あらすじ
王国に仇なした神竜が、「竜殺しの女王」に葬られて百年――歴代女王の献身により、王国は繁栄を享受していた。
五代目女王の娘・クリムヒルトもまた王国を護る決意を胸に戴冠の日を迎える。歴代女王と同じ、神の力の「蝕み」に倒れ苦しむ姉・ブリュンヒルドの想いも背負い、玉座の間に入るクリムヒルト。しかしそこには、女王になる者が知らされる、王国最大の闇が待ち受けていた。
「護りたい」想いは同じく、しかし目に映す未来は異なる、女王が、忠臣が、王子が、竜が――紡ぐ歴史の狭間の物語。第28回電撃小説大賞《銀賞》受賞の本格ファンタジー、第三部開幕!
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Posted by ブクログ
さーて、今回のブリュンヒルドはどんな目に遭うのでしょうか!
と、もはやリョナ感を期待しているのではと自分でも思ってしまうくらい、安定して「登場人物(特に女の子)がひどい目に遭う」小説。
しかも今回はタイトルにある通り二人もいる。おいおい。楽しみだぜ。…いや、お話がね。楽しみなんですよ。
と思ってたのに、ハッピーエンドやんけ!びっくりした。アニマも死亡フラグビンビンだったのに普通に生きてるし。
まあ、圧倒的にひどい目には遭ったし、なんだったらブリュンヒルドは序盤でいきなり死にかけたからね。サイヤ人ばりにぎりぎりで目覚めた雷霆パワーでなんとかなったが、同時に「蝕み」にも目覚めてやっぱり死にかけることに。展開が早い!
最終的に二人共生きてはいたけど、神の力で不死に近い体という設定がしっかりしてしまったからか、割と簡単にグロい怪我をしていく。手足を切られるのは序の口で、喉を貫かれたり脳みそ貫かれたり。親の生首見せられたり。ひー。体は治っても心は治らないんですよ!いや、治るのか?クリムヒルトは割と治ってたな。
あと今回は竜とのバトルではなく、やたらと強いイケジジとのバトルというのが新鮮。前作でもそうだったが、竜、だんだん弱くなってきてない…?前作は王国最強の戦士と一騎打ちで負け、今作はジジイに完封。まあ、今回は量産型の黒竜だったからというのもあるか…
そういやタイトルからも竜が消えてるわ。そのうち圧倒的に未来になって竜なんていないよ何言ってんのくらいの未来になりそう。クッ、結局竜よりもかわいい女の子が売れるのか…
内容としては前作の直接的な続編だった。初代女王ブリュンヒルドが興した国が建国から100年経ち、神の力もあっさり弱まってきているとのこと。薄まるの早いなぁ。
そして初代女王の死から70年しか経ってないのにもう5代目女王となってて、あれ?代替わり早いなと思ったら、そうか、「蝕み」か。神の力のデメリット。
でも一冊目のときはこれの700年後とかだった気がしたが、普通にほぼ不死のままだったしなんなら痛覚もなかったような…?まあいいか。
しかし回復装備の細剣を持ってたとしても、「蝕み」持ちの状態でずっと生きていたブリュンヒルド、結局なんやかんやで克服したということなのでは…?ずっと生きててくれー。
一番良かったのはアレだな、クリムヒルトの説得に応じそうな流れだったのにあっさりと断ったウォレン。狂ってやがるぜ。いいね。あとがきで作者もなんか好かれなさそうなジジキャラをメインにしてしまったとあったが、こういう突き抜けた悪役、嫌いじゃないぜ。
あと、こういう小説の頭にあるカラー挿絵、たまにネタバレがあるのでなんとなく嫌な予感をして中を見てなかったが、普通に登場人物紹介としてアニマがシグルドの家系とか書いてあって、後で読んで良かったわ。
Posted by ブクログ
決して幸せな物語ではない。
しかし、王国の女王として即位し、王国の闇と戦うクリムヒルトと、その姉であるブリュンヒルド間の無償の愛、そして老宰相ウォレンの王国に対する切実な想いが描かれた、読んでいて心に何かを残してくれる、感慨深い作品でした。
特に、ブリュンヒルドとクリムヒルトが中心で話が進む一方、ウォレンの考えやその想い、そして終始一貫した行動原理が心に残りましたね。
Posted by ブクログ
東崎惟子さんの『クリムヒルトとブリュンヒルド』
東崎惟子さんによる「ブリュンヒルド」シリーズの第3部です。
王国はかつて神竜によって脅かされましたが、「竜殺しの女王」によってそれが葬られてから百年が経過していました。五代目女王の娘であるブリュンヒルドとクリムヒルト。
姉として、6代目の女王を目指していたブリュンヒルドですが王室の病に蝕まれ、それを果たせません。戴冠の日を迎え、クリムヒルトは女王となりますが、その日王国の闇を知ります。
やがて王国史から名を消された「暗愚の女王」とされるクリムヒルトでありますが、その後なにがあったのしょうか。真実を辿るストーリーです。
忠臣ウォレン、琥珀の竜ベルンシュタイン、槍のアニマなど、魅力的な人物が出てきます。
東崎さんの作品、このブリュンヒルドシリーズはファンタジーなんですが、相変わらずのテンションです。みなさん愛憎がギリギリと溢れてくる感じで、作品がそれぞれ短編的であることから、なんとなくシェイクスピアなどを想起させるんですよね。ドラマに溢れています。
Posted by ブクログ
王族の姉妹が国の闇を知り、その暗部と戦う、、、というお話(?)。
「ブリュンヒルド」シリーズ第3弾。姉妹の絆があり、単なる漆黒の闇ではなく暗部なりの思いがあり、そこに竜や過去や子孫などということが絡み合うステキなお話でした。
今作も先が気になる展開で、最後までどうなるのかハラハラ楽しく、サクッと読めてしまいましたなぁ。
今作は1と2の間の物語ということが明らかになっていて、読みやすくもありました。
どんどん緩い出来になる
第2作に続く駄作。
そもそも舞台は似ているようでありながら、時代設定に歴史的連続性がない。これはつまり、一作目執筆時に二作目以降の構想が全くなかったことを示している。
プロットにもキャラクターにも一作目に匹敵する深みが全くと言って良いほど見られないのは二作目と同じ、というより三作目は二作目にも増して陳腐になっている。登場人物の系譜も、作ごとにこじつけでしかなく、前作にまったく伏線がない。
それにも気づかずにシリーズとして書いたということは、作者に、そもそもシリーズ構想のセンスがないことを示している。少しでもあれば、シリーズ化は断念したはずだ。一作目と二作目以降との間には、石像と張りボテほどの質感の違いがある。
おそらくこの作者は、今後相当期間雌伏してゼロから新規ストーリーを構想しないかぎり、所詮は一作目のみの一発撃ち作家に終わるだろうと言う気がする。
二作目同様、否定的ニュアンスのタグがないため、つけるものがない。