オザワミカのレビュー一覧
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母はアル中のシングルマザー、8歳の弟・チャーリーを抱えて生きるヤングケアラーの14歳のミア。
カネコフミコの自伝を偶然借りたミア。
自分と同じように、恵まれない幼少期を過ごしたカネコフミコ。
フミコに共感すりミア。
ミアの苦境は続く…
ミアの一番の恐れは、母が育児をできないと判断され、ミアとチャーリーがバラバラになること…
イギリスの貧困層のリアル。
胸が痛い…
ソーシャルワーカーの介入は本当に良いのか…と考えさせられてしまう…
最後には希望が見えたが…
ミアとチャーリーのようにゾーイたちのようにいい大人に出会うケースは少ないだろう…
それを思うと胸が痛い…
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Posted by ブクログ
ブレイディみかこさんが「僕はイエローでホワイトでちょっとブルー」(ノンフィクション)では描けなかった、親に恵まれず貧困に苦しむ少年少女の世界をリアルに描いたフィクション。
ブレイディみかこさんのすぐ側で実際に起きている出来事であり、彼女自身の人生とも重なる部分も多分あり、本当に彼女にしか描けない世界観だと思った。
似たような境遇を持ち、子どもという牢獄に閉じ込められている少年少女とその周りの人々への、強烈なメッセージを含んでいる。
自分とは違う世界で、「リアル」を生きている他者のことなんて最初から分かるはずがない。だけど、分からない言葉の意味を、少しでも分かるために努力したい。自分が分か -
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貧困、ヤングケアラー、いじめ母親のアルコール依存、薬物依存の問題にのまれながら、必死に弟を守り自分を守り戦う少女と同じように不遇の状況で必死に戦う本の中の少女の人生を追う物語。
この話を読んで自分は何も悪くない理不尽な状況が何度も常に自分に降りかかってきたら自分はどうするだろうか。なんで自分だけなんで自分なんだ、どうせ自分はと自暴自棄に荒れるだろうなと思う。今理不尽でも何でもない、自分でコントロールできたはずの自分が招いた状況に対して我儘にそう感じているからだ。
それに比べて2人の少女はどうだろうか。しかたがないと諦めないで、別の世界はあると信じている。弟を守るために必死に自分自身を武装し -
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ぼくイエを読んだからミアがどういうところにいるのか、何を考えているのかを考えると苦しくなった。ウィルが言っていたような「聞いた側も無傷ではいられない」というような感じ。
大人を頼れない、信用できないと世界も心も閉ざされてしまうというの、よくわかる。子どもの頃に頼れる相手がいるかどうかってかなり重要だと思うし、他の道を示してくれる大人がいたら…と少しだけ自分の子どもの頃と重なった。
恥ずかしながら金子文子のことは知らなかった。女性のアナキストは伊藤野枝なら知っていたけど、共通して若くして亡くなっているんだね。
ミアの物語と並行して文子の物語も進んでいったけど、あそこから刑務所に収容されるまでは -
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読み始めて10日以上掛かってしまった。
イギリスの貧困層の厳しい現実と、日本の戦前の似たような境遇の小説が並行して交互に出てくるので読みづらかった。
薬物中毒の母親と、一人では行動できない弟を抱えた少女のミア。生活保護を受け、次々と男を変えて行く母親。悲惨な少女が救われるのは、同じような境遇の日本人の小説を読むときだけ。
彼女の魂の叫びを聞いた少年が勧めるのはラップ。「両手にトカレフ」もその叫びから生まれたもの。
母親と弟を抱えたヤングケアラー。誰にも相談できずに抱え込む姿が悲惨すぎて、どんどん読む気持ちが重くなっていった。最後まで読んで、やっと陽が当たって来たというところだろうか? -
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ネタバレ金子文子さんの少女時代と、現代のイギリスを生きるミアの生活が絶妙にリンクして、時代や国が変わっても、貧困や無責任な大人の下で苦しむのはいつも子供達であるということは変わらないのだとあらためて思う。
ふたりの少女の話が交互に進むのでミアの感情が分かりやすかった。
逃げ惑いながらも弟を守ろうとするミアの姿に胸が苦しくなった。
それは驚くべきことだった。そこにあるのはNOではなく、YESだったからだ。
ここにあった世界には存在しなかった言葉が、ここにある世界には存在し始めている。
ミアはゆっくりとあたりを見回した。
私の、私たちの、世界はここにある。 -
Posted by ブクログ
ブレイディみかこさんの2冊目になりますが、
新年早々に気が緩んでいる時に読む本ではなかった。
終始重苦し過ぎた。
「ぼくは…、ちょっとブルー」は未読なので、ここにどんな子たちが登場していたのか知らない。
本書は小説でフィクション仕立てだが、「ぼくは…、ちょっとブルー」で書けなかった子たちを取り上げたそうだ。
身勝手な親の元に生まれて、日々の食事にも困り、貧困に喘ぎながら生きている子供が主役なので痛々しい。
多くの人が見て見ぬ振りをしているが、現実社会でもかなり近い状況があるのだと、ブレイディみかこさんが訴えかける。
ミア(のような子たち)が、自分の生きている世界を変えられることを願う…