽつりと落ちて波紋をいくつも作るのよ。トニモリスンの「ラブ」を読んだ時の如く、直接説明せずに描ける方は本当に凄いなぁ。映画化されて欲しいくらいだが映画でこの美しさを表現できるのか?とも思う。本が好きな人も、言葉が好きな人も、女性である事に鬱々とする人も、メタな視点でいえば翻訳という事を楽しむ人も、何かしら見つけられると思う。そして戦争が日常に入り込むその描写も今この時だからこそエグい。
    一人の少女が辞書編纂者の父親の仕事場で言葉を遊び道具に育ち、女として仕事が与えられない事、望まぬ妊娠、愛する人との出会い、そうした人生の折々をその時その時の言葉と共に過ごしていく。小さなトランクに溜められて行く言葉。それは私達が記憶を積み重ねて行く様に層をなして彼女の人生を記録していく。
    彼女の出会い集めた言葉は辞書から零れ落ちたような言葉達。零れ落ちた所にも沢山の世界は広がっていて生きている人間がいる。
    辞書編纂者達が「詩人なら」と言うシーンにまた味があった。私達の人生がいかに言葉で彩られているかにも気付かされた。
    本を愛する人に是非読んで欲しい本。

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    2025年07月16日
  • 小さなことばたちの辞書

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    辞書は男の言葉でできている、そんなことに気付かされる物語。
    全ての英語を記載する辞書を作る過程を描きながら、そこからこぼれ落ちる言葉に注目したという、それだけですごい作品。
    女性たちの、”取るに足らない””学術的な価値がない”などとされていた言葉を拾い集めることで、それを使う人々の地位や出自、そして性別によって、残されるべき言葉が決まっているのかもしれない…。
    言葉に取り憑かれたような女性、エズメの人生を描きながら、過去と現代を照らし合わせることで、見えていなかったものが見えてくる作品だった。
    個人的には、なぜある言葉を”卑猥”と感じるのか、その視点がなかったので、本編と訳者のあとがきを読むことで、自分が無意識に男性からの性的な視点を通して、女性のさまざまな部位を考えていたことに気が付かされた。
    正直言って、読みやすい!と思うところと、想像しにくく読みにくいと思うところがあり、理解しきれていない部分も多い作品だった。
    が、それを含んでも、この本を読むことでことばが誰の視点から定義されているのか?考えるきっかけが大いに与えられるという点で、読んで本当に良かったと思った。

    エズメの人生そのものもハードで、最後の方では戦争が影を落とす。
    この本でほとんど初めて、戦争によって待つ立場になった側と、待たせる立場になった側の悲痛な心境に、心を寄せることができた。だからこそ、気楽には読めなかったけれど、初めから終わりまで、軽妙でウィットに富んだ談話シーンの独特の雰囲気に惹かれ、とても素敵な読書の時間を過ごせたと思う。
    エズメの好奇心、衝動的だけど使命感を感じるところにとても惹かれた。

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    2025年05月08日
  • 小さなことばたちの辞書

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    ネタバレ

    読んでよかった。
    ことばを持つこと、ことばを扱うこと、ことばを得ること。ひとつひとつが大切で、意味のあることだって実感できた。

    すくいあげられない市井の人のうつくしさも素晴らしかった。
    エズメは当時の女性にしては恵まれていたが、それでもやっぱり「女」であることからは逃れられなくて、「持つ者」としてのエズメと「持たざる者」としてのエズメ両方を描いているところが好き。

    メイベルもディーダもガレスも好き。リジーはもちろん好き。リジーがいたからエズメは「ボンドメイド」ということばが引っかかったのだろうし、エズメがいたからリジーはいろんなことばを獲得して、ことばを通して心について考えたりできたのではないかと思った。
    ガレスからの贈り物のシーンは、新幹線で読んでいたのに思わず息を呑んで一旦本を閉じてしまった。あまりに素敵すぎて……

    ひとりひとりの登場人物についてもっと知りたすぎて、それぞれの視点でスピンオフ書いてほしいくらい。

    ハッとさせられるセリフやことばがたくさんあったから、また読み返して胸に留めておきたい。

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    2025年05月07日
  • ジェリコの製本職人

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    第一次世界大戦下のイギリス、オックスフォードの製本所で働く女性ペギーが地位を超えて大学を目指すお話。障害を持つ妹、戦争の影響、女性の権利の低さ。ペギーが卑屈すぎると何度も感じたけれど、それは今までペギーが受けてきた視線や言葉や待遇の裏返し。普段は日本の小説を好んで読んでいるけれど海外の小説はやはり世界が広いなー。これからもぼちぼち読んでいこうと思う。

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    2025年05月03日
  • ジェリコの製本職人

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    小さなことばたちの辞書が素晴らしかったので、姉妹本とされるこちらの本も手に取りました

    女性差別が酷かったこの時代
    今では当たり前にある権利は、こういった女性差別に苦しんできた人たちが勝ち取ってきたものなのだと思うと、大切にしなければならないと思います

    また、この本からは諦めない心も学べる

    本を読むということは、楽しみもあるけれど、学びの一面もある
    全ての本が好きな人たちに、読んでみてもらいたいと思います

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    2025年05月02日
  • 小さなことばたちの辞書

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    読み始め、翻訳特有のとっつきにくさを感じ、完読できるのか不安になってしまい、ブグロクでネタバレの無い感想を先に読みました。ポジティブな感想が多く、それ以降は、ほとんどのめり込むように、本の世界に入ってる自分がいました。
    日本の辞書編纂を題材とた船を編むは読んだ事がありましたが、やはりどの国でもこのテーマって愛されるんだなぁと思いました。
    彼女の数奇な運命に私も何度も涙を流し、彼女を取り巻く様々な人の人生を垣間見て、私も力をもらい、彼女の人生に人しれず伴走して生き切った感じです。
    辞書は、それを作った人達の熱意や、出典元となる言葉を提供してくれた人々の気持ちも全部乗せて、文字が組まれて印刷されて、ずっとずっと生きていく。
    紙の辞書はもう世界ではメジャーでは無いかもしれないけれど、いつもどこかで言葉と対峙している人たちはまだこの世の中にいっぱいいて、ちょっとずつ移ろいながらも、綿々と繋がっていく言葉達の世界。それは大見出しにならなくとも、沢山の人が使わなくとも、編集者達が大切に整理して、世の中に放ったラブレターそのもので、辞書、もっと愛でないとなぁと思いました。
    ちなみに、紙の辞書はやっぱり捨てられず何冊も持ってます。電車辞書はドイツ語とロシア語の2つ持ってます。好きなんでしょうね、私も(笑)

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    2025年04月01日
  • ジェリコの製本職人

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    ネタバレ

    前作の「小さなことばたちの辞書」も良かったけど、それを更に上回る面白さだった。前作のガレスとエズメが出てきたのも嬉しい驚きだった。また、前作の主人公エズメよりも今作のペギーの方が感情移入でき、より読みやすかった。
    ペギーがまさかサマーヴィルに落ちるとは思わず、これからどうなってしまうのだろうと読者ながらにハラハラ心配したけど、最終的に翌年に合格してバスティアンとも各々のあるべき場所で幸せに繋がりを保てているラストにほっと胸を撫で下ろした。

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    2025年03月14日
  • 小さなことばたちの辞書

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    ネタバレ

    エズメが大切に大切に言葉を集めたように、大切に大切に読みたかった。辞書編纂をめぐる壮大で、かなしくて、あたたかい物語。
    「世界中のあらゆる書物から集めた言葉」が、書物の書き手がほとんど男であったために男が使う言葉に片寄っているのではないか?という視点は目から鱗だった。
    編纂にかかった40年の間に第一次世界大戦があり女性参政権運動があり、それがエズメとOED編纂の物語に丁寧に織り込まれて、読みごたえがあった。(戦争の下りはもう過去の話として読めなくて、本当につらい)
    翻って、物語の中にあったような女性の生きづらさが果たして今はなくなっているのか?と思うにつけ、なにも変わっていなくてびっくりする…

    イギリスの階級社会の様子も読んでいて興味深い。それが女性解放の考え方にもつながるのだけど、エズメはリジーにお友達か気の許せるお姉さんのように接したがるけど、リジーの方はあくまでも使用人の立場で接しようとするのが切ない…

    植字工が素敵すぎる。『エンデュミオンスプリング』に出てきた植字工がすごーく好きだったけど、本作に出てくる植字工も素敵でした。同著者の次の作品は製本の物語だけど、同じ植字工の青年が出ていると知って読むのが楽しみ。

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    2025年02月12日
  • 小さなことばたちの辞書

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    とても良い本だった

    ことばってとても大切なものだと私はずっと思っている
    本来、ことばはことばそのものであり、良いものも悪いものもきっとないはずで
    それに意味を見いだしてことばを使っていくのが私たち

    以前、今もかもしれませんが女性の立場はとても低いものだった
    それはことばでも同じ
    辞書を作る、という事柄からいかに男性優位で女性が下位にいたのかがわかります

    こういう本を読むと、いつも思うんです
    女性運動に注目して書かれた本は少なくないのに、その本は大抵女性が書いている
    男性にも、もっと注目してもらいたいなと思ってしまいます

    辞書は歴史書でもある

    本当にそう思います
    以前とは、意味が異なって使われるようになったことば
    願わくば、悪い意味、侮蔑的な意味で使われていたことばが良い意味へと変わって欲しい、そう思います

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    2024年09月07日
  • 小さなことばたちの辞書

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    タイトルからもう好きな予感がしたんだが、とてもとても良かった。

    主要な登場人物たちに共通する慎み深さ、物語の静かなトーン。
    一歩一歩、踏み締めていくような時間軸でエズメの人生が進んでいくから、その都度交わされることばや体験がどれも沁みた。

    ことばを通して見える女性たちの社会的立場への問いかけ、シスタフッド、歴史、教育論、家族愛、恋愛…
    静かな物語だけど、中身がぎっしり詰まってた。

    いつか自分の子どもにも読んでもらいたいな。

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    2024年06月28日
  • 小さなことばたちの辞書

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    ネタバレ

    いや、すっごいこの本は考えさせられた!
    何か分からない言葉があったら調べる。
    今はネットとかでサクッと調べるけど、より深く調べたり学校に通ってた時は辞書を使いなさいとよく言われた。
    だから辞書の中には全ての言葉の意味が載っていると当たり前のように思っていたけど、そうでは無い事もある。
    特に男尊女卑が激しかった昔に作られたオックスフォード辞典にはほぼ女性が使う言葉は無く仕事もほぼ男性の手によるもの。
    女性も沢山編集に加わっていたものの、時代的に女性は手伝っていたとはみなされなかった。
    さらに階級格差で比較的上流階級の人の言葉だけが採用されている。

    辞書と言う物はそういう世の中の格差や差別等からは一線を画した権威ある書物と言う認識があっただけに色々と驚きだった。
    差別的な言葉やちょっと下品な言葉達も、使い手や文脈によってはその限りでは無いと言うのもたしかになとも思う。
    今作られてる辞書は昔以上にそういう事に配慮したりして色々考えて作られているだろうけど、
    辞書に載らない言葉を集めてその意味の背景やその人達の生活を理解しようと最後まで務めた主人公には賞賛の拍手を贈りたい。

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    2023年06月11日
  • 小さなことばたちの辞書

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    読み応えがあるのにやさしく読める不思議な本。内容は重いけど心に刻まれたものは決して暗くない。言葉を選ぶのは好きだけど、そんなふうに言葉を考えたことなかったなぁ。すごくいい作品。

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    2023年04月14日