オザワミカのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
薬物依存の母親のもとで8歳の弟を守りながら生きる14歳のミアが、ラップのリリックを通じて別の世界を作り出し始めるまでを描いた作品。
本来守られる存在である子供が、安全の確保や空腹をしのぐ方法すら自分で考えなくてはいけない。
そんな状況に、強い憤りを感じる。
この作品は、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」でエッセイとして書けなかった存在を小説で書いたと何かで読んだ。
ミアのような環境にいる子供がリアルにいることにやるせなさを感じるが、日本でもたくさんいるのだろうと思う。
自分で環境を選べない子供にとって、生まれ育つ環境の違いは、そのまま生きる世界の違いになり、当然見える世界も違う。
日本でもそんな世界の分断が一層進んでいると感じた。 -
Posted by ブクログ
ふたつの物語が同時並行で進んでいくがわかりやすかったし、メインのミアの心にフミコが深く響いていることがとても強く感じられた。
ただ読んでいる最中は引き込まれる分、登場人物たちの深刻な状況に胸が張り裂けそうになり、なんとも言えないやるせない気持ちになったので余裕がある時に読むことをおすすめする。
自分がどれだけ恵まれているかを再認識するとともに、嫌なことがあってもどうにかできるなんとかなると思える勇気をもらえた。
(個人的に弟がいることがミアと共通点だったため、自分が同じ状況でもチャーリーを守らなきゃと必死になるなと感情移入してしまった) -
Posted by ブクログ
イギリス・ブライトンの地でイギリスの格差社会を日々綴っているブレイディみかこさんの書く小説
団地暮しで薬物依存の母と弟暮らすミアがふとある時に金子文子の自伝と出会い過去と現在から何かを感じ取る描写やクラスメイトのウィルとラップの曲を制作するという描写で何かを表現して心を形取る事でほんの少しだけでも何かが変わって欲しい気がした。
昔は良かった?現在も変わらない部分がある。そんな気持ちに自分もなっていたので読んでよかった。また関係ないけど、ブライトンで三笘薫がヒーローのようにあの土地のサッカークラブの顔になっている事が個人的には嬉しい。
そしてあれだけ聞いたRadiohead
ミアに届くことはないだろう。
個人的には西洋文学に位置付けたいと思った。 -
Posted by ブクログ
母はアル中のシングルマザー、8歳の弟・チャーリーを抱えて生きるヤングケアラーの14歳のミア。
カネコフミコの自伝を偶然借りたミア。
自分と同じように、恵まれない幼少期を過ごしたカネコフミコ。
フミコに共感すりミア。
ミアの苦境は続く…
ミアの一番の恐れは、母が育児をできないと判断され、ミアとチャーリーがバラバラになること…
イギリスの貧困層のリアル。
胸が痛い…
ソーシャルワーカーの介入は本当に良いのか…と考えさせられてしまう…
最後には希望が見えたが…
ミアとチャーリーのようにゾーイたちのようにいい大人に出会うケースは少ないだろう…
それを思うと胸が痛い…
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Posted by ブクログ
ぼくイエを読んだからミアがどういうところにいるのか、何を考えているのかを考えると苦しくなった。ウィルが言っていたような「聞いた側も無傷ではいられない」というような感じ。
大人を頼れない、信用できないと世界も心も閉ざされてしまうというの、よくわかる。子どもの頃に頼れる相手がいるかどうかってかなり重要だと思うし、他の道を示してくれる大人がいたら…と少しだけ自分の子どもの頃と重なった。
恥ずかしながら金子文子のことは知らなかった。女性のアナキストは伊藤野枝なら知っていたけど、共通して若くして亡くなっているんだね。
ミアの物語と並行して文子の物語も進んでいったけど、あそこから刑務所に収容されるまでは少女時代以上に波瀾万丈だったのだろうな。
ミアを取り巻く人たちもそれぞれの事情やミアへの思いがあったのだろうけど、ゾーイの心配もイーヴィの気持ちも(人によっては賛否あるだろうけど)ちょっとわかる。
仲の良かった友達がいきなり荒れたら(しかも自分の母親が噛んでることを知らないだろうし)距離置きたくなるよね。今の素敵な友達といるのが楽しいし自分もやや貧困家庭とは言え、そこから出ていけるであろう未来が待っているんだから、ちょっと貶むように、もしくは哀れむように見えてしまう傲慢さが芽生えてしまってもあの年頃なら仕方ないのかな。(仕方ないか?)
終わりの方がかなり駆け込みだったように感じて、続きは!?という感じで終わってしまった。
なんでミアがいきなり具合悪そうになったのかという原因が後半明かされたけど、あの後ミアはそれをソーシャル・ワーカー達に言えたんだろうか。
トラウマになってるしすぐには言えないかもしれないけど、またあの男を視界に入れてしまったらまたぶり返してしまうんじゃないだろうか。
ただ、その時は今度は助けてくれる人がいると信じられるようになっているだろうから、ゾーイかレイチェルに伝えてほしいな。
恋愛で救われることもあるというのは承知の上で、こういう本に恋愛要素いらねェ〜と思ってたので、ミアとウィルがそこまでならなくてよかった…ウィルは惹かれてるんだろうけど。
彼のいいところは育ちの良さから来る無知を自覚した時、自分を恥じて理解しようと歩み寄るところだ。貧困の中にいる人からすれば「どうせ理解されない」「腫れ物扱いされたくない」「放っておいてほしい」ということだろうし、その気持ちはとてもわかるのだが、拒絶したままだとずっと世界が閉ざされているんだよね。だから理解したい、わからないから教えて欲しい、と考えられるウィルとはきっと友達になれるんじゃないかな…同情や哀れみを越えたら少しずつでも近づけるんじゃないかと思う。
ブレイディみかこさん、また小説書いてほしいな。 -
Posted by ブクログ
ここじゃない世界はいまここにあり、ここから広がっている。別の世界は存在する。
これって希望でもあり、"ここ"から抜け出す術がない彼等からしてみればとても非現実的で途方もない話でもある。それでもやっぱり信じて、諦めないでほしいと思ってしまうのはエゴなのかな。
福祉に関わる仕事をしていると、本当の意味で誰かを救えるのは自分とか家族とか守るべきものがない人だなと諦めを感じる場面がある。でも少し違うのかもしれない、とこれを読んで思った。ミアのことを誰よりも大切に想ってくれる人には、この先の人生、ミア自身が自分の力で出会っていくのかもしれないな。 -
Posted by ブクログ
読み始めて10日以上掛かってしまった。
イギリスの貧困層の厳しい現実と、日本の戦前の似たような境遇の小説が並行して交互に出てくるので読みづらかった。
薬物中毒の母親と、一人では行動できない弟を抱えた少女のミア。生活保護を受け、次々と男を変えて行く母親。悲惨な少女が救われるのは、同じような境遇の日本人の小説を読むときだけ。
彼女の魂の叫びを聞いた少年が勧めるのはラップ。「両手にトカレフ」もその叫びから生まれたもの。
母親と弟を抱えたヤングケアラー。誰にも相談できずに抱え込む姿が悲惨すぎて、どんどん読む気持ちが重くなっていった。最後まで読んで、やっと陽が当たって来たというところだろうか? -
Posted by ブクログ
ネタバレ金子文子さんの少女時代と、現代のイギリスを生きるミアの生活が絶妙にリンクして、時代や国が変わっても、貧困や無責任な大人の下で苦しむのはいつも子供達であるということは変わらないのだとあらためて思う。
ふたりの少女の話が交互に進むのでミアの感情が分かりやすかった。
逃げ惑いながらも弟を守ろうとするミアの姿に胸が苦しくなった。
それは驚くべきことだった。そこにあるのはNOではなく、YESだったからだ。
ここにあった世界には存在しなかった言葉が、ここにある世界には存在し始めている。
ミアはゆっくりとあたりを見回した。
私の、私たちの、世界はここにある。