鈴木博之のレビュー一覧
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世界遺産検定を受験する前に、ゴシック、バロック、古典主義などの建築様式の特徴と時代を整理したいという期待に応えてくれた本。
建築の世界を、西洋の世界遺産に絞って解き明かす本。
紹介するのは、ギリシアからモダニズムまでの様式。
本書のいいところは
①写真や図が多い
②専門用語の解説がページ下部にある
③説明に時代背景や余談が入って結びつけやすい
めちゃくちゃ初心者に優しい構成になっている。目線を合わせてくれている気遣いが感じられて最後までストレスなく読めた。
様式の見分けがつくと楽しい、とはじめに著者が言っている通り、実際に世界遺産を見に行きたくさせてくれる。世界遺産や世界史の勉強 -
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西洋で建築を語るときは普遍的な「空間」を基本にすることと対比させて、鈴木は固有性をもつ「場所」を意識して日本の都市や建築を考えたいと主張する。その「場所の感覚」を「地霊」と置き換え、個別の様々な事例を本文で紹介している。
この核となる思想はあとがきに書かれているので、最初から文章を読んでいると、日本各地にある名所と言われる場所が誰によって建てられ、どんな時代を経てきたのかという物語をまずは知ることになる。特に感じたのは場所自体のことより、その場所を選んだ人物が当然いるわけで、その人の強い意志で場所が出来上がっていくという感覚だ。人なくして語られるべき場所は見出せない。
自分が知らないだけで、日 -
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ある土地が持つ気配や記憶の総称である「ゲニウス・ロキ」。続編の本書では、建築物の意味の読み解きに力がそそがれている。
とくに興味深かったのは、丹下健三が設計した広島の平和記念公園。原爆ドームを頂点として軸線上に並ぶ一連の建築は、一見インターナショナルなようでいて日本の伝統建築の技法に根差していること。そして実は同じ広島の厳島神社を模した構造になっている(島自体が聖なる存在であり、そこに向かって鳥居ごしに祈りをささげる)ということ。
「・・・丹下健三が日本建築の伝統のなかから汲み取ったものは、さまざまな次元における空間構成の手法、さまざまな部分に現われる造形モチーフだけでなく、その根底に存在 -
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ざっと読み。とりあえず行きたいところをピックアップ。
・パルテノン神殿―ギリシア ※柱の存在感の素晴らしさ。ギリシア建築。
・コロセウム―イタリア ※とてもかっちょいい。ローマ建築。
・パンテオン―イタリア ※神殿。正面に刻まれいてる「M. AGRIPPA L. F. COS TERTIUM FECIT」は「ルキウスの息子マルクス・アグリッパが3度目のコンスル(執政官)の時に建造」という意らしい。なんという主張。ローマ建築。
・ピサの斜塔―イタリア ※正式的には、ピサ大聖堂の鐘塔、なのかな。ピサが都市国家であることも初めて知った。へぇ。何で傾いているのだろうと続きを読むと、単なる地盤沈 -
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[ 内容 ]
あらゆる「復元」は、その時代の要請に従って行われてきた。
近世から近代へ、歴史のなかで生み出されつづける「復元」の諸相。
変化する社会、歴史観と建築の「復元」の関係を解く。
[ 目次 ]
1 模造と再生(うつし―模造の江戸;茶室の写し;能舞台と由緒―能舞台は移し写される;「模型的」建築;神明造という神話;式年造替―その開始・持続・終焉)
2 復古と復元(王権の復古意識―寝殿造の近世・近代;王朝復古のモニュメント―近代天皇陵のデザイン;平安神宮―模造と復元のはざまで ほか)
3 破壊と継承(江戸城から皇城へ―建築の破壊と継承;もう一つの古社寺保存―観光都市「古都」の成立;解体修理