【感想・ネタバレ】王妹のブリュンヒルドのレビュー

あらすじ

これは、もう一つの復讐譚。
暗愚の女王以降、百年間「神の力」の使い手に恵まれないジークフリート家。王家復興は、神の力の研究所――人体実験施設、エーテリアムに託された。
王家の子供は8歳になると研究所へ送られる。シグルズ王子もその運命に殉じ、3つ下の妹、ブリュンヒルドを同じ目に遭わせまいの一心で実験を耐え忍んだ。
シグルズ王に神の力が発現した、との吉報を受け、兄の帰りを心待ちにしていたブリュンヒルド。しかし王城へ帰還した彼に、かつての優しい面影はなく――。
第28回電撃小説大賞《銀賞》受賞の本格ファンタジー、第四部開幕!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

東崎惟子『王妹のブリュンヒルド』は、シリーズの中でもひときわ濃密な感情の奔流をたたえた一作であり、その読後に残る余韻は、単なる物語の完結を超えて、読者の内面に深く沈殿していく。

本作の核にあるのは、愛と赦し、そして赦されなさという、極めて普遍的でありながら、扱うにはあまりにも苛烈な主題である。ブリュンヒルドとシグルズの関係は、血縁という揺るぎない絆で結ばれながらも、その内実は痛ましいほどに歪み、すれ違い、そして決して単純な形では回収されない。だが、その“解けなさ”こそが、本作の価値を決定づけていると言っていい。

登場人物たちは皆、不器用である。自らの感情を持て余し、言葉にできず、あるいは誤った形でしか伝えられない。その結果として生じる悲劇は、決して奇をてらったものではなく、むしろ現実の人間関係の延長線上にあるような生々しさを帯びている。だからこそ読者は、ただ物語を“読む”のではなく、彼らの選択や逡巡を、自らの痛みとして追体験することになる。

特筆すべきは、その重厚な構造の中に確かに息づく“愛”の存在である。たとえ憎しみに覆われ、破壊的な結末へと向かおうとも、そこにあった感情の根が愛であったことは否定されない。この二律背反的な感情の共存が、本作に単なる悲劇以上の奥行きを与えている。読者は、誰かを責めることも、完全に肯定することもできない曖昧な領域に立たされ、その中で人間という存在の複雑さを思い知らされる。

また、物語の終着点も印象的である。劇的なカタルシスではなく、静かに、しかし確実に胸に沈み込んでくる結末は、読者に思考の余白を残す。すべてが解決されたわけではない。それでもなお、この物語は確かに「終わった」と感じさせる力を持っている。その余韻の長さこそが、本作の完成度の高さを雄弁に物語っている。

『王妹のブリュンヒルド』は、読み手に決して優しい作品ではない。だが、その厳しさの中にこそ、物語が持ちうる深みと真摯さが宿っている。感情を揺さぶられ、心を削られ、それでもなお「読んでよかった」と思わせる力——それこそが、本作が多くの読者の心に刻まれる理由なのだろう。

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2026年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あいかわらずえげつないストーリーを書くなあ。途中からなんとなく終わりが見えてきて読むのが辛くなってきちゃった。文章も物語もきれいだと思うけど少しハッピーエンドが恋しくなる。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

王家に生まれた兄妹、「神の力」を手に入れるため施設に入れられ、帰ってきた兄が別人のようになってしまい、妹は追放されてしまっていたが、、、というお話(?)。

「ブリュンヒルド」シリーズ第4弾。変わってしまった兄、すれ違う思い、竜の力。

今作もまた行き違い思い違いが絡み合い、ステキな作品となっておりましたなぁ。

思い思われ絆の関係、中盤で明らかになる真実、からのさらに気になっていく展開で一気読みさせられるお話でございました。

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2025年05月06日

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