周司あきらのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「身体の性」は、生物学的な特徴で外性器のような客観的な要素をイメージされやすいが、実際には外性器をもって他者の性別を理解することはまれで、背の高さや髪の長さなど「身体の性別特徴」によって判断される。よって、「身体の性」とは複合的な概念である。
男性の性的特徴がある人が女性ホルモンを投与し、睾丸を摘出しても、「男性でない状態」に近づきたいだけで、「女性化」したいとは限らない。
トランスの人々は厳しい社会的現実によって、メンタルヘルス不調に陥りやすい。
トランスジェンダーの法的な性別商人は権利の問題で、公衆浴場やスポーツなどの局所的な場面の話は別である。それらの話は、それぞれの事業者や団体が個別運 -
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自分のように今まできちんと学んでこなかった人間にとっては、入門書として読みやすい内容であった。諸々の議論については他の文献をあたる必要があるが、その基礎固めにはなったと思う。後半に進むにつれて語気が強くなり、やや首を傾げる部分もあったが、著者らの熱意のあらわれと思いたい。
フェミニズムだけでなく、男性学に触れられていたのも興味深い。日頃から何気なく男性/女性でカテゴライズしている場面に遭遇することがあるが、それがいかに無意味な行為であり、その無意味な行為に苦しめられている人がいるということを考えさせられた。トランスジェンダーの同性婚・異性婚も個人的に興味を惹かれる内容であった。 -
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Posted by ブクログ
フェミニズムなどの女性系の本はちょこちょこ読んできましたが、こちらは男性についての学問の本です。男性とは?というところから始まって家父制度などまで色んな方向性から”男性”を見ている一冊でした。
この本でうちの父がいかに古い意味での”男らしい”人物だったのだなぁと読んでいて随所に感じられました。今では理論立てて物事を解決していく人を男らしいと思われると書内にありましたが、そうではなく、腕っぷしの強くて男は泣かず、泣くときには男泣きなタイプ。本当にこれ…。
達成か逸脱の問題も、前に別の本を読んだ時にも思いましたが、今回も正しくな!と中学生時代のおバカな頃を思い出して思ったのです。私もおバカだっ -
Posted by ブクログ
男性学とその歴史について、ザザっと広く浅く紹介した本。
どこかで聞いたような話も多く、あまり新しい知見は得られなかった。
入門書だから…なのか?
男性学の歴史が浅く、そもそも著者も研究者ではないので、仕方がないのかもしれない。
…
本書には、もちろん家父長制(批判)の話が登場する。
家父長制と家族は表裏一体なので、資本主義を批判するのと同程度に、家父長制の批判にはどこか虚しさを感じてしまう。
個人的には、柔らかい家父長制…というか、家長が固定されないような家族制度の方が現実的な気がする(もはや、それを家父長制とは呼ばないのかもしれないが…)。 -
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Posted by ブクログ
トランスジェンダーとはどのような人たちなのか、性別を変えるには何をしなければならないのか、トランスジェンダーの人たちはどのような差別に苦しめられているのかなど、トランスジェンダーについて、様々なデータを用いて現状を明らかにするとともに、医療や法律をはじめその全体像をつかむことのできる本邦初の入門書と謳われている。
LGBT理解増進法の制定等によりトランスジェンダー差別的な言論をよく目にするようになり、改めてトランスジェンダーについて知りたいと思い、本書を手に取った。そもそものトランスジェンダーの定義やトランスジェンダー差別の実態、トランス医療、性同一性障害特例法のことなど、トランスジェンダーに -
Posted by ブクログ
『トランスジェンダー問題』を読んだときも感じたが、彼ら活動家寄りのトランスジェンダーは自分たちが住みよい社会イコールシスジェンダーも住みよい社会と無邪気に主張しすぎなのでは。
移行先の性別に見えない、溶け込む気のない人たちを、彼らの望む待遇で受けいる社会的コストを軽く見すぎている。それを人権侵害だ差別だと正論で押し通すのは、面倒な人たちだと腫れ物扱いを招く。
シスジェンダーだって社会の性別規範と折り合いをつけて生きているわけで、そこから外れれば人から見下され疎外される。
トランスも社会と折り合いをつけて生きている人のほうがおそらく多いのだろうが、どうにも一部の特別扱いを求める声の大きい人た -
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