あおあそのレビュー一覧
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購入済み
シリーズ第一作にして最高作
作者自身が抱えていたかと推測される「情の業」を描くために、超越存在(「神」)が「理」でさえないことを暗示する設定になっていると思う。ただし作者がそれをどこまで意識し得ていたかははっきりしない。
推測だが、作者の持つイメージのカオスが筆を引っ張って書かせたかたちだろう。テクニック的に未経験な部分が多い未熟さ故に重厚な「情の持つ本質的破綻」を描き出す結果となった作品と思われる。
この手の著作は、元来は連作第二作につながるだけの力量を伴わないことが多いが、実際、連作第二・第三は、プロットとしては小綺麗だが、テーマの扱いは第一作の半分にも達しない浅薄なものに留まっている。つまり、わかりやすいが軽いものにしかなっていない。
これはつまり、作者が実際は連作全体にわたる十分な構想を持たないまま、構想の大部分は第一作で吐き出してしまい、以降は練りが甘いラフスケッチを文字化したにすぎない、ということだ。
予想したからそれほど失望はしなかったが、よほど時間を掛けて練り上げないと、別シリーズに取り組んでも、所詮ありきたりのプロットと人物描写の「良くあるシリーズ」に終わるだろう。
もともと格別優れた文章表現の才があるわけではないから、所詮は筋書きに頼るライトノベルしか書けないだろうと思われるが、それでも、第一作のイメージを主導した「情の極限のどうしようもなさ」の感性は持ち味だろうから、時間を掛けてイメージを練り上げる作家になることを期待する。
ただし。竜に絡めた人名から思わず期待したワグナーの楽劇『指輪』三部作に対応するイメージはシリーズを通して全く見られない。これほど認知度の高い人名を敢えて使うなら、せめて、人名採用先になったワグナーの楽劇の筋書きくらい、読んで消化する努力をして欲しい。身の程知らずも甚だしい借り方だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作の終わりを読んで一番疑問に思ったのが、「続くの…?」だったが、なるほどそういうことか。
一瞬パラレルワールドかと思ったが、あの時代の前、ファルシオンやバルムンク、ジークフリートの成り立ちの話だった。
「ブリュンヒルドの物語」…そういうことなー。
そして相変わらず残酷。縹けいか作品よりは絶望ではないが、全然ハッピーエンドじゃなくて良い。
しかしコミックだとしんどいものは読みたくなくてハッピーなものを読みたがる最近なのになぜ小説だと構わないのか、我ながら不思議。
最初読み始めてたときはあの神竜の700年前の話かと思ったが、途中でエデンにいないから違うと気づいた。というかエデンどんだけあるんだろう。
そしてこの小国、某巨人話のように壁に囲まれているらしいが、どうやって成り立ってるんだろうか。こういうのって結構広くないと成り立たないのでは。まあ、広いんだろうな。こういうの、ついつい気になってしまうけど割とどうでもいいところばかり気になってしまう悪癖。
ファーブニルが裏切るように見えて愛に目覚めるか、目覚めなくてもブリュンヒルドをかばって死ぬとかそういう話だろう!と思ったけど合ってたような合ってなかったような。
ただ、神竜ですら愛を知っているのにそれを知らない自分は一体なんなんだ、という懊悩はなんか最近の自分に刺さるのでやめてくれ。しかももちろん特別な理由があったわけではなく、最後までそういう人間だったというだけ。まあ、自分はさすがに愛はある。猫好きだし子供も好きだし。ファーブニルは愛がそもそもないから恋愛も愛も区別してなかったが、共感できるのがファーブニルというのが悲しいといか中二病感あって嫌だなぁ。
前作もそうだったが、神竜がかなり神よりは人に近い感情を持ってておもしろい。今回はスヴェンがおかしかっただけという感じもするが、それでも人ひとりに負けるし、考えも別に全てがわかるとかでもなく普通にだまされ、普通に衝動で動き、考えもあっさり読まれたりしている。若干神性を失う感じはするが、わかりやすいのでヨシ!
本屋でこれを買ったとき、三冊目の存在も確認して、そのときは更に混乱したけどこういう流れならヨシ!安心して次も読める。まあ、次は次でこれまでの流れを更に良い意味で裏切ってくれるのかも知れないけど。
ちなみに文中にドミノ倒しとかいう表現が出てくると、読みやすいけどこの世界にドミノあるんかいとか思ってしまうので人々がなだれ落ちてきたみたいな一般的な表現のほうがいいのではと思ったりするけどでも他の慣用句だって語源とか言い始めたらどれもこういう世界にはないものばかりなわけでうーむ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わって心がざわつくなんとも言えない余韻のお話だった。
勿論これは少女の復讐の物語なのだけど、彼女にとっての正義のお話でもあり愛のお話でもあり報いのお話でもある。
けれど彼女に他の道はあったのだろうか?と考えたとき、どうにもそんな選択肢は見つけられない。
何かが違っていたら、たとえばそう、彼女がもう少し弱かったら、もっと愚かだったら、竜をそこまで愛さなければ、彼女には別の道があったのかもしれない。
けれど否応なくこの道に進むしかなかった。
そんな運命の物語りだ。
ストーリー的にはほぼ一本道。
ただラストで作者の仕掛けに気づいて驚かされる事になる。
これがおそらく作者のデビュー作。
今度はこの作者の救いのお話が読みたい。 -
無料版購入済み
これでどうして竜殺しと呼ばれるようになるのか、1巻では真逆の生い立ちが描かれるのにやはり人としての情には勝てないという事になるのか、紆余曲折ありそうです。
読んでいくうちに重苦しいような気分になっていて、重厚、悲壮さ感情に働きかけるだけの力はもっている作品だと思います。
衣服など都合のよい点が少々あり評価としては3.5くらいで。竜と少女の幼い日々の神話めいたシーンには星5を。 -
購入済み
いきなりありきたり
第一作の「ある種の深さ」に比べたら、どうしようもなくありきたりの浅さでしかない。
テーマもプロットも、これを追加するくらいならシリーズ化しなければ良かったと言いきれるほど陳腐。せいぜい、キャラクター設定が第三作と比べればまだマシと言える程度。
否定的ニュアンスのタブがないから選べない。 -
購入済み
どんどん緩い出来になる
第2作に続く駄作。
そもそも舞台は似ているようでありながら、時代設定に歴史的連続性がない。これはつまり、一作目執筆時に二作目以降の構想が全くなかったことを示している。
プロットにもキャラクターにも一作目に匹敵する深みが全くと言って良いほど見られないのは二作目と同じ、というより三作目は二作目にも増して陳腐になっている。登場人物の系譜も、作ごとにこじつけでしかなく、前作にまったく伏線がない。
それにも気づかずにシリーズとして書いたということは、作者に、そもそもシリーズ構想のセンスがないことを示している。少しでもあれば、シリーズ化は断念したはずだ。一作目と二作目以降との間には、石像と張りボテほどの質感の違いがある。
おそらくこの作者は、今後相当期間雌伏してゼロから新規ストーリーを構想しないかぎり、所詮は一作目のみの一発撃ち作家に終わるだろうと言う気がする。
二作目同様、否定的ニュアンスのタグがないため、つけるものがない。