【感想・ネタバレ】トランスジェンダー入門のレビュー

あらすじ

トランスジェンダーとはどのような人たちなのか。
性別を変えるには何をしなければならないのか。
トランスの人たちはどのような差別に苦しめられているのか。
そして、この社会には何が求められているのか。
これまで「LGBT」と一括りにされることが多かった「T=トランスジェンダー」について、さまざまなデータを用いて現状を明らかにすると共に、医療や法律をはじめその全体像をつかむことのできる、本邦初の入門書となる。
トランスジェンダーについて知りたい当事者およびその力になりたい人が、最初に手にしたい一冊。

◆目次◆
第1章 トランスジェンダーとは?
第2章 性別移行
第3章 差別
第4章 医療と健康
第5章 法律
第6章 フェミニズムと男性学

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Posted by ブクログ


性同一性障害ということばは誤り。「障害」ではない。
ジェンダーアイデンティと性自認と性同一性は同義。

そもそもこのことからしてわかっていない「知識人」が
多数いるのではないか。日本に。
「知識人」としたのは、政治家に対する皮肉だ。
特に自民党の一部。

この新書は、トランスジェンダーにとって、
この日本がいかに生きづらい国であるかを綴っている。

トランスジェンダーは人口の1%もいない、という。
出生時に割り当てられた性と、ジェンダーアイデンティティが異なる人。
従来はこれらの人々は「いないもの」にされていた。
それこそ「障害」「異常」とされていた。
しかし時代は変わり、少数派を尊重することが当たり前の世の中になってきた。

考えてみれば、以前は、そして今も、左利き、すら差別されてきた。
それは道具に代表されよう。
はさみ、スープをすくうお玉、自動改札機、、、
10%いる左利きですら不便な世の中。
様々な技術でようやく改善されつつある、まだその途上。

ましてや1%もいないトランスジェンダー。
「効率化」からすれば無視したくなる、というのも理解できなくもない。
しかし、
トランスジェンダーを認めないときの事例はいつも
「トイレはどうする」
「銭湯はどうする」
ばかり。
既に欧米では男女トイレを区別しない国も出ているという。
銭湯は、、今日日銭湯を日常的に利用する日本人がどれだけいるというのか。
問題のすりかえ。
些細なことを咎め、本質的なトランスジェンダーの生きづらさに向き合わない。

なんて偉そうなことを言うが、私もつい最近まで、
LGBTのうちT、トランスジェンダーは理解できない、と言っていた。
なぜ性転換手術(このことばもいまや使わないそうだ)をしてまで姓を換えるのか、と。
今はそれが誤った考えだとわかる。
中には好んで体にメスを入れる人もいるかもしれないが、
大半の人は、生きづらさから逃れるためにやむを得ずに手術を選んでいるのだ。
そもそも法律がそれを強いている。
生殖能力が無くならなければ戸籍上の性別を変えてはいけないと。
それは「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」
名称だけでもアウト。2003年成立時点ではやむを得ないとしても速やかに変更すべき。
内容もだ。
要件は
一 十八歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

この四が憲法違反であると最高裁の判決が2023/10に出た。

世の中は確実に変わってきている。
変わらないのは自民党の一部。
いや、もっといえば日本の官僚制度だろう。
明治維新で作られた薩長政権の考えは敗戦を経ても変わっていない。
戸籍がその最たるもの。たかだか150年の歴史、変えればいいのだ。
廃止すればいいのだ。そのためならマイナンバー義務化も理解されよう。
・・・そもそもカードじゃないけどね、今の時代。

色々絡まる。
キックバックの安倍派を干すことで自民が割れれば、今の官僚制度も変わるのか?
トランスジェンダーなどマイノリティに目を向けた国になるのか。
いずれにしても多数派が少数派を切り捨て、効率化を求める時代ではないのだ。
それが通用しないことはこの30年で誰しもわかっているはず。
変えねば。変わらねば。

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2023年12月13日

Posted by ブクログ

読むのが辛かったけど、とても勉強になった。ノンバイナリーの人の自殺率の高さはなんとかならないものだろうかと思う。性同一性障害という言葉は、もう現代の医療では使われず、性転換手術をする方が良いという見解になっているらしく、その常識はわりと衝撃的だった。虫の医療を考えている私にとってはものすごく深い内容で、今年読んだ中で一番ぐらいに良い本だった。

自分で選択した性を生きるって、素晴らしいことなのかもしれない。

1
2023年11月05日

Posted by ブクログ

LGBTQについて、いかに自分が性的マイノリティ、特にトランスジェンダーについて無知であったか分かった。本書はトランスジェンダーについての分かりやすい入門書であり、彼らが、どのような社会的状況に置かれ、特に日本で彼らを取り巻く状況は世界の中でも最も遅れている状況であるかもわかった。国際的にも人権意識が遅れている我が国であるので、特に驚きはしないが。法的な問題については、明治以来の戸籍の問題がネックになっていること、またフェミニズムや男性学との関係、ノンバイナリーについて、分かりやすく整理されて書かれている。本書を通読して思うのは、世界の人権意識や差別問題は進歩している中、わが国だけが逆流している印象を受ける。トランスジェンダーの問題は、トランスジェンダーだけの問題だけではなく、すべての人にとっての問題あることが理解できた。すべての人が生きやすい世の中にしていくには共に運動をしていくことが重要であることが示唆された。

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2023年10月04日

Posted by ブクログ

生まれた時に性別が「割り当てられる」という感覚への違和感や、LGBとTの違い、ノンバイナリーやAセクシャルの存在など、知らなかったことや理解不足がたくさんあった。性別は生きる上で大きな固定概念であり、縛りになってるんだなぁ。
「女性らしさ/男性らしさ」というこの「らしさ」に苦しめられる人が多いように、性別の問題に拘らず固定概念は厄介。いろんな物事の捉え方があるということを知るために、またさらに自由な生き方を促進し多様性を受け入れるためにも、本書は早い段階で教育現場に導入されてほしい。
誰もが自分を大切に、相手の自由も尊重した生きやすい世界になるといいなぁ。

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2023年08月30日

Posted by ブクログ

トランスジェンダーが直面している性、差別、医療と健康、法制度上の問題などを分かりやすく解説してくれている。何となくトランスと言うと今とは違う性別になりたい人というイメージだったが、一人一人の望みや実情は全然一括りにできるものではなくて、様々な思いがあるのだと知った。
また、現行の法制度や社会規範がいかに人々を抑圧し時に傷つけているのかという問題も、考えていかなければならない。

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2025年10月24日

Posted by ブクログ

とりあえずジェンダーについて最低限これだけは読んでおいてほしい。シスジェンダー、ノンバイナリーのことも基本がまとまっていて、これ1冊読んでもらえれば一旦いいと言える本。すすめやすく読みやすい。こんな本を出版してくださり感謝しかない。最低限これだけは読んでほしい!

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

トランスジェンダーへの理解のための考え方や直面している問題点がわかりやすくまとめられている。

それらは誰しもにとって無関係ではない。
差別をされたり或いはしたりしないために。

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2024年09月10日

Posted by ブクログ

いる人をいないことにしてしまうのは、「だれかを踏んでおいて居直るのと同じ。いっちゃん始末悪い」こと(引用はべつの、好きな漫画から)。

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2023年08月17日

Posted by ブクログ

Twitterで熱く語り合っているかたたちには、このような事実を知って欲しい。そしたらもっと議論が有意義で楽しくなると思う。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

入り口として丁寧に説明していただいた印象です。

分かっているつもりで全く分かっていないことばかりでした。
過去別の本で読んだ日本の社会にある「人間教」の考え方を思い出しました。

多数派の過ごしやすさによって、その枠から様々な事情で該当しないとなった人達が生きること自体に難しさを感じなければならないことは悲しい

その一方、自分自身も多くの差別をしてしまっていると思うと実現できるのか、自分ごととしてどこまで考えられているのかは不安になりました。

書籍の構成上仕方ないのかもしれませんが、様々な状況に対して、現在の状況について、強い批判のみで書かれていると感じる部分があり、分かりやすいと思う一方どうして法整備や受け入れの実現が難しいのか、という視点でも状況が書かれていると良いと感じました。

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2025年03月01日

Posted by ブクログ

別の著者の本(たしかフェミニズム系の本だったと思う)で「差別主義者の最大の特徴は、自らが差別主義者だと自覚していないことだ」と書かれているのを読んだことがあり、自分が誰かを無意識のうちに差別することがないように、自分のよく知らないトランスジェンダーについて書かれたこの本を読んでみた。

著者は、「トランスジェンダーのことをきちんとわかりやすく書いた本が世の中にないので自分でこの本を書いた」と述べている。
私は専門外なのでこの本に書かれていることがどれほど正しいのかは判断できないが、少なくともこの本を読んでトランスジェンダーの方たちの気持ちを以前よりはるかに理解したり想像したりすることができるようになった。
それはつまり、トランスジェンダーの方の立場になって考えることが(完全にではないだろうが)できるようになったということでもあると思う。

この、別の人の立場になって考える、ということが私はとても大事だと思っている。それが世界から差別をなくす一歩になると信じたい。

時間のない人でも、第一章だけでいいから読んでほしい。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

この本を読み終えて、自分の中にフィルターが一枚生まれた気がした。それは過剰な忖度だったり、厚みの分だけ他者との距離を生んでしまうものではなくて、考えや思いを口にしたり文字で発信する際に、無意識に誰かを傷つけてしまうような表現をこしとってくれるようなもの…であったらいいなと思ってます。
正直なことを言うと、半分くらい読んだ時点ではトランスジェンダーの人たちの辛い体験や困難を想像して神妙な面持ちになりつつも、文章の端々から滲み出てくる言葉の強さに「なんかすみません…」と書き手のお二方に頭を下げたくなるような圧を感じてしまったのも事実でした。本書に出てくる表現でいうところのシスジェンダーにとって、トランスジェンダーの人たちの「生きづらさ」は想像しようと思ってもなかなか想像できないもので、でもだからこそ本書を手に取ったりして歩み寄りたい、できる範囲で理解させてほしい、と思って読み進めていったらすごい勢いで感情に訴えかけられてきて面食らうというか…。
でも、4章の「医療と健康」を読み進めるにつれて「命に関わるレベルで困ってるなら、必死になるのも当然だな…」と思ってからは、言葉の強さがそのまま生きるための強さにも感じられて、腑に落ちたような気がしました。

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2024年02月01日

Posted by ブクログ

勉強のため
そもそもこの本を手に取るまで、トランス関連の本が少なくて驚いた。噛み砕かれていて入門にふさわしく分かりやすかった

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2023年12月05日

Posted by ブクログ

一度体系的に学ぶべきだな、と簡単そうなとこから読んでみました。FtM、MtFって今言わないのか。用語の印象に引きずられる注意がいるというの含め考え方の基本はつかめた気がします。最近話題になってた公衆浴場の利用に関する議論についてもきっぱりつっぱねててよかった。

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2023年11月27日

Posted by ブクログ

私が当事者の方々とお付き合いを始めた、この20年の間にも変化や進化があったことを本書で知る。特に「ガイドライン」の功罪については驚きを持って学んだ。

最近、最高裁の判決で、特例法が違憲とされたので、そこの記述は変わってくるだろう。喜ばしいことだ。また、LGBT理解増進法も制定された。完全ではないが、ここから漸進させていけるはず。

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2023年10月27日

Posted by ブクログ

知ってるつもりで読み始めましたが、、、
知らない事だらけでした(>人<;)
多方面に簡単じゃないことだらけ。
何ができるかな?
考えさせられます。

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2023年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「身体の性」は、生物学的な特徴で外性器のような客観的な要素をイメージされやすいが、実際には外性器をもって他者の性別を理解することはまれで、背の高さや髪の長さなど「身体の性別特徴」によって判断される。よって、「身体の性」とは複合的な概念である。
男性の性的特徴がある人が女性ホルモンを投与し、睾丸を摘出しても、「男性でない状態」に近づきたいだけで、「女性化」したいとは限らない。
トランスの人々は厳しい社会的現実によって、メンタルヘルス不調に陥りやすい。
トランスジェンダーの法的な性別商人は権利の問題で、公衆浴場やスポーツなどの局所的な場面の話は別である。それらの話は、それぞれの事業者や団体が個別運用の次元で対応すべき。

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2023年09月10日

Posted by ブクログ

自分のように今まできちんと学んでこなかった人間にとっては、入門書として読みやすい内容であった。諸々の議論については他の文献をあたる必要があるが、その基礎固めにはなったと思う。後半に進むにつれて語気が強くなり、やや首を傾げる部分もあったが、著者らの熱意のあらわれと思いたい。
フェミニズムだけでなく、男性学に触れられていたのも興味深い。日頃から何気なく男性/女性でカテゴライズしている場面に遭遇することがあるが、それがいかに無意味な行為であり、その無意味な行為に苦しめられている人がいるということを考えさせられた。トランスジェンダーの同性婚・異性婚も個人的に興味を惹かれる内容であった。

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2023年07月24日

Posted by ブクログ

基本という感じでよいのではないか。たしかにわかりやすくて重要で、いまどきのここらへんの話についていきたい人は読んでおくべきだと思う。

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2023年07月28日

Posted by ブクログ

トランスの方々の基本がわかる本。ただ、考え方がトランス側に立ちすぎているのでは?と終えて仕方ない。就労、貧困などなど、トランスの方のみならずシスの方々も苦労しています。

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

トランスジェンダーとはどのような人たちなのか、性別を変えるには何をしなければならないのか、トランスジェンダーの人たちはどのような差別に苦しめられているのかなど、トランスジェンダーについて、様々なデータを用いて現状を明らかにするとともに、医療や法律をはじめその全体像をつかむことのできる本邦初の入門書と謳われている。
LGBT理解増進法の制定等によりトランスジェンダー差別的な言論をよく目にするようになり、改めてトランスジェンダーについて知りたいと思い、本書を手に取った。そもそものトランスジェンダーの定義やトランスジェンダー差別の実態、トランス医療、性同一性障害特例法のことなど、トランスジェンダーについて理解が深まった。
ただ、著者の主張の部分が強いように感じ、また、なぜトランスジェンダーが生まれるのか(先天的なものなのか、後天的なものなのか、生物学的にはどのように捉えられているのかなど)といった知りたかったことに触れられていない部分もあり、入門書としてもう一つと思うところもあった。

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2024年02月11日

Posted by ブクログ

『トランスジェンダー問題』を読んだときも感じたが、彼ら活動家寄りのトランスジェンダーは自分たちが住みよい社会イコールシスジェンダーも住みよい社会と無邪気に主張しすぎなのでは。

移行先の性別に見えない、溶け込む気のない人たちを、彼らの望む待遇で受けいる社会的コストを軽く見すぎている。それを人権侵害だ差別だと正論で押し通すのは、面倒な人たちだと腫れ物扱いを招く。

シスジェンダーだって社会の性別規範と折り合いをつけて生きているわけで、そこから外れれば人から見下され疎外される。
トランスも社会と折り合いをつけて生きている人のほうがおそらく多いのだろうが、どうにも一部の特別扱いを求める声の大きい人たちが最近目立つ。

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2023年11月22日

Posted by ブクログ

感想
MtoFとFtoMすら区別しない。トランスの人々とどこが違うのか共通点は何か。当事者の心と主観、社会の側からの法律と規範。

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2023年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どっちにしても簡単じゃないよ、ということなのだろうけれど。そんなにリソースがない時どうするかではある。気持ちも。

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2023年09月29日

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